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第55話 俺の親友(男)がスカートで登校してきたんだが!?
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「げっ、今日雨かよ」
玄関を開けた瞬間、俺の気分は一気にナイーブになる。
傘立てからビニール傘を取り出して、パチンと開く。
湿気を含んだ空気と、アスファルトに跳ねる雨音。俺のテンションは、それに比例して下がっていく。
(俺、雨ほんと嫌いなんだよな。なんか気分が落ちるし、そこから持ち直したことなんて一度もない。きっと今日は、ずっとこのまま憂鬱な気分のままだわ)
と、そんなことをぼんやり考えながら歩いていると――
「ツンツン」
背中に小さな衝撃。
「やっほ~ゆういち、おはよう~」
肩越しに振り返ると、そこにいたのは――
如月 聖(きさらぎ ひじり)。
白銀の髪に、ほんのりピンクの唇。
降りしきる雨の中、その髪はまるで雪の結晶のように輝いていた。
(……やべ、俺はついにファンタジーの世界に転生してしまったか?)
幻想的ってこういうのを言うんだろうなって、思った。
なんなら今の俺の頭の中、結婚式のチャペルの鐘が鳴り響いてるんだけど?
あのゴーンってやつ。バカみたいに、幸せの鐘。
(……あかん、雨の日、最高かもしれん)
ナイーブ? 憂鬱? どこの誰の話だよそれ。
今の俺は、もう完全に“それどころじゃない”。
「ね?偶然だね??こんなところで会うなんて!一緒に通学しよっか?」
(本当はずっとあそこの電柱の陰に隠れてゆういちが来るのを待ってたんだけど)
聖が笑顔でそう言って、傘を俺の傘にちょこんとくっつけてくる。
二人で並んで歩く帰り道――いや、違う。登校中だったわ。
俺の中で「雨=最悪」の定義が、静かに上書きされた朝だった。
「あいにくの雨だね~。僕、雨大嫌いなんだよね?その日1日暗くなってしまうっていうかさ?……ゆういちはどうなんだい?」
雪みたいに白い髪をしっとりと濡らしながら、如月 聖はいつもの調子で笑いかけてくる。
その声は、なぜだか雨音よりも耳に残った。
「……たった今、好きになったぜ。」
「え?なにそれ?」
聖が目をぱちくりさせる。
……と、その瞬間。
「ブォォォオッ!!」
轟音とともに、脇道からトラックが現れ――
ドシャァッ!!
歩道にたまっていた雨水を派手に跳ね上げた。
その水しぶきは、容赦なく聖を襲う。
「うわ~ん、もう最悪だよ~……」
制服はびしょ濡れ。
白いシャツは肌に張り付き、細身の身体のラインがあらわになる。
雨に濡れてしょんぼりした表情の聖は、なんというか……いや、言わせんなって。
(……不謹慎かもしれないが、なんかその、ものすごくエロい。)
「ったく!下手くそな運転だぜ」
(おっちゃん、素晴らしい運転をありがとうな)
だが、すぐに頭の中のベルが鳴る。
(いや待て!こいつは男だ。そう、男なんだ。たとえ見た目が女子にしか見えなくても、心が揺らいだら駄目だ。)
俺は自分を戒めつつ、なんとか平静を装って声をかける。
「……風邪ひいちゃやばいし、保健室よっていこうぜ??」
「う、うん……」
聖は小さくうなずき、俺の後ろについてくる。
ずぶ濡れのスニーカーが、水たまりを踏むたびにキュッと音を立てる。
俺たちは、雨の中を駆け抜けるようにして、校門をくぐった。
目的地は――保健室。
けれど俺の脳内には、さっきの光景がリフレインしていた。
(まったく、なんなんだよこの朝は……俺、試されてんのか?)
そう思いながら、びしょ濡れの白銀の背中を見つめていた。
(そういえば……保健室って、あんまり来たことなかったな)
俺は少しだけ緊張しながら、保健室のドアを開ける。
すると、そこには――
「…………あっ」
白衣をまとった、髪のきれいな先生がいた。
サラサラとした茶髪を後ろで結い、メガネ越しの目元は知的で優しげ。
けれど今は、どこか慌ただしい様子で、書類を次々とカバンに詰め込んでいた。
(なんだろ……すげぇ急いでる。出張か?)
