15 / 130
温室には
4
しおりを挟む
「それで、アン王女のポーションお褒めをもらったそうですね」
来年度の魔術院の予算会議の帰り道に、一緒に出席していたナーランダは、そうノエルに話しかけた。魔術院の予算は王家から出される。
王家の会計担当は非常に細かい事で有名なのだが、今日はすんなりと予算の増額の許しがでたのだ。
おそらくは、ノエルの供給したポーションが評価されている事が一つの理由だろう。
「ああ。あの薬嫌いのアン王女が、私のポーションであれば飲んでくれるとか。それからあの気分むらの激しい王女が、ポーションを摂取した後は落ち着くので、入眠前に飲んでいただくととても助かるとメイドが言っていた」
「ポーションの配合を変えたわけ・・ではありませんね」
「お前も知っている配合だ。ただ、材料だ」
ナーランダの眉が、ぴくりと動いた。
「全ての材料を、ベスの温室育ちのものに切り替えた。スミレは鎮静効果もあるけれど、ほぼ香りと味の為に配合しただけの材料だというのに、Sクラスまで育った結果、どうやら薬効が発動している様子だ」
すみれの薬効は、鎮静。
小さな子供の体に負担なく、口に優しく、眠りの世界に誘ってくれる。
ナーランダは興味深そうに話しを聞いていたが、
「ノエル様ご自身で利用されましたか?」
そう秘密の話をするように、声をひそめた。
「ああ。だが私に必要なのは導入剤ではない。紫の薬だ」
「あのように強い薬を毎日服用されては、そのうち健康を害します」
ナーランダは少し強い口調でたしなめた。
ノエルは深刻な不眠症で長年苦しんでいる。強い魔術を掛けた紫入りのポーションを摂取する事で無理やり数時間だけ眠りについているが、副作用も強い。
ノエルは答えを返さなかった。そして話題を変える為に急にナーランダに話を振った。
「所で、あの温室にあるソファは、お前のソファだろう」
ロドニーが眠っていたソファだ。
ナーランダは悪戯がバレた子供のような顔をして、白状した。
「ええ。私の古いソファです。あの温室があまりに居心地が良いので、長居するための道具が欲しくてベスに貰ってもらいました。今では昼寝をしに時々通っていますが、私の提供したソファだというのに先客が多くてね」
その先客は、ほとんどロドニーだろうことは簡単に想像できた。
ここの所ロドニーは実に生き生きとした顔色をしていて、バラ色の子供の頬のような頬を取り戻していたのだ。
「私が昼寝をする時に、色々と私の体調に合わせてくれているのか、温室の鉢植えを足元だの頭の側だのにベスが持ってきてくれるのですが、これがまた絶妙な配置なんですよ。本当にあの温室で一眠りすると、いろんなものが許されて流れていく気がして、全てが回復して午後から新しい人間になった気がするのです」
「…神話の、女神の泉のような場所だな」
どんな傷でも回復するという、創生神話の女神の泉を思い出す。
瀕死の傷をおった勇者が立ち寄った女神の泉で回復し、そして敵を倒すという話だ。
ナーランダはつぶやいた。
「あの娘は不思議な娘です。あの娘は、植物に毎朝、今日はどうして欲しいか聞くんだとか。そして聞いたことを実行しているだけだと、そう言っていました。私が疲れて温室のソファに腰掛けていると、同じように私の心と体に声をかけるそうですよ。どうして欲しいのかと。そしたら、私が元の状態に戻るのに必要なものが、わかると言っていました。大体は、ゆっくり睡眠をとって、苦目のハーブティーでデトックスが必要だと答えるそうですがね」
そして、思い出したかのようにクック、と笑うと続けた。
「昼寝から目覚めたら、光の溢れた、虹の踊る温室で、ベスが笑ってハーブティーを入れてくれるんです。運が良ければ、あの娘の得意だという田舎のクッキーまで出してくれて。生き返るとは、この事かと思います。不思議でしょうノエル様。あの魔力も持たない田舎の娘の育てる植物が、ことごとくS級に育つ理由が、私には今痛いほどわかります」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。
温室の様子を見に、ノエルはベスのもとを訪ねていった。
特に温室に用事はないが、部下が皆口を揃えてベスの温室の居心地の良さと、心や体の調子が整ったと訴えているのだ。べスの育てる植物の質の高さの秘密がそこにあるのかもしれない。
(いってみるか・・)
前触れもださずにノエルは温室を訪ねる事にする。
何か、べスには秘密があるのかもしれない。そうノエルは考えたのだ。
ナーランダもロドニーも、みな宮廷魔術師というこの国の中でも数えるほども存在しない優秀な魔術師だ。
(あの優秀な魔術院のみながそろいもそろって昼寝に向かうなど、何か中毒性のある植物の栽培がおこなわれているのかもしれない)
だがノエルの予想に反して実に意外なことに、ベスはその日は温室の中にすらいなかったのだ。
ノエルが近づくと、べスは温室の外で例の太った野良猫と遊んでいた。
魔獣ではない。正真正銘の、ただの野良猫だ。
