シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第1章〜兄と妹と〜

第16話〜帰ってきたぞー!〜

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『お帰りなさいませ。マスター。』

「うん。まぁ、僕生きてるのかな・・・。」
というかここどこ?

『ここは王城の寝室です。ディメンジョンが崩壊してマスターが現れた所をミディさんが回収したんですよ。』

「うぇ!!?や、やばい!!」

『マスター?一応言っておきますが、マスターの服はマスターが死んだ瞬間に修復しておきました。ですので』

「妹成分を補給してない!!」

『・・・。』

「マリアルに会いたい!コハルを抱きしめてなでなでしたい~!!」

『・・・。』

うっ。ナビが久々に凄く黙ってる。ご、ごめんって。でも僕にとっては妹が・・・。

『予想はしていましたよ。』
へ?

「「お兄ちゃ~ん!」」

あれ、おかしいな。僕の前には二人が急に現れた気が・・・。
って。本当にいる!な、何で!?

「あのね。昨日、お兄ちゃんが王様のお家にお泊まりしてるって聞いたから、・・・来ちゃった。」

ひしっ!
僕はコハルを抱きしめた。ユマは妹成分を100ポイント獲得した!

『そして、シスコンが超シスコンにグレードアップしました。』

ちょ、ちょっと!で、でもまさかマリアル達がこんな所まで来るなんて。

「兄さん、体は大丈夫?」

「大丈夫だよマリアル。お兄ちゃんさっきまで凄く苦しかったけど二人が来てくれて一気に元気になった!」

そう言って僕はマリアルの頭を撫でる。マリアルがとても気持ちよさそうに目を細めるのでもう少し続けることにした。
と思うとコハルも僕を見てきたので二人共撫でまくった。
そんな中でドアがゆっくりと開き。
「なるほどな。シスコンと言うのは本当だったようじゃ。」
「・・・国王か。」

あっぶな。ナビに知らされなければこの雰囲気をずっと続けてたかも。

「娘とは話したか?」
「そうじゃな。お主の話は全て本当だったようじゃし、二度とミレイナの人間の姿を見ることができないのは辛いがのぅ。」

「・・・。」
「ミレイナが儂とメイドの間に生まれたのは知っておろう?」
「あぁ。彼女はそのせいで相当王宮内では苦労していたみたいだがな。」
「それはあの子には本当に申し訳なかった。じゃが、儂が何人もいるわが子たちの中で、あの子だけを特別視するわけにはいかなかった。」
「それは分かる。あなたは国王だ。国王は血を残さねばいけないことも。だが、それでも今回あの子が背負ってしまったものは、あなたの・・・父として子をしっかりと躾ていなかったのが原因だ。」

「あぁ。分かっている。もうその件はつけた。」

「・・・仕事が早いな。」
「ナハトアをこの後国外追放にするつもりだ。」

「国外追放?そんなにナハトアが行ったものは酷かったのか?」
「まずはミレイナの罪状の詐称と国の税金を不当に手に入れていたこと。そして、闇の取引での国民の奴隷の売買。数えたらキリがない。何故調べればすぐに出てくるような、これほどの数の罪を見逃していたのか・・・。儂が国の経済を任せてから、何年も経っていないのに、こんなにもこの我が国が廃れていたとは・・・。」
「帝国の後には書類との戦いか国王よ。」

「そうなるな。それにお主ら冒険者ギルドにも、報奨金を渡していない事例が沢山見つかった。それについてはギルド長と話をつけたから、ギルドに行ってからそれをもらってくれ。」
「俺がか?」
「SS級討伐指定魔物、グラビティードラゴンの討伐。忘れてはいないだろう?」

あぁ、あれか・・・。あの報酬を受け取ると、ギルドが潰れそうだったからもらってなかったんだった。
てことは今から白金貨10枚ももらえるのか・・・。

「お兄ちゃん、私美味しいご飯が食べたいなぁ。」
「私は新しい武器が・・・。」
「そうだな。二人とも帰る前に買っておくとしよう。」
「「やった!」」
このくらいは兄として、二人の親代わりとして買ってあげないとな。

「お主の妹を初めて見たが、物凄い素質じゃな。流石、SS級冒険者の血と言うことか?」
「そうだろう!マリアルとコハルは俺よりも何倍も強くなる。俺は今の二人を守り続けるのが役目だからな。」
「ぬはは。そうじゃな。嬢ちゃんらも、お兄ちゃん離れができるようにな。」
「「ぬっ!」」
「うぉ!」
おぅ。凄い殺気が国王の爺さんに放たれたな。妹は反抗期ですか?

『いえ、マスターが鈍感なだけです。』

「・・・・・・本当に恐ろしい才能じゃわい。そして、この男いてこの妹あり・・・か。全く、ミレイナを嫁に出せそうと思っていたが、難しそうかのぅ。」
「ん?それはどういう。」
「実はのぅ。儂もそろそろ孫の顔が見たいかったから
丁度良さげな雰囲気のお主らに結婚して欲しかったのじゃ。」
「あぁ!?」
「「えぇ!!」」

あまりの急展開に驚く僕たち。ただ、なんかこの国王様を見ると本気な感じがするから下手に答えられないな。

「それはミレイナの気持ちが優先だろう。あなたの一存では決められない。」

「私じゃダメですか?」

「み、ミレイナ!?は、謀ったな国王!!」
その時、すごーーくタイミングよく、ミレイナが登場する。って、ミレイナ僕のことす、好きだったの!?

「ヌハハハハ!これこそ長年生きてきた男の策略じゃよ!」
「お、お父さん・・・。で、でも・・・ホワイトさん。私じゃダメですか?」

不味いですよお父さん、お母さん。すんごいいい雰囲気に見えるでしょう。だけど、僕の目には修羅場にしか見えません。だって絶賛反抗期中の我が天使たちがすごい目で僕を睨むんですもん。怖いです。お兄ちゃん泣きそうです!!






そして、僕が出した結論は・・・。
「・・・すまないが、俺は君を恋愛対象として見れていない。だから、君が望む答えを出せそうにない。」
そう言うと、彼女は泣きそうになる。
「それにまだ君と会って数日だ。俺はその答えを出すには早すぎると思うんだ。」

これは率直な感想。正直、スピード婚なんて言葉があるけど、僕はそれに反対派だ。ゆっくり時間をかけて、自分たちを知り合う必要があると思う。それに僕は妹のこともある。だからこそ難しかった。

そう話すと、彼女は勢いよく部屋から出ていった。
何故かマリアル達がホットしたような顔をしたような気がしたが、気のせいだろうか。

「そうか・・・。じゃが分かってくれ。あの子は儂にまず最初にと、お主と結ばれたいと言ってきた。今まで儂に我儘一つ言わなかったあの子がじゃ。その気持ちだけはどうか覚えていて欲しい。」

「勿論だ。俺が断った理由もただ時間が短いという理由なだけ。彼女はとても強く、魅力的な女性だ。もしまた、何年かして、まだ彼女が俺のことを好きでいてくれたのなら、その時はまた考えるとしよう。」

国王はそう言った僕に、ただ、そうか。と答え、次の話に移った。
これからの帝国との戦争の話だとか、王国の闇の部分の根絶やしだとか。大小様々な会話をしたつもりだ。
その間に、妹たちは難しいだろうから帰ってもらった。

「そういえば、この城は誰が直したんだ?」
「それならお主のパートナーのミディ様が、全てその日に直してくれたぞ。」
「おい、俺に対してはただ読みの癖に、ミディに対しては何故、様なんだ?」
「当たり前じゃ。本来城の復旧作業は恐らくできないと思っていたのに、彼女が全て無償で直してくれた。あれこそが神様なのじゃよな。」
「金かよ。」

と、こんな風に国王とはかなり砕けた会話にまで発展していたわけだ。

「はぁぁ・・・。そろそろ行く。」
「そうか・・・。来月から、またよろしく頼むのぅ。」
「あぁ。そういえばそうだったな。来月から学園の教師になる。その時はよろしく頼む。」
「それとホワイトよ。」
「何だ?」
「我が娘はまだ諦めないと思うぞ。」
「フンッ。それは良かった。」

そう言って僕はそこからワープした。

「まったく、王国を救った英雄の前に、SS級冒険者で、その前にシスコンか。本当に変なやつじゃわい。」
だが、そんな国王の表情は笑顔だった。


△▽


ここは、ミディが住んでいる宿屋。そんなミディの宿に人だかりができていた。
そして、その原因であろうミディは、呑気に爆睡中だった。だが、そんなミディの睡眠を妨げる者が現れる。

「ちょ、ちょっとー!ミディさんヤバイよ!!」
「んぁ。・・・へ?何、アミ。」
「ホワイト様が来てるんだって!下に!!」
「へぇ。ホワイトさんが・・・ホワイトさん!!!」
ミディはすぐさま布団から飛び降り寝間着の状態で下に降りる。そして、下には確かに人だかりができていて。

「ホワイト様、サイン下さい!!」
「ホワイト様~♡」
「どけろ!俺はミディに会いに来たんだ、あっ!ミディ丁度よかった。どけろ、俺は彼女と話すんだ。」


その後、収集がつくまで小一時間かかったのはご愛嬌。


「ミディ、お前には今回色々な苦労をさせてしまった、すまない。」
「い、いえ。ホワイトさん私なんてそんな・・・。」
「だから、これを受け取って欲しいんだ。」
「え?これは・・・。」
僕が渡したのはある石が散りばめられたかんざし
「これはあの起爆する魔道具の残骸の魔石の一部を加工して作った魔道具だ。初めて魔道具を作ったが、その試作品を、と思ってな。受け取ってくれるか?」

そう聞くと、彼女は何故か泣き出してしまう。そのいきなりすぎることに、僕は慌ててしまった。

「ど、どうしたんだミディ。もしかして気に入らなかったとか・・・。」
「ち、違いまず。ホワイトさん。わたじ、ホワイトざんに、プレゼント貰っだの初めてだから。」

「そ、そうだったか。すまない。これからはもっと渡せられるようにす」
「いいんでず。私は、これで。ほ、ほんどうに私がもらっでもいいんですか?」
「・・・勿論だ。」
そう言うと、彼女は涙を拭ってその長い髪に簪をつけた。
「えへへ。どうですか、ホワイトさん?似合ってますか?」
「・・・あ、あぁ。」
「もぅ!反応薄いですよー!でも、ありがとうございますね!」
「お、おう。では、俺はもう行く。それではな、ミディ。」
「あ、待っ」

僕は今の自分では何を喋るか分からない危険から、彼女からすぐに消えた。


決して言えない。妹以外にこんなにも可愛いと思える、それ以上の感情が出てしまうなんて。

「まさか、告白された日に、別の女性を好きになってしまうなんてね・・・。」

僕は湖の父さんたちの墓の前でそう呟いた。
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