そんな風に思っていると、先生がこちらの存在に気づいたようだ。
「すいません、友達が雨で……トラックの水しぶきをモロにかぶって。着替えってありますか?」
「へへ~。忙しそうにしててごめんなさいね」
と、聖が頬をかきながら少し申し訳なさそうに笑いかける。
先生は手をピタッと止めて、俺たちの方へ振り返った。
「あらまあ、それは大変!あそこのロッカーに制服が一着だけあるから、自由に使ってちょうだい。明日までに返してくれれば大丈夫だからね!」
サバサバとした口調に、こちらが恐縮する隙もない。
「それと、濡れた服はそこにある洗濯機に入れてもらって大丈夫。乾燥まで回せばフワッフワになるから。あとね……ごめんなさい、先生これから出張なの」
「え?出張?」
「ええ、生徒指導の会議なのよ~。じゃ、あとはよろしくね♪」
(へぇ~朝からカップルで通学って青春だな~♡)
パン、と手を軽く叩いて、白衣の先生は颯爽と保健室を出ていった。
白衣の裾がひらりと舞う。
嵐のように現れて、嵐のように去っていった。
「……あの先生、けっこう自由人だな」
「でも優しそうな先生だったね~」
苦笑いを浮かべながら、俺たちはしばし無言で保健室に立ち尽くす。
雨の音が遠くから聞こえるだけで、周囲はやけに静かだ。
そんな中、不意に聖が口を開いた。
「そういえばさ、うちって……制服、学ランでもブレザーでもよかったんだっけ?」
「ん? ああ、そうみたいだな。なんかこの学校、色んな学校と統合したみたいでさ、制服だったらなんでもいいらしいぜ?」
先生が去ったあと、室内には静かな雨音だけが残る。
なぜか、しばらく無言だった。
空気がふわっと止まってる感じ。居心地が悪いってほどじゃないけど、どこか気まずい沈黙。
そんな中――
「……あのさ」
聖が、ほんの少しだけ身体をモジモジと揺らしながら、ぽつりと声をこぼした。
手の指を絡めながら、視線は床の一点を見つめている。
「……その……着替え、したいんだけど……」
「ゆういち、……いつまでそこにいるの?」
聖の声はいつも通り優しかったけれど、その語尾にはうっすらと――いや、**確実に“圧”**があった。
(え、あの……これって、あきらかに「早く出てけ」って意味……だよな!?)
俺はビクッと肩をすくめて、慌てて答えた。
「お、おう、わりぃ。先に教室戻ってるわ!」
ガタッと音を立てて立ち上がり、保健室のドアを引いて脱出する。
背中に、聖の静かな視線を感じた気がした。
(……つか男同士なのに…なんで俺気遣ってでないといけないんだ?)
でも俺は知らなかった。
その背中の向こうで、とんでもないドラマが始まっていたことを――
(ゆういちのえっち……。どうせ覗こうとしたんだよね?)
(ちゃんと僕のこと“一応”男の子ってわかってるはずだよね?)
ブツブツと文句を言いながら、如月 聖はロッカーの扉を開ける。
(……まぁ、本当は女の子なんだけどさ)
ポツリと、心の中で呟いた。
濡れたズボンを脱ぎ、ロッカーの上から着替え用の制服を見つけたが…
(え……これってまさか……)
俺は自分の席に戻ると、机に突っ伏すようにして深くため息をついた。
(あーあ……マジで俺、なにやってんだか)
そんな中、隣の席に座っていた金髪オッドアイの美少女・安城 恵梨香が、ふとこちらを見て口を開いた。
「今日は如月さん、休みなの?」
「いや、通学中にトラックが水たまりを派手に跳ね飛ばしてな。全身ずぶ濡れで、保健室で着替えてる。……もうじき来るんじゃねぇか?」
「ふーん……ずぶ濡れ、ね…見たんだ?」
安城の視線がわずかに鋭くなった。なぜかちょっとだけ怒ってるようにも見える。
そんな空気が流れた次の瞬間――
ガラガラ――ッ!!
教室のドアが音を立てて開いた。
そこに立っていたのは――
ブレザー+スカート姿の如月 聖。
顔は真っ赤。恥ずかしさを隠すように視線をそらしながら、もじもじと足元を見つめていた。
(……え?)
その光景に、一瞬だけ時間が止まった気がした。
あの幻想的な白銀の髪。
そしてその下には、確かにスカートが――
(……いやいやいや!? え!? なんでスカート!?)
