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エピローグ
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ナーランダの研究室は、風の通り道だ。
何種類もの薬草の合わさった香りが、大きな窓からの、爽やかな風に乗ってノエルの鼻孔をくすぐる。
窓の向こうの大きな木々の、緑の葉擦れの音が、耳に優しい。
「そうですか。おめでとうございます。ノエル様があまりに意気地なしなので、ノエル様が迎えないのであれば、私がべスを迎え入れようかと思っていました。残念です」
ノエルは、べスとの婚約を告げにこの研究室にきていたのだ。
この美貌の男が、冗談でもそんな事を口にするのは珍しい。
その王国最高峰の鑑定魔法の能力で、人の魂を鑑定できる事ができるという噂がまことしやかに流れている。
これほどの美貌と、身分であるというのに、いまだに独身を貫いているのは、美しい魂の持ち主を探し求めているからだとも、言われている。
ナーランダの発言は、おそらく全くの冗談ではないのだろう。ノエルは不愉快そうに言った。
「全く残念だったな。ベスの他をあたってくれ」
そして、ナーランダの大きな机に転がっていた、ナーランダが研究中の植物の化石を手にした。
「そんな事よりお前は新政権には参加しないつもりなのか?」
クーデターの功労者の一人である、ナーランダにはユージニアから宰相の席が用意されていた。
ナーランダは末席ではあるが、王家に籍を置く、貴人だ。
政権の中央にその身を置くべき時期と立場であるのに関わらず、ナーランダは今も、こんな魔術院の片隅で、研究を続けている。
「私は一介の魔術師でいたいのですよ。美しい魔術を通して見る世界にしか、私には興味が持てないのです。それに、ここには貴方も、ベスも、そして温室もありますしね」
ナーランダは、ニコリとほほえんだ。
「ああ、俺もどうやら粉挽きになって、ベスと二人でゆっくり田舎で暮らすのは、大分先のようだな」
ノエルは苦笑いをして、窓から見える、ノエルの温室を眺めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ええ?うそですよね、あの本の魔術師様って、エズラ様がモデルなの?」
エズラと、ロドニーと一緒に温室でお茶をしていたベスは、驚きのあまりお茶をひっくり返してしまった。
「ああ、大分大袈裟に脚色されとるがの。確かにあんな感じじゃ。妻は塔にとじこめられとった他国の王女じゃったのを、ワシが魔術で、塔から救出したのが出会いじゃ」
「え、べスは知らなかったの?」
ロドニーはびっくりした顔をべスにむけた。
どうやら相当有名な常識であるらしい。
「ほら、物語の中ではあまり名前はでてこないけど、魔術師様の名前はラズエル様だろう?あの名前はエズラ様を逆から読んだものだよ」
「姫君の名前も、エズラ様の奥様そのままだよ。姫君はベアトリーチェ様、エズラ様はべべ様とお呼びするだろう」
べスは、擦り切れるほど読み込んだ本の、あこがれの魔術師様のモデルが、まさか目の前にいる、きかん坊のじいさんだと知って、実にいやーな顔になった。
エズラの奥様も、ベスはよく知っているが、非常にふくよかで、可愛らしい女性ではあるが、誰よりも気高く美しい、物語の姫君とはだいぶかけ離れている。
「そ、そうだったんですね・・」
(道理で、ノエルは様は物語に登場する魔術についても、魔術師様についても熟知していたわけね)
憧れの魔術師様の事をベスが語ると、なぜかちょっと嫌そうな顔をしていたノエルの顔を思い出す。
多分今ベスはその時のノエルと同じ顔をしているはずだ。
「そんなにべスがあの物語を気に入っとったとはな。今度ワシが本にサインしてやろう」
「えっと・・いえ、結構です・・」
