無職のおっさんはRPG世界で生きて行けるか!?Refine

田島久護

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第二章・アイゼンリウト騒乱編

第32話 冒険者、森で悲しい出会いをする

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 俺とビッド、イリア姫にダンティスさん、リードルシュさんの一行は城下町を出てひたすら北上し、森の中に入った。森の中は騒がしく、魔物の巣に飛び込んだような状態だった。

ビッドは個人の冒険者、リードルシュさんも経験がありそうだしダンディスさんは元アイゼンリウト軍人。姫は自分の部下は指揮していたけど即興のパーティでこの状況。

皆自分なりの戦い方があるだろうが、他の人が気になって動き辛そうにしている。誰かが指示を出して口火を切った方がスッキリするんじゃないか?

俺が指示を出すなんて烏滸がましいが、皆と接点があるのが俺なのでここは思い切って自由度が高い指示を最初だけだそう。しっかり口火を切れば皆俺なんかに言われなくても動けるはずだ。

「ビッド、突破口を開いてくれ! ダンティスさんとリードルシュさんは、ビッドが開けた突破口を更に崩して広げてください! 姫、俺と一緒にビッドの両側についてフォローを!」
「了解!」

 ビッドは俺の指示を聞くと、ハンマーを振りまわして魔物を薙ぎ払う。
次々と飛び散っていくゴブリンや紫の肌にコウモリの羽根を生やし、鬼のような角を小さく生やした生き物。
 どうやらこの森の先に何かあるのは間違いないようだ。それに恐れて森を出てきたのか、煽られて凶暴化し街を襲いに来たのか。

 俺はビッドの開く突破口から逃れた魔物を殴り飛ばし蹴り飛ばして、ビッドのハンマー攻撃の障害を除く。即席のパーティにしては巧く行った。俺以外の戦闘経験者が多いから、徐々に相手の動きを見て連携して処理している。

ダンティスさんは中華包丁二刀流で魔物を切り刻み、リードルシュさんは抜刀術で魔物たちをカマイタチのようなものを起こして切り刻んでいた。姫は俺とビッドの間合いより更に奥へと、竜槍で突いて行く。だけど数が減った気はしない。進んではいるが後から後から湧いているような感じがする。

「コウ、魔法は使わんのか?」

 リードルシュさんは汗一つ掻かずに魔物を斬りながら俺に尋ねた。

「いや、魔法の使い方とか解らないです」
「それだけの魔力量があれば使えない事は無いだろう。何らかの加護を受けているのではないか?」

 加護……。
そう言われると、あの絶世の美女の気まぐれの祝福によって誕生した黒隕剣。所有者として認められたとなると、あの人の加護を受けているのだろうか。
凄く威厳があり偉い人っぽかったし。俺が頭にその姿を思い浮かべると、その美女が俺に向かってほほ笑み、手を突き出した。

「うぉ!?」
「キャア!?」

 その声にハッとなり前を見ると、魔物の群れが吹き飛んでいた。というか木も草もなぎ倒されている。台風が通り過ぎた後のように。

「コウ、いきなり魔法を使うのはダメだろう」

 ダンディスさんが俺の肩に手を置き苦笑いしながらそう言った。
魔法? 
どうやって?
詠唱とかそういうものが必要じゃないのか魔法って。

「詠唱無しで風の渦を呼びだし吹き飛ばすとは。あれはなんだ一体」
「いや、さっぱり……。何だったんでしょうね」

 俺も解らない。魔力量があると言われていたが、それをどう使うかなんて知らない。しかも風を起こしたいとも思っていない。ただ突破口を開こうとは思っていたが。

「見たところそう魔力量は減っていない。あれだけの威力の魔法を放って減らないとは底なしなのかお前の魔法量は」

 リードルシュさんが呆れたように俺に言った。しかしあれを自由に使えなければ、意味が無いんじゃないかな。

神の吐息ゴッドブレス

頭の中に声が飛んで来る。神の吐息?
ゴッドブレスってことなのか?
厨二病全開だな。

「いたたたた……取り合えず前は空いたし、第一波は凌いだ。これからどうする?」

 ビッドは俺が不意に放った魔法の所為で横へ吹き飛ばされていたが、立ちあがり俺に尋ねてきた。

「これからが問題ですね。この後も続くとすると、私達の体力が持つかどうか」

 姫は何とか飛ばされず、竜槍を地面に突き立て踏ん張ったようだ。地面から竜槍を抜くと片手で持ちながら、そう言った。

「兎に角前に進みましょう。もう少し行けば、俺とファニーがエルツへ向けて出発した洞窟の裏手近くに着きます」
「了解。ビッドの旦那、リードルシュの旦那も後衛を頼む。俺と姫は前衛でコウは臨機応変に動けるように警戒しておいてくれ」

 ダンディスさんは素早く指示を出してくれた。素人の俺が出した指示より経験者が出した方が良いと判断してくれたんだろう。

俺の動きは不規則だし型も無いので計算には入れ辛いというのを加味してのフォーメーションだと思う。

「ダンディスさん了解です」
「流石元軍人と言ったところか。了解した」

「任せろ!」
「はい!参りましょう」

 皆素早く答えてそのように動き、俺達は警戒しつつも早歩きで森を進んで行く。
明らかに眼が真っ赤になり凶暴化しているイノシシやオオカミに度々襲われるも、
難なく退け突き進む。そして麓の近くに出ると

「何ヲシニ来タオ前ラ」

 そこには紫色の肌にコウモリの羽根を生やし鬼の角を小さく生やした集団が居た。

「さっきも混じっていたが、魔族だ」

 リードルシュさんがそう言いつつ、前に出る。

「これはいよいよきな臭くなってきやがった」

 ダンディスさんも前へ躍り出る。

「ホウ、生贄ニシテハ、威勢ガ良イナ」

 甲高い声が頭に響く。

「何が目的だ?」
「ソレハコッチガ聞ク事ダ。マダ生贄ガ足リナイトイウノニ、最近途切レテイタ所へオ前達ノヨウナ奴ラガ」

「森の魔物たちを操っていたのはお前たちか?」
「ソレハ……」

「俺が使役したのだ」

 俺達の後ろから声が飛んでくる。森の中から現れたのは、ビッドと似た姿の大男だった。

「あ、兄者!」

 俺はビッドの方を向く。兄者? って事はリムンの……。

「久しいなビッド。まさかこんな所で逢うとはな」

 その姿は筋骨隆々で、体には小さな痣から大きな傷まで無数にあり、右眼は斬られたような跡が付いていた。

「らしくない得物を持っている。俺の右眼を奪った自責の念にでも駆られたのか?」
「ば、馬鹿な……兄者は死んだはず!?」

「そう、死んださ一度な。しかし俺は蘇った。恨みを晴らす為にっ!」

 大剣が唸りを上げてビッドに襲いかかる。
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