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緑の指を持つ娘 温泉湯けむり編
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「フェリクス様、今日はここまでです。随分と、進歩されましたな」
ラッカの言葉を合図に、フェリクスは着ているものをかなぐり捨てて、包帯をはぎ取り、隣の浴室の黒い湯に飛び込んだ。
鍛錬で流した汗と、そして制御しきれなかった古い魔力がフェリクスの肌から、黒い湯に溶けてゆく。
辺りに、湯の成分である薬草のいやな匂いが立ち込める。
いつも通りの雷の魔力の鍛錬の風景だ。
フェリクスの側にノエルが近づいて、風呂につかって露わになった肌の状態を確認し、病状を書き留めている。
これも、今日摂取するポーションの調整を行う為の、毎日の日課だ。
フェリクスはちらりと自分の腕の皮膚を確認しているノエルの横顔を見てみた。
今までその造形にあまり注意を払った事はなかったが、実に美しい。
怜悧な美貌は、まるで銀細工の彫刻の如き造形で、深い紺色の瞳は知性に満ちている。
肩までの銀色の髪は、まるで月光のよう。
白い肌は雪の様にきめが細かい。
魔術師だ。おそらく室内で籠って研究している事が多いのだろう、体つきは騎士のように威圧的ではない。
中性的ともいえる、実に美しい男だ。
フェリクスは、この美しい男を前に、己の醜く爛れた皮膚を恥じた。
(これほどの貴公子であれば、どんな娘でもより取り見取りだっただろうに、なぜあの田舎娘を)
実際、ノエルの美貌に恋したまだ王女だった頃の女王立っての希望により、この男の前の婚約は結ばれているほどだ。
いつもはほとんど必要な話しかこの男とは交わしていないが、今日はふと、話がしてみたくなった。
「サラトガ魔法伯。貴殿の婚約者は平民の粉挽き娘だと、そう言っていたな」
書き物の手を止めて、ノエルは幸せそうに微笑んだ。
「ええ。私の宝です」
「・・なぜ平民の村娘を、貴殿の妻に望んだ?貴殿であれば、望めばどんな女であれど手に入っただろう」
一般的には、高位貴族と平民の婚姻は非常に難しい。
大体は二人が愛し合っていたとしても、内縁の関係にとどめ置いているのが常だ。貴族の婚姻は政治的な要素が孕む。高位貴族ともなると、結婚式まで結婚相手のお互いの顔も見た事がないなど、珍しくもない。
だが、ノエルは実家の侯爵家を、公爵家に己の実力で押し上げて、そして自らは分家して初代魔法伯となった。
魔法泊とは非常に特別な身分で、魔法伯爵としての仕事は魔術の研究が何事においても優先され、貴族の義務やしきたりはその次となる。
この男が平民の娘との婚約が許されているのも、社交界に一切顔を出さなくなった事が許されているのも、エリクサーの精製の成功という実績と、その特別な身分がなせた事だ。
ノエルはニコリと大きな笑顔で嬉しそうに笑った。
「フェリクス殿下。私は平民を妻に望んだわけではありません。ベスを妻にと望んだのです」
そしてノエルは書付を隣に置くと、外の温室に少し目をやって、言った。
フェリクスの質問の意図を理解したのだ。
「殿下。私はベスと出会うまで、長い間ひどい不眠症に悩まされていましてね」
ノエルは続ける。
「そんな時に、べスと知り合って、温室の下働きを頼んだのですが、強い薬で無理やり眠りを誘ってもなかなか眠れなかったのですが、あの娘の整える温室の中だと、本当によく眠れたのです」
「最初はあの娘の整える温室が素晴らしいからよく眠れるのだと、手放しがたい娘だ、そう思っていたのです。だがしばらくして、べスの整える温室だけではなく、どうやら私はあの娘の隣にいる事が私の心にとても心地よい事に気が付きました。一度それに気が付いてしまってから、改めてべスの可愛い顔を見てしまうと、もうこの通りです。今はベスにすっかり依存してしまっていますよ」