べスはノエルに気がついた様子だ。
「あ、ノエル様。今日は温室に入れてあげられませんよ」
「なぜだ?」
「今、メイドのミッチが入ってます」
「それが、何か問題があるのか?」
そして、声をひそめた。
「あの娘、流産したばかりなんです。一生懸命立ち直ろうとしているんです。今はノエル様の温室の中で、自分一人で、自分の悲しみの心と体に向かい合いたいって言うものだから」
ちょっとそっとしてあげてください。
そうべスは言った。
王宮メイドのミッチが王妃の部屋で突然倒れた事は、ノエルも少し聞いていた。特に事件性がなかったので今まですっかり忘れていた。
ミッチは王妃付きのメイドで、時々魔術院にポーションを受け取りに、王妃の遣いとしてやってくる事がある。
その時にでもべスに、この温室に招待されたのだろう。
「そんな精神状態の娘を、温室に一人にしていても大丈夫か?」
母や姉などの信用できる女手のある場所で、ゆっくり回復をした方がいいとノエルは思うが、べスはノエルの思いとは違った言葉を返してきた。
「一人でいても、植物と動物が寄り添っていれば、一人ではないわ。人と一緒にいるのは、今は却って辛いのよ。人ではないものに寄り添ってもらって、十分準備が整ったら、その次やっと人が寄り添ってあげられる。それからようやく、人は立ち直ると思うの。今日はまだ、誰にもそばに寄って欲しくないはずよ」
でも、まずは心ゆくまで悲しむだけ悲しんで、準備ができるまで十分に悲しみの底にいないといけない。それが終わったら、やっと前に進む事ができるの。
そうつぶやくべスの顔は、まるで賢者のごとくだった。
ソファの影の上に動いているのがミッチだろう。体を抱えて嗚咽しているのが遠くからでもそのシルエットで見える。心が痛くなる。
べスは続けた。
「ミッチのご主人にはちゃんとわかってもらってます。植物ってね、ノエル様。優しいのよ。うちの植物たちはみんな元気で幸せな子たちばかりだから、痛みを抱えている生き物に、ちゃんと力を貸してくれるのよ。元気な植物のそばにいるだけで、癒える傷というものが、あるんです」
ノエルは、ナーランダが言っていたことを少し思い出した。
「・・そうか、それでお前の植物を使うと、全てポーションの効能がとてつもなく、高くなるのだな」
「気前良く与える事ができる生き物は、幸せな生き物だけです。幸せな命に囲まれていると、傷ついた生き物も、やがて元々のあるべき自分の形を思い出します」
そして、ノエルは少し微笑んで、ベスに聞いた。
「お前は、幸せなのか?だからこんなに、惜しみなく与える事ができるのか?」
ベスは大きな笑顔を見せると、躊躇することなく言った。
「幸せですよ。だって」
大きく息を吸った。
「生きているから」
来年度の魔術院の予算会議の帰り道に、一緒に出席していたナーランダは、そうノエルに話しかけた。魔術院の予算は王家から出される。
王家の会計担当は非常に細かい事で有名なのだが、今日はすんなりと予算の増額の許しがでたのだ。
おそらくは、ノエルの供給したポーションが評価されている事が一つの理由だろう。
「ああ。あの薬嫌いのアン王女が、私のポーションであれば飲んでくれるとか。それからあの気分むらの激しい王女が、ポーションを摂取した後は落ち着くので、入眠前に飲んでいただくととても助かるとメイドが言っていた」
「ポーションの配合を変えたわけ・・ではありませんね」
「お前も知っている配合だ。ただ、材料だ」
ナーランダの眉が、ぴくりと動いた。
「全ての材料を、ベスの温室育ちのものに切り替えた。スミレは鎮静効果もあるけれど、ほぼ香りと味の為に配合しただけの材料だというのに、Sクラスまで育った結果、どうやら薬効が発動している様子だ」
すみれの薬効は、鎮静。
小さな子供の体に負担なく、口に優しく、眠りの世界に誘ってくれる。
ナーランダは興味深そうに話しを聞いていたが、
「ノエル様ご自身で利用されましたか?」
そう秘密の話をするように、声をひそめた。
「ああ。だが私に必要なのは導入剤ではない。紫の薬だ」
「あのように強い薬を毎日服用されては、そのうち健康を害します」
ナーランダは少し強い口調でたしなめた。
ノエルは深刻な不眠症で長年苦しんでいる。強い魔術を掛けた紫入りのポーションを摂取する事で無理やり数時間だけ眠りについているが、副作用も強い。
ノエルは答えを返さなかった。そして話題を変える為に急にナーランダに話を振った。
「所で、あの温室にあるソファは、お前のソファだろう」
ロドニーが眠っていたソファだ。
ナーランダは悪戯がバレた子供のような顔をして、白状した。
「ええ。私の古いソファです。あの温室があまりに居心地が良いので、長居するための道具が欲しくてベスに貰ってもらいました。今では昼寝をしに時々通っていますが、私の提供したソファだというのに先客が多くてね」
その先客は、ほとんどロドニーだろうことは簡単に想像できた。
ここの所ロドニーは実に生き生きとした顔色をしていて、バラ色の子供の頬のような頬を取り戻していたのだ。
