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第二章・アイゼンリウト騒乱編
第33話 冒険者、別の魔剣と対峙する
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「つあっ!」
俺は寸での所で鞘から抜けた黒隕剣を掴み防ぐが、その衝撃は体を突き抜け地面にクレーターを作る。
自分の体がよく耐えられたなと感心する他無い。体力は無いけど頑丈ってどんなサービスなんだ。いやひょっとしてリードルシュさんがくれた鎧の効果なんじゃないか?
「ほう。ドラフト族でも最強である俺の一撃に耐えうる人間がいるとはな」
最強? 俺はその言葉を聞いてカチンと来た。最強が何で可愛い娘を置いてこんなところでこんな真似をしてるんだ? 強いってのは弱い者大切な者を守れる者じゃないのか?
衝撃で痺れている体を無視し、腹に力を入れて全力を出す為足を踏ん張る。こんな奴が最強で堪るか!
「何故……」
「何?」
「何故娘の所へ戻らない! リムンは一人ぼっちで、どれだけ辛い思いをしたか!」
歯を食いしばって力を振り絞り大剣を押しながら体勢を立て直す。確かに凄い力だ最強を自認するだけはある。だけどおっさんとしては負けられない。
折角変な世界に来て一からやり直すんだ。無職で無気力なおっさんには戻りたくない!
「何故お前が娘の事を?」
「リムンは寂しさを忘れる為に悪さをしてたっ……俺が叱って仲間にした!」
「そうか……」
ビッドの兄、ビルゴは大剣を素早く引いてもう一度振り下ろそうとした。その速さは尋常じゃなくとてもじゃないが一撃入れられない。
みっともなくともコイツを倒す為に俺はごろごろと転がりながら振り下ろしを避けた。
ビルゴは俺に対して追撃を入れられたのにせず、その場で大剣をゆっくりと降ろし俺を見る。その目は悲しい色を帯びていた。
「願いを成就させる為に、俺は悪魔に魂を売った。解り易いだろう?」
「願い? 娘を置き去りにしてまで叶えた願いがあるのかよ! 親としてそれで良いのか!?」
「妻が……」
「何?」
「妻が蘇れば娘を迎えに行く」
俺はその言葉にキレた。死んだ者は生き返りはしない。そんなのはリムンだって分かっている筈だ。そんなものよりも生きている父親だけでもと思っているのが何故理解出来ない!?
怒りを込めてゆっくりと立ち上がり少し助走を付けて飛び上がり、全力で黒隕剣を振り下ろす。
「やるようだな。だが足りない」
渾身の一撃は難なくビルゴの大剣に受けとめられる。そんな!? 何でも斬れる剣である黒隕剣が止められた!?
ビルゴは大剣を思い切り薙ぎ、俺はそのまま吹き飛ばされ木に激突。体の力が抜けてへたりこんでしまった。
「止まるなコウ!」
「やらせるかよ!」
俺の前にリードルシュさんとダンディスさんが躍り出て、ビルゴへ襲いかかる。
「馬鹿が。あいつに無理なものがお前達でどうにかなると思うな」
ビルゴの大剣は唸りを上げ、突風を起こし俺達を吹き飛ばす。
「俺の怨念と妻の無念、そして俺達の魂を吸ったこの魔剣、ゴブルディスは斬れない代わりに折れず如何なる物も叩き潰す」
「聞いた覚えがあるぞ……魔族が所有する魔剣ゴブルディス。折れない代わりに斬れない。その特性を考えれば力任せのドラフト族に最適な剣だな。受ける際にも魔力によって威力を軽減する効果もあると聞く。俺の黒隕剣でも切れなかったのはその所為だ」
リードルシュさんの話を聞いた後、ビルゴの大剣の切っ先を見ると尖っておらず平だった。
自分だけが魔剣を持っているような気になっていたが、他に無い訳が無い。それでもリードルシュさんが全てを賭け注いだ剣で斬れなかった……いや俺の腕がもっとあれば斬れてたに違いない。
「人間、お前が如何に優れた剣を持とうとも、元々が弱ければ強い方が勝つ。自明の理だ。大人しく生贄になるが良い」
どうする!?
