シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第2章〜クルムテント王立学園〜

第24話〜黒板事情〜

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一人。

朝の教室で唸る。

「初めは肝心だ。この話し方だと僕はどうしても相手を萎縮させてしまう。」

ズラっと書いたモノを僕はクリーナーで拭く。
もうこの作業を100回以上は続けてきた。

チョークの減り量がとんでもない。


僕は絶賛、A組の初めましての生徒のみんなとの、対応に困っていた。

そして、今は僕は一人で黒板のチョークを持った状態で固まっていた。バキッ!あっ折れた。


朝、学校に生徒が来るのは8時頃、1時間目が始まるまでの1時間。生徒のみんなは恐らく自分たちの組のメンバーと、会話することになるだろう。

その間、担任である僕はこの中に居られない。
生徒のみんなの交流を邪魔するわけにはいかないからだ。

だけど、僕も初めましてということでこのように黒板に何かを書く。
これは僕に限らず、他の組の担任の先生方も、毎年この時だけは、本当に考えるらしい。

自己紹介をするべきか、普通に初めましてと名前だけを伝えるか。それともーーー。

まぁ、色々な方法がある。でも、僕にとってはこれは他の担任より難しい。

ホワイトのキャラ作りは正直、もう一人の自分のようにとても板についてきた。


だからこそ分かる。ホワイトは余り喋らない!


今までの冒険者ギルドの依頼で家庭教師の依頼もあったけど、あれは1体1であって、決して1体多ではない。

このままだと、僕の授業で、おやすみよろしく!
する人が続出する可能性が高い。

なら、いっそこの仮面を脱いで。

「あ、おはようございまーすホワイトさん。・・・まだそれ終わってないんですか。」

「ミディか。おはよう。そうだな、俺は正直この手の物は難しい。」

教室に入って来たミディに、挨拶を返し、僕はまた教卓に背中をのせた。

「それだったら私だけで書きましょうか?私なら、ホワイトさんの軽くな紹介もできますし、副担任デスノで面倒な文章を書かなくても済みます。」

何だと!?

「お、お前は神か!?」

僕はミディに近寄って彼女を抱きしめる。

この朝の3から今までの4時間、僕はずっとこの事について寒さに耐えながら唸り続けていたのだ。

それをミディは最もな意見で、更に私がやると言ってくれたのだ。仮面の中から涙が溢れてくる。

「え、え、えへぇぇぇ。」

「それではよろしく頼む、ミディ!俺は今から夢幻郷に旅立つからな。」

僕は猛ダッシュで職員室に走っていった。
夢幻郷と言うなの夢の世界に数分でも長く、行けるように。

「ほ、ホワイトさんにあんなに強く、ホワイトさんに抱きしめ、抱きしめ、抱きしめ、抱きしめ・・・」

後に残ったミディは、顔を赤くして、頭から湯気を出していたが、ホワイトはそれに気づかなかった。
後に、ミディがこの状態から立ち直ったのは30分後だったという。



△▽



「ホワイトさん、ホワイトさーん、起きてくださーい!」

「あ、あぁ。すまないレイロア。今は何時だ?」
僕を起こしたのは、C組担任のレイロアさん。彼女は今、出勤してきたのだろうか?

「8時すぎくらいですね~、今来たばかりなんですけど、ホワイトさんが寝ていたのに気づいて~、そろそろ時間が見えてきてますし起こしてあげようかな~っと。・・・ホワイトさんなんで寝てたんですか?」

やっぱり今来たばかりか。もしかして、レイロアさんは、黒板に何も書いていないのか?

