俺の隣にいるのはキミがいい

第二章

砂浜遊び

「いっくよーっ！　
　それーっ！」
　蛍が勢いよくビーチボールを打ち上げた。
　青空の下、白いボールが高く跳ねて太陽の光を反射してキラキラと輝く。

「ナイス、蛍！」
　私も負けじと両手で打ち返す。
　足元の砂がふわっと沈んで、冷たい潮風が肌をくすぐった。

「ひなた、ほらこっち！」
　天音が笑いながらボールを拾って投げ返してくる。
　普段の落ち着いた雰囲気とは違って、少し子どもみたいに楽しそうだ。

「わ、わっ、ちょっと待って！　
　届かない～！」
「ほら、ちゃんと見てないと」
　天音が軽く笑って、飛んできたボールをすっとキャッチしそのまま私の目の前まで歩いてきて、頭をぽんっと撫でた。

「がんばってるの、ちゃんと見てるから」

「え……な、なにそれ……」
　急にそんなこと言うから、顔が少し熱くなる。
　蛍がすかさず横から突っ込みを入れた。

「も～天音、そういうとこズルいって！　
　ひなた照れてるじゃん！」
「べ、別に照れてないから！」

　そんな私たちを、少し離れたところで見ていた悠理と瑠夏は、パラソルの陰からこちらを見ていた。

ーーーーー

【瑠夏side】

「……楽しそうだな」
悠理がひなた達を見て、腕を組んで笑いながら呟く。
「あぁ。
……ま、別にそこまで気にしてねぇけどな」
俺はそっぽを向いたけど、その声は少しだけ硬かった。
悠理はそんな俺の横顔をちらっと見て、
「気にしてねぇって顔じゃねぇけど」と小さく笑う。

「うるせぇ」
俺は顔をそらしたまま、ペットボトルの水をぐいっと飲んだ。

でも、その視線の先にはやっぱり…ひなたがいた。