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第三章
午前の部
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ついに始まった体育祭。
開会式も終えて、それぞれテントに戻っていく。
「1個目の競技なんだっけ?」
テントについて地面に座った時、隣に座った蛍が聞いてきた。
「えーと、1年生の玉入れじゃなかったっけ?」
「そっか、でその次は2年生の障害物競争だっけ?
天音と悠理が出るんでしょ?」
蛍が上を向いて、後ろに3人並んで立っている所に話しかける。
「まぁな」
「いざ出るとなると緊張するな」
2人はそれぞれ笑って返すものの、何だか余裕そうに見えた。
「おい、1年の始まるぞ」
瑠夏がまっすぐ前を向いて呟く。
「あっ、ホントだ」
今年から初めての高校の体育祭を経験する1年生達は、緊張してるように見えて初々しくて可愛かった。
私たちも去年あんな感じだったのかな…。
周りのテントの中からそれぞれ応援する声が飛び交う。
私も「がんばれ~!」と声を張って声援を送った。
…結果は残念ながら白組の勝ち。
白が1歩先に前に出た。
「やったー!
白ナイスー!」
喜ぶ蛍に、瑠夏が軽く舌打ちして悠理の方を見る。
「悠理、負けんじゃねぇぞ」
「言われなくても、手は抜かねぇよ。
相手に天音がいるしな」
腕を組んで、悠理が余裕の笑みで天音を見据える。
天音は天音で、クスッと笑って
「悠理の本気、楽しみだな」
なんて言って内心楽しそうにしてた。
何かみんな気合い入ってるな…。
私も気合い入れて応援しなきゃ!
次の障害物競技に出る為、悠理と天音はテントから出て、列に並びに行った。
「両方応援しなきゃね」
そう言うと、瑠夏は真面目な顔で
「紅組しか応援しない」
とプイッと視線を逸らした。
それを聞いた蛍が
「じゃあ私が、瑠夏の分もしっかり天音を応援しなきゃね!」
って笑ってた。
一時だけだけど、この3人で過ごすっていうの何だか珍しいよね。
でも、瑠夏の照れ隠しも蛍の明るさも見てて和むなぁ。
次の競技が始まる少しの静けさが心地よかった。
ーーーーーー
「位置についてー‥‥」
いよいよ、パーンというピストルの音と共に2年生の障害物競走が始まる。
ハードルに網くぐりにバランス棒、そしてパン食いが並んでいた。
始まって他の組の生徒たちが頑張ってゴールしていく中、最後に悠理と天音の番が回ってくる。
2人とも同時に行くらしい。
「悠理ー!
天音ー!
がんばれー!」
声を上げて2人を応援する。
瑠夏は2人の活躍を静かに見守っていて、私と蛍で応援していた。
2人とも良いペースで進んでる。
どっちも譲らない感じで、誰よりも早かった。
「悠理も天音も早いね」
「だね、流石2人とも剣道部に入ってるだけあって反射神経も運動神経も良いね」
こそこそっと蛍と耳元で話す。
「ひなたはさ、どっちが勝つと思う?」
「えー?
んー…、同着とかってありえるかな?」
2人とも本当に早いしどっちが勝ってもおかしくない。
「同着ねー…」
蛍は少し面白く無さげに呟いた。
「じゃあ蛍は?
どっちだと思う?」
聞かれたんだから聞き返しても良いよね?
「わ、私?
私は…まぁ白組だし?
天音が勝って欲しいかな」
「なるほどね」
確かに同じチームを応援するのが普通だよね。
そんな事を話してる間にも、勝負は最終局番に向って行っていた。
「2人ともパン食いに苦戦してるね」
「ね、みんな中々届かなくてあそこで苦戦してたよ」
蛍が隣で、他の子と一緒にぴょんぴょん飛んでパンを食べようとしてる2人を見てクスクスと笑っている。
確かにあの姿は普段の2人じゃ見ることできないし…何だか新鮮だった。
「…あっ」
優しく見守っていると、悠理が先にパンを加えて見事ゴールテープを切った。
「悠理が勝った!」
「えー、じゃあこの種目は紅の勝ちだね」
「だね、まぁこの種目紅がリードしてたしね」
紅に点数が加算されて喜びながらチラッと瑠夏の方を見ると、心なしか瑠夏も小さく微笑み嬉しそうだった。
「おーい、お前ら見てたか?」
手を上げながら悠理が私たちのいるテントに戻って来る。
その後ろ天音も付いて来ていた。
「お疲れ様、2人とも。
悠理凄かったね。
天音も頑張ってたけど、惜しかったよ」
そう言って2人に笑いかけると、悠理がニッとして満足げな顔をした。
「ふっ、まぁな。
天音には競技事に関しては負けたくねぇからな」
「悠理ってホント本気出すと容赦ないね。
まぁ、楽しかったけど」
負けてしまった天音も、悔しそうにしながらも笑っていた。
やっぱりこの2人っていいコンビだよね。
「これで白と赤も同点だな。
次は3年の種目か…」
「いやー、盛り上がってきたね!
