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しおりを挟む何年かリー様と旅をしている中で身体の不調を感じる事が何度かあった。
妊娠したのかとも思ったけど、それは無かった。女性であるはずの月経が私には無いから。
その身体の不調もいつの間にか無くなっている事が多かった。でもその度にお腹の辺りに違和感を感じる事があり、リー様に確認するも問題ありませんよとしか言われなかった。
幾度目かの体調不良の後、立ち上がる事ができなくなった。リー様が心配して色々手を尽くしてくれていたけれど、その内に手も動かせなくなり、食べることさえままならなくなった。
お腹の違和感をリー様が取ってくれたけれど、一向に体調は良くならなかった。
そうしているうちに、眠りから覚めない事が多くなった。
起きても視界がボヤけて見えない事の方が多くなり耳も聞こえづらくなった。
次に私が目覚めた時、お祖父様の屋敷に居た。
知らない男の子と女の子に手を握られ、お祖父様は涙を流して私を見ていた。
どうしたの?と声を出そうにも口は動いてくれない。悲しくて涙が溢れる。
不意に頭を優しく撫でられた。その手が優しくて温かくて、微笑むと皆がお休みと声をかけてくれた。私はそのまままた眠りについた。
その後目が覚めることは無かった。
※※※※※※※
リヴァイアル視点
忠告を聞かなかった訳では無い。けれどもその行為を止める事も、卵ができないようにする事もしなかった。例えリリムの寿命を極端に縮める結果になったとしても。
聖女の卵の後に出来た卵は不出来なものが多かった。極端に言えば中身が無かったのだ。
聖女の卵が出来てしまったことで、悪魔の力を持った者が卵の中で消されてしまう事態になった。
これが人であったなら問題は無かったのだが、私も身体を作り替えたリリムも悪魔であった。例えどんなに魂が綺麗であろうともそれは変えられない事実。
何回目かの受精で出来た卵は何とか中身が育ってくれた。そしてそれが私とリリムの最後の卵になった。
リリムの胎の中から取り出した卵を、レイに預け育ててもらう。中身は間違い無く人間。只他の者より魔力が数段多いだけ。
そこからリリムの看病では無く世話が始まった。目を離せばいつでも死んで魂が抜けてしまう状態。ひと時も傍を離れることが出来なかった。
抱き締めて寝ていても落ち着かず、リリムと殻に閉じこもってしまおうかとも思ったそんな時レイから連絡があった。
卵が孵った、と
もう視力も無いだろうが息子も居る其処に行く事にした。
初めて行くリリムの育ての親の家に入る事が少し躊躇われた。死に場所を提供してくれと言っている様なものだから。
話を聞いていたのか、其処の主人は私達を迎え入れてくれた。当然エスも居ており大きくなっていた。
その隣には女児の姿があり、後で聞くと最後の卵から孵った子だという。
ベッドに横になるリリムの頭を優しく撫でると表情が柔らかくなる。
いつも私に頭を撫でられるのを嬉しそうな顔で受け入れてくれていたリリムの顔が見れなくなるのは寂しい物がある。
邸にお邪魔して数週間が経った頃リリムの身体が急激に悪くなり始めた。
別れの時が近いのと、魂を私の物にしなければいけない準備で少し忙しかったが、最後に目を開けたリリムが、みんなに囲まれ涙し、私に頭を撫でられ微笑みながら眠りについたのを確認すると、身体から出てきた魂をそのまま私の身体に取り込んだ。
天界に渡すことなど絶対にしない。この魂は私の物だ。
レイとエスは呆れた顔をしていたが、リリムの祖父は優しくしてやってくださいと、そう残して部屋を去った。
かの女児は愛されているんですねと言ってエスに抱き付いていた。
リリムの葬儀が終わるとレイと話す機会があった。帝国のその後。
私達が出て行った後から徐々に権威が失墜して行ったそうです。
元々第一皇子は残虐な面を持ち合わせているが頭はそれ程よろしく無い方でした。
第二皇子は早々に国を離れたそうですね。沈む船に何時迄も乗り続けることはしませんからね。
バーナード達も戻る様に連絡がきたそうですが全て無視を決め込んだそうで、手を出してきた者に関しては始末していたそうです。
嫁の実家の男爵家を継ぐのに忙しいく楽しくしている様です。
リリムの実家は変わらず、リリムが居ても居なくても何も問題はない様です。
まあ、問題があっても此方は何もしませんけどね。
全てが終わると私は悪魔の姿に戻り魔界に戻った。特に人間界でする事などありませんしね。子育てはレイに任せましたし問題は無いでしょう。
枯れた木の上でリリムの魂を身体の中から取り出し、優しく舐め回す。
純粋な透明度の高い魂は悪魔にとって最高の糧になる。
私にとってはそれ以上に愛おしい者。
魂を傷つけては修復し、舐め回して可愛がる。どれだけの年数そうしていたことか。
それでもリリムの魂が穢れることは無かった。優しく撫で様子を見ている私の手を柔らかな光が包んでくれる。
「何百年そうしているつもりだ?」
青年に成長した魔王が其処にいた。
「何百年でも」
「他の奴らが狙っておるぞ。其方も弱っている今を突かれれば簡単にその魂を手放す事になるぞ」
「ああ、それはいけませんね。仕方ありません、リリム私と一緒にしばしの眠りにつきましょうね。おやすみなさい」
私がリリムの魂に口付けを落としそのまま口に入れ飲み込んだ。その後魔領と呼ばれる力を回復させる場所に向かおうとすると、止められました。うちに来ないかと。
「聖女のいる所は窮屈ですから遠慮しておきます」
「そうか、ではまた会える時を楽しみにしておるぞ、前魔王リーヴァイス」
その返答に応えることなく魔領に向かう、邪魔するものは容赦なく消し去る。此処は魔界で人間界ではない。愚かにも自分の力量も考えずに私に襲いかかる者は消えて当然です。私の行手を阻む者は何人たりとも許しません。
魔領内にある私の肉体で作り出した柩。土の中から掘り出し、結界を施しその中に横になる。
空から攻撃が来るが相手にすることはない。
蓋を閉め一気に地中深くに埋め込む。リリムの魂を口から取り出し、両手で包み込み眠りについた。
次に起きるのはいつになるやら
おやすみリリム、私はずっと貴女と一緒ですよ
これからも寂しい思いなんてさせませんからね
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
お読みいただきありがとうございました。
拙い文章で読みづらい部分もあったと思いますが、楽しんでもらえたのなら嬉しい限りです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
最後にお気に入り登録ありがとうございます。
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