8 / 49
第1章〜兄と妹と〜
第7話〜最強〜
しおりを挟む
「で、俺たちが受ければいいのはそのドラゴンの討伐か。」
「はい。ホワイトさんとミディさんには申し訳ありませんが、ギルドの依頼ですので、受けてもらえると嬉しいです。」
「そうか。なら、依頼の報酬は倒したドラゴンの素材か。」
「いえ、こちらからも白金貨10枚を予定しています。」
白金貨10枚!!?確かにドラゴンが強いって言うのは分かるけど、そんなになのか。だけど、それって・・・。
「・・・必要ない。」
「え?あ、あの」
「ギルドの依頼なのだろう?俺がそれを受け取るとして、このギルドはどうなる?国からその依頼料が払われるのか?違うだろ。」
これが本当にギルドの依頼なら、そういうことになる。国からの依頼ならそれは貰っていただろうけど、王都とは言ってもギルドはギルド。予算がもつことなんてないはずだ。
「あの、ということは。」
「このギルドが潰れると俺が困る。依頼の報酬はドラゴンの素材で十分だ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「やっぱり優しいですね。ホワイトさんは。」
「うるさい。早く依頼を片付けに行くぞ。」
△▽
てな訳で、エンレスト山の頂上に来ていた。
「ここがドラゴンの巣か。案外大きいものだな。」
「当たり前ですよ。ここにはS級なんてへでもないような化け物ドラゴンがうじゃうじゃしてるんですから。」
「そうか。トイレは済ませたか?ミディ?」
「ホワイトさん・・・。私、女性ですよ?失礼です。そう言うデリケートなことは、気にしないでください。」
「そんなことを気にしてると肌が悪くなるぞ。まだ全然若いのに。」
「それは20代後半くらいの人に言う言葉です!まったく。ホワイトさんが、ここまで女性知らずなんて知ったらみんな幻滅しちゃいますよ?」
「はは、冗談だろ?俺があんなメスゴブリン共に振り向くとでも。」
「じゃあ私には振り向きますか?」
「君は若すぎる。そもそも恋愛対象には入らないよ。」
「なるほど・・・。ふふ、良かったです。」
あれ~?僕、言葉の厳選間違えた?
「よし、ならそろそろ行くぞ。あまり、時間をかけたくない。妹に心配されたら困る。一時間で、終わらせる。」
「無茶言ってくれますね、ホワイトさん。
ですが、妹。うぅ、まだまだか~。結構大きいと思うんだけどなぁ私・・・。」
「何がまだまだで、何が大きいのかは知らんが、そろそろ準備しろ。あちら側が俺たちに気づいたらしい。」
「はい。」
先程までは静かだったこの巣から、いくつものドラゴンの声がするようになる。そして、
『人間よ。そこにいるのは分かっている。こちらへ来い。我を倒しに来たのであろう?』
「あぁ。そうさせてもらう。」
あちらの方も僕たちを歓迎してくれるんだ。何も躊躇うことも無いだろう。
「緊張してきたか?」
「まさか。私にはホワイトさんがいるんですから。」
「これは責任重大だな。」
「えぇ。私を守ってくださいね。白馬の王子様?」
『ぬ。二人か。我をたった二人で倒せると思っているとは、人間も甘く見たものよ。』
「これは・・・!」
「す、凄い。」
僕らの前に何十匹か数えられないほどのドラゴンの群れが現れる。でも、あれ。明らかに・・・。
『どうした?怖気付いたのなら、帰っても今なら何もせぬぞ?』
「いや、なんでもない。」
「やりましょうホワイトさん!私たちならきっと倒せます!」
「あぁ。」
それよりも先にこいつらを倒すことに集中しよう。
『面白い。勇気のある者よ。まずはこのモノ共を倒して見せよ!』
その瞬間、全てのドラゴンが俺たちを喰おうと迫ってくる。
「ミディ、行くぞ。」
「はい。トリプルサンダーボルテージ!」
「ディメンジョンカッター!」
「「「「キシィャァァァァ!!!」」」」
こうして、僕たちとドラゴンの戦いは幕を開けた。
△▽
あれから30分。ドラゴンの巣では未だに戦いの音が響いていた。
「ミディ、そっちに行った!」
「分かりました!援護任せます!グラビティーコアトロン!!」
彼女の放った魔法で放った範囲に重力が強くなり、地面が大きくへこむ。そして、最後の一匹である、ドラゴンが地をついた。
「ふんっ!」
「キシャァァ!!!」
僕はその隙を使い、ドラゴンの固い四肢を全て削ぐ。
「模写法!竜のオオヅメ!!」
そして、ミディが首を切断し、ドラゴンは動かなくなる。模写法とは、彼女の恩恵【模写】の力で、見た物をある程度まで再現できる恩恵だ。
『人間よ、見事だ。我の眷属を全て倒すとは。名を聞こう。』
「ホワイトだ。こいつはパーティーメンバーのミディ。」
歩いてくる。巨大な影が。
『ならばホワイト、ミディ。私も名乗るとしよう。』
影が壊れた巣の一部から、陽光が照らされ、その姿が遂に現れる。
「おいおい。」
「お、おっきい。」
『我が名はデルフォール。この巣の王にして、古竜そして、魔王だ。』
僕たちの前に現れたのは最強の竜の一種、地龍。
SS級討伐魔物だった。
『さぁ、始めるとしよう。』
そう言った瞬間、デルフォールが消え去り、突然後ろへ出現する。
『まずはおぬしからだ。』
「マスター!!」
僕の首に大きなデルフォールの爪が迫る。だけど、
『何!?』
「そりゃどうも。」
うん。普通はこんなの初見殺し。反応すらできないはず。でも、僕は反応ができる。だって、
『敵の感知は任せていただきます。』
