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第三章
お化け屋敷
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「……で、次なんでお化け屋敷なんだよ」
瑠夏が木造建の家をモチーフにした建物を見上げる。
看板にはお化け屋敷とハッキリ書いてあって、それを見て瑠夏はげんなりした顔をしていた。
「いやいや、だってさ!
お化け屋敷って遊園地の定番じゃん!」
「そりゃそうだけどよ…。
怖くても俺助けてやんねぇからな?」
腕を組んで意地悪気にニヤリと笑う瑠夏を見て、少しムッとする。
「大丈夫!
瑠夏こそ怖がっても知らないんだからね!?」
「ハッ、俺が怖がるわけねぇじゃん」
得意気に鼻で笑って言う彼に、何だか悔しさを感じる。
「ほーん?
じゃあ瑠夏先頭だからね?」
「別にそれで構わねぇ」
強気に答える瑠夏を先頭にして、私たちは早速お化け屋敷に入った。
中は結構薄暗くて、ほんのり明かりがポツポツ付いてる程度。
これは流石にちょっと怖いかも…。
瑠夏の服の裾を無意識に握る。
「…ひなた、怖いのかよ?」
瑠夏が前を向いたまま、私に問いかけてきた。
「え?」
瑠夏の言葉に一瞬ハテナマークが浮かぶ。
でも次の瞬間にはっと気付いて、パッと裾から指を離した。
「ごめん…無意識に掴んでた!」
「…別にいいけど。
てか、暗いし掴んでた方がいいだろ。
コケるかもしれねぇし…」
暗くて顔は見えないけど、きっとこれは照れて耳まで赤くなってるやつなんじゃ…。
そう思うと、くすりと小さく笑みが溢れた。
「ありがとう、じゃあ…」
再び裾を掴もうとした時、ギュッと手を握られる。
ん!?と思いながらも、瑠夏は無言で進んでいく。
「る、瑠夏?
あの…手…」
指摘するべきかどうか悩んだけど、聞かない訳にもいかないよね。
何か間違えたとか?
いや、どんな間違いだ。
「…手の方が安心だろ、裾より」
ぶっきらぼうだけど、確かにそこに瑠夏の優しさが滲み出ていた。
「…そうだね、ありがとう!」
それを聞いた私も、ギュッと瑠夏の手を握り返した。
それからというものの、私たち2人はそれなりにお化け屋敷を満喫していた。
「る、瑠夏!
後ろ後ろ後ろ!!」
「はっ!?」
「「わぁぁぁぁっ!!」」
2人で叫んで怖がって。
そして出口から出た頃にはぐったりしていた。
「お化け屋敷楽しかったけど、結構本格的だったね…」
「あー…喉痛てぇ。
一生分叫んだ気がする」
「ははっ、瑠夏結構声上げてたもんね。
意外だった」
「うるせぇ。
蛍とか悠理とかに言うなよ…?
絶対ネタにされる」
考えただけでも想像ができてしまうのか、嫌な顔をして身震いをしていた。
「はいはい、わかってるよ。
…少し休憩しよっか。
喉も乾いたし」
「だな…」
お化け屋敷で削れたメンタルを回復するためにも、私たちは早めの昼食を取る事にした。
瑠夏が木造建の家をモチーフにした建物を見上げる。
看板にはお化け屋敷とハッキリ書いてあって、それを見て瑠夏はげんなりした顔をしていた。
「いやいや、だってさ!
お化け屋敷って遊園地の定番じゃん!」
「そりゃそうだけどよ…。
怖くても俺助けてやんねぇからな?」
腕を組んで意地悪気にニヤリと笑う瑠夏を見て、少しムッとする。
「大丈夫!
瑠夏こそ怖がっても知らないんだからね!?」
「ハッ、俺が怖がるわけねぇじゃん」
得意気に鼻で笑って言う彼に、何だか悔しさを感じる。
「ほーん?
じゃあ瑠夏先頭だからね?」
「別にそれで構わねぇ」
強気に答える瑠夏を先頭にして、私たちは早速お化け屋敷に入った。
中は結構薄暗くて、ほんのり明かりがポツポツ付いてる程度。
これは流石にちょっと怖いかも…。
瑠夏の服の裾を無意識に握る。
「…ひなた、怖いのかよ?」
瑠夏が前を向いたまま、私に問いかけてきた。
「え?」
瑠夏の言葉に一瞬ハテナマークが浮かぶ。
でも次の瞬間にはっと気付いて、パッと裾から指を離した。
「ごめん…無意識に掴んでた!」
「…別にいいけど。
てか、暗いし掴んでた方がいいだろ。
コケるかもしれねぇし…」
暗くて顔は見えないけど、きっとこれは照れて耳まで赤くなってるやつなんじゃ…。
そう思うと、くすりと小さく笑みが溢れた。
「ありがとう、じゃあ…」
再び裾を掴もうとした時、ギュッと手を握られる。
ん!?と思いながらも、瑠夏は無言で進んでいく。
「る、瑠夏?
あの…手…」
指摘するべきかどうか悩んだけど、聞かない訳にもいかないよね。
何か間違えたとか?
いや、どんな間違いだ。
「…手の方が安心だろ、裾より」
ぶっきらぼうだけど、確かにそこに瑠夏の優しさが滲み出ていた。
「…そうだね、ありがとう!」
それを聞いた私も、ギュッと瑠夏の手を握り返した。
それからというものの、私たち2人はそれなりにお化け屋敷を満喫していた。
「る、瑠夏!
後ろ後ろ後ろ!!」
「はっ!?」
「「わぁぁぁぁっ!!」」
2人で叫んで怖がって。
そして出口から出た頃にはぐったりしていた。
「お化け屋敷楽しかったけど、結構本格的だったね…」
「あー…喉痛てぇ。
一生分叫んだ気がする」
「ははっ、瑠夏結構声上げてたもんね。
意外だった」
「うるせぇ。
蛍とか悠理とかに言うなよ…?
絶対ネタにされる」
考えただけでも想像ができてしまうのか、嫌な顔をして身震いをしていた。
「はいはい、わかってるよ。
…少し休憩しよっか。
喉も乾いたし」
「だな…」
お化け屋敷で削れたメンタルを回復するためにも、私たちは早めの昼食を取る事にした。
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