この敵をどう退ける!?
ビルゴを倒さなければ先に進まない。
だが倒せるか!?
折れずに如何なる物も叩き潰す事の出来る魔剣。
俺は黒隕剣を杖のようにして立ちあがる。
「その蘇生の儀式はアンタがやるのか?」
俺は立ちあがりながらビルゴに問う。
「そうだとしたらどうする?」
ビルゴは大剣を肩に担ぎながら俺に問い返した。これは違うな。
「蘇生の確率は?」
「俺が蘇ったのだから問題ないだろう」
「アンタホントに死んだのか? 死にかけていただけじゃないのか?」
「……お前に語る必要は無い」
「痴人の夢だな。死んだものがホイホイ蘇るなら、命の重さなんて金より軽い。ドラフト族ってのは脳筋だな」
俺は黒隕剣を構える。剣から今までに感じた事のない感覚が伝わってくる。もどかしい感じ。
「ノウキンとは何か知らんが、馬鹿にしているのは理解したぞ」
ゴブルディスが唸りを上げて振り下ろされ、俺は大きく後ろに飛び退き避ける。剣自体は避けられても地面に叩きつけた際に起こる衝撃にバランスを崩してしまう。
「コウ!」
「皆、こいつは俺に任せて周りの魔族を頼む!一匹位生かしておいてくれれば良い。情報が欲しい」
「心得た」
だらしない格好になった俺を見て声を掛けてくれたリードルシュさんとダンディスさんは、完全に納得した訳ではない顔をしていた。それでも魔族へ向かって行ってくれて助かる。ビッドと姫も魔族との戦闘を開始する。
「まぁ当然の人選だな。俺の魔剣はお前の剣でしか防げまい。だが先程も言ったが、元々の強さの差は歴然だぞ?」
「歴然というが、それは体格の問題か?」
「それと戦闘経験」
「なら戦闘経験は今積ませてもらう。体格差が強さの差でない事を教えてやる」
「笑止」
俺は寸での所で鞘から抜けた黒隕剣を掴み防ぐが、その衝撃は体を突き抜け地面にクレーターを作る。
自分の体がよく耐えられたなと感心する他無い。体力は無いけど頑丈ってどんなサービスなんだ。いやひょっとしてリードルシュさんがくれた鎧の効果なんじゃないか?
「ほう。ドラフト族でも最強である俺の一撃に耐えうる人間がいるとはな」
最強? 俺はその言葉を聞いてカチンと来た。最強が何で可愛い娘を置いてこんなところでこんな真似をしてるんだ? 強いってのは弱い者大切な者を守れる者じゃないのか?
衝撃で痺れている体を無視し、腹に力を入れて全力を出す為足を踏ん張る。こんな奴が最強で堪るか!
「何故……」
「何?」
「何故娘の所へ戻らない! リムンは一人ぼっちで、どれだけ辛い思いをしたか!」
歯を食いしばって力を振り絞り大剣を押しながら体勢を立て直す。確かに凄い力だ最強を自認するだけはある。だけどおっさんとしては負けられない。
折角変な世界に来て一からやり直すんだ。無職で無気力なおっさんには戻りたくない!
「何故お前が娘の事を?」
「リムンは寂しさを忘れる為に悪さをしてたっ……俺が叱って仲間にした!」
「そうか……」
ビッドの兄、ビルゴは大剣を素早く引いてもう一度振り下ろそうとした。その速さは尋常じゃなくとてもじゃないが一撃入れられない。
みっともなくともコイツを倒す為に俺はごろごろと転がりながら振り下ろしを避けた。
ビルゴは俺に対して追撃を入れられたのにせず、その場で大剣をゆっくりと降ろし俺を見る。その目は悲しい色を帯びていた。
「願いを成就させる為に、俺は悪魔に魂を売った。解り易いだろう?」
「願い? 娘を置き去りにしてまで叶えた願いがあるのかよ! 親としてそれで良いのか!?」
「妻が……」
「何?」
「妻が蘇れば娘を迎えに行く」
俺はその言葉にキレた。死んだ者は生き返りはしない。そんなのはリムンだって分かっている筈だ。そんなものよりも生きている父親だけでもと思っているのが何故理解出来ない!?