ナビがいるし。
『くっ!ならばこれはどうだ!!』
そしてもう一度、その場から消える。
『マスター、地中にいます。』
うん。僕も見えてた。多分、僕と見せかけて、ミディに次は行くだろうね。
「ミディ!」
「は、はい!」
視線を送る。そして僕の予想通り、ミディの前の地面が、大きく裂けて、小山程ありそうな竜が出現する。
「いきます!大魔法、フル・ラブァーナ!!」
『なんだと!?グルォォォーーー!!』
そうミディが発した途端。
燃え盛る炎の塔が出現し、あのデルフォールの体を包む。
デルフォールはあまりの高熱によるダメージに張り裂けんばかりの悲鳴を上げる。
きっと中は灼熱の業火と熱さで地面が干上がっているだろう。
「いいぞ、ミディ!」
「はい、ホワイトさん!ですが、魔力があまり練っていなくてそろそろ出られてしまいます!」
「問題ない、上出来だ。次の魔法に備えろ!」
「分かりました!サポートお願いします!」
ミディは目をつぶり、僕の後ろで魔法を練り始める。
「全く、ここまで信じられると頑張るしかないじゃないか。」
そして、ミディの炎の塔が解け、その中からデルフォールが現れる。
『人間がぁ!』
「悪いがお前の強さは読めた。後は他の魔物と同じ作業だ。」
『なるほど。我を他の虫けらと同じと言うか。ならば見せよう!我の真の姿を!!巨神!!!』
そう言うとデルフォールの下の地面が浮き、デルフォールの体に張り付く。
「なるほど。それが、貴様の真の姿か。」
その姿はでかかった巨体がさらにでかくなり、もはや以前の姿が霞むようだった。
巨体はさらにでかくなり、巣の天上も壊れる。
『終わりだ。』
そして、デルフォールが足を上げて落とす。たったそれだけで、僕たちはその巨大な足になすすべも無く潰されたーーー
ーーーはずだった。
「真・浮遊魔法発動。」
僕の力はこの5年で比べ物にならない程強くなった。
『な!?そんな馬鹿な!!この姿になった我が、押し上げられているだと!?』
デルフォールの一撃は以前の僕なら確実に死んでいただろう。だけど、僕は進化した。それだけだ。
「落ちろ。」
『ぬおおおお!!!』
そして、地面へとデルフォールは落下する。ただでさえ重くなった巨体が落下し、山に亀裂が走る。
この山が火山だったら、今頃噴火していたのではないだろうか。
「ミディ!!」
「はい!充分です!フル・ラヴァーナ!!」
そして、ミディの魔法が発動。デルフォールの落ちた場所に再び炎の塔が出現する。さっきよりも何倍にも大きくなって。
「いまです!ホワイトさん、行ってください!!」
「あぁ。」
大きく跳躍。そして、僕はその炎の塔に身一つで、突っ込む。
そして、炎の中一際大きな物体を見つけた。
グラビティードラゴンだ。
「さらばだ。古き竜よ。俺たちに出会ったのが間違いであったな。ディメンジョンブレイク!!」
僕はそう唱え、一切の躊躇なしでグラビティードラゴンの体に向け、腕を大きく振る。
そして、グラビティードラゴンのその巨大な体が上下にわかれた。
『ホワイトよ。何も出来なかったのは惜しいが、良い戦いであった。感謝する。』
「俺もかなりあなたには手こずったよ。」
『ぬはははは。言わせてくれる。お主はまだ本気じゃなかろう?』
「ふっ。そうだな。だが、一番の相手だったよ。デルフォール。」
『そうか。ならよし。お主の強さ・・・あっぱれなり。』
そうしてグラビティードラゴンの眼から光がきえ、同時に炎の塔が消え去り、ミディが走ってやってくる。
「流石ですね、ホワイトさん。あの巨体をたった一太刀で切り裂くなんて。」
「ミディの魔法も見事だった。俺があの塔に入って無傷なのもミディのおかげだな。」
そう、僕が炎の塔に入って無傷でいられたのはひとしきり彼女のおかげだ。もし、あの魔法を半端に使っていたら、僕もただでは済まなかっただろう。
妹以外にこうやって目に見える成長に心から喜んでしまう人ができたのは、僕も少し変わったのかもしれない。
「え?い、いえ。私はぜ、全然ですよ。えへへ。
(やったー!ホワイトさんに褒められた!これで私がホワイトさんとこのまま・・・け、結婚しちゃったりしてぇぇぇ、いや何考えてるの私!)」
ん?なんか、ミディの顔が赤いな。
それより、これを全然と言ってしまったら、他の人はどうなってしまうんだろう。
SS級ドラゴンを怯ませる程の魔法を使える少女がいるの中々いないと思うんだけどな・・・。
『マスター。そもそも彼女の年齢で大魔法を使える者はそもそもいませんよ。』
え?僕は使えるじゃん。
『マスターはもちろん対象外です。』
もちろんって。
ナビちょっと話し合おうか。
『マスターが強すぎるのがいけません。』
と、それより。
「いや、謙遜することもない。君がこんなに強くなるのは予想してなかった。これからも俺についてきてくれ。」
「はい!一生ついて行きます!!!」
い、一生か。そこまではいいんだけど。でも、今の言葉は本当だ。僕はミディのことを頼りにしてるし親しい存在だとも思っている。僕の家にミディを招待した時もあって、その時妹にも気に入られたみたいで、凄く質問されてたし。
もちろんホワイトの姿で対応したけど。
『マスター・・・。いえ、私は何も知りません。』
「さて、この中の魔物は制圧できたが、気になっていた事がある。ドラゴンの異常発生と聞いていたが、報告に間違いがあったか?」