午前の最後の種目に応援合戦もあるし、まだまだ頑張っていかなきゃね!」
瑠夏の呟きに答えるように、蛍が明るく言って拳を作る。
私たちは『おー!』と掛け声をかけて、やる気を出した。
まだ始まったばかりだけど、今年は最高に楽しい体育祭になりそうだった。
開会式も終えて、それぞれテントに戻っていく。
「1個目の競技なんだっけ?」
テントについて地面に座った時、隣に座った蛍が聞いてきた。
「えーと、1年生の玉入れじゃなかったっけ?」
「そっか、でその次は2年生の障害物競争だっけ?
天音と悠理が出るんでしょ?」
蛍が上を向いて、後ろに3人並んで立っている所に話しかける。
「まぁな」
「いざ出るとなると緊張するな」
2人はそれぞれ笑って返すものの、何だか余裕そうに見えた。
「おい、1年の始まるぞ」
瑠夏がまっすぐ前を向いて呟く。
「あっ、ホントだ」
今年から初めての高校の体育祭を経験する1年生達は、緊張してるように見えて初々しくて可愛かった。
私たちも去年あんな感じだったのかな…。
周りのテントの中からそれぞれ応援する声が飛び交う。
私も「がんばれ~!」と声を張って声援を送った。
…結果は残念ながら白組の勝ち。
白が1歩先に前に出た。
「やったー!
白ナイスー!」
喜ぶ蛍に、瑠夏が軽く舌打ちして悠理の方を見る。
「悠理、負けんじゃねぇぞ」
「言われなくても、手は抜かねぇよ。
相手に天音がいるしな」
腕を組んで、悠理が余裕の笑みで天音を見据える。
天音は天音で、クスッと笑って
「悠理の本気、楽しみだな」
なんて言って内心楽しそうにしてた。
何かみんな気合い入ってるな…。
私も気合い入れて応援しなきゃ!
次の障害物競技に出る為、悠理と天音はテントから出て、列に並びに行った。
「両方応援しなきゃね」
そう言うと、瑠夏は真面目な顔で
「紅組しか応援しない」
とプイッと視線を逸らした。
それを聞いた蛍が
「じゃあ私が、瑠夏の分もしっかり天音を応援しなきゃね!」
って笑ってた。
一時だけだけど、この3人で過ごすっていうの何だか珍しいよね。
でも、瑠夏の照れ隠しも蛍の明るさも見てて和むなぁ。
次の競技が始まる少しの静けさが心地よかった。
ーーーーーー
「位置についてー‥‥」
いよいよ、パーンというピストルの音と共に2年生の障害物競走が始まる。
ハードルに網くぐりにバランス棒、そしてパン食いが並んでいた。
始まって他の組の生徒たちが頑張ってゴールしていく中、最後に悠理と天音の番が回ってくる。
2人とも同時に行くらしい。
「悠理ー!
天音ー!
がんばれー!」
声を上げて2人を応援する。
瑠夏は2人の活躍を静かに見守っていて、私と蛍で応援していた。
2人とも良いペースで進んでる。
どっちも譲らない感じで、誰よりも早かった。
「悠理も天音も早いね」
「だね、流石2人とも剣道部に入ってるだけあって反射神経も運動神経も良いね」
こそこそっと蛍と耳元で話す。
「ひなたはさ、どっちが勝つと思う?」
「えー?
んー…、同着とかってありえるかな?」
2人とも本当に早いしどっちが勝ってもおかしくない。
「同着ねー…」
蛍は少し面白く無さげに呟いた。
「じゃあ蛍は?
どっちだと思う?」
聞かれたんだから聞き返しても良いよね?
「わ、私?
私は…まぁ白組だし?
天音が勝って欲しいかな」
「なるほどね」
確かに同じチームを応援するのが普通だよね。
そんな事を話してる間にも、勝負は最終局番に向って行っていた。
「2人ともパン食いに苦戦してるね」
「ね、みんな中々届かなくてあそこで苦戦してたよ」
蛍が隣で、他の子と一緒にぴょんぴょん飛んでパンを食べようとしてる2人を見てクスクスと笑っている。
確かにあの姿は普段の2人じゃ見ることできないし…何だか新鮮だった。
「…あっ」
優しく見守っていると、悠理が先にパンを加えて見事ゴールテープを切った。
「悠理が勝った!」
「えー、じゃあこの種目は紅の勝ちだね」
「だね、まぁこの種目紅がリードしてたしね」
紅に点数が加算されて喜びながらチラッと瑠夏の方を見ると、心なしか瑠夏も小さく微笑み嬉しそうだった。
「おーい、お前ら見てたか?」
手を上げながら悠理が私たちのいるテントに戻って来る。
その後ろ天音も付いて来ていた。
「お疲れ様、2人とも。
悠理凄かったね。
天音も頑張ってたけど、惜しかったよ」
そう言って2人に笑いかけると、悠理がニッとして満足げな顔をした。
「ふっ、まぁな。
天音には競技事に関しては負けたくねぇからな」
「悠理ってホント本気出すと容赦ないね。
まぁ、楽しかったけど」
負けてしまった天音も、悔しそうにしながらも笑っていた。
やっぱりこの2人っていいコンビだよね。
「これで白と赤も同点だな。
次は3年の種目か…」
「いやー、盛り上がってきたね!
午前の最後の種目に応援合戦もあるし、まだまだ頑張っていかなきゃね!」
瑠夏の呟きに答えるように、蛍が明るく言って拳を作る。
私たちは『おー!』と掛け声をかけて、やる気を出した。
まだ始まったばかりだけど、今年は最高に楽しい体育祭になりそうだった。
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