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しおりを挟むデビュタントのパーティの為に淑女教育をしているけどなんだかしんどい。
妙に身体が疲れやすかったり、眠気に襲われる。吐き気や胃のムカムカは無い。食欲は多いくらいで、ドレスが入らなくなるから太ってはいけないと言われた。
たまにペレ爺やがリーさん来てお茶をする。落ち着くのかそのまま寝てしまうことが多く、ちゃんとお相手出来ない。
それでも何も言わず、身体を大事にしてください、とだけ残していつも帰っていく。
ドレスが届いて試着した時、コルセットはせずゆったりとしたものだったのでとても楽だった。
リーさんに見て貰えば、少しだけ手直しが必要と、デザイナーを呼んで、手を加えてもらった。
完成したドレスは真っ白で、胸元から裾にかけて色とりどりの刺繍がなされている。
コルセットをしなくてもスタイルを良く見せてくれて、私にはもったいないくらいの仕上がりになっている。
ペレ爺、リーさん、お祖父様、バーナードさんも文句なしで似合いますよと言ってくれた。
リヴァル様にも見てもらいたいと思ったのは内緒だ。
未だに身体の調子は良くないが、デビュタントの日がやって来てしまった。
ギリギリまで身体を休め用意する。お化粧も薄くして貰う。アクセサリーはリヴァル様から頂いたブレスレットのみ。
白のドレスに白の手袋。それに白銀のブレスレット。髪も緩めにカールし、後ろに流す感じにされた。
何処からどう見てもお嬢様で、冒険者絵をしている風には見えない。
挨拶は国王陛下にだけと聞いているので、他の方と話す必要もないだろう。
扉から名前を呼ばれて入場するわけでも無いから声をかけられることも無い。強いて言うならペレ爺とリーさんに挨拶してお礼をするくらいだろう。お祖父様もそれで良いと言っていたから。
身体が本調子ではないから挨拶が済めば下がって良いとも言われている。あれだけダンスを練習したのに?と言えばでは頑張りますか?と言われ、遠慮します。と返しておいた。絶対お祖父様の足を踏んでしまいそう。そして大声で叫ばれる。
注目されるのは勘弁したい。
一階に部屋を移していたので、そのまま玄関でお祖父様を待つ。その間にナタリーさんに何度も変なところはないか見てもらう。
最終的にルーネストが呆れた声で、全く問題ないから気にせず行ってこい、と激励?してくれた。
ルーはナタリーさんの実家の男爵家を継ぐのに教育機関に通っているから、最近滅多に顔を合わさない。
それでも、歳の近い異性に褒められるのは嬉しく、笑顔でありがとうと返しておいた。
そんなルーもキッチリした装いに身を包み、陰湿に思われがちな黒の髪がとても艶めいて見え、女の子にモテるんだろうなと勝手に思ってしまった。
そんな私の心を読んだのか、惚れた女は無理にでもものにするよ。と黒い笑みで言われナタリーさんと怖いねと囁き合った。
お祖父様が玄関に来られると、先にルーネストが王宮に行く。それを見送り、バーナードさんから王宮での注意事項を聞く。
曰く、お祖父様から離れない事。それさえ守れば後はどうにでもなるのだとか。
貴族の付き合いはした事が無いので、口を開かず笑顔でスルーしてください。お祖父様を盾にして大丈夫です。とそれはそれで難しい事を言われた。
そんな話をしていると玄関のドアが開かれ、お迎えの方が来られた。
お祖父様と馬車に乗り込み王宮に向かう。この馬車がまた乗り心地が良く。振動も感じないし、お尻も痛く無い。
うちの馬車は乗り心地最高ですね。と言えば、ペレの奴が気を利かせて王族のを貸してくれたんじゃ。
・・・・・・えっ?それっていいの?
優しく頭を撫でるお祖父様に何も言えず、そのまま甘えて王宮まで行く。
流石に注目されないだろうかと不安に思っていると、違う馬車止めに行きそこで下ろしてもらえた。
会場に入るのもパーティが始まってからで良いとのことだったので、用意された控え室でゆっくりさせて貰う事にした。
賑やかな声が聞こえ始め、束の間静かになり今度は音楽が流れ始める。
うとうとしていた私をお祖父様が優しく起こし、裏庭の方へと移動する。
護衛として何人か付いて来てくれているので襲われることは無いと思う。
国王陛下いる場所から少し離れた処の窓が開けられておりそこから会場に入る。
自然と溶け込む様に装い、王族のいる玉座の方へと近づいていく。
何人か私を見て周りの人と何かを話しているけど、関わる気は無いし、私には関係の無い事と放っておいた。
お祖父様と共に国王陛下に挨拶をする。バーナードさんやルーに叩き込まれたカーテシーを披露する。感嘆の声が聞こえるけど、此方はボロを出さないように必死だ。
陛下からはおめでとうと言われ、王妃様からはそのドレスよく似合っていますよ。と言ってもらえた。リーさんが褒められたのが嬉しかったので、私史上1番の笑顔でありがとうございますと応えた。
少し周りを見渡してもペレ爺とリーさんの姿が無かったので、お祖父様を見上げると口パクで後でな、と返された。
それに気づいた陛下が、父なら休憩室で母といますよ。と教えていただけたので、お礼を述べ休憩室に向かう。
その途中で大きな歓声が上がる。お祖父様と振り返ると、帝国からの使者の方が来られたそうだ。
私には関係ないなとその場を後にしようとすれば声を掛けられた。
「久しぶりですね。リリム」
思わず振り返るとリヴァル様が其処に居た。
※※※※※※※※
王族視点
今日はデビュタントの日、王宮にてお披露目のパーティが開催される。
父上と母上のお気に入りのリリム嬢も今日は出席する。王妃が母上に尋ねられてドレスのデザインなどを手がけたからだ。