「えっとホワイトさん。100体もドラゴンがいる時点で、異常発生どころの話じゃないと思いますが・・・。」
「100体程度のドラゴンで異常というのなら、この世界の異常というのは随分生温いな。このドラゴンが100体ならまだ分かるが。」
「ホワイトさんだけですよ。そんなこと言えるの。
グラビティードラゴン以外もほとんどS級討伐魔物だったんですからね!と、それより依頼達成です!私たちこれで、英雄ですね。」
「英雄とはこんなことでなれ「もう!早く行きますよ!」あ、あぁ。」
でも、僕の思っていた英雄はこんな簡単になれるものじゃないと思うんだ。ナビ。
『マスター。そろそろ私が怒りますよ。』
う、うぅ。
「さぁホワイトさん。英雄の凱旋ですよ?きっと皆さん喜びますよ !なんてったって、王国の危機だったのですから!」
「!!?」
「どうしたんですか?ホワイトさん。」
「いや、なんでもない。だが俺の予想は当たりだな。」
「もう、なんですか!気になります!」
「教えない。」
「むぅ。」
「それではミディ、手を。」
「はい。」
「【ワープ】」
その瞬間、ドラゴンにいくつもの被害を与えた二人の冒険者は、まるで最初からそこにいなかったかのように、姿を消した。
二人が消えたその場は、大木は吹き飛び、そこら中の地面はクレーターへと変わり、ドラゴンの巣だった場所は壊滅し、もはや見る影もない。
・・・そして、ユマが気づいた子ドラゴンたちによって、彼らの存在は全ての魔物に広まることになる。
△▽
僕らは王都のすぐ近くの草原にワープした。
「まったく、ホワイトさんは色々と規格外過ぎます!本当にギルドからの依頼をクリアしてしまうなんて。」
「お前が言えたものではないだろう。どこにあんな強大な魔法を連発できる人間がいるんだ。」
「私たち、本当にここまで来たんですね。あれから5年ですか。」
「今更だろう。だが、早いな。5年というのは。」
そう、僕らがパーティーを結成してはや5年。
僕は今、SS級冒険者《白王の仮面》のホワイトとSS級冒険者《魔帝》のミディとして、ラットプント王国最強の冒険者として、君臨していた。
「もう、私たち普通の冒険者パーティーじゃないと思うんですよ~。」
「だから、今更だろう。SS級冒険者になったのは今に始まったことじゃない。」
「むぅ、もう知らないです!」
そうこうしていると、王都の門の前につく。
門の前では若い門番が手を振っていた。こんなことを言うのはなんだが・・・・・・暇か!
「SS級冒険者のホワイトだ。入国を申請する。」
「知ってますよ、ホワイトさん。中は凄いので気をつけてくださいね。」
あぁ、やっぱりそうか。
「ミディ、いつまでも顔を膨らませるな。例のアレだ。」
「むぅ、分かってます。」
そして、門が開けられ全容があらわになる。
「帰ってきたぞ!!」
「英雄の凱旋だ!!」
「ホワイト様~♡」
「「「「ミディーちゃーん!!!」」」」
門の前では王都中の国民たちが、僕たちを待っていた。
ミディがなんかピースしている。
「何をしている。」
「え?え、えーっと。あの、嬉しいじゃないですか。なんか、こうやって自分の名前を大勢に覚えて貰っていると。」
「はぁ。お前は絶対に俺以外について行くな。」
「は、はぇ?」
「ん?大丈夫か?顔が赤いぞ。まさか、風邪ひいたのか!?」
「だ、だいじょうぶでふ。」
おい、ナビ!!絶対おかしいよ!!!状態回復は正常に機能してる!!?
『状態回復は正常に機能してますし、彼女に異常は、ございませんよ。それと、マスター。いつぞやのことを覚えてますか?』
な、
『「なんで、血の繋がっていない人に優しくする必要があるのさ。僕は妹さえ元気であればいいの!」でしたっけ。彼女は妹では無いのでは?』
・・・。
『マスター?前言撤回ですね~。』
・・・はい。
その時のナビはまるでイタズラを成功した子供のようだった。
△▽
「え!?では、この依頼を本当に受けるんですか!!?」
「あぁ。実は俺の妹が今年の4月にそこに入学するのだ。」
「ほ、ホワイトさん妹さんいたんですか!?」
「あぁ。双子の妹でマリアルとコハルと言うのだが。そろそろ二人も12歳になるから王都の学校に行かせようと思ってな。そしたら嬉しいことに俺が教師になったら入学すると言われてしまってな。もう、その時の二人はとにかく可愛くてな。どこが可愛いかと言うとーーーーーーー
ーーーというわけで、この実践訓練教師募集依頼を受けようと思ったのだ。」
「「「「「「シスコンかよ!!!」」」」」」
「シスコンとは失敬だぞ同胞よ。俺の妹が可愛すぎるのが悪い。」
そもそも僕たちの話を聞いてたのか。暇か!!
「あ、あの。」
「なんだ?もちろんミディも受けるぞ。彼女には既に許可をとっている。」
「そうなんですか?ミディさん。」
「はい。まぁ私はホワイトさんの妹にホワイトさんを取られたくありませんから。」
「へ、へぇ・・・。で、ですが!この依頼三年はやる依頼ですよ!本来なら冒険者を引退した方に受けれる用の依頼なんですよこれ。もしかして、ホワイトさん結構高齢だったり?」
「失礼だな。これでもかなり若いのだが。」
「わ、若いんですか。えっとホワイトさんの素顔、一度も私見たことがないので。」
「そうだったか?じゃあこれでどうだ?」
そうやっておもむろに僕は受付嬢にだけ見えるように仮面を外す。
「「はぇ?」」
あれ?ミディも驚いてる。そう言えばミディの前でも仮面外したことなかったっけ?