「私が昼寝をする時に、色々と私の体調に合わせてくれているのか、温室の鉢植えを足元だの頭の側だのにベスが持ってきてくれるのですが、これがまた絶妙な配置なんですよ。本当にあの温室で一眠りすると、いろんなものが許されて流れていく気がして、全てが回復して午後から新しい人間になった気がするのです」
「…神話の、女神の泉のような場所だな」
どんな傷でも回復するという、創生神話の女神の泉を思い出す。
瀕死の傷をおった勇者が立ち寄った女神の泉で回復し、そして敵を倒すという話だ。
ナーランダはつぶやいた。
「あの娘は不思議な娘です。あの娘は、植物に毎朝、今日はどうして欲しいか聞くんだとか。そして聞いたことを実行しているだけだと、そう言っていました。私が疲れて温室のソファに腰掛けていると、同じように私の心と体に声をかけるそうですよ。どうして欲しいのかと。そしたら、私が元の状態に戻るのに必要なものが、わかると言っていました。大体は、ゆっくり睡眠をとって、苦目のハーブティーでデトックスが必要だと答えるそうですがね」
そして、思い出したかのようにクック、と笑うと続けた。
「昼寝から目覚めたら、光の溢れた、虹の踊る温室で、ベスが笑ってハーブティーを入れてくれるんです。運が良ければ、あの娘の得意だという田舎のクッキーまで出してくれて。生き返るとは、この事かと思います。不思議でしょうノエル様。あの魔力も持たない田舎の娘の育てる植物が、ことごとくS級に育つ理由が、私には今痛いほどわかります」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日。
温室の様子を見に、ノエルはベスのもとを訪ねていった。
特に温室に用事はないが、部下が皆口を揃えてベスの温室の居心地の良さと、心や体の調子が整ったと訴えているのだ。べスの育てる植物の質の高さの秘密がそこにあるのかもしれない。
(いってみるか・・)
前触れもださずにノエルは温室を訪ねる事にする。
何か、べスには秘密があるのかもしれない。そうノエルは考えたのだ。
ナーランダもロドニーも、みな宮廷魔術師というこの国の中でも数えるほども存在しない優秀な魔術師だ。
(あの優秀な魔術院のみながそろいもそろって昼寝に向かうなど、何か中毒性のある植物の栽培がおこなわれているのかもしれない)
だがノエルの予想に反して実に意外なことに、ベスはその日は温室の中にすらいなかったのだ。
ノエルが近づくと、べスは温室の外で例の太った野良猫と遊んでいた。
魔獣ではない。正真正銘の、ただの野良猫だ。
べスはノエルに気がついた様子だ。
「あ、ノエル様。今日は温室に入れてあげられませんよ」
「なぜだ?」
「今、メイドのミッチが入ってます」
「それが、何か問題があるのか?」
そして、声をひそめた。
「あの娘、流産したばかりなんです。一生懸命立ち直ろうとしているんです。今はノエル様の温室の中で、自分一人で、自分の悲しみの心と体に向かい合いたいって言うものだから」
ちょっとそっとしてあげてください。
そうべスは言った。
王宮メイドのミッチが王妃の部屋で突然倒れた事は、ノエルも少し聞いていた。特に事件性がなかったので今まですっかり忘れていた。
ミッチは王妃付きのメイドで、時々魔術院にポーションを受け取りに、王妃の遣いとしてやってくる事がある。
その時にでもべスに、この温室に招待されたのだろう。
「そんな精神状態の娘を、温室に一人にしていても大丈夫か?」
母や姉などの信用できる女手のある場所で、ゆっくり回復をした方がいいとノエルは思うが、べスはノエルの思いとは違った言葉を返してきた。
「一人でいても、植物と動物が寄り添っていれば、一人ではないわ。人と一緒にいるのは、今は却って辛いのよ。人ではないものに寄り添ってもらって、十分準備が整ったら、その次やっと人が寄り添ってあげられる。それからようやく、人は立ち直ると思うの。今日はまだ、誰にもそばに寄って欲しくないはずよ」
でも、まずは心ゆくまで悲しむだけ悲しんで、準備ができるまで十分に悲しみの底にいないといけない。それが終わったら、やっと前に進む事ができるの。
そうつぶやくべスの顔は、まるで賢者のごとくだった。
ソファの影の上に動いているのがミッチだろう。体を抱えて嗚咽しているのが遠くからでもそのシルエットで見える。心が痛くなる。
べスは続けた。
「ミッチのご主人にはちゃんとわかってもらってます。植物ってね、ノエル様。優しいのよ。うちの植物たちはみんな元気で幸せな子たちばかりだから、痛みを抱えている生き物に、ちゃんと力を貸してくれるのよ。元気な植物のそばにいるだけで、癒える傷というものが、あるんです」
ノエルは、ナーランダが言っていたことを少し思い出した。
「・・そうか、それでお前の植物を使うと、全てポーションの効能がとてつもなく、高くなるのだな」
「気前良く与える事ができる生き物は、幸せな生き物だけです。幸せな命に囲まれていると、傷ついた生き物も、やがて元々のあるべき自分の形を思い出します」
そして、ノエルは少し微笑んで、ベスに聞いた。
「お前は、幸せなのか?だからこんなに、惜しみなく与える事ができるのか?」
ベスは大きな笑顔を見せると、躊躇することなく言った。
「幸せですよ。だって」
大きく息を吸った。
「生きているから」
882
あなたにおすすめの小説
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』
鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」
王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。
感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、
彼女はただ――王宮を去った。
しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。
外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、
かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。
一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。
帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、
彼女は再び“判断する側”として歩み始める。
やがて明らかになるのは、
王国が失ったのは「婚約者」ではなく、
判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。
謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。
それでも――
選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。
これは、
捨てられた令嬢が声を荒げることなく、
世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました
鍛高譚
恋愛
「経済を握る者こそ、世界を動かす――」
前世、日本の証券会社で働いていた**瑞穂紗羅(みずほ さら)**は、異世界に転生し、サラ・レティシア伯爵令嬢として生まれ変わった。
貴族社会のしがらみや婚姻政策に巻き込まれながらも、彼女はひそかに動き始める。
「まずは資金を確保しなくちゃね」
異世界の為替市場(FX)を利用し、通貨の価値変動を読み、巨額の富を得るサラ。
次に狙うは株式投資――貴族の商会やギルドに出資し、国の経済に食い込んでいく。
気づけば彼女は、両替所ネットワークと金融システムを構築し、王国の経済を裏から支配する影の実力者となっていた。
そんな中、彼女に公爵令息との婚約話が舞い込む。
しかし、公爵令息は「格下の伯爵令嬢なんて興味がない」と、一方的に婚約破棄。
それを知った公爵は激怒する――
「お前は何も分かっていない……! あの女は、この国の経済を支配する者だぞ! 世界すら掌握しかねないのだ!」
サラの金融帝国の成長は止まらない。
貴族たちは彼女にひれ伏し、国王は頼り、王太子は取り込もうとし、帝国は彼女の影響力に戦慄する。
果たしてサラは、異世界経済の頂点に立ち、さらなる世界の覇権を握るのか――?
【完結済】冷血公爵様の家で働くことになりまして~婚約破棄された侯爵令嬢ですが公爵様の侍女として働いています。なぜか溺愛され離してくれません~
北城らんまる
恋愛
**HOTランキング11位入り! ありがとうございます!**
「薄気味悪い魔女め。おまえの悪行をここにて読み上げ、断罪する」
侯爵令嬢であるレティシア・ランドハルスは、ある日、婚約者の男から魔女と断罪され、婚約破棄を言い渡される。父に勘当されたレティシアだったが、それは娘の幸せを考えて、あえてしたことだった。父の手紙に書かれていた住所に向かうと、そこはなんと冷血と知られるルヴォンヒルテ次期公爵のジルクスが一人で住んでいる別荘だった。
「あなたの侍女になります」
「本気か?」
匿ってもらうだけの女になりたくない。
レティシアはルヴォンヒルテ次期公爵の見習い侍女として、第二の人生を歩み始めた。
一方その頃、レティシアを魔女と断罪した元婚約者には、不穏な影が忍び寄っていた。
レティシアが作っていたお守りが、実は元婚約者の身を魔物から守っていたのだ。そんなことも知らない元婚約者には、どんどん不幸なことが起こり始め……。
※ざまぁ要素あり(主人公が何かをするわけではありません)
※設定はゆるふわ。
※3万文字で終わります
※全話投稿済です
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる