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悪友オクタヴィア
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神聖帝国南部のバルマ峠。
「通行料を払ってくれよ、傭兵の旦那」
「高いなもう少しまけてくれよ、前はこんなに高くなかっただろ?」
……峠の検問所を守るゴブリンの衛兵とアンリが押し問答をしている。彼は神聖帝国南部での仕事を終え、カストル王国に帰還する途中のようだ。
そのアンリの隣にはハルバードを持った黒髪の長身美女が立っている。彼女が着込む鎖帷子には魔術耐性と防弾性を高める術式が刻み込まれていた。
(銃と銃剣の発達したアルタイル大陸ではハルバードは時代遅れの武器とみなされているが未だに愛用する者も数多くいる)
「なあアンリ、ここを迂回する時間や旅費を考えたら、通行料払っても損はないんじゃない?」
ハルバードを携えた長身の黒髪の女オクタヴィアがアンリに呟く。
「そちらの綺麗なお姉さんのいうとおりですぜ旦那」
「でもなあ、もう少し安くならないか」
「無理だよ旦那、峠道の建設や管理にだってかなり金がかかるんだ……この峠を抜ければカストル国境はすぐですぜ?」
……アンリは検問所に目をやる……彼のいる場所からはハッキリと確認できないが、幾人かがこちらの様子を伺っているようだ。さらに検問所に併設された2基の木製矢倉の上にもクロスボウや銃を装備したゴブリンの衛兵達の姿が確認できた。
「わかった、私がアンリの分の半分をだすからそれでいいじゃないか」
「いやオクタヴィア、そういう問題じゃないんだ、ここで払ったら負けた気がするんだよ」
……このバルマ峠を管理する「峠の子爵」という男は金にがめつく酒好きと女好きで有名なあまり評判の良くない人物であった。
……ただ、東大陸の巨大帝国オルスがアルタイル大陸東部のエルフ国家エスタアールヴへ侵攻した際、救援としてエスタアールヴへ赴き、世界最強の呼び声高いオルス騎兵相手に奮戦したりと、武人としては決して無能な人物ではないのだが。
「別に私が出すんだからアンリは損はしてないじゃんか」
「お嬢さんシェイマでしょ?んで、喋りを聞くにラディナ系だ」
とゴブリンの衛兵。
「そうだけど」
「ラディナの方には色々お世話になってるから
ラディナの方が来たらサービスしとけって、ウチのボスから言われてるんすよ
お嬢さんは250帝国スケールでいいですよ
二人で550ってことでどうですか」
「いや、やめとくよ」
アンリはゴブリンの衛兵にそう答えた。
「旦那、本当にいいんすか?引き返してこの山脈を迂回するのは時間かかりますぜぇ」
アンリはオクタヴィアの腕を引き検問所を離れ、来た道を戻っていく。
「どうすんだよアンリ、来た道を戻って迂回するの?」
アンリはバックパックから古びた地図を取り出す。
「ここから少し戻ったところに廃棄された軍道があるんだ」
「……この道廃棄されてから200年ちかく経ってるんじゃないの?」
「この山脈を南や北に大きく迂回するよりも距離は近いはずさ
昔の人間が軍道を造るってことは山越ができないわけじゃない筈だ」
「大丈夫かなぁ」
・・・・・・・・
アンリ達が帝国南部へ発つ数日前。
「……ヤバい奴らに目をつけられちまった……」
酒場での一件の後、アンリは自宅で体を休めようと
自宅のドアを開けようとするが……
「誰かの気配が……」
……アンリはおそるおそるドアを開く。
「女の匂いだ……」
彼の部屋に広がる鼻孔を刺激する甘い女の汗のにおい
……脱ぎ散らかされた女の衣服が部屋に広がってる。
……長身の美女がアンリのベッドの上で汗の滴る火照った体を冷ましていた。
女は汗に濡れ乱れたセミロングの黒髪をかきあげ、濡れたうなじを冷やす。
呼吸のたびに肩が上下し豊かで形のよい胸が揺れ、大粒の汗が胸元を流れ落ちる。
彼女は太ももに着けた黒いガーターリング以外何も身体にまとわず、汗に濡れた美しい肢体をさらけだしていた。
「……おい、オクタヴィア
オレの部屋で勝手に何やってんだよ」
「や、やあアンリ」
突然の住人の帰還にオクタヴィアと呼ばれた黒髪の女は動揺したのか、とっさに散乱した衣服を掴んで体を隠す。
「すっ、少し、休んでただけなんだ」
「……なあオクタヴィア、それお前の服じゃないよな?」
部屋に散らばる女物の衣服は一人分ではなく二人分だった……そして、アンリのベッドの上に人一人分の不自然なふくらみがあった。
「ち、ちょっと、アンリ待って!」
オクタヴィアの制止を無視してアンリが布団をめくると……ベッドの上で栗毛の女が寝息をたてていた。
「おい」
「いっ、いいじゃんか友達だろ」
「……オレが留守にしてる間に人の部屋に女を連れ込まないでくれよ……」
アンリは呆れているようにも安心しているようにも見える態度で椅子に腰をおろした。
「?アンリどうしたの疲れた顔して?」
「まあちょっと、色々あってなあ……そういやオクタヴィア、しばらく姿を見かけなかったけど仕事だったのか?手伝って欲しい仕事があったんだけどな」