「ほ、ホワイトさん!?だって明らかに少年だし。え、まさかそんな。」
「ど、どどどうゆうことですか!?」
「バカ!そんな大声で言ったら」
「おいおいなんだ?ホワイトの素顔がどうしたんだ?」
ほら、周りの冒険者が集まってきた・・・。
「まさか、ホワイトさんが私と多分同いど・・・。」
「ああ!お前らうるせぇ!!」
その後、僕は冒険者の質問を全てスルーし、ワープで逃げるのだった。
これはユマたちがまだ依頼を知らない時の一人の苦労人の話である。
「ギルドマスター!近くの村までドラゴンの目撃情報が!」
「何!?まずい、まずいぞ!!」
俺は王都の冒険者ギルドのギルドマスターをしているモルガイ。今日、俺の元にとんでもない情報が入ってきた。
その情報とは、王都から数十キロ離れた地にある雲にも届くほどの山、エンレスト山にどデカいドラゴンの巣ができたっていうことだ。これだけならまだいい。だが、その巣ができてから、周辺から幼竜から成竜、様々な竜の目撃情報が多発していた。そして、ついにこの王都に近いところまで、目撃情報が出てしまった。
「SS級冒険者を呼べ。今すぐだ。」
「SS級冒険者ですか!?ですが、あの者は長期の依頼は受けませんよ!?」
「大丈夫だ・・・。ギルドからの依頼と言えば、断ることなどできまい。」
「ぎ、ギルドで依頼を出すのですか!?事が事です。予算が吹き飛びますよ!」
「これは命令だ!今すぐ呼び出せ!!」
「は、はいぃー!」
「ーーーーはぁ。」
受付嬢が退出したのをみて、俺は大きく息を吐く。
「SS級か・・・。」
そして、今回依頼する冒険者の資料を手に取る。
「SS級冒険者、ホワイト。5年前に登録してからパーティーメンバーであるミディと共に数々の依頼を解決。たった一年でB級、三年でS級。そして、ひと月前SS級へ昇格か。依頼成功は9割以上。だが、残りの失敗の1割は全て、依頼の長期化・・・か。なぜ、長期だけなんだろうな。」
だが、もしあの二人が、この依頼を達成した時。
「俺はギルドマスターを辞めなければいけないだろうなぁ。」
俺はーーーもう一つ。資料の下にあった封筒をだす。
「退職金は出るか?いや、でないだろうな。」
その封筒。退職届をそこに置き、せめて最後の仕事にと、彼らの凱旋をよりいいモノにするために準備を始めた。
本日のステータス(最新された場合書きます。)
ミディ Lv6→156(14歳)
ステータス
体力360→19360
攻撃60→1560
防御18→468
素早さ90→2340
知能130→430
魔力300→7800
魔防240→6240
気力12→312
幸運B
才能S
成長スキルポイント3Lv×1獲得
スキルポイント32→142(三分の一成長比例)
※【六大魔法】40ポイント消費
スキル
【純血】スキルポイントへの影響特大
初期時スキルポイント30獲得
マジックスキル
NEW【六大魔法】
炎魔法《フル・ラヴァーナ》
水魔法《ヘル・ポセイドン》
自然魔法《グラビティーコアトロン》
風魔法《バトルダンス》
雷魔法《トリプルサンダーボルテージ》
黒魔法《ジ・コアトス》
オートスキル
【天邪鬼】スキルポイントが中々消費されない。
称号
【公爵家令嬢】才能への影響小
NEW【到達者】Lv100到達者に送られる称号。
100ポイントスキルポイント獲得。
NEW【竜魔王討伐者】竜魔王デルフォールを倒した証。体力が大幅上昇する。(10000)
恩恵
NEW【模写】見たものをある程までは再現できる。
ユマ・サテラ Lv32→254(15歳)
ステータス
体力3840→40480
攻撃165→1275
防御165→1275
素早さ325→2525
知能80→300
魔力340→2540
魔防330→2530
気力330→2530
幸運S
才能C
成長スキルポイントLv×1獲得
スキルポイント86→408(成長比例)
スキル
【鑑定】人や物のステータスや能力を測ることが、できる。
【アイテムボックス】異次元空間に対象物を閉じ込める。生命体は不可能。中は時が止まる。
【洗浄】クリーニングと唱えれば発動。対象の汚れなどを取り除く。
【建築技術】建築に関する知識を得ることができる。
【物品生成】物を実用的なものへ変える。
例)大木→木材
【アイテムメイク】魔石を必要とするアイテムを作ることができる。使用者本人の想像に依存。
マジックスキル
NEW【真・浮遊魔法】人や物を浮遊させられる。Lvに比例する。(Lv×1トン)
【幻覚魔法】
初級魔法《イリュージョン》
相手に幻覚を見せる。幻覚は自身が見せたいものにできる。対象以外に見せないことも可能。
中級魔法《ビジョン》
イリュージョンと違い、幻を使った攻撃が可能。
本来触れようとしても触れない。
上級魔法《リアルビジョン》
ビジョンの上位互換。
触れられる。
大魔法《ノーシールド》
透明な盾を出現させ、一定時間自身を守る。味方にかけることも可能。
神域魔法《□□□□□□□□□□□□》
世界に幻覚をかけ、時を止めるなどのことが可能。
【空間魔法】
上級魔法《ワープ》
一定の範囲を瞬間移動することができる。
ただし、一度行ったことがある場所が限定。
大魔法《ディメンジョン》
伸縮自在の異次元を生み出す。部屋にもすることができ、生き物が入ることが可能。
攻撃にも様々なやり方で使える。
神域魔法《異世界転移》
異世界へ行くことができる。神の世界へ移動も可能。
オートスキル
【死神】体力が0になった時発動。
