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第2話 黒い巻物2
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近衛兵さん……もしかして10年ほど前に地下墓地の討伐遠征へ参加されませんでした? そう、古城の地下墓地。冬の第二次遠征。――やっぱり? わぁ、憶えておられますか? 同じパーティに配属された……そう、私があの時の侍祭です! 懐かしいですね、あの時はお互いまだ駆け出しで……近衛兵さんもまだ剣士でしたものね! 御立派になられて……。
ふふ、ねぇ――まだ覚えてますか? 討伐遠征が終わって、パーティが解散する時に「別れたくない、このままあなたと一緒にいたい」って言ったこと。あの時は照れて冗談だって言ったけれど……ちょっとだけ、本気だったんですよ?
それにしても、10年ですか。お互い歳を取りましたねぇ。あの頃は起き上がりにも苦労して。ふふ、今なら治癒一つで浄化してみせるんですが。若い子たちのパーティを見ると、昔の自分を思い出してついつい心配になります。
あの日……私の勤めるイズルード聖堂に駆け込んできたのも、そんな駆け出しの冒険者二人でした。
●
「何ですか、騒々しい!」
爽やかな晴れた朝の聖堂に、けたたましい声が響いている。見えたのは修道女《シスター》と、二人の冒険者。装備から見るに射手と商人だろうか。まだ子供と言ってもいいような、少年と少女。確か名前は、ソーレとステラだ。何度か礼拝で見かけたことがある。だが彼らの顔に浮かぶ焦燥の色は、凡そ年齢にそぐわないものと感じられた。
「司祭様に会わせてくれ!」
「困ります、司祭様にはご予定が――」
「友達が死ぬかもしれないの!」
死、というそぐわぬ言葉が神の家に轟く。二人の勢いに硬直している修道女を押しのけ、私は彼女の前へ出た。
「司祭様とお会いになりたいのなら、どなたかの紹介状をお持ち下さい」
「それじゃあ間に合わないんだ! 修道女じゃ話にならない、司祭様を――」
「私は修道女ではありません、聖職者です」
女性であるため間違われることも多かったが、私は侍祭から修行を積んだ正式な聖職者だ。それもただ聖堂に篭もるだけではない、時にはパーティに属して不死のモンスターが溢れるダンジョンへも赴く。
私の姿を認めたソーレは慌てて礼儀を正し、「も……申し訳ありません!」と頭を垂れた。
「お友達が死ぬかもしれない、とはどういうことでしょうか。何か大きな怪我でも?」
「いえ、あいつは……メッセは、開いてしまったんです。見たら7日後に死ぬ、『黒い巻物』を」
「黒い、巻物……?」
聞きなれぬ単語に、背後に控えていた修道女の一人が小さく悲鳴を上げる。
「何かご存じなのですか?」
「ま、街で噂になっているのです……その黒い呪いの巻物を見ると必ず命を落とすと」
(呪い……堕落聖職者の呪物かしら)
地下墓地等のダンジョンに蔓延るのは、食人鬼や幽鬼だけではない。最も恐ろしいのは――本来は我々同様神に仕えるはずが、如何なる理由か道を誤り、死後天界へも冥界へも行けず彷徨う堕落聖職者。邪法へ堕した神の奇蹟を用いて、訪れる者達を恐ろしい呪いで以て襲い掛かる。彼らを倒して手に入れた装備やアイテム等にも時には呪いが残留しており、それが罠のように冒険者を蝕む――そういう話は、少なからずあった。
「わ……私が、悪いんです」
それまで押し黙っていたステラが、しゃくり上げながらそう話し出す。
「蚤の市で見つけた、ヘンな黒い巻物……噂には聞いていたけれど、本当にあの呪いの巻物だとは思わなくて。ただ珍しい、掘り出し物だと思って持って帰ったら、あ、あいつが……『度胸試し』だ、って……」
「分かりました、とにかくお友達を診させて下さい」
「それがメッセのやつ、部屋を出ようとしなくて……『外にあの女がいる』とか。もう三日は何も食べていないのに、俺たちを部屋に入れようともしないで」
「では、その巻物は? 司祭様でなくとも、解呪程度なら私でも施せます」
不安そうな二人だったが、顔を見合わせて頷くとステラが背負っていた鞄を下ろす。そして中から、それを取り出した。
あぁ、思えばそれが初めてだった。
私が神の愛を疑ったのは。
物心ついた時にはすでに家族がおらず。孤児院でずっと育ち。司祭様に引き取られた後も、色んなことを経験したが――それでも。主の愛を疑ったことはなかった。
だが、もし主がおられるならば。私たちを愛しているというのならば。
こんなモノが、存在し得るのだろうか?
