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第二章・アイゼンリウト騒乱編
第65話 冒険者、最後の舞台へ!
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「皆、どいてくれ!」
俺は全ての想いを胸に秘め、相棒たちと共に突撃する。皆は俺の言葉を聞いてアーサーから離れ、アーサーは俺に向き直った。
「ほう、古いものが出てきたな」
「物語の世界に相応しいだろう? アンタの偽物とは訳が違う!」
「偽物だと?」
「そうだ偽物だ。アンタのそれはアンタが作った話の剣だ」
「だから?」
「俺が持つのは古の聖剣、そして宇宙を巡って辿り着いた新たな聖剣!」
「聖剣なら我に太刀打ちできると」
「太刀打ち? 違うさ、圧倒してやる!」
俺はバルムンクを歯を食いしばりながら思い切りアーサーに叩きつけた。アーサーは黄金色の剣でそれを受け止めたが、目を見開いて驚いた後歯を食いしばり俺を睨み付ける。
その顔を見逃さない。素早くバルムンクを引きながら黒隕剣を叩きつけて押し込む。衝撃波がアーサーの後ろと足元に広がった。
「……お前は一体何だ? 私の物語には無い人物だ」
「当たり前だ。ここはお前だけの物語じゃない! ここに生きる人々がいて俺もその一人……これは皆の物語だ」
更に押し込みそのまま地面に埋め込もうとしたが、アーサーは憤怒の表情を浮かべて紫色の剣を黄金色の剣と交差させてこちらを押し返して来た。
俺も対抗して相棒たちを交差させて押し込んで行く。暫くその状態が続いたが、アーサーは全力で俺を弾いて距離を取った。
今まで表情も呼吸も動きも乱れなかったアーサーも、遂に息を荒げ汗をかき始める。勿論こっちも同じだが、同じ土俵にたったのは大きい。
俺は隙を見逃さずに斬り込む。アーサーはそれを受けるが段々と斬り方が粗くなってきた。王と戦場を駆けたというが、それにしては配分も太刀筋も粗い。ただ暴れているだけと言う感じになっている。
何かが可笑しい……別に意識を集中しているような感じがしてならない。
「……不愉快な奴め。仕方が無い、私も奥の手を出そう」
アーサーはそういうと剣を下に向け目を閉じた。やはり力や意識を別のところに向けていたんだ。そうでなきゃ俺がパワーアップしたとは言え、皆を相手に捌いていた男があんな適当な捌き方をする筈が無い。
「そんなもの待つか!」
俺は問答無用で斬りかかる。思惑通りに行かせてなるものか!
「別に待たなくても構わん! 我が心もて場を整えん……ここは我が理想我が世界我が物也!」
アーサーの声と共に体から光が発せられ、あまりの眩しさに目を瞑ってしまう。その光が収まった後素早く目を開けると、そこは洞窟だった。
「何だこれは?」
「私の書いた物語の最後の場面だ」
「何?」
「元の世界で書いた小説のラストシーンを魔力を使って再現し、貴様を招き入れたやったのだ。有難く思え?」
「……世界を侵食したのか」
「浸食と言うよりも間借りだな。私の物語を完璧に終わらせるにはこの場でなければならない」
「元の世界って言ったがアンタ……」
「そう、元々私はこの世界で生まれた者では無い。信じられんだろうが、私はお前達とは別の世界から来て転生したものだ」
俺は言葉を失う。こいつも他の世界から来たのか!? というかこいつ俺が同じだと知らないのか……。
だったらここは敢えてそれを言わないのがよさそうだ。同じ状況だと知れば警戒されかねない。ファニーも黒隕剣も同調するように光を発する。
「邪魔者は居ない。さぁ最後の時を迎えようか冒険者よ!」
アーサーとの正真正銘最後の戦いが始まる。俺は相棒たちを構えて力を籠めた。
・
「コウ、何処へ行った!?」
「コウ殿!」
残された王座の間で仲間達はコウの姿を探すが何処にもない。突如消えて混乱に陥る中
「お前達……無事か?」
傷だらけのビッドとビルゴ、そしてリムンが王座の間へと辿り着いた。
「ビッドの旦那達!? 無事だったのか!」
「ああ、何とかな。この人のお陰で」
ビッドは横に居るショートカットに金髪の中性的な人物を親指で指す。裾の長い緑色のワンピースに白のサーコートを着ていた。
その人物は場違いな爽やかな笑顔を携えて手を振る。その場にいる皆は呆気に取られて動けない。
「……どちら様ですか?」
姫はその静寂に耐えきれず口を開いく。奇妙な感覚に捉われそう尋ねずには居られなかったのもあった。
「アンタ何者?」
アリスも同じ感覚に捉われ後ずさる。不気味な雰囲気を纏っている中性的な人物は口を開く。
「なんだ冷たいな。血を分けた者同士なのに」
「誰とですか?」
「そうよ……誰とよ!」
「今怯えてる二人と」
