シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第2章〜クルムテント王立学園〜

第26話〜家族ルール〜

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「遂にか・・・。」

僕は今、ホワイトの姿でA組の扉の前に立っていた。

(9時まであと2分。ミディはまだ来ていないようだし、他のみんなのように少し早めに入っちゃおうか。)

ここで立って数分、他の組の担任は既にどうやら教室に入っていた。それごとに、
あれ、ホワイトさんどうしたんですか?と聞かれるため、ミディを待ってます。と言っていた。

『マスターはただ緊張しているだけなんですがね。』

と、このようにナビにまで言われる始末だ。全く、ミディは何時になったら来るのか・・・。

『軽く流さないで頂けますでしょうか。ミディさんはあと一分ほどで来ますので、もう中に入れば良いと思いますけど。』

いや、でもそれはちょっと・・・。

『マスターは、生徒さんよりも子供ですね。一応今から会うのは全員マスターよりも若い人なんですから緊張なんて、する必要も無いのですが。』

でもね。僕は何でも最初が肝心!って言葉を教訓にしているんだよ。だから、こんなことでも最初の事だから肝心だと、「ガラッ!」

「「ファ!?」」

ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとナ~ビさ~ん?索敵してなくないですか~?

『いいから早く入りなさいマスター。』

う、うへぇ。

「ほ、ほ、ホワイトさ、いえ、ホワイト先生、なんでドアの前に!?」

「・・・あ、あぁ。済まないな。時間じゃなかったから少し外で待っていたのだよ。・・・あー、・・・アークス君。」

「お、俺の名前を・・・!」

ナビがまさかの裏切りで、僕は罠に嵌められ、何の準備も無しに生徒と対面することになったが、何とか生徒の疑念を無くすことが出来た。

「当然だ。俺の生徒なんだ。既に10人とも、名前は記憶している。」

「さ、さすがSS級冒険者・・・!!」

う、うわぁー。すんごい目、輝かせちゃってるよ。
すんごい尊敬の眼差しで見てくるよ。

と、取り敢えず、入るなら今しかないだろう。

「初めましてか。今日から君たちの担任になった、ホワイトだ。副担任のミディは、あと34秒後に走って教室に駆け込んでくるので、それまでは取り敢えず身なりを整えていてくれ。」


((((何故、そこまで事細かく!?←ミディが来る時間))))


やっぱり僕って結構顔が割れてるのか、みんなの顔が驚いて声が出ない!って、なってる。

そして、マリアルとコハルは僕の言いつけ通り、僕のことを見てはいるけど、いつもの態度にはなっていない。

無言で僕はマリアル達に視線を送ると、マリアル達の口元が笑顔になった。

(やっぱり僕の妹は天使だなー。)


△▽


これは、昨日の夜のユマ達の家での出来事。

「マリアル、コハル。入学式で暴れたそうだね。」

「「ごめんなさい。」」

ユマは、今絶賛二人を叱っている途中だった。
こうなることは予想はしていたが、あまりに相手側の被害が酷かったため、今後の事が無いように、二人を何気に初めて叱っていたのだった。

「いいかい、二人の強さは正直他の同年代の子供よりも何倍も強いんだ。
それはとても良い事だし、兄として誇りに思うけど、今日のように、結果的に悪いことにも繋がる。人に簡単に向けていい力じゃない。」

「でも、兄さん。私達は自分の力をコントロールはしっかりできます!」

「なるほどね。コントロールできるんだ。」

一瞬落ち着いたかのように見えた僕の態度を見て、マリアルは安心したような顔になった。

でも、次の瞬間、僕はマリアルに殺気を放った。

マリアルはその殺気を受けて、思わずふらつき、しゃがみこむ。

「に、兄さん・・・?」

「お、お兄ちゃん・・・。や、やめようよ。こんなのお兄ちゃんじゃ・・・。」

「マリアル、こうやってコントロールできる力を君は人にぶつけたんだ。
これをして、相手がどうなるかが分かっていて。
コハルも例外じゃないよ。それをサポートしたそうじゃないか。」