「これは、この巻物は――」
黒一色の、それ以外は一見何の変哲もない黒い巻物。
堕落聖職者の呪いなど比ではない、あれですら我々の世界の法則に則っている。知識があれば対処することは可能だし、極端なことを言うとアイテムさえ揃えれば子供の小遣いで事足りる。聖職者であればアイテムがなくとも、ただ神恵のスキルで退ければいい話だ。
それが、ただの呪いであったなら。
「解呪のハーブも、ポーションも試させました。でも、メッセは……」
「これは……」
呪いではない、そんな生温いものではない。
「もしかすると、司祭様でさえ――」
「私がどうかしたのかい?」
その言葉に、巻物へと注がれていた私たちの視線が上がる。聖堂の外に箒を担いだ男がいた。纏っている作業着は土で汚れており、所々に落ち葉がついているのは先程まで掃き集めていたからだろう。すすの臭いがわずかにするのは、集めた落ち葉を自ら燃やすのが彼の日課だからだ。この聖堂の司祭――港町でただ一人の高位聖職者の。
「し、司祭様……!」
ソーレの顔に「まさか、この人が?」とでも言いたげな表情が浮かぶ。無理もないだろう、高位聖職者は途方もない修行と実戦経験を経てようやく得られる階位。そもそも、首都ではなくこのような衛星都市にいることがおかしいのだ。それがまるで農夫のような雑務に自ら精を出しているとは。それも彼の人徳を高める要因の一つだったが。
掃除の前に伝書箱を検めたのだろう。届いていた紙束を修道女に渡した司祭様は私たちのただらなぬ様子を感じ取り、中心にあるのが巻物であるとすぐに気付いたようだ。商人から巻物を取り上げると、「これは……」と呻くような声を上げる。
「司祭様、この巻物は只事ではありません。私では到底解呪することも――」
「……残念ですが、それも致し方ありません。この巻物に篭められているのは、我々の世界とは異なる法則により生み出されたモノでしょう。異物……私も実際に見るのは初めてですが。誰かこれの中身を見てしまった者は?」
「わ、私たちの友達が――」
しゃくり上げるステラの声に頷くと、司祭様は頷く。
「今すぐ詰め所へ人をやって、人手を借りてきて下さい。私の名前を出しても問題ありません、急いでお友達をここへ連れてくるように。おそらく一刻の猶予もないでしょう」
半刻ほど後に連れてこられた魔術使いの少年――メッセは、ソーレやステラとそれほど変わらない歳――なのだろう。本来であれば。
そう言い切れなかったのは、彼の眼下に色濃く刻まれた隈のせいだ。ただやつれているだけではない、目の鈍い光は警戒の表れ。詰所の自警団員たちに聖堂へと連れてこられた時も、周囲に視線を素早く走らせていた。かと思えば、誰かと目が合いそうになると素早く顔を伏せる。まるで誰かに見つかることを酷く恐れているように。
「……やはり急を要する事態です。彼を祭壇へ寝かせて儀式の用意を。聖水と触媒を要して下さい。それから――」
司祭様は指示を出しながら、巻物を私へ手渡して耳打ちした。
「これを地下の祭器庫に隠しておいて下さい。絶対に出してはなりません」
私は頷いてから巻物を受け取ると、言われた通り地下へと急いだ。
祭壇に寝かされたメッセは、連れてこられた時よりも呪いが進行しているように見受けられた。本来は静謐な空気が保たれた聖堂であるというのに、いつもと比べ日が陰っている気さえしてくる。