怒りを込めてゆっくりと立ち上がり少し助走を付けて飛び上がり、全力で黒隕剣を振り下ろす。
「やるようだな。だが足りない」
渾身の一撃は難なくビルゴの大剣に受けとめられる。そんな!? 何でも斬れる剣である黒隕剣が止められた!?
ビルゴは大剣を思い切り薙ぎ、俺はそのまま吹き飛ばされ木に激突。体の力が抜けてへたりこんでしまった。
「止まるなコウ!」
「やらせるかよ!」
俺の前にリードルシュさんとダンディスさんが躍り出て、ビルゴへ襲いかかる。
「馬鹿が。あいつに無理なものがお前達でどうにかなると思うな」
ビルゴの大剣は唸りを上げ、突風を起こし俺達を吹き飛ばす。
「俺の怨念と妻の無念、そして俺達の魂を吸ったこの魔剣、ゴブルディスは斬れない代わりに折れず如何なる物も叩き潰す」
「聞いた覚えがあるぞ……魔族が所有する魔剣ゴブルディス。折れない代わりに斬れない。その特性を考えれば力任せのドラフト族に最適な剣だな。受ける際にも魔力によって威力を軽減する効果もあると聞く。俺の黒隕剣でも切れなかったのはその所為だ」
リードルシュさんの話を聞いた後、ビルゴの大剣の切っ先を見ると尖っておらず平だった。
自分だけが魔剣を持っているような気になっていたが、他に無い訳が無い。それでもリードルシュさんが全てを賭け注いだ剣で斬れなかった……いや俺の腕がもっとあれば斬れてたに違いない。
「人間、お前が如何に優れた剣を持とうとも、元々が弱ければ強い方が勝つ。自明の理だ。大人しく生贄になるが良い」
どうする!?
この敵をどう退ける!?
ビルゴを倒さなければ先に進まない。
だが倒せるか!?
折れずに如何なる物も叩き潰す事の出来る魔剣。
俺は黒隕剣を杖のようにして立ちあがる。
「その蘇生の儀式はアンタがやるのか?」
俺は立ちあがりながらビルゴに問う。
「そうだとしたらどうする?」
ビルゴは大剣を肩に担ぎながら俺に問い返した。これは違うな。
「蘇生の確率は?」
「俺が蘇ったのだから問題ないだろう」
「アンタホントに死んだのか? 死にかけていただけじゃないのか?」
「……お前に語る必要は無い」
「痴人の夢だな。死んだものがホイホイ蘇るなら、命の重さなんて金より軽い。ドラフト族ってのは脳筋だな」
俺は黒隕剣を構える。剣から今までに感じた事のない感覚が伝わってくる。もどかしい感じ。
「ノウキンとは何か知らんが、馬鹿にしているのは理解したぞ」
ゴブルディスが唸りを上げて振り下ろされ、俺は大きく後ろに飛び退き避ける。剣自体は避けられても地面に叩きつけた際に起こる衝撃にバランスを崩してしまう。
「コウ!」
「皆、こいつは俺に任せて周りの魔族を頼む!一匹位生かしておいてくれれば良い。情報が欲しい」
「心得た」
だらしない格好になった俺を見て声を掛けてくれたリードルシュさんとダンディスさんは、完全に納得した訳ではない顔をしていた。それでも魔族へ向かって行ってくれて助かる。ビッドと姫も魔族との戦闘を開始する。
「まぁ当然の人選だな。俺の魔剣はお前の剣でしか防げまい。だが先程も言ったが、元々の強さの差は歴然だぞ?」
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「なら戦闘経験は今積ませてもらう。体格差が強さの差でない事を教えてやる」
「笑止」
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