体力を1にし、自信の体力を0にした相手の体力を0にする。使い次第死神は消滅する。
【状態回復】自身の以上や相手の以上を治す。
【魂食い】敵を倒すと自身を、敵と戦う前の状態に戻す。ステータスは戻らない。
【前世の記憶】前世の記憶を持つ。
称号
【神の寵愛】幸運が上昇する。
【到達者】Lv100到達者に送られる称号。
100ポイントスキルポイント獲得。
【竜魔王討伐者】竜魔王デルフォールを倒した証。体力が大幅上昇する。(10000)
恩恵
【ナビゲート】詳しくは本人に聞きましょう。
「はい。ホワイトさんとミディさんには申し訳ありませんが、ギルドの依頼ですので、受けてもらえると嬉しいです。」
「そうか。なら、依頼の報酬は倒したドラゴンの素材か。」
「いえ、こちらからも白金貨10枚を予定しています。」
白金貨10枚!!?確かにドラゴンが強いって言うのは分かるけど、そんなになのか。だけど、それって・・・。
「・・・必要ない。」
「え?あ、あの」
「ギルドの依頼なのだろう?俺がそれを受け取るとして、このギルドはどうなる?国からその依頼料が払われるのか?違うだろ。」
これが本当にギルドの依頼なら、そういうことになる。国からの依頼ならそれは貰っていただろうけど、王都とは言ってもギルドはギルド。予算がもつことなんてないはずだ。
「あの、ということは。」
「このギルドが潰れると俺が困る。依頼の報酬はドラゴンの素材で十分だ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「やっぱり優しいですね。ホワイトさんは。」
「うるさい。早く依頼を片付けに行くぞ。」
△▽
てな訳で、エンレスト山の頂上に来ていた。
「ここがドラゴンの巣か。案外大きいものだな。」
「当たり前ですよ。ここにはS級なんてへでもないような化け物ドラゴンがうじゃうじゃしてるんですから。」
「そうか。トイレは済ませたか?ミディ?」
「ホワイトさん・・・。私、女性ですよ?失礼です。そう言うデリケートなことは、気にしないでください。」
「そんなことを気にしてると肌が悪くなるぞ。まだ全然若いのに。」
「それは20代後半くらいの人に言う言葉です!まったく。ホワイトさんが、ここまで女性知らずなんて知ったらみんな幻滅しちゃいますよ?」
「はは、冗談だろ?俺があんなメスゴブリン共に振り向くとでも。」
「じゃあ私には振り向きますか?」
「君は若すぎる。そもそも恋愛対象には入らないよ。」
「なるほど・・・。ふふ、良かったです。」
あれ~?僕、言葉の厳選間違えた?
「よし、ならそろそろ行くぞ。あまり、時間をかけたくない。妹に心配されたら困る。一時間で、終わらせる。」
「無茶言ってくれますね、ホワイトさん。
ですが、妹。うぅ、まだまだか~。結構大きいと思うんだけどなぁ私・・・。」
「何がまだまだで、何が大きいのかは知らんが、そろそろ準備しろ。あちら側が俺たちに気づいたらしい。」
「はい。」
先程までは静かだったこの巣から、いくつものドラゴンの声がするようになる。そして、
『人間よ。そこにいるのは分かっている。こちらへ来い。我を倒しに来たのであろう?』
「あぁ。そうさせてもらう。」
あちらの方も僕たちを歓迎してくれるんだ。何も躊躇うことも無いだろう。
「緊張してきたか?」
「まさか。私にはホワイトさんがいるんですから。」
「これは責任重大だな。」
「えぇ。私を守ってくださいね。白馬の王子様?」
『ぬ。二人か。我をたった二人で倒せると思っているとは、人間も甘く見たものよ。』
「これは・・・!」
「す、凄い。」
僕らの前に何十匹か数えられないほどのドラゴンの群れが現れる。でも、あれ。明らかに・・・。
『どうした?怖気付いたのなら、帰っても今なら何もせぬぞ?』
「いや、なんでもない。」
「やりましょうホワイトさん!私たちならきっと倒せます!」
「あぁ。」
それよりも先にこいつらを倒すことに集中しよう。
『面白い。勇気のある者よ。まずはこのモノ共を倒して見せよ!』
その瞬間、全てのドラゴンが俺たちを喰おうと迫ってくる。
「ミディ、行くぞ。」
「はい。トリプルサンダーボルテージ!」
「ディメンジョンカッター!」
「「「「キシィャァァァァ!!!」」」」
こうして、僕たちとドラゴンの戦いは幕を開けた。
△▽
あれから30分。ドラゴンの巣では未だに戦いの音が響いていた。
「ミディ、そっちに行った!」
「分かりました!援護任せます!グラビティーコアトロン!!」
彼女の放った魔法で放った範囲に重力が強くなり、地面が大きくへこむ。そして、最後の一匹である、ドラゴンが地をついた。
「ふんっ!」
「キシャァァ!!!」
僕はその隙を使い、ドラゴンの固い四肢を全て削ぐ。
「模写法!竜のオオヅメ!!」
そして、ミディが首を切断し、ドラゴンは動かなくなる。模写法とは、彼女の恩恵【模写】の力で、見た物をある程度まで再現できる恩恵だ。
『人間よ、見事だ。我の眷属を全て倒すとは。名を聞こう。』
「ホワイトだ。こいつはパーティーメンバーのミディ。」
歩いてくる。巨大な影が。
『ならばホワイト、ミディ。私も名乗るとしよう。』
影が壊れた巣の一部から、陽光が照らされ、その姿が遂に現れる。
「おいおい。」
「お、おっきい。」
『我が名はデルフォール。この巣の王にして、古竜そして、魔王だ。』
僕たちの前に現れたのは最強の竜の一種、地龍。
SS級討伐魔物だった。
『さぁ、始めるとしよう。』
そう言った瞬間、デルフォールが消え去り、突然後ろへ出現する。
『まずはおぬしからだ。』
「マスター!!」
僕の首に大きなデルフォールの爪が迫る。だけど、
『何!?』
「そりゃどうも。」
うん。普通はこんなの初見殺し。反応すらできないはず。でも、僕は反応ができる。だって、
『敵の感知は任せていただきます。』
ナビがいるし。
『くっ!ならばこれはどうだ!!』
そしてもう一度、その場から消える。
『マスター、地中にいます。』
うん。僕も見えてた。多分、僕と見せかけて、ミディに次は行くだろうね。
「ミディ!」
「は、はい!」
視線を送る。そして僕の予想通り、ミディの前の地面が、大きく裂けて、小山程ありそうな竜が出現する。
「いきます!大魔法、フル・ラブァーナ!!」
『なんだと!?グルォォォーーー!!』
そうミディが発した途端。
燃え盛る炎の塔が出現し、あのデルフォールの体を包む。
デルフォールはあまりの高熱によるダメージに張り裂けんばかりの悲鳴を上げる。
きっと中は灼熱の業火と熱さで地面が干上がっているだろう。
「いいぞ、ミディ!」
「はい、ホワイトさん!ですが、魔力があまり練っていなくてそろそろ出られてしまいます!」
「問題ない、上出来だ。次の魔法に備えろ!」
「分かりました!サポートお願いします!」
ミディは目をつぶり、僕の後ろで魔法を練り始める。
「全く、ここまで信じられると頑張るしかないじゃないか。」
そして、ミディの炎の塔が解け、その中からデルフォールが現れる。
『人間がぁ!』
「悪いがお前の強さは読めた。後は他の魔物と同じ作業だ。」
『なるほど。我を他の虫けらと同じと言うか。ならば見せよう!我の真の姿を!!巨神!!!』
そう言うとデルフォールの下の地面が浮き、デルフォールの体に張り付く。
「なるほど。それが、貴様の真の姿か。」
その姿はでかかった巨体がさらにでかくなり、もはや以前の姿が霞むようだった。
巨体はさらにでかくなり、巣の天上も壊れる。
『終わりだ。』
そして、デルフォールが足を上げて落とす。たったそれだけで、僕たちはその巨大な足になすすべも無く潰されたーーー
ーーーはずだった。
「真・浮遊魔法発動。」
僕の力はこの5年で比べ物にならない程強くなった。
『な!?そんな馬鹿な!!この姿になった我が、押し上げられているだと!?』
デルフォールの一撃は以前の僕なら確実に死んでいただろう。だけど、僕は進化した。それだけだ。
「落ちろ。」
『ぬおおおお!!!』
そして、地面へとデルフォールは落下する。ただでさえ重くなった巨体が落下し、山に亀裂が走る。
この山が火山だったら、今頃噴火していたのではないだろうか。
「ミディ!!」
「はい!充分です!フル・ラヴァーナ!!」
そして、ミディの魔法が発動。デルフォールの落ちた場所に再び炎の塔が出現する。さっきよりも何倍にも大きくなって。
「いまです!ホワイトさん、行ってください!!」
「あぁ。」
大きく跳躍。そして、僕はその炎の塔に身一つで、突っ込む。
そして、炎の中一際大きな物体を見つけた。
グラビティードラゴンだ。
「さらばだ。古き竜よ。俺たちに出会ったのが間違いであったな。ディメンジョンブレイク!!」
僕はそう唱え、一切の躊躇なしでグラビティードラゴンの体に向け、腕を大きく振る。
そして、グラビティードラゴンのその巨大な体が上下にわかれた。
『ホワイトよ。何も出来なかったのは惜しいが、良い戦いであった。感謝する。』
「俺もかなりあなたには手こずったよ。」
『ぬはははは。言わせてくれる。お主はまだ本気じゃなかろう?』
「ふっ。そうだな。だが、一番の相手だったよ。デルフォール。」
『そうか。ならよし。お主の強さ・・・あっぱれなり。』
そうしてグラビティードラゴンの眼から光がきえ、同時に炎の塔が消え去り、ミディが走ってやってくる。
「流石ですね、ホワイトさん。あの巨体をたった一太刀で切り裂くなんて。」
「ミディの魔法も見事だった。俺があの塔に入って無傷なのもミディのおかげだな。」
そう、僕が炎の塔に入って無傷でいられたのはひとしきり彼女のおかげだ。もし、あの魔法を半端に使っていたら、僕もただでは済まなかっただろう。
妹以外にこうやって目に見える成長に心から喜んでしまう人ができたのは、僕も少し変わったのかもしれない。
「え?い、いえ。私はぜ、全然ですよ。えへへ。
(やったー!ホワイトさんに褒められた!これで私がホワイトさんとこのまま・・・け、結婚しちゃったりしてぇぇぇ、いや何考えてるの私!)」
ん?なんか、ミディの顔が赤いな。
それより、これを全然と言ってしまったら、他の人はどうなってしまうんだろう。
SS級ドラゴンを怯ませる程の魔法を使える少女がいるの中々いないと思うんだけどな・・・。
『マスター。そもそも彼女の年齢で大魔法を使える者はそもそもいませんよ。』
え?僕は使えるじゃん。
『マスターはもちろん対象外です。』
もちろんって。
ナビちょっと話し合おうか。
『マスターが強すぎるのがいけません。』
と、それより。
「いや、謙遜することもない。君がこんなに強くなるのは予想してなかった。これからも俺についてきてくれ。」
「はい!一生ついて行きます!!!」
い、一生か。そこまではいいんだけど。でも、今の言葉は本当だ。僕はミディのことを頼りにしてるし親しい存在だとも思っている。僕の家にミディを招待した時もあって、その時妹にも気に入られたみたいで、凄く質問されてたし。
もちろんホワイトの姿で対応したけど。
『マスター・・・。いえ、私は何も知りません。』
「さて、この中の魔物は制圧できたが、気になっていた事がある。ドラゴンの異常発生と聞いていたが、報告に間違いがあったか?」
「えっとホワイトさん。100体もドラゴンがいる時点で、異常発生どころの話じゃないと思いますが・・・。」
「100体程度のドラゴンで異常というのなら、この世界の異常というのは随分生温いな。このドラゴンが100体ならまだ分かるが。」
「ホワイトさんだけですよ。そんなこと言えるの。
グラビティードラゴン以外もほとんどS級討伐魔物だったんですからね!と、それより依頼達成です!私たちこれで、英雄ですね。」
「英雄とはこんなことでなれ「もう!早く行きますよ!」あ、あぁ。」
でも、僕の思っていた英雄はこんな簡単になれるものじゃないと思うんだ。ナビ。
『マスター。そろそろ私が怒りますよ。』
う、うぅ。
「さぁホワイトさん。英雄の凱旋ですよ?きっと皆さん喜びますよ !なんてったって、王国の危機だったのですから!」
「!!?」
「どうしたんですか?ホワイトさん。」
「いや、なんでもない。だが俺の予想は当たりだな。」
「もう、なんですか!気になります!」
「教えない。」
「むぅ。」
「それではミディ、手を。」
「はい。」
「【ワープ】」
その瞬間、ドラゴンにいくつもの被害を与えた二人の冒険者は、まるで最初からそこにいなかったかのように、姿を消した。
二人が消えたその場は、大木は吹き飛び、そこら中の地面はクレーターへと変わり、ドラゴンの巣だった場所は壊滅し、もはや見る影もない。
・・・そして、ユマが気づいた子ドラゴンたちによって、彼らの存在は全ての魔物に広まることになる。
△▽
僕らは王都のすぐ近くの草原にワープした。
「まったく、ホワイトさんは色々と規格外過ぎます!本当にギルドからの依頼をクリアしてしまうなんて。」
「お前が言えたものではないだろう。どこにあんな強大な魔法を連発できる人間がいるんだ。」
「私たち、本当にここまで来たんですね。あれから5年ですか。」
「今更だろう。だが、早いな。5年というのは。」
そう、僕らがパーティーを結成してはや5年。
僕は今、SS級冒険者《白王の仮面》のホワイトとSS級冒険者《魔帝》のミディとして、ラットプント王国最強の冒険者として、君臨していた。
「もう、私たち普通の冒険者パーティーじゃないと思うんですよ~。」
「だから、今更だろう。SS級冒険者になったのは今に始まったことじゃない。」
「むぅ、もう知らないです!」
そうこうしていると、王都の門の前につく。
門の前では若い門番が手を振っていた。こんなことを言うのはなんだが・・・・・・暇か!
「SS級冒険者のホワイトだ。入国を申請する。」
「知ってますよ、ホワイトさん。中は凄いので気をつけてくださいね。」
あぁ、やっぱりそうか。
「ミディ、いつまでも顔を膨らませるな。例のアレだ。」
「むぅ、分かってます。」
そして、門が開けられ全容があらわになる。
「帰ってきたぞ!!」
「英雄の凱旋だ!!」
「ホワイト様~♡」
「「「「ミディーちゃーん!!!」」」」
門の前では王都中の国民たちが、僕たちを待っていた。
ミディがなんかピースしている。
「何をしている。」
「え?え、えーっと。あの、嬉しいじゃないですか。なんか、こうやって自分の名前を大勢に覚えて貰っていると。」
「はぁ。お前は絶対に俺以外について行くな。」
「は、はぇ?」
「ん?大丈夫か?顔が赤いぞ。まさか、風邪ひいたのか!?」
「だ、だいじょうぶでふ。」
おい、ナビ!!絶対おかしいよ!!!状態回復は正常に機能してる!!?
『状態回復は正常に機能してますし、彼女に異常は、ございませんよ。それと、マスター。いつぞやのことを覚えてますか?』
な、
『「なんで、血の繋がっていない人に優しくする必要があるのさ。僕は妹さえ元気であればいいの!」でしたっけ。彼女は妹では無いのでは?』
・・・。
『マスター?前言撤回ですね~。』
・・・はい。
その時のナビはまるでイタズラを成功した子供のようだった。
△▽
「え!?では、この依頼を本当に受けるんですか!!?」
「あぁ。実は俺の妹が今年の4月にそこに入学するのだ。」
「ほ、ホワイトさん妹さんいたんですか!?」
「あぁ。双子の妹でマリアルとコハルと言うのだが。そろそろ二人も12歳になるから王都の学校に行かせようと思ってな。そしたら嬉しいことに俺が教師になったら入学すると言われてしまってな。もう、その時の二人はとにかく可愛くてな。どこが可愛いかと言うとーーーーーーー
ーーーというわけで、この実践訓練教師募集依頼を受けようと思ったのだ。」
「「「「「「シスコンかよ!!!」」」」」」
「シスコンとは失敬だぞ同胞よ。俺の妹が可愛すぎるのが悪い。」
そもそも僕たちの話を聞いてたのか。暇か!!
「あ、あの。」
「なんだ?もちろんミディも受けるぞ。彼女には既に許可をとっている。」
「そうなんですか?ミディさん。」
「はい。まぁ私はホワイトさんの妹にホワイトさんを取られたくありませんから。」
「へ、へぇ・・・。で、ですが!この依頼三年はやる依頼ですよ!本来なら冒険者を引退した方に受けれる用の依頼なんですよこれ。もしかして、ホワイトさん結構高齢だったり?」
「失礼だな。これでもかなり若いのだが。」
「わ、若いんですか。えっとホワイトさんの素顔、一度も私見たことがないので。」
「そうだったか?じゃあこれでどうだ?」
そうやっておもむろに僕は受付嬢にだけ見えるように仮面を外す。
「「はぇ?」」
あれ?ミディも驚いてる。そう言えばミディの前でも仮面外したことなかったっけ?
「ほ、ホワイトさん!?だって明らかに少年だし。え、まさかそんな。」
「ど、どどどうゆうことですか!?」
「バカ!そんな大声で言ったら」
「おいおいなんだ?ホワイトの素顔がどうしたんだ?」
ほら、周りの冒険者が集まってきた・・・。
「まさか、ホワイトさんが私と多分同いど・・・。」
「ああ!お前らうるせぇ!!」
その後、僕は冒険者の質問を全てスルーし、ワープで逃げるのだった。
これはユマたちがまだ依頼を知らない時の一人の苦労人の話である。
「ギルドマスター!近くの村までドラゴンの目撃情報が!」
「何!?まずい、まずいぞ!!」
俺は王都の冒険者ギルドのギルドマスターをしているモルガイ。今日、俺の元にとんでもない情報が入ってきた。
その情報とは、王都から数十キロ離れた地にある雲にも届くほどの山、エンレスト山にどデカいドラゴンの巣ができたっていうことだ。これだけならまだいい。だが、その巣ができてから、周辺から幼竜から成竜、様々な竜の目撃情報が多発していた。そして、ついにこの王都に近いところまで、目撃情報が出てしまった。
「SS級冒険者を呼べ。今すぐだ。」
「SS級冒険者ですか!?ですが、あの者は長期の依頼は受けませんよ!?」
「大丈夫だ・・・。ギルドからの依頼と言えば、断ることなどできまい。」
「ぎ、ギルドで依頼を出すのですか!?事が事です。予算が吹き飛びますよ!」
「これは命令だ!今すぐ呼び出せ!!」
「は、はいぃー!」
「ーーーーはぁ。」
受付嬢が退出したのをみて、俺は大きく息を吐く。
「SS級か・・・。」
そして、今回依頼する冒険者の資料を手に取る。
「SS級冒険者、ホワイト。5年前に登録してからパーティーメンバーであるミディと共に数々の依頼を解決。たった一年でB級、三年でS級。そして、ひと月前SS級へ昇格か。依頼成功は9割以上。だが、残りの失敗の1割は全て、依頼の長期化・・・か。なぜ、長期だけなんだろうな。」
だが、もしあの二人が、この依頼を達成した時。
「俺はギルドマスターを辞めなければいけないだろうなぁ。」
俺はーーーもう一つ。資料の下にあった封筒をだす。
「退職金は出るか?いや、でないだろうな。」
その封筒。退職届をそこに置き、せめて最後の仕事にと、彼らの凱旋をよりいいモノにするために準備を始めた。
本日のステータス(最新された場合書きます。)
ミディ Lv6→156(14歳)
ステータス
体力360→19360
攻撃60→1560
防御18→468
素早さ90→2340
知能130→430
魔力300→7800
魔防240→6240
気力12→312
幸運B
才能S
成長スキルポイント3Lv×1獲得
スキルポイント32→142(三分の一成長比例)
※【六大魔法】40ポイント消費
スキル
【純血】スキルポイントへの影響特大
初期時スキルポイント30獲得
マジックスキル
NEW【六大魔法】
炎魔法《フル・ラヴァーナ》
水魔法《ヘル・ポセイドン》
自然魔法《グラビティーコアトロン》
風魔法《バトルダンス》
雷魔法《トリプルサンダーボルテージ》
黒魔法《ジ・コアトス》
オートスキル
【天邪鬼】スキルポイントが中々消費されない。
称号
【公爵家令嬢】才能への影響小
NEW【到達者】Lv100到達者に送られる称号。
100ポイントスキルポイント獲得。
NEW【竜魔王討伐者】竜魔王デルフォールを倒した証。体力が大幅上昇する。(10000)
恩恵
NEW【模写】見たものをある程までは再現できる。
ユマ・サテラ Lv32→254(15歳)
ステータス
体力3840→40480
攻撃165→1275
防御165→1275
素早さ325→2525
知能80→300
魔力340→2540
魔防330→2530
気力330→2530
幸運S
才能C
成長スキルポイントLv×1獲得
スキルポイント86→408(成長比例)
スキル
【鑑定】人や物のステータスや能力を測ることが、できる。
【アイテムボックス】異次元空間に対象物を閉じ込める。生命体は不可能。中は時が止まる。
【洗浄】クリーニングと唱えれば発動。対象の汚れなどを取り除く。
【建築技術】建築に関する知識を得ることができる。
【物品生成】物を実用的なものへ変える。
例)大木→木材
【アイテムメイク】魔石を必要とするアイテムを作ることができる。使用者本人の想像に依存。
マジックスキル
NEW【真・浮遊魔法】人や物を浮遊させられる。Lvに比例する。(Lv×1トン)
【幻覚魔法】
初級魔法《イリュージョン》
相手に幻覚を見せる。幻覚は自身が見せたいものにできる。対象以外に見せないことも可能。
中級魔法《ビジョン》
イリュージョンと違い、幻を使った攻撃が可能。
本来触れようとしても触れない。
上級魔法《リアルビジョン》
ビジョンの上位互換。
触れられる。
大魔法《ノーシールド》
透明な盾を出現させ、一定時間自身を守る。味方にかけることも可能。
神域魔法《□□□□□□□□□□□□》
世界に幻覚をかけ、時を止めるなどのことが可能。
【空間魔法】
上級魔法《ワープ》
一定の範囲を瞬間移動することができる。
ただし、一度行ったことがある場所が限定。
大魔法《ディメンジョン》
伸縮自在の異次元を生み出す。部屋にもすることができ、生き物が入ることが可能。
攻撃にも様々なやり方で使える。
神域魔法《異世界転移》
異世界へ行くことができる。神の世界へ移動も可能。
オートスキル
【死神】体力が0になった時発動。
体力を1にし、自信の体力を0にした相手の体力を0にする。使い次第死神は消滅する。
【状態回復】自身の以上や相手の以上を治す。
【魂食い】敵を倒すと自身を、敵と戦う前の状態に戻す。ステータスは戻らない。
【前世の記憶】前世の記憶を持つ。
称号
【神の寵愛】幸運が上昇する。
【到達者】Lv100到達者に送られる称号。
100ポイントスキルポイント獲得。
【竜魔王討伐者】竜魔王デルフォールを倒した証。体力が大幅上昇する。(10000)
恩恵
【ナビゲート】詳しくは本人に聞きましょう。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います
あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。
化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。
所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。
親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。
そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。
実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。
おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。
そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。
※タイトルはそのうち変更するかもしれません※
※お気に入り登録お願いします!※
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる