どうすれば自由気侭に生きれるのだろう

黒梟

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 自分が望まれた子ではないことは、使用人達の会話から理解できていた。
 それに加えて、親と呼ばれる人達や、兄妹と呼ばれる人達とも顔を合わせた覚えもない。

 私リリム・モーリスは、公爵家当主であり、優秀な外交官である父グラン・モーリスと、常に父に付いて一緒に仕事をこなす母メイリー・モーリスの、5番目の子としてこの世に生を受けた。
 ただ、2人にとって私の存在は、思い出したくもない事そのものだとか。

 3歳にして達観してしまっていた私にとって、直ぐにでも家を出ていきたい気持ちはあったものの、いかんせん其処は3歳児。どう頑張ってもこのままでは野垂れ死ぬのがわかってしまう。

 そこで私は考えた。

 知識と力を付けたら良いんじゃないか、と。

 しかし此処は、本宅ではなく私を隔離する為の別宅。
 それでも、噂好きの使用人が話すには、家庭教師という人が居るらしい。
 兄達には付いているのだとか。

 と言うわけで、この別宅を管理している執事さんに頼んでみた。
「まだ習うには早いのでは?」と言われたが、普段から小難しい本を大量に
読んでいるのを知っているせいか、手配してくれた。

 普通は親がするものだって?

 大丈夫、私の存在目に入れたくないというか、消したいらしいから。

 で、付けられたのは、マナー講師、家庭教師、剣術などを教えてくれる騎士団上がりの人。
 全員この執事さんの知り合いなんだって。
 執事のバーナードさんは、元々騎士団の中でも頭脳、力量共に優れた人だったらしい。
 先代、お祖父様の縁で、公爵家に雇われたんだけど、本宅の古株とは折り合いが悪かった。で、私の世話にまわされたんだとか。
 「辞めてもよかったのですが、ちょっとした意地がありまして。」と、笑顔で説明してくれた。

 この時は、これから先バーナードさんに1番お世話になるとは思わなかった。

 2番目と言うか、生まれた時からお世話になっているのは、乳母のナタリーさんなんだけれども。







※※※※※※

 執事バーナード視点


 私執事のバーナードと申します。
先代モーリス公爵様に引き抜かれ、騎士団員から執事に転職いたしました。

 私としては素性が公になるのが好ましくなかったので、有難い申し出でしたので引き受けることに致しました。
 まあ公爵様はわかっておいでのようでしたが。

 書類仕事や公爵家の事など、覚える事は多々ありましたが何ら問題なく1ヶ月という異例の速さで修得致しました。

 まあ、そこで気に入らないと思う方も出てくるわけでして、その者達をアゴで使うのが私の細やかな楽しみとなっておりました。

 しばらく経ったある日、先代様が公爵位を御子息に譲られる際、私は先代様に付いて領地の方に向かう事になりました。

 領地経営は主に先代様がされておられ、私はそのお手伝いをさせていただいておりましたが、王都の使用人の方々は頭が緩いらしく、当主不在をいい事にやりたい放題。
 で、見かねた先代様が私を王都の屋敷に配属し、現当主様の御子息御令嬢の教育及び使用人の教育を任されることとなりました。

 4人の御子様方は性格、気性も違うので家庭教師選びに苦労しましたが、将来王宮で要職に就けるくらいには成長なさいました。
 勿論御令嬢にも同じ教育を受けていただきましたよ?
 馬鹿では困りますからね?
唯一違う点があるとすれば、御子息には剣術を、御令嬢には護身術をお教えした位でしょうか。

 そうそう私の妻ですが居ますよ?
ちゃんと。
 
 リリム様の乳母のナタリーが私の妻になります。
 私と同じ元騎士団員で、下位貴族の御令嬢でしたので公爵様に引き抜かれる際ちょっと強引に手に入れました。

 子供もおりますね。幼少期は此方で育てましたが、10を過ぎた頃に特殊訓練を受けさせるのに此方では無理がありましたので私の実家の方に送りましたが。

 流石に妻には泣かれましたね。ですので2人目は女子を産んでもらいました。
 そうすれば向こうに渡さずに済みますからね。少々我が家は厄介なのです。

 ですが、現公爵夫妻には感謝しておりますよ?いえ本当に。
 この時期にリリム様を産んでいただいて。そして、子育ての権限を全て私に託していただいて。
 
 これでリリム様を心置き無く彼の方へ差し出すことが出来ますから。


※※※※※※

リリム祖父前公爵視点

 やれやれ、我が子ながら嘆かわしい。外交で向かった先で薬を盛られてしまうなど緊張感が足りんのではないか。
 それに生まれて来た子を自分の子では無いなどと言いよった。愚かにも程がある。

 4番目の孫は今8歳だったか。上の3人に関してはもう教育は終わっているとバーナードが言っておったな。
 今は王都の教育機関に行かせているから、使用人共から変な知識は植え付けられんだろう。寮にも入れておるしな。
 あれらの休みの日には、息子夫婦にも帰ってくるよう伝えてある。「そんな時くらい子供と接する様に」と。

 そんな時にできた子だ。疎むのは分かるが、どう見てもモーリス家の血筋ではないか。何をそんなに邪険に扱うのかわからんな。それとも、夫婦仲が破綻しておったのか。

 もう時期4番目の孫も教育機関に通うために寮に入る。その間の邸の事はバーナードに任せようと思っていたが、生まれ落ちた子を任せる方が良さそうだな。
 は明らかに帝国皇族に連なる者。その者がこちらの言う事を聞くと言うことはそれなりに利がある為と踏んでいる。

 リリムが生まれて分かった。はリリムを欲している。ならばにリリムの養育を任すのが無難であろう。
わざわざリリムの出産に合わせて妻を妊娠させ出産させたのだから。

 これが吉と出るか凶と出るか、まあ息子夫婦が与えん愛情はわしが与えるとしよう。
 上4人はわしに懐いてくれんかったからな、バーナードにはよく言って聞かせよう。


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