ソーレたちが見守るなか、司祭様は彼の全身に聖水をふりかけ、聖典を開く。その頁に書かれているのは、代行する主の奇蹟の中でも高位聖職者のみが許されるという秘儀中の秘儀。聖句を口にするたび司祭様の内から淡い輝きが漏れ、窓から注ぐ光は主の恵みの如く強くなる。私だけでなく、修道女や見守る射手達も自然と手を胸元で組んでいた。信仰心の有無も大小も関係ない、我々がどう思おうが恩寵は確かに、ここにある――その気持ちが取らせた、純粋なる祈りであった。やがて……
「大聖令:祓魔!」
ばきり、と音を立てて司祭様の手の中で触媒――深い青色を湛えた、ガラスのような石――が砕ける。司祭様の大音声とともに光が収束し、魔術使いの少年を包む。眩い光に目が眩み、思わず目蓋を閉じた。そして開いた時に私たちが目にしたのは、先ほどより幾分か顔色を取り戻したメッセの姿だった。
「メッセ、大丈夫なのか!」
見守っていたソーレ達が彼へと駆け寄る。司祭様は肩で息をしながら「まだ安静に。彼を休ませなければ……」とメッセの額に手をかざした。指示を受けたソーレが修道女とともに肩を貸し、メッセを医務室へと連れて行く。ありがとうございます、と何度も礼を言いながらステラが後を追って医務室へと行き、聖堂は静けさを取り戻した。
「司祭様、これで彼の呪いは解かれたのですね」
私の問いかけに、しかし司祭様は答えない。訝しみ、振り返って司祭様の顔を見た時、その顔は無事に解呪を果たしたとは言い難い暗い色を湛えていた。
「今晩私の部屋に来なさい。君にだけは真実を伝えておきます」
「……司祭様?」
「彼はもう、恐らく助からないでしょう」
●
その晩。いつものように閨をともにした私の腕の中で司祭様は嗚咽混じりの声を上げた。
「あれは……主の御業でどうこうできるものではない!」
「司祭様、そのようなことを誰かに聞かれでもしたら――」
「お前以外に誰が聞くものか!」
私の肩を抱く司祭様の指に力がこもる。
「秘儀は無事に成功した、彼の体もいくぶんかは回復した……だが、肝心の呪い自体は何も変わらない! 私は彼の体をほんの少し癒せただけで、根源は今も彼の体を蝕み続けている。恐らく彼は予定通り、二日後には――」
「そんな、主のお力が届かないことなど……」
「恐らくあれは、あの巻物の呪いは我らの世界と根本的に異なるのだ。主の御業は確かに顕現した、しかしまるで流れる水を剣が断つことなく擦り抜けるかのように、何の効果も齎さなかった。祓魔の儀はただ彼らが帯びていたほんの少しの邪気を祓っただけなのだ」
「司祭様……」
震える司祭様の頭を撫でると、彼はさらに深く私の胸へと頭をうずめた。
「私は恐ろしい。主の力がなんの効果も及ぼさないことではなく……あの巻物に宿る何かを、私は刺激してしまったのではないか。その矛先が私に向けられることが、ただただ恐ろしいのだ……」
司祭様の嗚咽は、夜が更けるまで延々と聖堂の一室に響き渡った。
そして、メッセが巻物を繙いてからちょうど7日目の朝。聖堂の医務室から恐ろしい叫び声が響き渡り、駆け付けた修道女が目にしたのは――己の顎を砕かんばかりに歪んだ表情で絶命している、メッセの末期だった。
●
あの子たちには、可哀想なことをしました。司祭様はただただ己の非力を詫び続け、御立派なことで――。
……え? 閨、ですか? ええ、そうです。
あの人ったら、褥ではとても素直なんですよ。いつもはあんなに威厳に溢れた立ち居振る舞いをしていらっしゃるのに。安息日の礼拝だって、司祭様のお話を聞くためにわざわざ首都から信徒の方々が大勢やって来るんですよ。あちらには大聖堂もあるのに。