頭が混乱する。だけどそれ以上に、胸がバクバクと高鳴っている。
聖は気まずそうに、でもどこか覚悟を決めたような顔で、俺の席へと向かってくる
俺はその姿を見つめながら、心の中でつぶやいた。
(……もう毎日雨でいいや…)
玄関を開けた瞬間、俺の気分は一気にナイーブになる。
傘立てからビニール傘を取り出して、パチンと開く。
湿気を含んだ空気と、アスファルトに跳ねる雨音。俺のテンションは、それに比例して下がっていく。
(俺、雨ほんと嫌いなんだよな。なんか気分が落ちるし、そこから持ち直したことなんて一度もない。きっと今日は、ずっとこのまま憂鬱な気分のままだわ)
と、そんなことをぼんやり考えながら歩いていると――
「ツンツン」
背中に小さな衝撃。
「やっほ~ゆういち、おはよう~」
肩越しに振り返ると、そこにいたのは――
如月 聖(きさらぎ ひじり)。
白銀の髪に、ほんのりピンクの唇。
降りしきる雨の中、その髪はまるで雪の結晶のように輝いていた。
(……やべ、俺はついにファンタジーの世界に転生してしまったか?)
幻想的ってこういうのを言うんだろうなって、思った。
なんなら今の俺の頭の中、結婚式のチャペルの鐘が鳴り響いてるんだけど?
あのゴーンってやつ。バカみたいに、幸せの鐘。
(……あかん、雨の日、最高かもしれん)
ナイーブ? 憂鬱? どこの誰の話だよそれ。
今の俺は、もう完全に“それどころじゃない”。
「ね?偶然だね??こんなところで会うなんて!一緒に通学しよっか?」
(本当はずっとあそこの電柱の陰に隠れてゆういちが来るのを待ってたんだけど)
聖が笑顔でそう言って、傘を俺の傘にちょこんとくっつけてくる。
二人で並んで歩く帰り道――いや、違う。登校中だったわ。
俺の中で「雨=最悪」の定義が、静かに上書きされた朝だった。
「あいにくの雨だね~。僕、雨大嫌いなんだよね?その日1日暗くなってしまうっていうかさ?……ゆういちはどうなんだい?」
雪みたいに白い髪をしっとりと濡らしながら、如月 聖はいつもの調子で笑いかけてくる。
その声は、なぜだか雨音よりも耳に残った。
「……たった今、好きになったぜ。」
「え?なにそれ?」
聖が目をぱちくりさせる。
……と、その瞬間。
「ブォォォオッ!!」
轟音とともに、脇道からトラックが現れ――
ドシャァッ!!
歩道にたまっていた雨水を派手に跳ね上げた。
その水しぶきは、容赦なく聖を襲う。
「うわ~ん、もう最悪だよ~……」
制服はびしょ濡れ。
白いシャツは肌に張り付き、細身の身体のラインがあらわになる。
雨に濡れてしょんぼりした表情の聖は、なんというか……いや、言わせんなって。
(……不謹慎かもしれないが、なんかその、ものすごくエロい。)
「ったく!下手くそな運転だぜ」
(おっちゃん、素晴らしい運転をありがとうな)
だが、すぐに頭の中のベルが鳴る。
(いや待て!こいつは男だ。そう、男なんだ。たとえ見た目が女子にしか見えなくても、心が揺らいだら駄目だ。)
俺は自分を戒めつつ、なんとか平静を装って声をかける。
「……風邪ひいちゃやばいし、保健室よっていこうぜ??」
「う、うん……」
聖は小さくうなずき、俺の後ろについてくる。
ずぶ濡れのスニーカーが、水たまりを踏むたびにキュッと音を立てる。
俺たちは、雨の中を駆け抜けるようにして、校門をくぐった。
目的地は――保健室。
けれど俺の脳内には、さっきの光景がリフレインしていた。
(まったく、なんなんだよこの朝は……俺、試されてんのか?)
そう思いながら、びしょ濡れの白銀の背中を見つめていた。
(そういえば……保健室って、あんまり来たことなかったな)
俺は少しだけ緊張しながら、保健室のドアを開ける。
すると、そこには――
「…………あっ」
白衣をまとった、髪のきれいな先生がいた。
サラサラとした茶髪を後ろで結い、メガネ越しの目元は知的で優しげ。
けれど今は、どこか慌ただしい様子で、書類を次々とカバンに詰め込んでいた。
(なんだろ……すげぇ急いでる。出張か?)