「お兄ちゃん、ごめ」

「僕はね、別に二人に謝って欲しくないんだ。謝っても何も解決しないし、何も生まれない。
僕は反省して欲しいんだ。二人に、なんでも暴力で解決してはダメだって。そんな乱暴な子になって欲しくない。」

相手が悪かったと言っても、今回の騒動で、重傷者1人、軽傷者8人が出ていて、重傷者を負った貴族の息子は、後遺症も残ると言われている。

マリアル達の力は、そんなものの為に奮う力じゃない。

「に、兄さん・・・。」

「マリアル、君は優しい子だ。今回も何か守るものがあって行動したんだろう?でも、君の悪い所は熱くなりすぎる所だ。だから激情に駆られず、それを制して常に冷静でいなさい。」

「・・・はい。」

静かに、だけどはっきりとマリアルはそう頷いた。

「コハル、君は気が回る子だ。」

「お兄ちゃん、私はそんなんじゃ」

確かにコハルはいつもぐうたらしてるイメージが強い。本人もそれを自覚しているんだろう。だけど、

「あまり自分を隠すのはやめなさい。僕はコハルの本当の顔が見たい。お兄ちゃんには見せてくれないか?」

そう言うと、コハルの表情は凍りついた。
マリアルも知らなかったのか、コハルを凝視する。

「な、なんで!?」

「さすがに兄妹だからだよ。長く一緒にいると、やっぱりその作りに違和感を覚えるかな。」

「し、知ってたの・・・?」

「うん。でも、そんなコハルを可愛いと同時に思っていたかな。」

たまに慌てるコハルは面白いし、目の保養にもなる。
そうしてコハルに近づいて顔の前までやってくる。
コハルは、僕の顔を少し避けてるように見えた。

「だから・・・ね?」

そう言うと、こっちを向いて顔がみるみるピンク色に変色する。

「こ、コハル!?大丈夫!!?」

「お、お兄ちゃん・・・私はシアワシェで、はうあぅ。な、何でもないです、大丈夫です。」

な、なんかよく分からないけど大丈夫そうだからとにかく言わないと。

「僕は今日の二人を見て思った。二人にはやっぱり決断力が足りないって。そして、力の使い方も。
でもそれは、ただがむしゃらに何でもかんでも適当にやる物じゃなくて、自分自身でより良い方向に事を進められる。
二人にはそれを学んで欲しいんだ。僕達じゃない他人と、久しぶりに会話するから中々難しいだろうけど。」

「で、では私達はどうすれば・・・。」

「マリアル、今も君は僕に判断を煽ったね。」

「はっ!」

「マリアル、コハル。今日から君たちは僕の妹でもあるし生徒だ。
だから、学園では、これから僕を兄ではなく、先生だと思いなさい。家でのような家族のスキンシップはもちろんだけど、過度に僕と話すのを禁止します。」

「「ええぇぇぇーー!!」」

いや、何故そこで不満!?


△▽


「あれ、なんかここほつれてる。」

『あぁ、そこ妹様方が叩きのめした貴族の子供が無理矢理引き裂いた所です。コハル様自身が直していましたが、適当にやったのでしょうね。』

プチンッ!!

『マスター?』

「ねぇ、ナビ。その貴族って、何処のアホ糞ゴミ虫?今からその家族って根絶やしにできるかな?」

3階の屋根裏部屋の窓にヒビが入る。その原因はひとつしかなく・・・。

『はぁ。マスターは、人の事を言える立場じゃありませんね。』

その後、怒り狂うユマをナビがなだめるまで数時間かかったとか。




ユマの睡眠時間。

17時→妹に説教

18時→夜ご飯

19時→風呂

20時→墓の掃除

21時→問題の発狂

24時→就寝

(次の日)2時→おはよう!
お弁当作り、3人分の下着、制服をタンスに補充。

3時→学園着

6時→ミディと学園で対面。

8時→レイロアと時間を潰す。

9時→妹とアイコンタクト。


睡眠2時間!!
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