御息女とさして変わらない歳の私に抱かれて、子供のように泣きじゃくっておられました。あのようなあられのない姿、奥様も見たことはないのではないでしょうか。
……あの日。メッセの死からしばらくして。ようやく司祭様も巻物の呪いが自分には向けられていないと安心した、最初の安息日。参列した信徒の方々が見守るなか、いつものように説教台へお立ちになられて、愛用の聖書を繙いた時。栞の位置にいつの間にか挟まれていた、黒い巻物の中身を見てしまった時の、司祭様の顔ったら。
身寄りのない孤児だった私を、「侍祭として育てる」と嘯いて孤児院から引き取って……そんな私を無理矢理ベッドに押し倒すまで、司祭様が何日我慢できたと思います? 3日? 10日? ……いいえ、その日のうちにですよ。あの巻物だって7日は待ってくれるというのに。
まだ日も沈まぬうちに、嫌だと泣き喚く私を褥に押し倒したんです。それも御息女の寝室で。わざわざ彼女を使いに出してから。「立派な侍祭にしてあげるから辛抱しろ」、「お前が嫌がるなら、他の娘を孤児院から連れてきても構わないんだぞ」……って。あぁ、なんて滑稽な司祭様。私には想像もできない御負担があったのでしょうね。もう知った事ではありませんが。
私が聖書に仕込んだこと、司祭様に教えたのかですって? ……どっちだと思います? ふふ、冗談です。本当は7日目にお教え差し上げるつもりでしたが……最後にはそれどころではありませんでしたから。野良犬のように泣き喚いて、近寄る者は奥様も、御息女であっても、手あたり次第に物を投げつけられました。数々の奇蹟を顕現させ、イズルード聖堂にその人ありと名をはせた司祭様の姿は、もうどこにもありませんでした。
随分と抵抗はされたようですけれどね。司祭様の部屋には聖水や触媒、強い加護が施された年代ものの錫杖、聖堂に代々伝わる聖句が記された聖典が、まるでがらくたのように積み上げられていました。何一つ用をなしませんでした。
再び安息日が訪れた、7日目の朝。聖堂に断末魔が響き渡り……司祭様は天に召されました。いえ、どうでしょう。もしかすると天にも冥界にも行くあてがなくて、地下墓を堕落聖職者としてさ迷っておられるかもしれませんね。そうであれば私が祓って差し上げたいのですが……生憎もう時間がございません。
ええ、私も見たのです。あの巻物の中身を。
あれはきっと、巻物が元あった世界の風景なのですね。刺激的な……とても言葉では言い表せない感銘を受けました。それと、強い絶望。悲しみ。孤独。――怒り。
どうして見たのか……? 分からない? 分からないでしょうね……。
ねぇ、どうして私を連れて行ってくれなかったんですか? どうして、手紙……返事くれなかったんですか? 私、あなたと別れてから何度も手紙を書いたんですよ。毎朝返事が届かなくて、返事が届くことを信じて、ずっと――。
返事を、書いた? 何度も送ったって……嘘、嘘よ、だってそんなこと、私に手紙が来たなんて、司祭様は一度も……あぁ、だからあの人。毎朝誰よりも早く起きては、御自分で掃き掃除を……。その時に届いていた伝書を確かめておられたから、もしかしたら、毎朝燃やしていたあの落ち葉やゴミのなかに……。
いえ、もう済んだ事です。今さら後悔しても、何もかも手遅れでしょう。それに――。
彼女、おそらく私と気が合うんじゃないかしら。
分かるんですよ、彼女も……あまり恵まれない人生を送ったみたいです。言葉を交わした訳ではありませんが、意外と7日後には何も起こらないかもしれませんね。
もし、そうなったら――今度こそ私を連れ出してくれますか?
