第二側妃様付きの侍女は嘘を見抜く~転生した元プロファイラーは行動心理学でチートしながら悪を暴く

きのと

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第9話 謎の名簿

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誰か来た?

「こっちへ」

中隊長に腕を引っ張られる。
クローゼットの陰に二人で身をひそめる。
ドアの前で足音が停まった。
ガチャガチャとドアノブを回そうとしているらしい。
しかし、キャッキャとはしゃぐ侍女たちの声が聞こえて、足音の主は部屋に入るのをあきらめ、立ち去っていった。

隠れられるスペースが狭かったため、中隊長と私はぴったりと密着していた。
ほぼ抱きしめられている状態で、息がかかりそうなほど顔がちかい。

「あの、中隊長様?」
「あ、ああ、すまない」

彼はさっと体を離した。


執務室に戻ってその封筒をよく調べることになった。
部下のラウルも加わり、改めて名簿を検証する。
ざっと20名あまり、国政の要職についている政治家や補佐する政務官と秘書、また宮殿の使用人や鉱山の監督責任者、軍人などもいる。

「この中で私が知っているのはキーンという料理人ですね。後宮の厨房にわりと最近はいった若い男性です。あと、中隊長様の部下のクルースさんという方はお目にかかったことがあります。この二人に共通しているのは、カナナラ王国の訛りがあることです」

「なんだって?」

カナナラ王国と我がアンバー王国は、もともとはミネルヴァ王国という一つの国だった。
ソリアナ共和国、クルージュ王国という敵対する二つの大国に挟まれた小国で、両国の機嫌を取りつつ、かろうじて平和を保ってきた。
しかし100年ほど前、大国間の緊張した関係が崩れ、ソリアナ共和国がミネルヴァ王国の東側に侵攻を開始した。危機をもったクレージュ王国は西側を取り込んだ。
外交努力により、戦争になることは回避されたが、双方とも撤退の意思はなく、ミネルヴァ王国は分断を余儀なくされた。
中央に国境線がひかれ、数年ののち、東側はカナナラ王国、西側はアンバー王国として独立した。国交は断絶しており、関係は悪化、国境付近では諍いが絶えない。
国境くにざかいにあるブランカ山の領有権を双方が主張していたが、最近、良質な金鉱脈が見つかったことで、争いはさらに激化してきた。
ハワード中隊長が率いる第七中隊も暴動の鎮圧のために何度か出撃していると聞いている。

アンバー王国はブランカ山以外にも、銀や宝石が採掘できる山がいくつもあり、鉱山資源にはとても恵まれている。また、平地も多く水も豊かなため、農耕や酪農も盛んだ。
海に接しているので海産物も獲れるし、大きな港もあるので他の大陸との貿易も活発に行われている。人々の暮らしはとても豊かだ。

逆に、内陸国で国土のほとんどが高地であるカナナラ国は面積のわりに人の住める土地は少ない。自然環境も厳しく、土地も痩せているため、作物があまり実らず、常に食糧が不足していて国民たちは貧しい暮らしを強いられているという。

そのため、アンバーとカナナラを統一し、再びミネルヴァ王国に戻って、アンバーの資源を分け与えるべきだという意見を持つ人も少ないが存在している。
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