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天空城
地上の噂
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宿泊から5日目。これといってやりたいことが見つからず、宿で過ごしていました。日中は庭園を一望できるテラスでお茶を飲み、景色を楽しみ、何もしないでいるのも悪くはなかったです。でも、そろそろ何か活動しないとダメ女になってしまう。
『あら?』
世界新聞を見ていたのですが、気になる記事を見つけてしまいました。
『炎馬王国が中央大陸の統一を果たし、エンテイ帝国として新たな大国が誕生する。…あのエンテイ王子がこんなにも早く中央大陸を制圧するなんて。』
エンテイ王子が最後に私に言った言葉を思い出す。彼は私に執着していた。
『プレイヤーは私だけだから、その力を欲しての執着なのかしら。』
確かに私はレベル1000以上の神プレイヤーだ。私を国に置いておけばほぼ敵なし。最後のプレイヤーが拠点にする国としれれば、世界中の国がエンテイ帝国に平伏す事になる。つまり、エンテイ帝国が世界をとる事になるのだ。
『考えすぎなのかな。』
世界新聞には世界中の国がプレイヤーが突然消えた事に混乱していると載せられている。各地では争いも絶えないようだ。
『もう少し様子を見よう。』
今は動く時じゃない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
宿に引きこもっているのも不健康なので、いい機会なのでギルドでクエストでも頑張ろうと思い立つ。
天空城にはギルドの施設が1つしか存在しない。ギルド【神の剣】はかなり有名なギルドで、多くの優秀な冒険者を排出してきた名門なのだ。
私は地上のギルド【大和撫子】という神プレイヤーが経営するギルドで冒険者をしていたの。そこには日本人プレイヤーが数多くいたし、先輩プレイヤー達が人望の厚い優しい人だったから人がよく集まった。ムードメーカー的な人が面白い企画とか考えてくれて、楽しませてくれたのも人気だった理由かな。あの頃は楽しかった。そのムードメーカーな人は【うわばみ童子】という名前のショタな外見をしたプレイヤーでした。彼はとにかくトラブルメーカーでおバカでした。大和撫子のギルドマスター【YAMATO】さんはうわばみ童子さんとは現実世界で幼馴染みらしく、いつも私達に彼のしたことを謝ってばかりだったな。
ギルドの黒歴史?そんなの沢山あったよ。トラウマものだった。あの、あの恐ろしくもおぞましいS級クエスト!その名も【ゴキリアンの襲来】
あのおバカがどこからか見つけてきたクエスト。
「じゃーん!面白いクエストを見つけてきてあげたゾ☆」
ショタな可愛い外見をフル活用したお茶目な姿に当時の古株達は嫌な予感に身震いしたわ。私もそう。
「ゴキリアン?そんなモンスターいたか?」
YAMATOさんが首を傾げ、古株達も同様に分からなかった。名前の通りならゴキブリのモンスターでも出るのかなって軽い気持ちで考えていた。でも、まさかあんな目に遭うなんて。考えてみれば、うわばみ童子さんが普通のクエストを持ってくる筈がないのに。バカな私も皆も軽い気持ちでクエストをやってしまった。
『いやぁぁぁぁ!!』
目の前のスライム状の卵からカサカサカサカサカサカサと中型犬くらいの大きさのゴキブリが無限に孵化する様を見て叫ばずにいられませんでした。
部屋の奥に大きなお腹を抱えたヒトガタのゴキブリモンスターがいて、ヤツが卵を無限に産むのです。一度に何百も産むのよ?一分後には孵化して私達に襲いかかってきて……うぅ。
「うわばみ童子ィ!!てめぇ、なんってクエストをやらせんじゃあ!!」
「アハハハ☆エイリアンの映画みたいに戦ってみたくてさ。楽しそうかなって☆」
「い、いつかコロス。」
「うぎゃあっっ。服の中に入ってきたッス」
「く、口にアババババッ」
「副ギルマスが大変です!誰か助けてやってよ!」
ボスを倒すまでカオスでした。クエストをクリアした後、誰も冗談も言えず、無言でした。あらゆる意味で燃え尽きたんでしょうね。暫くはカサカサカサと音のする紙の音なんかでも反応してしまう程でした。まあ、そんな感じで私もギルドで楽しく冒険者をやっていたのです。
今回、この天空城のギルドではユナの素性を証さない方向でやっていこうと思っている。と言ってもハイエルフのユナとしては冒険者ランクは最高ランクのSSS。今持っているギルドカードを使えば素性がバレてしまうが、ここで裏技を使ってみたいと思う。
『メニュー』
メニューを開き、アバター設定を表示する。ハイエルフのユナの他にもう1体アバターがある。
『天使族のユエルを選択。』
アバターの切り換えを選択。すると、ハイエルフのユナから純白の大きな翼を生やした12歳程の少女が現れる。長い金のおさげを両サイドで流した可愛らしい天使ユエルだ。
『ユエルのアバターを使うのは久しぶりね。視線とか低いから気を付けないと転びそう。』
ユエルは遊びで作ったアバターだから設定も装備も甘く、レベルも80と弱い。まあ、80もあればBランククエストくらいは楽勝だけどね。