●
司祭が不審死した経緯を聴取した日から、しばらく後。任意で拘束されていたその聖職者は、物言わぬ死体となって見つかった。その死に顔は司祭や魔術使いの少年と同様、ひどく恐怖に歪んだものであった。
イズルード聖堂にはその後別の司祭が赴任することとなる。その際聖堂内は徹底的に捜索されたものの、"呪いの巻物"とやらは、どこからも見つかってはいない。
ふふ、ねぇ――まだ覚えてますか? 討伐遠征が終わって、パーティが解散する時に「別れたくない、このままあなたと一緒にいたい」って言ったこと。あの時は照れて冗談だって言ったけれど……ちょっとだけ、本気だったんですよ?
それにしても、10年ですか。お互い歳を取りましたねぇ。あの頃は起き上がりにも苦労して。ふふ、今なら治癒一つで浄化してみせるんですが。若い子たちのパーティを見ると、昔の自分を思い出してついつい心配になります。
あの日……私の勤めるイズルード聖堂に駆け込んできたのも、そんな駆け出しの冒険者二人でした。
●
「何ですか、騒々しい!」
爽やかな晴れた朝の聖堂に、けたたましい声が響いている。見えたのは修道女《シスター》と、二人の冒険者。装備から見るに射手と商人だろうか。まだ子供と言ってもいいような、少年と少女。確か名前は、ソーレとステラだ。何度か礼拝で見かけたことがある。だが彼らの顔に浮かぶ焦燥の色は、凡そ年齢にそぐわないものと感じられた。
「司祭様に会わせてくれ!」
「困ります、司祭様にはご予定が――」
「友達が死ぬかもしれないの!」
死、というそぐわぬ言葉が神の家に轟く。二人の勢いに硬直している修道女を押しのけ、私は彼女の前へ出た。
「司祭様とお会いになりたいのなら、どなたかの紹介状をお持ち下さい」
「それじゃあ間に合わないんだ! 修道女じゃ話にならない、司祭様を――」
「私は修道女ではありません、聖職者です」
女性であるため間違われることも多かったが、私は侍祭から修行を積んだ正式な聖職者だ。それもただ聖堂に篭もるだけではない、時にはパーティに属して不死のモンスターが溢れるダンジョンへも赴く。
私の姿を認めたソーレは慌てて礼儀を正し、「も……申し訳ありません!」と頭を垂れた。
「お友達が死ぬかもしれない、とはどういうことでしょうか。何か大きな怪我でも?」
「いえ、あいつは……メッセは、開いてしまったんです。見たら7日後に死ぬ、『黒い巻物』を」
「黒い、巻物……?」
聞きなれぬ単語に、背後に控えていた修道女の一人が小さく悲鳴を上げる。
「何かご存じなのですか?」
「ま、街で噂になっているのです……その黒い呪いの巻物を見ると必ず命を落とすと」
(呪い……堕落聖職者の呪物かしら)
地下墓地等のダンジョンに蔓延るのは、食人鬼や幽鬼だけではない。最も恐ろしいのは――本来は我々同様神に仕えるはずが、如何なる理由か道を誤り、死後天界へも冥界へも行けず彷徨う堕落聖職者。邪法へ堕した神の奇蹟を用いて、訪れる者達を恐ろしい呪いで以て襲い掛かる。彼らを倒して手に入れた装備やアイテム等にも時には呪いが残留しており、それが罠のように冒険者を蝕む――そういう話は、少なからずあった。
「わ……私が、悪いんです」
それまで押し黙っていたステラが、しゃくり上げながらそう話し出す。
「蚤の市で見つけた、ヘンな黒い巻物……噂には聞いていたけれど、本当にあの呪いの巻物だとは思わなくて。ただ珍しい、掘り出し物だと思って持って帰ったら、あ、あいつが……『度胸試し』だ、って……」
「分かりました、とにかくお友達を診させて下さい」
「それがメッセのやつ、部屋を出ようとしなくて……『外にあの女がいる』とか。もう三日は何も食べていないのに、俺たちを部屋に入れようともしないで」
「では、その巻物は? 司祭様でなくとも、解呪程度なら私でも施せます」
不安そうな二人だったが、顔を見合わせて頷くとステラが背負っていた鞄を下ろす。そして中から、それを取り出した。
あぁ、思えばそれが初めてだった。
私が神の愛を疑ったのは。
物心ついた時にはすでに家族がおらず。孤児院でずっと育ち。司祭様に引き取られた後も、色んなことを経験したが――それでも。主の愛を疑ったことはなかった。
だが、もし主がおられるならば。私たちを愛しているというのならば。
こんなモノが、存在し得るのだろうか?