ノエルはおどけて、両手を空に上げて降参のポーズをした。
「・・だが、本当にそれだけが理由なのか?他になにかあるのか、こう、実はその娘が見事な楽器の名手だったり、実は非常に踊りに長けていたりだとか、化粧を施すと絶世の美人に変わるとか、特別ななにかがあるだろう?」
フェリクスは湯舟から体を乗り出した。
黒い水が湯舟からあふれ出す。
フェリクスは、自分がなぜあの田舎の娘に心が惹かれるのか、事もあろうにその娘の婚約者に直接その訳を問いただしているのだ。
(なぜ、お前はあの娘を愛しているのだ。なぜだ。お前は俺とさして変わりのない男のはずだ)
いつもらしかぬフェリクスの様子に少し戸惑ったが、ノエルは言った。
「ええ、たしかにべスは空間を整えるのが天才的に上手くて、こと温室に関しては天才だと胸を張っていえます。最近ではべスの風呂が最高なのですが、それがべスを愛した理由というわけではありません」
ノエルはうっとりと何かを思い出したかのように、頬を紅潮させて言った。
「べスと共にいると、どんな生き物でも、どんな命でも、生きとし生ける全ての命が、宝物のように尊い命だと感じるのです。ベスの隣にいるだけで、貴族や、魔術師などの飾りを取り払った後に残る、ノエルというただの欠点だらけの若者である自分がとても大切で、愛おしい命であると思える事すらできるようになりました。完璧からは程遠い、自分ですら上手く愛せない自分の嫌な部分でも、べスと共にいると、そんな部分も自分の一部だと、自分を愛おしく感じる事ができるようになったのです」
完全無欠の王太子と呼ばれていたフェリクスは、体をびくりと震わせた。
「何を持たなくとも、どんなに不完全な自分でも、自分という存在が宝物のように大切だと気付かせてくれたべスは、何者にも代えがたい娘です。楽器が上手いだの、美貌だの、身分が高いだの、そんなものに、私はもう何の興味などないのです。べスと、べスの整える空間のない人生など、私にはもう考える事もできません。ベスさえ隣にいれば私は心から幸せだというのに、他に何を望むでしょう?その上にべスのあの可愛らしさ、あの可憐さです。本当にべスを田舎から見つけてきた過去の自分を褒めてやりたい」
デへへへとばかりに、みっともない表情で顔を溶かしたノエルの姿は、メイソン家令がちょっとベスが絡むとおかしくなる、と言ってたその姿そのものだ。怜悧な美貌で魔術を展開させていた同じ男とは全く思えない。
「サラトガ魔法泊。・・もし、もしもだ。その娘に、他の男が」
フェリクスが言葉を終わらせる前に、部屋中が一気にノエルの攻撃魔法の魔力で満たされた。
急に巨大な攻撃魔法の魔力で真っ暗になった部屋に、フェリクスは背筋が凍るほどの恐怖を怯えるが、ノエルは無意識なのだろう。発動させる準備は見えない。
ノエルの足元に出現した大きな魔法陣がぐるぐると旋回しながらどんどん巨大になってゆく。
これほどの規模の攻撃魔法の魔法陣が一気に錬成されるなど、アビーブの魔法軍が一束になってもおそらくは無理だ。
「殺します」
すると、今度は急に攻撃魔法の魔力は消え失せて、ノエルはいそいそと首元からペンダントを取り出して、ニヤニヤしながらフェリクスにみせてきた。
「殿下、みてください。最近幻影魔術の転嫁で、人の姿を絵のように、こうして焼き付ける事に成功しました。これで私はどこに行くにも愛しいベスと一緒なのですよ」
銀のロケットの中には、地味きわまりない田舎娘の、実に写実的な絵が納められていた。
(戦時に使う、戦犯を探索する際の幻影魔法の転嫁ではないか)
大変高度な魔法である。
それを、国家の安寧に利用するのではなく、こうして自分の婚約者を愛でる楽しみに上機嫌で利用してフェリクスに自慢しているこの男に、フェリクスは呆れたような、うらやましいような、なんとも複雑な気持ちを抱えて黒い湯舟に頭まで沈んでいった。
ラッカの言葉を合図に、フェリクスは着ているものをかなぐり捨てて、包帯をはぎ取り、隣の浴室の黒い湯に飛び込んだ。
鍛錬で流した汗と、そして制御しきれなかった古い魔力がフェリクスの肌から、黒い湯に溶けてゆく。
辺りに、湯の成分である薬草のいやな匂いが立ち込める。
いつも通りの雷の魔力の鍛錬の風景だ。
フェリクスの側にノエルが近づいて、風呂につかって露わになった肌の状態を確認し、病状を書き留めている。
これも、今日摂取するポーションの調整を行う為の、毎日の日課だ。
フェリクスはちらりと自分の腕の皮膚を確認しているノエルの横顔を見てみた。
今までその造形にあまり注意を払った事はなかったが、実に美しい。
怜悧な美貌は、まるで銀細工の彫刻の如き造形で、深い紺色の瞳は知性に満ちている。
肩までの銀色の髪は、まるで月光のよう。
白い肌は雪の様にきめが細かい。
魔術師だ。おそらく室内で籠って研究している事が多いのだろう、体つきは騎士のように威圧的ではない。
中性的ともいえる、実に美しい男だ。
フェリクスは、この美しい男を前に、己の醜く爛れた皮膚を恥じた。
(これほどの貴公子であれば、どんな娘でもより取り見取りだっただろうに、なぜあの田舎娘を)
実際、ノエルの美貌に恋したまだ王女だった頃の女王立っての希望により、この男の前の婚約は結ばれているほどだ。
いつもはほとんど必要な話しかこの男とは交わしていないが、今日はふと、話がしてみたくなった。
「サラトガ魔法伯。貴殿の婚約者は平民の粉挽き娘だと、そう言っていたな」
書き物の手を止めて、ノエルは幸せそうに微笑んだ。
「ええ。私の宝です」
「・・なぜ平民の村娘を、貴殿の妻に望んだ?貴殿であれば、望めばどんな女であれど手に入っただろう」
一般的には、高位貴族と平民の婚姻は非常に難しい。
大体は二人が愛し合っていたとしても、内縁の関係にとどめ置いているのが常だ。貴族の婚姻は政治的な要素が孕む。高位貴族ともなると、結婚式まで結婚相手のお互いの顔も見た事がないなど、珍しくもない。
だが、ノエルは実家の侯爵家を、公爵家に己の実力で押し上げて、そして自らは分家して初代魔法伯となった。
魔法泊とは非常に特別な身分で、魔法伯爵としての仕事は魔術の研究が何事においても優先され、貴族の義務やしきたりはその次となる。
この男が平民の娘との婚約が許されているのも、社交界に一切顔を出さなくなった事が許されているのも、エリクサーの精製の成功という実績と、その特別な身分がなせた事だ。
ノエルはニコリと大きな笑顔で嬉しそうに笑った。
「フェリクス殿下。私は平民を妻に望んだわけではありません。ベスを妻にと望んだのです」
そしてノエルは書付を隣に置くと、外の温室に少し目をやって、言った。
フェリクスの質問の意図を理解したのだ。
「殿下。私はベスと出会うまで、長い間ひどい不眠症に悩まされていましてね」
ノエルは続ける。
「そんな時に、べスと知り合って、温室の下働きを頼んだのですが、強い薬で無理やり眠りを誘ってもなかなか眠れなかったのですが、あの娘の整える温室の中だと、本当によく眠れたのです」
「最初はあの娘の整える温室が素晴らしいからよく眠れるのだと、手放しがたい娘だ、そう思っていたのです。だがしばらくして、べスの整える温室だけではなく、どうやら私はあの娘の隣にいる事が私の心にとても心地よい事に気が付きました。一度それに気が付いてしまってから、改めてべスの可愛い顔を見てしまうと、もうこの通りです。今はベスにすっかり依存してしまっていますよ」
ノエルはおどけて、両手を空に上げて降参のポーズをした。
「・・だが、本当にそれだけが理由なのか?他になにかあるのか、こう、実はその娘が見事な楽器の名手だったり、実は非常に踊りに長けていたりだとか、化粧を施すと絶世の美人に変わるとか、特別ななにかがあるだろう?」
フェリクスは湯舟から体を乗り出した。
黒い水が湯舟からあふれ出す。
フェリクスは、自分がなぜあの田舎の娘に心が惹かれるのか、事もあろうにその娘の婚約者に直接その訳を問いただしているのだ。
(なぜ、お前はあの娘を愛しているのだ。なぜだ。お前は俺とさして変わりのない男のはずだ)
いつもらしかぬフェリクスの様子に少し戸惑ったが、ノエルは言った。
「ええ、たしかにべスは空間を整えるのが天才的に上手くて、こと温室に関しては天才だと胸を張っていえます。最近ではべスの風呂が最高なのですが、それがべスを愛した理由というわけではありません」
ノエルはうっとりと何かを思い出したかのように、頬を紅潮させて言った。
「べスと共にいると、どんな生き物でも、どんな命でも、生きとし生ける全ての命が、宝物のように尊い命だと感じるのです。ベスの隣にいるだけで、貴族や、魔術師などの飾りを取り払った後に残る、ノエルというただの欠点だらけの若者である自分がとても大切で、愛おしい命であると思える事すらできるようになりました。完璧からは程遠い、自分ですら上手く愛せない自分の嫌な部分でも、べスと共にいると、そんな部分も自分の一部だと、自分を愛おしく感じる事ができるようになったのです」
完全無欠の王太子と呼ばれていたフェリクスは、体をびくりと震わせた。
「何を持たなくとも、どんなに不完全な自分でも、自分という存在が宝物のように大切だと気付かせてくれたべスは、何者にも代えがたい娘です。楽器が上手いだの、美貌だの、身分が高いだの、そんなものに、私はもう何の興味などないのです。べスと、べスの整える空間のない人生など、私にはもう考える事もできません。ベスさえ隣にいれば私は心から幸せだというのに、他に何を望むでしょう?その上にべスのあの可愛らしさ、あの可憐さです。本当にべスを田舎から見つけてきた過去の自分を褒めてやりたい」
デへへへとばかりに、みっともない表情で顔を溶かしたノエルの姿は、メイソン家令がちょっとベスが絡むとおかしくなる、と言ってたその姿そのものだ。怜悧な美貌で魔術を展開させていた同じ男とは全く思えない。
「サラトガ魔法泊。・・もし、もしもだ。その娘に、他の男が」
フェリクスが言葉を終わらせる前に、部屋中が一気にノエルの攻撃魔法の魔力で満たされた。
急に巨大な攻撃魔法の魔力で真っ暗になった部屋に、フェリクスは背筋が凍るほどの恐怖を怯えるが、ノエルは無意識なのだろう。発動させる準備は見えない。
ノエルの足元に出現した大きな魔法陣がぐるぐると旋回しながらどんどん巨大になってゆく。
これほどの規模の攻撃魔法の魔法陣が一気に錬成されるなど、アビーブの魔法軍が一束になってもおそらくは無理だ。
「殺します」
すると、今度は急に攻撃魔法の魔力は消え失せて、ノエルはいそいそと首元からペンダントを取り出して、ニヤニヤしながらフェリクスにみせてきた。
「殿下、みてください。最近幻影魔術の転嫁で、人の姿を絵のように、こうして焼き付ける事に成功しました。これで私はどこに行くにも愛しいベスと一緒なのですよ」
銀のロケットの中には、地味きわまりない田舎娘の、実に写実的な絵が納められていた。
(戦時に使う、戦犯を探索する際の幻影魔法の転嫁ではないか)
大変高度な魔法である。
それを、国家の安寧に利用するのではなく、こうして自分の婚約者を愛でる楽しみに上機嫌で利用してフェリクスに自慢しているこの男に、フェリクスは呆れたような、うらやましいような、なんとも複雑な気持ちを抱えて黒い湯舟に頭まで沈んでいった。
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