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ストーカー暴走1
しおりを挟む「ずっといいなって思ってて、良かったら友達から仲良くできないかな?」
私は、人生で初めて告白というものをされたみたい。
その日もいつも通り安定の視線を感じながら登校して、安定にいつも通り授業をこなした放課後、帰ろうと人通りも少なくなった廊下で呼び止められたと思ったら告白された。
好きとは言われてないし付き合って欲しいとも言われてないけど、いいなと思ってて友達から仲良くできないかな?って発言は、まさにそういうことなんだろう。
突然のことにフリーズしている私を気にもせず、その人は言えたことにスッキリしたような表情を浮かべて私に連絡先を書いた紙を渡すと、満面の笑みで颯爽と廊下を走っていってしまった。
「えっと……あの人誰だろ…?」
手渡された紙と走り去っていったその人の背中を交互に見て、私は首を傾げるしかない。
その人は話したことも、見覚えもないような人だったから。
その謎の告白から気付けば1ヶ月程経った。その人、阿部くんっていうらしい人は隣のクラスの人の様で、暇さえあれば何かと私に声をかけてくるようになった。
声をかけてくると言っても、廊下ですれ違った時とか、自販機で飲み物を買ってる時に阿部くんもたまたま買いに来てその場で少し話したりする程度だけど。
連絡先は貰ったけどよく分からない人だったし連絡はしてない。それでもその事について阿部くんは特に何かを言って来ることも無く、人懐っこそうな笑みを浮かべて私に話しかけてするだけ。
「阿部くんってなんか、小動物みたいだね!」
「それって俺褒められてる?」
今日もまた、たまたま自販機に飲み物を買いに来た時遭遇した阿部くんとお喋りをする。
買ったのアセロラジュースを飲みながら阿部くんを見上げ何気なく伝えた。阿部くんは困ったように笑い、コーラを飲んでいた。
「一応褒め言葉だよ」
「んー……。それなら素直に喜んでおく!」
笑った阿部くんはやっぱりなんだか小動物みたいな感じで可愛らしかった。
そう、気付けばこんな感じの阿部くんとのやり取りが1ヶ月も続いていることに驚いている。
最初はよく分からない人だと思ったけど、いい人だし話してても明るくて楽しい感じの人で、阿部くんとのこの時間が私は普通に好きになっていた。
けれどそれと同時に、その頃からいつものあの視線が、なんだかいつもより痛く感じるようになった。
前まではただ見ているだけ、それか見守っていてくれてるような、そんな視線だったような気がする。
けれど最近は、そんな柔らかい視線ではなくて、なんだか突き刺さるような、強烈な視線に変わったような気がする。
私の勘違いかもしれないけど。
「小林さん」
阿部くんの昨日部活であった面白話をBGMに、アセロラジュースを飲みながらぼんやりとそんなことを考えていたら、不意に名前を呼ばれた。その声に振り向けば、灰賀くんがそこにはいた。
「灰賀くん、どうしたの?」
「次教室移動しないといけないのに小林さんが全然戻ってこないみたいだから呼びに来たんだよ」
「あ!そっか!忘れてた!灰賀くんありがとう!」
「全然気にしないで!小林さんの教科書とか持って来たから一緒に向かお」
「うん!本当にありがとう!」
移動教室なのをすっかり忘れていた。灰賀くんは慌てる私の姿にくすくす笑いながら、わざわざ持って来てくれた私の教科書や筆記用具をチラつかせ、早く行こうと急かす。
阿部くんに挨拶しようと振り返ろうとして、腕を引っ張られた。
「阿部くんだっけ?俺達はそろそろ行くね」
「え、あ、ああ…」
腕を引っ張ったのは灰賀くんで、腕を引っ張る灰賀くんに驚いた私は灰賀くんを見上げる。その間に灰賀くんは私の背後にいる阿部くんにそう言ったと思ったら、そのまま私の掴んでいる腕を引っ張って歩き出してしまった。
私も阿部くんに一言言うと振り返ろうと思ったけど、私を引っ張って歩く目の前の灰賀くんのいつもとは違うなんとも言えない様子に、そのまま阿部くんを振り返ることなく灰賀くんの背中を見つめることにした。
なんだか灰賀くんが、怖かったから。
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