「これは、この巻物は――」
黒一色の、それ以外は一見何の変哲もない黒い巻物。
堕落聖職者の呪いなど比ではない、あれですら我々の世界の法則に則っている。知識があれば対処することは可能だし、極端なことを言うとアイテムさえ揃えれば子供の小遣いで事足りる。聖職者であればアイテムがなくとも、ただ神恵のスキルで退ければいい話だ。
それが、ただの呪いであったなら。
「解呪のハーブも、ポーションも試させました。でも、メッセは……」
「これは……」
呪いではない、そんな生温いものではない。
「もしかすると、司祭様でさえ――」
「私がどうかしたのかい?」
その言葉に、巻物へと注がれていた私たちの視線が上がる。聖堂の外に箒を担いだ男がいた。纏っている作業着は土で汚れており、所々に落ち葉がついているのは先程まで掃き集めていたからだろう。すすの臭いがわずかにするのは、集めた落ち葉を自ら燃やすのが彼の日課だからだ。この聖堂の司祭――港町でただ一人の高位聖職者の。
「し、司祭様……!」
ソーレの顔に「まさか、この人が?」とでも言いたげな表情が浮かぶ。無理もないだろう、高位聖職者は途方もない修行と実戦経験を経てようやく得られる階位。そもそも、首都ではなくこのような衛星都市にいることがおかしいのだ。それがまるで農夫のような雑務に自ら精を出しているとは。それも彼の人徳を高める要因の一つだったが。
掃除の前に伝書箱を検めたのだろう。届いていた紙束を修道女に渡した司祭様は私たちのただらなぬ様子を感じ取り、中心にあるのが巻物であるとすぐに気付いたようだ。商人から巻物を取り上げると、「これは……」と呻くような声を上げる。
「司祭様、この巻物は只事ではありません。私では到底解呪することも――」
「……残念ですが、それも致し方ありません。この巻物に篭められているのは、我々の世界とは異なる法則により生み出されたモノでしょう。異物……私も実際に見るのは初めてですが。誰かこれの中身を見てしまった者は?」
「わ、私たちの友達が――」
しゃくり上げるステラの声に頷くと、司祭様は頷く。
「今すぐ詰め所へ人をやって、人手を借りてきて下さい。私の名前を出しても問題ありません、急いでお友達をここへ連れてくるように。おそらく一刻の猶予もないでしょう」
半刻ほど後に連れてこられた魔術使いの少年――メッセは、ソーレやステラとそれほど変わらない歳――なのだろう。本来であれば。
そう言い切れなかったのは、彼の眼下に色濃く刻まれた隈のせいだ。ただやつれているだけではない、目の鈍い光は警戒の表れ。詰所の自警団員たちに聖堂へと連れてこられた時も、周囲に視線を素早く走らせていた。かと思えば、誰かと目が合いそうになると素早く顔を伏せる。まるで誰かに見つかることを酷く恐れているように。
「……やはり急を要する事態です。彼を祭壇へ寝かせて儀式の用意を。聖水と触媒を要して下さい。それから――」
司祭様は指示を出しながら、巻物を私へ手渡して耳打ちした。
「これを地下の祭器庫に隠しておいて下さい。絶対に出してはなりません」
私は頷いてから巻物を受け取ると、言われた通り地下へと急いだ。
祭壇に寝かされたメッセは、連れてこられた時よりも呪いが進行しているように見受けられた。本来は静謐な空気が保たれた聖堂であるというのに、いつもと比べ日が陰っている気さえしてくる。
ソーレたちが見守るなか、司祭様は彼の全身に聖水をふりかけ、聖典を開く。その頁に書かれているのは、代行する主の奇蹟の中でも高位聖職者のみが許されるという秘儀中の秘儀。聖句を口にするたび司祭様の内から淡い輝きが漏れ、窓から注ぐ光は主の恵みの如く強くなる。私だけでなく、修道女や見守る射手達も自然と手を胸元で組んでいた。信仰心の有無も大小も関係ない、我々がどう思おうが恩寵は確かに、ここにある――その気持ちが取らせた、純粋なる祈りであった。やがて……
「大聖令:祓魔!」