上機嫌なエズラを横眼に、べスは真っ白に燃え尽きた気分だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新女王の誕生を祝い、王都中に黄色やオレンジの、マリーゴールドの花々で埋め尽くされている。
王国はじまって以来女神神殿派初の王権、そして女王の誕生に、王都は大変な盛り上がりを見せていた。
玉座でほほえむユージニア女王の横には、隣国の女神神殿派の最大派閥である、公爵の次男が控えていた。
来年には二人の婚礼が決定している。
美しく、優秀な王配を王国に迎え、ユージニアの王権はより盤石なものとなるだろう。
ユージニアの起こしたクーデターの後、王都は一変した。
ユージニアは父王と第一王妃、第一王子を、法に則り公平に、ノエルとユージニアの殺人未遂事件の犯人として一般の魔術絡みの犯罪者も収監される監獄で、懲役を課した。
新女王は法の前には身分も魔力もなく、平等である事を、己の父である、前王の処分を遣って広く証明して見せたのだ。
そして、能力主義を掲げ、能力のあるものは性別、魔力の有無、出自を問わず、登用すると宣言した。
「私は後ろ盾の弱い身分の母を持つ、女の王族であった事から、魔物に襲われたのですから」
エロイースは、この若く美しい新女王の側近となった。
「私も、ユージニア女王のように、お父様のいう事にただ従う娘ではなくて、欲しいものは腕力で勝ち取る事にしたの」
細く白い、たおやかな令嬢の腕に力などない。
だがこの娘は三度の飯より魔術を愛する、公爵家の頭痛のタネだ。
両親が切望した社交界という場所で、家の利益となる振る舞いをして、少しでも家の利益となる貴族と政略結婚する方法ではなく、女王の側近の、国随一の攻撃魔法の使い手の女性魔術師として魔術の才能を発揮させるという形で、公爵家の問題児エロイースは公爵家に名誉をもたらせたのだ。
人形のように美しい公爵令嬢であった新女王の側近は、その比類なき攻撃魔法の威力と正確さで、「女王の雷」と呼ばれてい、エロイースは人形姫と呼ばれていた頃よりも、よほどずっと幸せそうだ。
何種類もの薬草の合わさった香りが、大きな窓からの、爽やかな風に乗ってノエルの鼻孔をくすぐる。
窓の向こうの大きな木々の、緑の葉擦れの音が、耳に優しい。
「そうですか。おめでとうございます。ノエル様があまりに意気地なしなので、ノエル様が迎えないのであれば、私がべスを迎え入れようかと思っていました。残念です」
ノエルは、べスとの婚約を告げにこの研究室にきていたのだ。
この美貌の男が、冗談でもそんな事を口にするのは珍しい。
その王国最高峰の鑑定魔法の能力で、人の魂を鑑定できる事ができるという噂がまことしやかに流れている。
これほどの美貌と、身分であるというのに、いまだに独身を貫いているのは、美しい魂の持ち主を探し求めているからだとも、言われている。
ナーランダの発言は、おそらく全くの冗談ではないのだろう。ノエルは不愉快そうに言った。
「全く残念だったな。ベスの他をあたってくれ」
そして、ナーランダの大きな机に転がっていた、ナーランダが研究中の植物の化石を手にした。
「そんな事よりお前は新政権には参加しないつもりなのか?」
クーデターの功労者の一人である、ナーランダにはユージニアから宰相の席が用意されていた。
ナーランダは末席ではあるが、王家に籍を置く、貴人だ。
政権の中央にその身を置くべき時期と立場であるのに関わらず、ナーランダは今も、こんな魔術院の片隅で、研究を続けている。
「私は一介の魔術師でいたいのですよ。美しい魔術を通して見る世界にしか、私には興味が持てないのです。それに、ここには貴方も、ベスも、そして温室もありますしね」
ナーランダは、ニコリとほほえんだ。
「ああ、俺もどうやら粉挽きになって、ベスと二人でゆっくり田舎で暮らすのは、大分先のようだな」
ノエルは苦笑いをして、窓から見える、ノエルの温室を眺めた。
