シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第1章〜兄と妹と〜

第15話〜鎌を持ったもの〜

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ーー俺の邪魔をするやつは全て殺すーー

「お前は間違っている。人が人を殺して何になる?お主はその考えが如何に傲慢なのか知るべきじゃ。」

ーーなるほどな。だがそれがお前たちならどうだーー

「それはお主と我らの戦いを意味するが・・・。」

ーーラットプント。お前たちの国には豊富な資源があったな?ーー

「止めておけ。お主は儂の国には勝てない。鏡を見ろ、人を見ろ、国民を見ろ。お前には何も見えていない。」

ーーこの老いぼれが!!ーー

「いつかお前は破滅するだろう。それは今ではないかもしれない。だがいつか。」

ーーいいだろう、戦争だ。俺はお前たちの国は滅びる。俺だけの力で。ーー

「もはや無駄か・・・。儂は行く。だが次は敵だということを忘れるな。」





「ふははは!!」
「どうしたのですか?ラーカン様。」

「なんでもない。・・・滅びたのはお前だったな、クロホォル。」
「クロホォル・・・あぁラットプント王国のことですか。今頃地図から消え失せているでしょうね。」

「王国と戦い始め、はや30年。勇者の世界では三度目の正直と言うのだったな。考えたやつを迎え入れてやりたい気分だ。」

だがなんだ。この胸騒ぎは・・・。
俺がこの勝負に勝ったというのに。まだ終わっていないような。

「大臣、王国の現状を知りたい。もはやあそこは土だろうが、どうだ?」
「分かりましたラーカン様、今すぐ私が、」

「た、大変です!!」
なんだ。こんな良い時に、伝令か?まさか前線が崩れたか。

「前線のことだろう。ならもう大丈」
「一部の国民が革命を起こしました!!」

「「・・・・・・何!?」」

何故だ。なぜこんな時に。ま、まさか!!

「騎士団長ブオーン様も、副騎士団長ゼロフェニス様も不在の身です。奴ら、この気を狙い攻めてきました。」
「クソっ!今すぐ前線から騎士長たちを連れ戻せ!大至急だ!!くそ。俺は王国を滅ぼしたんだぞ!なのになぜだ。なぜ、こんな時に革命が起こる!!!」
「全くだ。ラーカン様が念願の王国の侵略に成功したというのに。」
「その事なのですが・・・革命を起こしたのは、主にラットプント王国の関係者だそうで、そこには主に商人や、王国に家族が居るものが多数だそうです。」

「商人だと!?何故商人が革命に参加する!!?」
「ラーカン様、恐らく商売相手を多数殺され路頭に迷う者が出るからでしょう。ですがそんな小規模の商人でも侮れません。革命を起こした国民は必ず武器や防具を装着している可能性があります。そうなると、周りの者たちもいずれ・・・。」

革命に参加すると言うのか。馬鹿な!!今の今まで俺の国で生きてきて、俺の温情を受けている国民が参加をすると?

「有り得る訳が無い!俺は王だぞ。この国の王だ。俺のやっていることは全て正しい。王国の資源は手に入った。なのにそれを欲しないと言うのか、バカ者共が!!!」

俺が激高することで、周りの者たちが急に黙る。そうだ、俺はこれほどの権力と全てを支配する力がある。俺のすることは全て正しい。

「殺せ。」
「ラーカン様・・・今なんと。」
「殺せと言っている!!俺に逆らう者は全て殺せ!報酬は王国の資源。今この国にいる全ての貴族に伝令しろ!!!」

「はっ!!」
「待ち・・・ラーカン様、不味いですよ。こんなことをしてしまえば、立て直すのは相当な時間が・・・。」
「・・・分かっている。10年はかかるだろうな。」


やがて、外で銃声や悲鳴が聞こえるようになる。大臣が言っていたように、本当に革命に参加する者が増えていったようだ。

ただ、ここからラーカンに異変が起こっていたことは、大臣にも、誰にも分からなかった。







「俺は・・・。」
「ラーカン様?」
「いやなんでもない。」

なんでもないはずだ。何故今、何かが・・・。


あぁ。そうか。

「大臣、俺は死ぬのかもな・・・。」
「何を言ってるのですか、ラーカン様!国民は着実に戦意が薄れていっています。やはり、魔道具などを使ったのが予想外だったのでしょう。」

「本当にそう思うか。」
「・・・ラーカン様?」

そこからは俺には聞こえていなかった。だんだん大臣の声が薄れていった。俺自身も、その事に全く違和感がないほどに。




『そろそろね・・・。』




「もうやめましょう、お父様。」

ん?・・・なぜ、お前がそこにいる。なぜ、お前がそこに立っている。

「なぜ、お前がいるんだ、カリファ?」

俺の目の前に急に現れたのは娘のカリファだった。
何故、お前が・・・お前は確か・・・。

「お父様、私に約束しましたよね。国民は全て自分の物。自分の物なのだから、何人足りともそれを傷つけさせない。あの頃のあなたは何処へ行ってしまったのですか?」

・・・あぁ。

「そうだっな・・・・・・。だが、何十年も前の話だ。変わったんだよ、考えが。俺はもう止まれない。」

「今でも間に合うと思いませんか?私も一緒に謝ります。きっと皆さん分かってくれると」

「はは。そうか。俺には難しそうだよ。」


「お父様、私ね。お父さんの絵を描いたの。とっても優しそう。でも、今のお父さんはとっても怖いな。」

「そうかい、カリファ。お父さんはそんなに怖く思えるかい?」

「でもね。でもね。私思うの!なら、今からでも頑張ればできると思う!」

「・・・・・・そうだな。」


「ラーカン様!!?」
「大臣窓を開けろ。やることがある。」
「いけませんラーカン様!今出れば確実に弓矢の的に。」
「それでいい。」
「な!?ら、ラーカン様!!」

この時、大臣は明らかに今、主人であり国王のラーカンが、おかしくなっていることに気がついた。だが、それは遅すぎた。

俺が窓を開けると、国民が一斉に俺に向けて矢を放ち出す。
後ろでは大声を上げる大臣の姿。そして、俺を守っていた帝国の強き兵たち。


そして、を持った我が娘が笑ってーーー


カリファ・エルージ。享年19歳。かつて帝国で流行病が発生し、母子共々病死。
この世にはいない存在が、何故ラーカンに見えたのかは謎である。





























『オートスキル【死神】が任務を果たしました。
これにより、【死神】が消滅致します。オートスキル
【魂食い】が発動しました。
これにより、オートスキルで異常が見られた【死神】
を再度獲得致します。
オートスキル【死神】を獲得しました。』


ここは帝国のある室内。そこで、帝国の王ラーカン・エルージの死亡した。

原因は国民の革命。恐怖政治とも言える数々の所業に、一部国民が暴走。他、ラットプント王国との戦争へ反対を示す者たちが起こした。

ただ、ラーカンは殺されたのではなく、自身が民衆に、まるで見せつけるかのように飛び降り、自殺した。

更に、それから、帝国の勇者、カグヤ・サトウを軟禁、拘束その他諸々していた資料が見つかり、大臣以下、関係者共々国民によって殺されたという。
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