姫とアリスは顔を見合わせる。それを見て中性的な人物はくすくすと笑う。よく見れば姫とアリス、そしてこの忠誠的な人物は目が王によく似ていた。
イーリスはそれに気付き驚きを隠せない。何故今こんな事態が起こるのか。そして自分がアリスを初めて見た場面が頭を過ぎる。
黒いローブに身を包んだ絶世の美女、自分に魔術を教えた養母はある日赤ん坊を抱いて魔界の家に戻り言った。”この娘はお前の妹だ。私が教えた全てをお前がこの子に教えなさい。時が来ればお前の役に立つ”と。
イーリスは血の気の引く思いがした。今日この日の為に全てが用意されていたなんて。となるとあの王子は一体何者なのか……いや、もう答えは出ている。あの王子は偽物だ。
だから王はアグニスにあっさり倒されたのかと考える。完全な状態で血を分けた魔族を吸収していたのであれば、コウの成長速度が異常で追い込まれて疲弊していたにしても、アグニスが変身する前の状態での投擲なら避けられなくとも弾けた筈だ。
その全てがあの王子が偽物なら合点がいく。ただの人間を吸収しただけで変身を遂げたのなら片手落ちも甚だしい。強力な血を受け継ぎ血を分けた息子だけでなく、多くの人間を同じように絶望させて生贄にするからこそ強大な力を得られるのだから。
王が変身した後奥の手を中々出さずにいたが、出せなかったのだ。そしてアグニスも変身した後自らの体の動きを確かめていたのはその所為だ。最初の条件が間違っているのだから違和感があって当たり前。
となれば自分すらもこの日この時の為の駒。あの養母は一体何者なのだろうか。今思えば神とも悪魔ともつかない、この世の中に存在することすら不確かなあの女。
コウが持つあの剣からもその匂いはしていたが、まさかと思い一笑に付していた。だがここまで来ればあの女の筋書き通りだったと、コウもその一部であるのは間違いない。
あの女の目的は何だ? 魔族なら上位も上位。魔界の戦力が増えるのは天界に対抗する為歓迎するはずだ。ならばこの先に何がある? 自分の狙いはあわよくば弱った二人の血を吸い取り我がものとしてのし上がるべく静かに時を待っていた。
どうも分からない。魔族に有利になる様な結末に最後成るのか。その役目を自分が担っているのか? 今の状況を考えれば有り得ない。血を吸い取ろうと瞬間確実に死ぬ。
イーリスは鼻で笑う。どうやら最後まで見守らなければならないらしい。恐らく自分の役割はもう終わっているだろうが、仕方ないと受け入れる他無いだろう、と自分を納得させて突然現れた人物を見る。
俺は全ての想いを胸に秘め、相棒たちと共に突撃する。皆は俺の言葉を聞いてアーサーから離れ、アーサーは俺に向き直った。
「ほう、古いものが出てきたな」
「物語の世界に相応しいだろう? アンタの偽物とは訳が違う!」
「偽物だと?」
「そうだ偽物だ。アンタのそれはアンタが作った話の剣だ」
「だから?」
「俺が持つのは古の聖剣、そして宇宙を巡って辿り着いた新たな聖剣!」
「聖剣なら我に太刀打ちできると」
「太刀打ち? 違うさ、圧倒してやる!」
俺はバルムンクを歯を食いしばりながら思い切りアーサーに叩きつけた。アーサーは黄金色の剣でそれを受け止めたが、目を見開いて驚いた後歯を食いしばり俺を睨み付ける。
その顔を見逃さない。素早くバルムンクを引きながら黒隕剣を叩きつけて押し込む。衝撃波がアーサーの後ろと足元に広がった。
「……お前は一体何だ? 私の物語には無い人物だ」
「当たり前だ。ここはお前だけの物語じゃない! ここに生きる人々がいて俺もその一人……これは皆の物語だ」
更に押し込みそのまま地面に埋め込もうとしたが、アーサーは憤怒の表情を浮かべて紫色の剣を黄金色の剣と交差させてこちらを押し返して来た。
俺も対抗して相棒たちを交差させて押し込んで行く。暫くその状態が続いたが、アーサーは全力で俺を弾いて距離を取った。
今まで表情も呼吸も動きも乱れなかったアーサーも、遂に息を荒げ汗をかき始める。勿論こっちも同じだが、同じ土俵にたったのは大きい。
俺は隙を見逃さずに斬り込む。アーサーはそれを受けるが段々と斬り方が粗くなってきた。王と戦場を駆けたというが、それにしては配分も太刀筋も粗い。ただ暴れているだけと言う感じになっている。
何かが可笑しい……別に意識を集中しているような感じがしてならない。
「……不愉快な奴め。仕方が無い、私も奥の手を出そう」
アーサーはそういうと剣を下に向け目を閉じた。やはり力や意識を別のところに向けていたんだ。そうでなきゃ俺がパワーアップしたとは言え、皆を相手に捌いていた男があんな適当な捌き方をする筈が無い。
「そんなもの待つか!」
俺は問答無用で斬りかかる。思惑通りに行かせてなるものか!
「別に待たなくても構わん! 我が心もて場を整えん……ここは我が理想我が世界我が物也!」
アーサーの声と共に体から光が発せられ、あまりの眩しさに目を瞑ってしまう。その光が収まった後素早く目を開けると、そこは洞窟だった。
「何だこれは?」
「私の書いた物語の最後の場面だ」
「何?」
「元の世界で書いた小説のラストシーンを魔力を使って再現し、貴様を招き入れたやったのだ。有難く思え?」
「……世界を侵食したのか」
「浸食と言うよりも間借りだな。私の物語を完璧に終わらせるにはこの場でなければならない」
「元の世界って言ったがアンタ……」
「そう、元々私はこの世界で生まれた者では無い。信じられんだろうが、私はお前達とは別の世界から来て転生したものだ」
俺は言葉を失う。こいつも他の世界から来たのか!? というかこいつ俺が同じだと知らないのか……。
だったらここは敢えてそれを言わないのがよさそうだ。同じ状況だと知れば警戒されかねない。ファニーも黒隕剣も同調するように光を発する。
「邪魔者は居ない。さぁ最後の時を迎えようか冒険者よ!」
アーサーとの正真正銘最後の戦いが始まる。俺は相棒たちを構えて力を籠めた。
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「コウ、何処へ行った!?」
「コウ殿!」
残された王座の間で仲間達はコウの姿を探すが何処にもない。突如消えて混乱に陥る中
「お前達……無事か?」
傷だらけのビッドとビルゴ、そしてリムンが王座の間へと辿り着いた。
「ビッドの旦那達!? 無事だったのか!」
「ああ、何とかな。この人のお陰で」
ビッドは横に居るショートカットに金髪の中性的な人物を親指で指す。裾の長い緑色のワンピースに白のサーコートを着ていた。
その人物は場違いな爽やかな笑顔を携えて手を振る。その場にいる皆は呆気に取られて動けない。
「……どちら様ですか?」
姫はその静寂に耐えきれず口を開いく。奇妙な感覚に捉われそう尋ねずには居られなかったのもあった。
「アンタ何者?」
アリスも同じ感覚に捉われ後ずさる。不気味な雰囲気を纏っている中性的な人物は口を開く。
「なんだ冷たいな。血を分けた者同士なのに」
「誰とですか?」
「そうよ……誰とよ!」
「今怯えてる二人と」
姫とアリスは顔を見合わせる。それを見て中性的な人物はくすくすと笑う。よく見れば姫とアリス、そしてこの忠誠的な人物は目が王によく似ていた。
イーリスはそれに気付き驚きを隠せない。何故今こんな事態が起こるのか。そして自分がアリスを初めて見た場面が頭を過ぎる。
黒いローブに身を包んだ絶世の美女、自分に魔術を教えた養母はある日赤ん坊を抱いて魔界の家に戻り言った。”この娘はお前の妹だ。私が教えた全てをお前がこの子に教えなさい。時が来ればお前の役に立つ”と。
イーリスは血の気の引く思いがした。今日この日の為に全てが用意されていたなんて。となるとあの王子は一体何者なのか……いや、もう答えは出ている。あの王子は偽物だ。
だから王はアグニスにあっさり倒されたのかと考える。完全な状態で血を分けた魔族を吸収していたのであれば、コウの成長速度が異常で追い込まれて疲弊していたにしても、アグニスが変身する前の状態での投擲なら避けられなくとも弾けた筈だ。
その全てがあの王子が偽物なら合点がいく。ただの人間を吸収しただけで変身を遂げたのなら片手落ちも甚だしい。強力な血を受け継ぎ血を分けた息子だけでなく、多くの人間を同じように絶望させて生贄にするからこそ強大な力を得られるのだから。
王が変身した後奥の手を中々出さずにいたが、出せなかったのだ。そしてアグニスも変身した後自らの体の動きを確かめていたのはその所為だ。最初の条件が間違っているのだから違和感があって当たり前。
となれば自分すらもこの日この時の為の駒。あの養母は一体何者なのだろうか。今思えば神とも悪魔ともつかない、この世の中に存在することすら不確かなあの女。
コウが持つあの剣からもその匂いはしていたが、まさかと思い一笑に付していた。だがここまで来ればあの女の筋書き通りだったと、コウもその一部であるのは間違いない。
あの女の目的は何だ? 魔族なら上位も上位。魔界の戦力が増えるのは天界に対抗する為歓迎するはずだ。ならばこの先に何がある? 自分の狙いはあわよくば弱った二人の血を吸い取り我がものとしてのし上がるべく静かに時を待っていた。
どうも分からない。魔族に有利になる様な結末に最後成るのか。その役目を自分が担っているのか? 今の状況を考えれば有り得ない。血を吸い取ろうと瞬間確実に死ぬ。
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