「そ、そうそう用事があって」
「なあオクタヴィア、明日、仕事で神聖帝国南部に行かなきゃならないんだ、よければ一緒に来てくれないか?」
「通行料を払ってくれよ、傭兵の旦那」
「高いなもう少しまけてくれよ、前はこんなに高くなかっただろ?」
……峠の検問所を守るゴブリンの衛兵とアンリが押し問答をしている。彼は神聖帝国南部での仕事を終え、カストル王国に帰還する途中のようだ。
そのアンリの隣にはハルバードを持った黒髪の長身美女が立っている。彼女が着込む鎖帷子には魔術耐性と防弾性を高める術式が刻み込まれていた。
(銃と銃剣の発達したアルタイル大陸ではハルバードは時代遅れの武器とみなされているが未だに愛用する者も数多くいる)
「なあアンリ、ここを迂回する時間や旅費を考えたら、通行料払っても損はないんじゃない?」
ハルバードを携えた長身の黒髪の女オクタヴィアがアンリに呟く。
「そちらの綺麗なお姉さんのいうとおりですぜ旦那」
「でもなあ、もう少し安くならないか」
「無理だよ旦那、峠道の建設や管理にだってかなり金がかかるんだ……この峠を抜ければカストル国境はすぐですぜ?」
……アンリは検問所に目をやる……彼のいる場所からはハッキリと確認できないが、幾人かがこちらの様子を伺っているようだ。さらに検問所に併設された2基の木製矢倉の上にもクロスボウや銃を装備したゴブリンの衛兵達の姿が確認できた。
「わかった、私がアンリの分の半分をだすからそれでいいじゃないか」
「いやオクタヴィア、そういう問題じゃないんだ、ここで払ったら負けた気がするんだよ」
……このバルマ峠を管理する「峠の子爵」という男は金にがめつく酒好きと女好きで有名なあまり評判の良くない人物であった。
……ただ、東大陸の巨大帝国オルスがアルタイル大陸東部のエルフ国家エスタアールヴへ侵攻した際、救援としてエスタアールヴへ赴き、世界最強の呼び声高いオルス騎兵相手に奮戦したりと、武人としては決して無能な人物ではないのだが。
「別に私が出すんだからアンリは損はしてないじゃんか」
「お嬢さんシェイマでしょ?んで、喋りを聞くにラディナ系だ」
とゴブリンの衛兵。
「そうだけど」
「ラディナの方には色々お世話になってるから
ラディナの方が来たらサービスしとけって、ウチのボスから言われてるんすよ
お嬢さんは250帝国スケールでいいですよ
二人で550ってことでどうですか」
「いや、やめとくよ」
アンリはゴブリンの衛兵にそう答えた。
「旦那、本当にいいんすか?引き返してこの山脈を迂回するのは時間かかりますぜぇ」
アンリはオクタヴィアの腕を引き検問所を離れ、来た道を戻っていく。
「どうすんだよアンリ、来た道を戻って迂回するの?」
アンリはバックパックから古びた地図を取り出す。
「ここから少し戻ったところに廃棄された軍道があるんだ」
「……この道廃棄されてから200年ちかく経ってるんじゃないの?」
「この山脈を南や北に大きく迂回するよりも距離は近いはずさ
昔の人間が軍道を造るってことは山越ができないわけじゃない筈だ」
「大丈夫かなぁ」
・・・・・・・・
アンリ達が帝国南部へ発つ数日前。
「……ヤバい奴らに目をつけられちまった……」
酒場での一件の後、アンリは自宅で体を休めようと
自宅のドアを開けようとするが……
「誰かの気配が……」
……アンリはおそるおそるドアを開く。
「女の匂いだ……」
彼の部屋に広がる鼻孔を刺激する甘い女の汗のにおい
……脱ぎ散らかされた女の衣服が部屋に広がってる。
……長身の美女がアンリのベッドの上で汗の滴る火照った体を冷ましていた。
女は汗に濡れ乱れたセミロングの黒髪をかきあげ、濡れたうなじを冷やす。
呼吸のたびに肩が上下し豊かで形のよい胸が揺れ、大粒の汗が胸元を流れ落ちる。
彼女は太ももに着けた黒いガーターリング以外何も身体にまとわず、汗に濡れた美しい肢体をさらけだしていた。
「……おい、オクタヴィア
オレの部屋で勝手に何やってんだよ」
「や、やあアンリ」
突然の住人の帰還にオクタヴィアと呼ばれた黒髪の女は動揺したのか、とっさに散乱した衣服を掴んで体を隠す。
「すっ、少し、休んでただけなんだ」
「……なあオクタヴィア、それお前の服じゃないよな?」
部屋に散らばる女物の衣服は一人分ではなく二人分だった……そして、アンリのベッドの上に人一人分の不自然なふくらみがあった。
「ち、ちょっと、アンリ待って!」
オクタヴィアの制止を無視してアンリが布団をめくると……ベッドの上で栗毛の女が寝息をたてていた。
「おい」
「いっ、いいじゃんか友達だろ」
「……オレが留守にしてる間に人の部屋に女を連れ込まないでくれよ……」
アンリは呆れているようにも安心しているようにも見える態度で椅子に腰をおろした。
「?アンリどうしたの疲れた顔して?」
「まあちょっと、色々あってなあ……そういやオクタヴィア、しばらく姿を見かけなかったけど仕事だったのか?手伝って欲しい仕事があったんだけどな」
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