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悪役を演じて見せよ!

寿退社はありよりのあり

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「ああああー、もうポンコツタヌキングどうしてくれるのおぉー、私は誰とも付き合ったことがないのに、胃が痛い…」
 ぎゅむっと膝の上のたぬきを抱え込むタマキ。
「ぐきゅぅ…」
 ちょっと苦しそうでかわいそうなので、ソラはポンタを助け出した。前回押しつぶされた時は、たぬきは猫と一緒で液体でできていそうだから、多分大丈夫と思ったが、今回はちょっとつぶしすぎたようだった。

 今日も今日とて定例反省会。ソラが音楽祭の結果をほめられた後、言い出しづらかったけど、タマキとレオナルドが付き合うことになったという経緯を話したら、ポンタが潰された。ついでに、デートの申し込みがあったことも伝えた。

「タマキ姐さん、ぽんちゃんも悪気はなかったし、仕方ないよ」
「そうね、ポンタごめん。ポンタは悪くない、ポンコツでもない…私の代わりに仕事をしようだなんて…いい子過ぎる。うぅ、でも、会いに行くのめんどい…。そうだ! ポンタが代わりに…逢引すればいいのよ」
「合挽…? ひどい! タマキ、いくら僕らが非常食要員だからって、合挽肉になれなんて…」
 バカな勘違い、バ勘違いをするソラであった。日頃から非常食としての自分を意識しすぎである。

「いや、そんなこと言ってないからね! デ…デートのことよ!」
 どうやら、デートという言葉が恥ずかしくて、古風な言い回しをしてしまったらしい。

「そうはいうけれど、僕は見えます! さらに勘違いを重ねて、タマキがライオン兄さんと結婚することになってしまう未来が。それはそれでありなのかな…。でも、その場合は、ゲームはどうなっちゃうんだろう…」

 ふわふわり、またいつものとまと伯爵のメモ紙が舞い降りてきた。
『ゲームを降りるには、ポイント1万か、一番早くゴールした参加者のいるチームにいることが条件。だけど、寿退社も認められているから、結婚するなら全然OK。あとは、伴侶をゲームに取り込んじゃうっていう例もあるけどね』
 まさかの寿退社OKだった。

「なーんだ! そうだったの! 知ってたら、僕全然反対しなかったのに。ライオン兄さんには悪いイメージを払拭してもらうの頑張ってもらおう。今の兄さんはとってもいい人だから、タマキ安心して。タマキももてたいもてたいって言ってたからちょうどいい!」

 だけど、焦ったタマキが反論する。
「ちょっちょ、ちょっと待って。そもそも、あいつが私を好きなのって、ポンタとしてでしょう? だったら、寿退社するのはポンタじゃないの」
「あーね。じゃあさ、素のタマキとライオン兄さんでデートしてみなよ。合わなかったら、合わなかったでさ」

 そんなわけで、タマキとレオナルドのデートが決まった。
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