DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第八話 4

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             『かれは――笑っていた。
     自分のせいを、これ以上いじょうないほど実感じっかんしているかのように。』

**************************************

「そ、そんなこけおどし! いけいけ! いったれぇー!」
と、ルドルフがいわの上からあわててさけぶのが聞こえた。

 トリケラトプスがつのをつき出しながら、どとうのいきおいで突進とっしんする。
それを、ブリーチは両腕りょううででがっしりとうけとめ、全力ぜんりょくでふんばった。

 恐竜とドラギィの、壮絶そうぜつみあい。
わしは小さくなったフリーナをかかえながら、
十メートルほどはなれた場所ばしょ避難ひなんして、
ブリーチのたたかいを片時かたとき見逃みのがすまいとしていた。

「もしもし、そこのヒトー!」

 上空じょうくうからフレディがすべるようにりてきて、すぐそばに着地ちゃくちした。
レンがすばやくその背中せなかをおりて、わしのもとへやってくる。

「えっと、すみません。この世界せかいのヒトですか?」
と、レンがたずねてきた。

 わしは、レンの鈍感どんかんぶりにわらいをうかべながら、こうかえした。

「ちがう、ちがう。分からんのか、わしじゃ。フレデリック博士じゃ」

「ハァ!?」あんじょう、レンは目をまるくしていた。
「ちょっとまった! しろさん? え、しろさんなの!?
いやいやいや、冗談じょうだんよしてよ。そのかっこう――勇者ゆうしゃじゃん!」

「ふふん、いかすじゃろ? ずっとだまっておったが、
わしは人間にんげん変身へんしんできるのじゃ。道具どうぐもなしにな」


 ドォ――ン! バキバキバキ!


 ものすごい音がして、
トリケラトプスが木々をたおしながら地面じめんころがる光景こうけいが見えた。
ブリーチが猛烈もうれつ気張きばってばしたのだろう。

「ワゥ! フリーナ! ああ、フリーナまで!」

 フレディがフリーナの容態ようだいに気づいておどろき、どしどしと接近せっきんしてきた。

「ああもう、どいつもこいつも、ぼくを心配しんぱいさせてばかり!
ぐすっ、ケガはないようだけど、ぐすっ、キミまでどうかしてしまったのか」

「くぅ~ん、おなかへったヨウ~……」フリーナの小声こごえこえた。

安心あんしんせい」わしはちつきはらっていた。
急激きゅうげきにエネルギーを使つかいはたして、ぐったりしておるだけじゃ。
じきにまた飛べるようになるだろうが、もう大きくはなれないのう」

「じゃあ、たにんでるあいだ、空がきゅうにくもってきたのも――」

 レンは、いまだくらくのしかかるようなくもを見上げながら言った。

「すごい雷の音が聞こえてきたのも、やっぱりフリーナのしわざだったんだね」

「ぐすん、そうか。それは、よかった――ところで、ぐすっ、
あなたは、フレデリック博士はかせだね。においで、分かったよ。
の中、不思議ふしぎなことが、ぐすん、多いな。ほかの子たちはどうしたんだ?」

「みんな表世界おもてせかいかえした。あの子たちもわしの姿すがたにおどろいておったよ。
それはさておき、よくぞブリーチをれもどしてくれたな。
あいつになにかあったら、研究けんきゅうどころでは、あ、いや――
もとの姿すがたを取りもどさせるどころではないからのう」

 ドドォ――ン!

 今度こんどはブリーチが、ちょっと犬っぽいいたそうな声をあげて押し倒された。
土煙つちけむりがもうもうとい上がるなか、ハァハァというブリーチのいきづかいが聞こえる。


「じ、じつはさ」レンが砂塵さじんをふりはらいながらいった。
「ブリーチの心の中で、フラップが目をましたんだって。
でも、フラップはまだ、自分の体をブリーチにしてあげるつもりみたい」

「それでは、いつでもフラップはあの体を取りもどす準備じゅんびができている、
ということなのか?」

「うーん、よく分かんないけど、そういうことなんじゃないかな」

「な、なるほどのう。
なら、もうあいつのためにくすりつくってやる必要ひつようはないということか。
それはじつに残念ざんねん――あっいや! じつによかったのう、ウン!」

「しろさんさあ――」レンががっくりと首をたれた。


 ブリーチがのっそりと巨体きょたいこして立ち上がった。
もうかなりのエネルギーを消耗しょうもうしているはずなのに、まだ巨大化きょだいかつづいている。


 かれは――笑っていた。
自分のせいを、これ以上いじょうないほど実感じっかんしているかのように。


 トリケラトプスがまた角をつき出してむかってくる。
するとブリーチは、今度こんど両脚しょうあしに力をこめ、その場でどっとびはねた。
そして、トリケラトプスの背中へと、からからうまい具合ぐあいにのしかかったのだ。

 ギャオオオ―――!

 トリケラトプスがうめくような声を上げて地面にくずれた。


 ボボォ――ッ!


 まるでちほこったかのように、ブリーチがたからかにほのおをふいた。
一瞬いっしゅん、白い背中がにそまる。あつ血潮ちしおが喜びにうちふるえているのか。
 
「今じゃ! トリケラトプスの黒い覆面ふくめんを取るのじゃ。
あれさえ取り外せば、やつらの支配しはいからのがれられる!」

 だが、ブリーチはちょうど反対はんたいむきにのしかかっていたから、
トリケラトプスの頭に両手が回らなかった。

「ぼくがやろう!」

 なみだらしたフレディが飛びだした。
彼はトリケラトプスの頭の後ろに回りこみ、覆面についたねこみみをつかんだ。
フレディも大きくなっていたが、やはりブリーチの方が何回りもサイズがでかい。

「フラップ! そのままうごかないでくれよ!」

「オレは、ブリーチだってば!」

 しかし、覆面はすぐには取れなかった。
簡単かんたんはずれたりしないよう、ふに吸着きゅうちゃくする機能きのうそなわっているのだ。
フレディはわけもわからず、最初さいしょはただ力まかせに覆面をひっぱっていた。

「フレディ! その覆面に水をかけるのじゃ! そうすればすぐに外せる!」

 フレディは、はなした両手をパーの形にした。
そして、その両手から大量たいりょうの水を覆面めがけて噴射ふんしゃした。

 ドババババ――ッ!

 トリケラトプスは、自分が何をされているか見当けんとうもつかず。
頭がたきにうたれたかのようにびしょぬれになったが、あばれはしなかった。

 フレディはあらためて覆面を取り外しにかかった。

「さあ、これでおそらく大丈夫だ」


 スポーン!

 覆面は、さほど力を入れるまでもなく外された。


「やっぱりか!」フレディはなにかに気づいたようだった。

「あなたは、最初にぼくらの前に姿を見せた、あのトリケラトプスだ。
ニオイだけでもすぐに合点がてんがいったんだがね。
小さいケモノにあやつられるなんて、ふんまんやるかたなかったろう?」
 
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