ばきり、と音を立てて司祭様の手の中で触媒――深い青色を湛えた、ガラスのような石――が砕ける。司祭様の大音声とともに光が収束し、魔術使いの少年を包む。眩い光に目が眩み、思わず目蓋を閉じた。そして開いた時に私たちが目にしたのは、先ほどより幾分か顔色を取り戻したメッセの姿だった。
「メッセ、大丈夫なのか!」
見守っていたソーレ達が彼へと駆け寄る。司祭様は肩で息をしながら「まだ安静に。彼を休ませなければ……」とメッセの額に手をかざした。指示を受けたソーレが修道女とともに肩を貸し、メッセを医務室へと連れて行く。ありがとうございます、と何度も礼を言いながらステラが後を追って医務室へと行き、聖堂は静けさを取り戻した。
「司祭様、これで彼の呪いは解かれたのですね」
私の問いかけに、しかし司祭様は答えない。訝しみ、振り返って司祭様の顔を見た時、その顔は無事に解呪を果たしたとは言い難い暗い色を湛えていた。
「今晩私の部屋に来なさい。君にだけは真実を伝えておきます」
「……司祭様?」
「彼はもう、恐らく助からないでしょう」
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その晩。いつものように閨をともにした私の腕の中で司祭様は嗚咽混じりの声を上げた。
「あれは……主の御業でどうこうできるものではない!」
「司祭様、そのようなことを誰かに聞かれでもしたら――」
「お前以外に誰が聞くものか!」
私の肩を抱く司祭様の指に力がこもる。
「秘儀は無事に成功した、彼の体もいくぶんかは回復した……だが、肝心の呪い自体は何も変わらない! 私は彼の体をほんの少し癒せただけで、根源は今も彼の体を蝕み続けている。恐らく彼は予定通り、二日後には――」
「そんな、主のお力が届かないことなど……」
「恐らくあれは、あの巻物の呪いは我らの世界と根本的に異なるのだ。主の御業は確かに顕現した、しかしまるで流れる水を剣が断つことなく擦り抜けるかのように、何の効果も齎さなかった。祓魔の儀はただ彼らが帯びていたほんの少しの邪気を祓っただけなのだ」
「司祭様……」
震える司祭様の頭を撫でると、彼はさらに深く私の胸へと頭をうずめた。
「私は恐ろしい。主の力がなんの効果も及ぼさないことではなく……あの巻物に宿る何かを、私は刺激してしまったのではないか。その矛先が私に向けられることが、ただただ恐ろしいのだ……」
司祭様の嗚咽は、夜が更けるまで延々と聖堂の一室に響き渡った。
そして、メッセが巻物を繙いてからちょうど7日目の朝。聖堂の医務室から恐ろしい叫び声が響き渡り、駆け付けた修道女が目にしたのは――己の顎を砕かんばかりに歪んだ表情で絶命している、メッセの末期だった。
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あの子たちには、可哀想なことをしました。司祭様はただただ己の非力を詫び続け、御立派なことで――。
……え? 閨、ですか? ええ、そうです。
あの人ったら、褥ではとても素直なんですよ。いつもはあんなに威厳に溢れた立ち居振る舞いをしていらっしゃるのに。安息日の礼拝だって、司祭様のお話を聞くためにわざわざ首都から信徒の方々が大勢やって来るんですよ。あちらには大聖堂もあるのに。
御息女とさして変わらない歳の私に抱かれて、子供のように泣きじゃくっておられました。あのようなあられのない姿、奥様も見たことはないのではないでしょうか。
……あの日。メッセの死からしばらくして。ようやく司祭様も巻物の呪いが自分には向けられていないと安心した、最初の安息日。参列した信徒の方々が見守るなか、いつものように説教台へお立ちになられて、愛用の聖書を繙いた時。栞の位置にいつの間にか挟まれていた、黒い巻物の中身を見てしまった時の、司祭様の顔ったら。
