どうすれば自由気侭に生きれるのだろう

黒梟

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 思ったより天気の悪い今日。当たりの桐の箱を持っていて欲しいと思うのは私だけではないと思いたい。

 時刻は夕方、夜の帳が下りる始める頃依頼者の屋敷に向かう。
 勿論渡された薬も飲むのも忘れない。準備は万端である。

 屋敷に着くと部屋に案内され詳細を聞く。
 食事は床に座って行う形なので全体が見渡せる所で舞う事になる。
 衣裳はこちらの様したものを着てもらいたい、と言われ契約に無いと跳ね除ける。
 お茶を用意します。と言われ軽食と共に持ってこられるも、口は付けない。
 
 何が入っているかわからない物に口にする気は無い。

 時間になったら呼びに来ると言うので、他に注意点は無いか確認するも依頼主が舞終われば声を掛けられます。と使用人は去って行った。

 ・・・・・報告、連絡、相談。
 今更ながらに大事よね。


 部屋の外が賑やかになってきたので、聞き耳を立てる。

「いやー今日はあの施設で舞を披露している者が来てくれるそうですよ?楽しみですね」
「そう言えば、珍しい物が手に入ったそうで、今日はそれを見せびらかしたいから我々を呼んだのだとか?」
「聞きましたか?アーバイン国の第二王子を呼ばれたそうで。
 何を考えているのやら」
「帝国との婚約解消の件で何かあったのでしょうか?」
「国内情勢危ないらしいじゃ無いですか?どうなるか見物ですね」

 言いたい事みんな言うね。あながち間違いでは無いから問題なんだけど。でも、

 第二王子達、餌で釣られてる?


 宴も終盤に差し掛かる夜半、やっと呼ばれた。

 食べたり飲んだフリして寝ました。それはもうぐっすりと。
 影の執事さんが起こしてくれて、待ちわびました。いう表情作りました。

 寝起きじゃなくて本当に良かった。影の方ありがとう。頼んで良かったです。



 会場ではもう既にお酒が回っている方の方が多かった。私の出番要らないよね?そんな感じ。

 でも、前金頂いているからキッチリ仕事こなしますよ。

 リヴァル様から頂いた扇で柔らかに、優雅に舞う。
 音も立てずに跳躍し着地する。服に縫い付けられた鈴が時折リーンと鳴るのが私の姿をより幻想的に魅せているのだろう。話をやめ手を止め皆が私を見ている。それだけで興奮してくる。
 
 リヴァル様が居てくれたらもっと良かったのに。

 舞終わってそう思った。拍手の中主催者の所に向かう。お礼を述べお酒を注ぐ。

 上機嫌の主催者が、桐の箱を取り出した。それと同時に、会場が騒めき、武装した私兵が部屋に入り込んでくる。
 嫌らしい顔で、第二王子の方を向くと桐の箱をこれみよがしに見せつける。

「殿下、殿下が欲していたのはこの桐の箱ではありませんか?
 見事ですよねー、いやー流石アーバインの技術。うちにも欲しいですね。
 ああ、でもこの箱は渡せませんよ?私の物ですから、ですが、殿下達はしつこそうなので此処で、消えてもらいましょうか」

 「なっ、」「一体どういう、」「片棒を担がされたのか?」色んな声が飛び交う中、身体が自由に動かない第二王子が隣の人間を睨みつけた。

「おお、怖い、殿下そんな怖い顔をされても何も出ませんよ?そうそう、そちらの2人も一緒ですから寂しく無いでしょう?クク、残念でしたね、殿下」

 その間に私はスッと、横に居る主催者から箱を掠め取る。目にも止まらぬ早業で胸元に。
 気づいた時にはもう遅い。主催者が合図を出す前に異変に気付き私を問いただそうと手を伸ばしてきたので、蹴り落とした。
 
 触りたくなかったのと、扇を汚したく無かったの。止めに言う言葉が、えっと。

「汚い手で触らないでください。腐ります」

 影の人に必ず言う様に、と念を推された。触っただけで手が腐るなんてどんな能力持っているんだろう?

「な・・・このガキを捕まえろ!わしが教育してくれるわ!」

 はい、いりませんね。あなたに教育される位ならリヴァル様やバーナードさん、お祖父様にして頂く方が有意義です。レイは・・・・何かが違うきがしますね。

 襲って来る私兵を殺さないように注意しながら倒して行く。
 吐物や血が散乱しても良いですよね?この人の屋敷なら大丈夫ですね。うん、そう言う事にしておこう。

 はあ、にしても弱い。盗賊相手にしている方がスカッとする。

 全員床に沈めると、主催者の所に行き桐の箱について聞き出す。
 盗んだ者から買ったのならその情報が欲しいし、餌にしているのなら渡した人物が知りたい。

「さて、」
「知らないわしは知らない。第二王子を始末するのを手伝えば、アーバインで爵位を貰えると言われたから協力しただけだ」
「へぇ、誰に?」
「あ、あそこ。第二王子の隣に座っている奴だ。がっ」

 うわ、影えげつな。首の骨折れる勢いだったよ今の。ま、いいか。これ以上喋られると私の手・・・ではないな、足が出そう。
 じゃあ、と桐の箱を取り出し、裏切り者のところまで向かう。逃げられないように足痛めつけてたし、でも何だろう、臭い。
 ・・・股濡れてる。近寄りたくないな。

「ねぇ、この箱誰に渡されたの?」

「し、知らない」

「知らない事ないよね?この箱がどんな物か知っていてあの人に渡したんでしょ?」

 あくまでも笑顔。これ大事。

「ち、違う。部屋、そう私の部屋に置いてあったんだ、手紙と一緒に」

 うん、物凄く嘘くさい。

「ふーん、でもその部屋って、アーバイン国の家の部屋、なんだよね?」

「ああ、そうだ」

「おかしくない?何で国王に献上しなかったの?」

「そ、それは、・・・・貴様にはかんけいないだろう!」

「ん?お金貰って依頼受けてるから関係あるよ。でもそうか、箱だけ一旦アーバインに持ち帰ったのか」

「な、貴様何を言っている、その箱の中にはちゃんと宝石も入っている」

「ふーん、そう?じゃああなたに中身だけ返す。私が欲しいのはこの箱だけだから。えっと、ここをこうして、こうで・・・・」

 カチッ

 ちらっと王子達を見ると離れた場所に居たので、大丈夫。と思い裏切り者に中身をぶち撒けた。

 臭いから近寄りたく無いんだけど。

「はい、死なないといいね」

 そう、箱の中に入っていたのは劇薬。触っただけで皮膚が爛れる物。
 その情報は影から教えてもらった。絶対に素手で触ってはいけませんと。
 そして、この劇薬、取れる場所が決まっていて、どう考えてもアーバインのお隣の国が絡んでいる。

 うん、この事に関しては王族、外交官頑張れ。

 箱の中身を確認しようとすると、影に箱を取り上げられ、中を綺麗に洗浄される。

 何処から水出したのかな?

 どうぞ、と渡され中を確認。スッと指でなぞれば、模様が確認出来た。
 そう、もう一つの仕掛けがこれ。
こっちも肉眼では確認出来ないけど、模様が彫られている。それは宝石に魔法を当てた時に見た模様。
 それで本物か確認できるのだ。一応レーシェにも確認して貰おうと、胸にしまう。

