俺の隣にいるのはキミがいい

第二章

合流からの

人混みを抜けて、少し先に灯りが見える。
　どうやらみんなが待ってる場所らしかった。
　悠理がちらっと前を見て、私の手を見下ろす。

「……そろそろ離すか」
　彼はそう言って、繋いでた手をそっと離した。
　急に手のひらから温もりが消え、一瞬で冷えた気がした。

離した手のひらを見ていると
「ほら」
　悠理が自分の袖を軽く引っ張って見せる。
「まだ人多いし、逸れるといけねぇからここ掴んどけ」

　私は一瞬ぽかんとして、それから小さく頷いた。
「わかった」
　指先でそっと彼の袖の裾を掴む。
　ほんの少しだけ、ハルくんを思わせる様な、そんな安心感を感じた。

「…手、繋いでたのみんなには内緒な？」
口元に人差し指をあてて、シーとする仕草でイタズラ気な笑みを浮かべる。
そんな悠理を見て、私は小さく笑った。

　そして数歩歩くと、前方から蛍の声が聞こえてきた。

「あっ、ひなた！
無事でよかったー！」
　蛍がぱっと笑顔になって駆け寄ってくる。
　後ろには瑠夏と天音もいて、3人ともほっとしたように息をついた。

「心配したんだからね！」
「わりぃ、連れて来んのに時間かかった」
　悠理が軽く後頭部を掻く。
　その隣で、私は申し訳なさそうに3人に「ごめん」と小さく頭を下げた。
「ま、ひなたが無事戻ってきてくれたならそれで…」

　蛍がふと、私の頭に目を向ける。
「あれ？　
ひなた、お面なんか買ってたっけ？」
　不思議そうにした後、悠理の方を向いて一瞬でニヤリと笑みを浮かべる。
「ほーん、なるほどね。
種類は違うけど、お面同士おそろにしたんだ？
抜け駆けかぁ」
ニヤニヤと口元に手を添えながら笑う蛍に、瑠夏と天音がピクリと反応する。

「は？
いつの間に買ってきたんだよそれ」
「もしかして2人で合流した時？」
「あっ…うん。
そんな感じかな…」
　曖昧に笑ってごまかすと、瑠夏も天音も何かを察したかの様に「ふーん」と言って、それ以上聞いてくる事はなかった。

　その代わり、ひそかに悠理の横顔をちらっと2人が見ていて、苦笑いしながら何とも居心地の悪そうな顔をしてる悠理がいた。