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「ええ?うそですよね、あの本の魔術師様って、エズラ様がモデルなの?」
エズラと、ロドニーと一緒に温室でお茶をしていたベスは、驚きのあまりお茶をひっくり返してしまった。
「ああ、大分大袈裟に脚色されとるがの。確かにあんな感じじゃ。妻は塔にとじこめられとった他国の王女じゃったのを、ワシが魔術で、塔から救出したのが出会いじゃ」
「え、べスは知らなかったの?」
ロドニーはびっくりした顔をべスにむけた。
どうやら相当有名な常識であるらしい。
「ほら、物語の中ではあまり名前はでてこないけど、魔術師様の名前はラズエル様だろう?あの名前はエズラ様を逆から読んだものだよ」
「姫君の名前も、エズラ様の奥様そのままだよ。姫君はベアトリーチェ様、エズラ様はべべ様とお呼びするだろう」
べスは、擦り切れるほど読み込んだ本の、あこがれの魔術師様のモデルが、まさか目の前にいる、きかん坊のじいさんだと知って、実にいやーな顔になった。
エズラの奥様も、ベスはよく知っているが、非常にふくよかで、可愛らしい女性ではあるが、誰よりも気高く美しい、物語の姫君とはだいぶかけ離れている。
「そ、そうだったんですね・・」
(道理で、ノエルは様は物語に登場する魔術についても、魔術師様についても熟知していたわけね)
憧れの魔術師様の事をベスが語ると、なぜかちょっと嫌そうな顔をしていたノエルの顔を思い出す。
多分今ベスはその時のノエルと同じ顔をしているはずだ。
「そんなにべスがあの物語を気に入っとったとはな。今度ワシが本にサインしてやろう」
「えっと・・いえ、結構です・・」
上機嫌なエズラを横眼に、べスは真っ白に燃え尽きた気分だ。
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新女王の誕生を祝い、王都中に黄色やオレンジの、マリーゴールドの花々で埋め尽くされている。
王国はじまって以来女神神殿派初の王権、そして女王の誕生に、王都は大変な盛り上がりを見せていた。
玉座でほほえむユージニア女王の横には、隣国の女神神殿派の最大派閥である、公爵の次男が控えていた。
来年には二人の婚礼が決定している。
美しく、優秀な王配を王国に迎え、ユージニアの王権はより盤石なものとなるだろう。
ユージニアの起こしたクーデターの後、王都は一変した。
ユージニアは父王と第一王妃、第一王子を、法に則り公平に、ノエルとユージニアの殺人未遂事件の犯人として一般の魔術絡みの犯罪者も収監される監獄で、懲役を課した。
新女王は法の前には身分も魔力もなく、平等である事を、己の父である、前王の処分を遣って広く証明して見せたのだ。
そして、能力主義を掲げ、能力のあるものは性別、魔力の有無、出自を問わず、登用すると宣言した。
「私は後ろ盾の弱い身分の母を持つ、女の王族であった事から、魔物に襲われたのですから」
エロイースは、この若く美しい新女王の側近となった。
「私も、ユージニア女王のように、お父様のいう事にただ従う娘ではなくて、欲しいものは腕力で勝ち取る事にしたの」
細く白い、たおやかな令嬢の腕に力などない。
だがこの娘は三度の飯より魔術を愛する、公爵家の頭痛のタネだ。
両親が切望した社交界という場所で、家の利益となる振る舞いをして、少しでも家の利益となる貴族と政略結婚する方法ではなく、女王の側近の、国随一の攻撃魔法の使い手の女性魔術師として魔術の才能を発揮させるという形で、公爵家の問題児エロイースは公爵家に名誉をもたらせたのだ。
人形のように美しい公爵令嬢であった新女王の側近は、その比類なき攻撃魔法の威力と正確さで、「女王の雷」と呼ばれてい、エロイースは人形姫と呼ばれていた頃よりも、よほどずっと幸せそうだ。
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