そんな風に思っていると、先生がこちらの存在に気づいたようだ。
「すいません、友達が雨で……トラックの水しぶきをモロにかぶって。着替えってありますか?」
「へへ~。忙しそうにしててごめんなさいね」
と、聖が頬をかきながら少し申し訳なさそうに笑いかける。
先生は手をピタッと止めて、俺たちの方へ振り返った。
「あらまあ、それは大変!あそこのロッカーに制服が一着だけあるから、自由に使ってちょうだい。明日までに返してくれれば大丈夫だからね!」
サバサバとした口調に、こちらが恐縮する隙もない。
「それと、濡れた服はそこにある洗濯機に入れてもらって大丈夫。乾燥まで回せばフワッフワになるから。あとね……ごめんなさい、先生これから出張なの」
「え?出張?」
「ええ、生徒指導の会議なのよ~。じゃ、あとはよろしくね♪」
(へぇ~朝からカップルで通学って青春だな~♡)
パン、と手を軽く叩いて、白衣の先生は颯爽と保健室を出ていった。
白衣の裾がひらりと舞う。
嵐のように現れて、嵐のように去っていった。
「……あの先生、けっこう自由人だな」
「でも優しそうな先生だったね~」
苦笑いを浮かべながら、俺たちはしばし無言で保健室に立ち尽くす。
雨の音が遠くから聞こえるだけで、周囲はやけに静かだ。
そんな中、不意に聖が口を開いた。
「そういえばさ、うちって……制服、学ランでもブレザーでもよかったんだっけ?」
「ん? ああ、そうみたいだな。なんかこの学校、色んな学校と統合したみたいでさ、制服だったらなんでもいいらしいぜ?」
先生が去ったあと、室内には静かな雨音だけが残る。
なぜか、しばらく無言だった。
空気がふわっと止まってる感じ。居心地が悪いってほどじゃないけど、どこか気まずい沈黙。
そんな中――
「……あのさ」
聖が、ほんの少しだけ身体をモジモジと揺らしながら、ぽつりと声をこぼした。
手の指を絡めながら、視線は床の一点を見つめている。
「……その……着替え、したいんだけど……」
「ゆういち、……いつまでそこにいるの?」
聖の声はいつも通り優しかったけれど、その語尾にはうっすらと――いや、**確実に“圧”**があった。
(え、あの……これって、あきらかに「早く出てけ」って意味……だよな!?)
俺はビクッと肩をすくめて、慌てて答えた。
「お、おう、わりぃ。先に教室戻ってるわ!」
ガタッと音を立てて立ち上がり、保健室のドアを引いて脱出する。
背中に、聖の静かな視線を感じた気がした。
(……つか男同士なのに…なんで俺気遣ってでないといけないんだ?)
でも俺は知らなかった。
その背中の向こうで、とんでもないドラマが始まっていたことを――
(ゆういちのえっち……。どうせ覗こうとしたんだよね?)
(ちゃんと僕のこと“一応”男の子ってわかってるはずだよね?)
ブツブツと文句を言いながら、如月 聖はロッカーの扉を開ける。
(……まぁ、本当は女の子なんだけどさ)
ポツリと、心の中で呟いた。
濡れたズボンを脱ぎ、ロッカーの上から着替え用の制服を見つけたが…
(え……これってまさか……)
俺は自分の席に戻ると、机に突っ伏すようにして深くため息をついた。
(あーあ……マジで俺、なにやってんだか)
そんな中、隣の席に座っていた金髪オッドアイの美少女・安城 恵梨香が、ふとこちらを見て口を開いた。
「今日は如月さん、休みなの?」
「いや、通学中にトラックが水たまりを派手に跳ね飛ばしてな。全身ずぶ濡れで、保健室で着替えてる。……もうじき来るんじゃねぇか?」
「ふーん……ずぶ濡れ、ね…見たんだ?」
安城の視線がわずかに鋭くなった。なぜかちょっとだけ怒ってるようにも見える。
そんな空気が流れた次の瞬間――
ガラガラ――ッ!!
教室のドアが音を立てて開いた。
そこに立っていたのは――
ブレザー+スカート姿の如月 聖。
顔は真っ赤。恥ずかしさを隠すように視線をそらしながら、もじもじと足元を見つめていた。
(……え?)
その光景に、一瞬だけ時間が止まった気がした。
あの幻想的な白銀の髪。
そしてその下には、確かにスカートが――
(……いやいやいや!? え!? なんでスカート!?)
頭が混乱する。だけどそれ以上に、胸がバクバクと高鳴っている。
聖は気まずそうに、でもどこか覚悟を決めたような顔で、俺の席へと向かってくる
俺はその姿を見つめながら、心の中でつぶやいた。
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