隣の席のオッドアイギャルは俺の心の声が聞こえるらしい

夕凪けい

文字の大きさ
2 / 124

第2話 男の親友が可愛すぎる件について

しおりを挟む
窓の外では、桜が春の風にふわりと揺れていた。
新しい制服。新しい教室。始まったばかりの高校生活。

そんな空間では、もうすでに小さなグループができ始めていて、クラスはやけに活気づいていた。
きっと彼らは、これから“花の高校生活”を謳歌するんだろう。

──まあ、俺には関係ないけどな。

そんな眩しすぎる青春の光景を、俺は鼻で笑ってやり過ごす。

「……さっさと終わんねぇかな」

ポツリとこぼした独り言。
そのときだった。

「ゆ~ういちっ♪ なに黄昏れてんの~?」

突然、後ろから女の子みたいな声が飛んできた。

振り返ると、そこには見慣れた顔。
中学からの腐れ縁──如月 聖(きさらぎ ひじり)。

雪みたいに白い髪。ふわっと甘い匂い。細い手首。柔らかな微笑み。

──いや、どう見ても“女の子”だろこれ。
マジで誰か、「男です」って設定ミスだって言ってくれ。

こいつとは中学で転校してきたときからの付き合いで、バスケ部でも俺と蓮也と三人で“仲良しトリオ”やってた。

ネクタイをしっかり締めた制服姿に、華奢すぎるシルエット。
……何度見ても、やっぱ可愛すぎるだろ。

「おはよう、聖。今日もマジで天使じゃん……あまりの天使さにここが天界なんじゃねぇかと錯覚したわ」

毎度俺のくだらないないボケに、聖は今日も真面目にツッコミをいれる

「は!? いきなり何言ってんの!?バカじゃないの!?」

顔を真っ赤にしながら唇をぷるぷる震わせて怒る姿は──うん、俺はどうやらまだ天界にいるらしい。
俺はさらに口を開く

「いや、いつも思ってんだけどさ。
聖ってそこいらにいる女子より圧倒的に可愛いだろ。神様、性別設定ミスってますよって直訴しに行きたいレベルなんだけど?」

冗談っぽく言ったつもりだった。
……けど、本当にどこかでそう思ってる自分がいるのも事実で。

「そ、そういうことをサラッと言うのやめて!」

両手をバタバタさせながらのツッコミ。
……これはもう、どう見ても動揺してるだろ。
でも俺は、そんなふうに焦る聖を見るのがちょっと好きだったりする。

口が止まらない俺は、つい調子に乗って追撃してしまう。
「男子連中、みんなお前の顔面にやられてっからな?でも実際しゃべったら“男”って……そりゃあ、心の傷にもなるって、俺なんかもう傷つきすぎてもう痛み感じなくなってるし」

「いや、それは向こうの勝手な勘違いでしょ!?」

聖が即座にツッコミを入れてくる。
眉をピクリと吊り上げて、まるで“それは違う!”と全力で否定するアニメキャラみたいに。
……でも、その頬はほんのり赤くなっていて、やっぱりどこか照れてるようにも見えた。

「ははっ。でも、それだけお前が女の子っぽくて可愛いってことなんだよ」
ふいにでちまった本音に、俺自身ちょっと驚いた。けど、もう遅い。言葉は空気を伝って、確かに聖の胸を打った。

「べ、別に……そんなの意識してるわけじゃないし……て、てか可愛いくないし!?」

俯き気味に呟く聖の頬が、うっすらと赤く染まっていた。
目を逸らす仕草、揺れる睫毛──
そのどれもが、彼女の動揺を隠せていない。

──ん?てか
今、ちょっと声のトーンが変わったような……?

髪の毛を指先でくるくるしながら、微妙に伏し目がちな聖。
あれ? なんか照れてる?
……って考えてたら、教室のドアがガラリと開いた。

「はーい、みんな席につけー。今日からこのクラスの担任をする遠坂だ、よろしくー!」

ドアを勢いよく開けて入ってきたのは、がっしりした体格に短髪、声もやたらデカい――
うわ、いるわこういうタイプ。“あの夕日に向かって走ろうぜ!“とか言い出しそうな全力体育会系教師だ。
俺がいちばん苦手とする人種だ。

──てかなんだったんだろ、あの聖の一瞬の“声の変化”。

まるで、何かを隠してるような……そんな空気を、ふと感じた。中学時代にも時々感じていた違和感。

でも、そんな俺の思考をよそに、聖はいつもの調子でにこにこ笑っていた。

(あぁ……今日のゆういちも、やっぱりかっこいいな……)

(もし僕が、“本当は女”だって知ったら──どんな顔するんだろう?)

(男のフリして、ずっとそばにいようだなんて……やっぱり僕、どこかおかしいのかな……
ゆういちが悪いんだよ?本当はずっと昔に会ってるのに忘れてるからさ)

(でも……離れたくなかったんだ。あのときの優しさが、嬉しすぎて……)

(“男”じゃなきゃ、自分を偽らないと君と一緒にいられないってわかってたから……だから僕は──)

(……ねえ、ゆういち。君は全部を知ったとき、僕を友達と言ってくれるかな……?)

その笑顔は、やっぱり“男の笑顔”とはまた違う。

(……まあ、いっか。こいつは昔からの腐れ縁。正真正銘の“男”だし)

──このときの俺は、まだ気づいていなかった。

この“腐れ縁”が、
俺の高校生活を、とんでもなくかき乱してくる存在になるなんて──。
そして何より──  
俺の“心”まで、かき乱してくるなんてことも。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
本作は、一部にAIの補助を参考として使用しておりますが、物語の構想・キャラクター設定・表現内容の最終決定はすべて筆者自身が行っております
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...