「寝不足でな。それよりレイロアは、何故この時間に?黒板に何か書かなくていいのか?」

「あぁ、あれですか。でもそんなに必要なんですか?」

「必要も何も、第一印象は大事だろう。」

黒板に自分のことを書く。これは生徒との最初のコミュニケーションとも言ってもいい。つまりは自己開示だ。自分のことを知ってもらうことで、相手にも、安心を与える。
他の教師もみんなこれは書いているそうだし、カグヤも昨日これを書いていた。

「でも、私とかホワイトさんって、第一印象とか第二印象とか関係なくないですか?そもそも、今更私達がを出した所で良い点はないと思うんですけどー。」

「私達?」

「え?ホワイトさん、それ表じゃないですよね?」

この発言に僕は驚いた。

「何故、分かった!?」

彼女は私達と言った。つまり僕が本当の自分を隠しているという事が、彼女には分かったということだ。

「まぁ、前の仕事的にそうですね~。」

「・・・流石だね、国民のアイドルは。ある意味、修羅場を経験した数はより上ということかな。」

「ふぇっ!?ちょ、ホワイトさん、そんな喋り方だったんですか!意外とわか・・・失礼しました。」

彼女が僕がユマとして話した事で、少なからず驚いている。

その顔を見て仮面の裏で少しニヤッとした。

「お返しだよ。それよりやっぱり凄いね。初めてだよ、こうやって気付かれたのは。」

「い、いや~裏がそれならホワイトさん相当すごいと思いますよー。」

その遠慮がちな態度に、僕は思わず吹き出した。今はこの一年担任用の職員室には僕と彼女しか居ないため、思いっ切り笑う。

「はぁぁー。それよりレイロアさんと話したことあまり無かったよね。時間まで何十分があるから話さない?」

「いいですよ~、私も暇ですし。
あ、じゃあ質問と言うか気になってたんですけど、ホワイトさんって確かこの学園に来たのって妹さんがここに来るからでしたよね。妹さんってやっぱりA組なんですか?」

「あぁ、マリアルもコハルもどちらもA組だよ。」

なんて言ったって女王(ミレイナ)の推薦だ。
そりゃ確実にそうなることは予想していた。
でも、妹達が入ることで誰かが入試に落ちた訳でも無い。

今年入学した生徒は、妹達を含めて確か81人。

1人は問題を起こしたとか何とかで退学したらしいから、全部で80人だ。
元々の定員が100人が上限だから、ほとんど影響は無いだろうし、大丈夫だと、ミレイナも言っていたしね。


「ひゃー家系ですね~。やっぱり妹さん方も化け物ということですヒャッ!」

化け物と言われて僕はいつの間にかレイロアさんに殺気を放っていた。妹を化け物と言われたせいで、彼女に思い切りぶつけてしまったらしい。

「僕の天使を化け物呼ばわりはやめてね。」

「ひゃ、ひゃい。・・・あ、あのそれより私への質問は何かありますか?」

あ、そうだな。レイロアさんには気になっていたことがある。

「じゃあこちらも、と言うより気になっていたんだけど、なんで学園の教師に?」

彼女は前の世界で言うファッションモデルのような仕事をしていた。

レイロアさんは、頭が良い、顔が美しい、おまけに強いの三拍子が揃っていて、彼女を雇っていたこの王国のファッション雑誌を作っている会社、
【オー・フレル】では、一番のモデルとして、人気がとんでもなかったため、金銭面で言うなら明らかにそっちの仕事の方が儲かっていたはず。

なのに、彼女はつい先月、その仕事を辞めると公表したそうで、彼女を密かに憧れていた妹のマリアルは、僕が次の彼女の仕事が学園だと教えて狂喜乱舞していた。

彼女は男女関係なく、好かれるタイプの人間なのだ。 

そういう意味でも、僕は彼女が本当に何故、この学園の、それも担任になったのか、全く分からなかった。


僕がそう言うと、彼女から一瞬笑顔が消える。だけど、すぐその顔は元に戻った。

「少し長くなるけどいいですか?」

「問題ないよ。時間はかなりあるからね。」

そう言うと、彼女は語り始めた。

自身がどれだけの苦難を乗り越えてきたのか。
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