身寄りのない孤児だった私を、「侍祭として育てる」と嘯いて孤児院から引き取って……そんな私を無理矢理ベッドに押し倒すまで、司祭様が何日我慢できたと思います? 3日? 10日? ……いいえ、その日のうちにですよ。あの巻物だって7日は待ってくれるというのに。
まだ日も沈まぬうちに、嫌だと泣き喚く私を褥に押し倒したんです。それも御息女の寝室で。わざわざ彼女を使いに出してから。「立派な侍祭にしてあげるから辛抱しろ」、「お前が嫌がるなら、他の娘を孤児院から連れてきても構わないんだぞ」……って。あぁ、なんて滑稽な司祭様。私には想像もできない御負担があったのでしょうね。もう知った事ではありませんが。
私が聖書に仕込んだこと、司祭様に教えたのかですって? ……どっちだと思います? ふふ、冗談です。本当は7日目にお教え差し上げるつもりでしたが……最後にはそれどころではありませんでしたから。野良犬のように泣き喚いて、近寄る者は奥様も、御息女であっても、手あたり次第に物を投げつけられました。数々の奇蹟を顕現させ、イズルード聖堂にその人ありと名をはせた司祭様の姿は、もうどこにもありませんでした。
随分と抵抗はされたようですけれどね。司祭様の部屋には聖水や触媒、強い加護が施された年代ものの錫杖、聖堂に代々伝わる聖句が記された聖典が、まるでがらくたのように積み上げられていました。何一つ用をなしませんでした。
再び安息日が訪れた、7日目の朝。聖堂に断末魔が響き渡り……司祭様は天に召されました。いえ、どうでしょう。もしかすると天にも冥界にも行くあてがなくて、地下墓を堕落聖職者としてさ迷っておられるかもしれませんね。そうであれば私が祓って差し上げたいのですが……生憎もう時間がございません。
ええ、私も見たのです。あの巻物の中身を。
あれはきっと、巻物が元あった世界の風景なのですね。刺激的な……とても言葉では言い表せない感銘を受けました。それと、強い絶望。悲しみ。孤独。――怒り。
どうして見たのか……? 分からない? 分からないでしょうね……。
ねぇ、どうして私を連れて行ってくれなかったんですか? どうして、手紙……返事くれなかったんですか? 私、あなたと別れてから何度も手紙を書いたんですよ。毎朝返事が届かなくて、返事が届くことを信じて、ずっと――。
返事を、書いた? 何度も送ったって……嘘、嘘よ、だってそんなこと、私に手紙が来たなんて、司祭様は一度も……あぁ、だからあの人。毎朝誰よりも早く起きては、御自分で掃き掃除を……。その時に届いていた伝書を確かめておられたから、もしかしたら、毎朝燃やしていたあの落ち葉やゴミのなかに……。
いえ、もう済んだ事です。今さら後悔しても、何もかも手遅れでしょう。それに――。
彼女、おそらく私と気が合うんじゃないかしら。
分かるんですよ、彼女も……あまり恵まれない人生を送ったみたいです。言葉を交わした訳ではありませんが、意外と7日後には何も起こらないかもしれませんね。
もし、そうなったら――今度こそ私を連れ出してくれますか?
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司祭が不審死した経緯を聴取した日から、しばらく後。任意で拘束されていたその聖職者は、物言わぬ死体となって見つかった。その死に顔は司祭や魔術使いの少年と同様、ひどく恐怖に歪んだものであった。
イズルード聖堂にはその後別の司祭が赴任することとなる。その際聖堂内は徹底的に捜索されたものの、"呪いの巻物"とやらは、どこからも見つかってはいない。
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【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
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