 治安部隊が来る前に去ろうと踵を返せば呼び止められた。

「ま、待て。それを渡して欲しい。頼む」

 王子すごい、あれだけ薬盛られて動けるのか。

「ごめんね?一旦レーシェにも確認してもらいたいし、君達が道中襲われると後味悪いんだ。
 あ、安心して、その筋から宝石と一緒に返すから」

「宝石、宝石は売られた筈だ。手に入れられるはずがない!」

 凄いな、あれ毒じゃないのかな?普通に喋ってるし、皮膚溶けてない。

「ああ、そこはあなたが知る必要性ない事ですね。第一あなたに決めつけられるのはかなり不本意です」

 真顔で睨みつければ、ひぃぃと泡吹いて倒れた。失礼な。

 その者は帝国で預かります。と手早く布に包み連れて行ってしまった。
 見事な手際にみな唖然とする。

「じゃあ道中気を付けて帰ってくださいね。では」

 いむを言わさずその場から消え、レーシェの元に向かう。

 喜んでくれたら良いけど、そして本物であって。


 夜中、叩き起こされたレーシェは不機嫌だったけど、桐の箱をみて大泣きしながら喜んだのは言うまでもなかった。

 これで16迄に帰れる。

  

※※※※※
 
 第二王子視点

 ルーダン静養都市に向かう、道中危険だと聞いていたが、冒険者達のお陰で無事に辿り着けた。

 本来私が動くべきではないのだろうが、レーシェが気に病んでいると聞けば、安心させてやりたかった。

 兄上の側近はできる人で、滅多なことでは動揺しない。私の側近は少しばかり脳筋寄りだが、信頼は出来る。

 宝石の入った箱を持っている者から食事に誘われ、了承し気を抜かないように解毒剤も仕込んでいく。

 施設内では無く、その者が所有する屋敷で行われるそれに、護衛は連れて行けず。外で待機するように伝えた。

 商人達との会食ともとれるこの場で、出された料理にもあまり手を付けず、いつ話を切り出そうかと機会を伺う。

 問題が起きたのは、料理に手を付けていた、私の側近が手に痺れを感じフォークを落としたのだ。
 音は立たなかったので周りには気づかれなかったが、様子がおかしい。
 兄上の側近も違和感を覚え、私に注意を促してきたが、私の身体も痺れが出始め思う様に動かない。
 思わず舌打ちをしてしまう。

 主催者が呼んだ舞子が踊りを披露する。兄上の側近が驚いた様な顔をする。
?知り合いか?という視線を向けると弱々しく首を振られる。

 舞が終わり主催者が私に桐の箱を見せつけてくる。
 間違いない、あれだ。何度も手にしてレーシェに直接渡した物。絶対に返して貰う。
 隣の裏切り者にも制裁を加えなければ気が済まない。よくも私を嵌めてくれたな。

 身構えることも出来ず、睨みつけていると舞子が動いた。
 隙のない動きで次々と私兵を倒していく様は見惚れる程。だが容赦が無い。

 全員を床に沈めると、此方に向かって来た。身体が動かず頭の中に警告が鳴る、まずい、と。
 いきなり身体が後ろに飛ばされた。後退しながら、兄上の側近が私を守ってくれている。
 巻き込んでしまったのは此方なのに、本当に申し訳ない。情けなくなる。

 すると、舞子は裏切り者と話をし始めた。どこで箱を手に入れたのかと。
 受け答えを聞く限り、裏切り者はやはり嘘をついている。舞子の言うことは最もだった。何も間違ったことは言っていない。
 その上で宝石の話になった。こいつは何処まで知っている?
 その上で箱のカラクリを解き、中身を裏切り者の上に撒いた。
 
 入っていたのは粉。その時の舞子の表情が誰かに似ていた。

 それより、舞子の後ろに急に現れた男はもっと危険だ。気配が無い。そこに居るはずなのに。視認出来るのに、だ。

 だが、箱、あれはあれだけは返してもらわねば。
 動かない身体を動かし懇願する、あれはレーシェから返して貰うもの。
 そういう想いで訴えれば、レーシェに確認してもらうと言う。私たちのことを心配しているのはついでだろう。たぶん。

 レーシェが頼んだ人物なら安心だな。問題ないか、と安心していると宝石の話になった。
 そう、箱の中には入っていなかった。

 途端に舞子の様子が変わった。誰かに似ている、あの迫力・・・・・そう、「父上」隣から声が聞こえた。


 モーリス公爵。外交官である彼に似ている、隣に居る彼以上に。



 
 
 
 



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