ユエルで冒険者するのは初めてだからプレイヤーだと発覚することはない。地上の事もあるし、天空城でクエストをする間はユエルで活動していこう。
『あら?』
世界新聞を見ていたのですが、気になる記事を見つけてしまいました。
『炎馬王国が中央大陸の統一を果たし、エンテイ帝国として新たな大国が誕生する。…あのエンテイ王子がこんなにも早く中央大陸を制圧するなんて。』
エンテイ王子が最後に私に言った言葉を思い出す。彼は私に執着していた。
『プレイヤーは私だけだから、その力を欲しての執着なのかしら。』
確かに私はレベル1000以上の神プレイヤーだ。私を国に置いておけばほぼ敵なし。最後のプレイヤーが拠点にする国としれれば、世界中の国がエンテイ帝国に平伏す事になる。つまり、エンテイ帝国が世界をとる事になるのだ。
『考えすぎなのかな。』
世界新聞には世界中の国がプレイヤーが突然消えた事に混乱していると載せられている。各地では争いも絶えないようだ。
『もう少し様子を見よう。』
今は動く時じゃない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
宿に引きこもっているのも不健康なので、いい機会なのでギルドでクエストでも頑張ろうと思い立つ。
天空城にはギルドの施設が1つしか存在しない。ギルド【神の剣】はかなり有名なギルドで、多くの優秀な冒険者を排出してきた名門なのだ。
私は地上のギルド【大和撫子】という神プレイヤーが経営するギルドで冒険者をしていたの。そこには日本人プレイヤーが数多くいたし、先輩プレイヤー達が人望の厚い優しい人だったから人がよく集まった。ムードメーカー的な人が面白い企画とか考えてくれて、楽しませてくれたのも人気だった理由かな。あの頃は楽しかった。そのムードメーカーな人は【うわばみ童子】という名前のショタな外見をしたプレイヤーでした。彼はとにかくトラブルメーカーでおバカでした。大和撫子のギルドマスター【YAMATO】さんはうわばみ童子さんとは現実世界で幼馴染みらしく、いつも私達に彼のしたことを謝ってばかりだったな。
ギルドの黒歴史?そんなの沢山あったよ。トラウマものだった。あの、あの恐ろしくもおぞましいS級クエスト!その名も【ゴキリアンの襲来】
あのおバカがどこからか見つけてきたクエスト。
「じゃーん!面白いクエストを見つけてきてあげたゾ☆」
ショタな可愛い外見をフル活用したお茶目な姿に当時の古株達は嫌な予感に身震いしたわ。私もそう。
「ゴキリアン?そんなモンスターいたか?」
YAMATOさんが首を傾げ、古株達も同様に分からなかった。名前の通りならゴキブリのモンスターでも出るのかなって軽い気持ちで考えていた。でも、まさかあんな目に遭うなんて。考えてみれば、うわばみ童子さんが普通のクエストを持ってくる筈がないのに。バカな私も皆も軽い気持ちでクエストをやってしまった。
『いやぁぁぁぁ!!』
目の前のスライム状の卵からカサカサカサカサカサカサと中型犬くらいの大きさのゴキブリが無限に孵化する様を見て叫ばずにいられませんでした。
部屋の奥に大きなお腹を抱えたヒトガタのゴキブリモンスターがいて、ヤツが卵を無限に産むのです。一度に何百も産むのよ?一分後には孵化して私達に襲いかかってきて……うぅ。
「うわばみ童子ィ!!てめぇ、なんってクエストをやらせんじゃあ!!」
「アハハハ☆エイリアンの映画みたいに戦ってみたくてさ。楽しそうかなって☆」
「い、いつかコロス。」
「うぎゃあっっ。服の中に入ってきたッス」
「く、口にアババババッ」
「副ギルマスが大変です!誰か助けてやってよ!」
ボスを倒すまでカオスでした。クエストをクリアした後、誰も冗談も言えず、無言でした。あらゆる意味で燃え尽きたんでしょうね。暫くはカサカサカサと音のする紙の音なんかでも反応してしまう程でした。まあ、そんな感じで私もギルドで楽しく冒険者をやっていたのです。
今回、この天空城のギルドではユナの素性を証さない方向でやっていこうと思っている。と言ってもハイエルフのユナとしては冒険者ランクは最高ランクのSSS。今持っているギルドカードを使えば素性がバレてしまうが、ここで裏技を使ってみたいと思う。
『メニュー』
メニューを開き、アバター設定を表示する。ハイエルフのユナの他にもう1体アバターがある。
『天使族のユエルを選択。』
アバターの切り換えを選択。すると、ハイエルフのユナから純白の大きな翼を生やした12歳程の少女が現れる。長い金のおさげを両サイドで流した可愛らしい天使ユエルだ。
『ユエルのアバターを使うのは久しぶりね。視線とか低いから気を付けないと転びそう。』
ユエルは遊びで作ったアバターだから設定も装備も甘く、レベルも80と弱い。まあ、80もあればBランククエストくらいは楽勝だけどね。
ユエルで冒険者するのは初めてだからプレイヤーだと発覚することはない。地上の事もあるし、天空城でクエストをする間はユエルで活動していこう。
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