妊娠している前提で作ったドレスは、コルセットをしなくてもほっそり見せることが出来、色々な形に作ることが出来るし、どの様な体型にも合わせることが可能だろう。
母上が刺繍をし、王妃がドレスに散りばめていく。王太子妃も加わり最高の物が出来たと嬉しそうに女性陣でお茶をしていた。
もうすぐ臨月の王太子妃に手伝いをさせるなど、と王太子は怒っていたが、本人がいい気分転換になると言っていたのだから問題ないだろう。
大きなお腹を撫でながら嬉しそうにドレスの作成をする王太子妃を見ていると、どんな子が生まれてくるのか今から楽しみである。
母上が何度か公爵家の方に伺いドレスの試着をして貰う。それに王妃も内密で付いて行き一緒に話し合っている。
帰ってきて話を聞くと、とても可愛らしいお嬢さん。でも、かなりお転婆なのではないかなと言っていた。
今は悪阻で寝る事が多いのと、食べる事にいっているので、体型が変わらないようにお願いしたと言っていた。
確かに妊娠中は体型が変わるというし、王妃も子を産んだ後元の体型に戻すのを頑張っていたなと王太子と目を合わせ頷きあった。
知識も能力も今の公爵家の人間よりも上なのに家から追い出されるとなると不便でしかない。それに、誰の子なのかもわからないのだから。
ドレスが完成したと聞いた時は絵師でも呼ぶか?と父上に進言してみた。だがすっぐに却下される。公爵家夫妻はあの子を忌み子として扱っているのに、我々がそれを良しとしないのはおかしいと。公爵家の中ではもう決まった事なのだから外野がごちゃごちゃ言う必要は無いのだと。
リリム嬢を失う事は国にとっても痛手だが、それ以上に国の存続を優先しろと嗜められた。
第二王子にしてみれば、年下の女児に助けられたことがショックでもあったらしくお茶の席では一言も話さなかった。
そんな中で今日という日を迎えることとなった。
今日は朝から慌ただしかった。余計な仕事は片付けていたし問題はないと思われたが、急遽帝国の使者が訪れると連絡が入った。
慌てて出迎えの用意をしていると、城門前に3人の旅装束のものが訪れたとのこと。間違いなく帝国の使者であると考え、外務大臣に迎えに行かす。
応接室に通されたのは、白銀の髪、金眼の青年、黒髪黒目の公爵家にいる執事を若くした感じの者、そして第二王子の婚約者だった者だ。
訪室すると突然の訪問を詫びる言葉と、贈られたものをきちんとお返しすることが出来なかった事に対する謝罪であった。
第二王子を呼び、体調のことや今までの経緯などを話し合い、婚約は解消になったが
これからも国同士協力しようと言うことで話は終わるはずだった。
お茶をしながら談話していると、銀髪の青年が今夜のパーティの事で、出来れば出席させて欲しい旨を伝えてきた。
その場で宰相を呼び確認と、お願い事を伝える。ただ、その中でその青年はリリム嬢に求婚すると言ってきた。
それは公爵家に確認を取らないとわからない旨を伝える前に、父上が訪室し許可を出した。
後で確認すると、お腹の子が彼の子供なのだと言う。下手に刺激すれば王都が消されると迄言われれば従わざるおえない。
「ありがとうございます。これでやっとリリムを連れて帰ることが出来ます。
やはり未成年を無理やり連れて行っては国際問題になりまねませんからね」
黒髪の青年は表情を変えないので何を考えているのかわからないが、暴走を止める為に付いているのが良く分かった。
そして、出来れば挨拶が終わってから入場して欲しいことを伝え、了承を得る。
後は前公爵の許しを得て欲しいとも伝えた。それにはすぐに黒髪の青年が反応し、許可は既に取ってあります。ただ、此方でのリリム様の立場だけ平民に落としておいてほしいとのことだった。
それも問題ない旨を伝えパーティまでゆっくり寛いでもらうことにした。
第二王子は元婚約者と庭園を回るといい、一緒に応接間を離れる。
私室に入ってから父上に確認すると、銀髪の彼が帝国の爆弾であり悪魔なのだと。絶対に逆らってはいけない。
今でこそ噂話は無くなったが十年前ほど帝国と他国の境界で盗賊や山賊が頻出していた時、それらの賊を一人で一掃したのが彼なのだという。
その惨劇を見たものは口を揃えてこういう、遺体は人の形をしていなかった、と。
まるで憂さを晴らすように嬉嬉として人を斬りつける様は正に悪魔だったという。
王妃や王太子、王太子妃にも話をし、刺激しないように伝える。そう、何かあってからでは遅いのだ。
デビュタントの夜会が始まり、高位貴族から挨拶に来る。
それに返しながら頭の隅で帝国の彼等のことが気になる。父上が引き止めてくれているが、無理にでも来るのではないかと。
モーリス前公爵と孫のリリム嬢が挨拶に来た時、本当に足を撃退したあの子と同じ人物なのかと思った。顔には出さなかったが、女性は本当に化けるなと感じた。
王妃は嬉しそうに令嬢を眺めドレスを褒めると、母上から贈られたものが褒められ嬉しかったのか、可愛らしい笑顔でありがとうございますと返してくれた。
王太子妃も満足したのか、王太子に付き添われ会場を後にした。
前公爵と令嬢は父上に会いに休憩室に向かっている。宰相には挨拶が終わった段階で帝国の使者に入場して貰うように伝えてある。彼らが休憩室に行く前に銀髪の彼がリリム嬢を捕まえるだろう。
彼らが入場すると、その存在感から歓声が上がった。
王族への挨拶は不要であると伝えているので此方には来ないだろう。
案の定彼はリリム嬢に声をかけた。
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