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episode2〜『私』というプレイヤー〜
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「いや~今日も見事に最強の男、ロギンスを敗れる人は出ませんでしたね。」
「えぇ。ですが、最後の上級ギルド精鋭の300人VSロギンスは、かなり白熱とした戦いでした。」
これは、ロギンスが死ぬ前の戦いの解説だ。
グロレムは一週間に一度、ゲーム内で参加者無制限のバトルロワイヤルを実施していた。
そして、今週の優勝者も、相変わらずロギンスだった。
それについて、棒動画アプリの独自に行っている解説で、今週のバトルロワイヤルの見所を、二人の男が話していた。
「そうですね。まさか、ロギンスという一人のプレイヤーを倒すために、幾つものギルドが手を取り合うとは考えられませんでした。」
「そして、そんな圧倒的戦力を相手にしても、一歩も引かず動揺すら見せないロギンスも、また凄かった。.........いや、本当に誰が倒せるんでしょうね。」
自嘲気味に、解説の一人が笑う。もう一人もそれを見て無言で同意した。
ロギンスがいる限り、グロレムで一位を取ることは出来ないというのが、もうこのグロレムというゲームでは全く動かない常識だった。
彼らは、幾つものギルドが手を取り合うのを考えられなかった。と言ったが、これまでにも、何度も何度も、そんな当たり前があった。
『歩くエリアボス』。ロギンスは、ここでも、二つ名が生成されていた。
「しかし、本当に.........ロギンスは、何故あれほどまでに強いのでしょうか?」
ここまで来ると、もう分からない。と、もう一人の解説が笑い出す。
だが、片方の解説は、それを見て少し目を落として考え込む姿勢をとった。
「強い.........ですか。」
「?…はい。どんな武器も戦略も、ブラフさえも効かないプレイヤーの強さの秘訣を聴きたいですね。グロレムユーザーとして。」
コメントでは、解説が聞くな!や、分かるわけない。など、この言葉に多くの視聴者が言葉を投げた。
「彼は強くはありませんよ。」
「え?」
突然、考え込んだ姿勢を辞めた解説が、一人、そんな事を発した。
コメントが雪雪崩のように、彼に対して否定する誹謗中傷の言葉がぶつけられる。
だが、それすら振り切り、今度はしっかりと画面を見て、解説は話した。
「皆さんがロギンスというプレイヤーを『強い』という概念で思っているのは私には間違いだと思います。」
「は、はぁ。」
「私は彼と何度もあの戦場で戦いました。ですが、私は彼に膝をつかせる所か、体力を一割以上削ったことすらありません。」
「え、えーっと、それなら強いのでは?だってあなたはーーー」
「何度も戦いました。本当に数え切れないほど。そして、段々と攻略された。ロギンスは、敵を長時間かけて、分析し攻略する。それがプレイヤーでも…。」
これを聞いた者には、理解が出来なかった。
何故、自分より弱い相手をわざわざ攻略する必要があるのか。
「今でこそ、ロギンスは全てを殲滅するほどの力と能力を持っています。ですが、彼も最初はゴブリンキングすらまともに倒せないようないち、プレイヤーだったんですよ。」
ゴブリンキング。最初期のボスモンスターで、これを倒すとグロレム初心者卒業と言われるモンスター。
今でこそ、上位プレイヤーに狩り尽くされる可哀想なキャラではあるが、発売当時は普通に絶望を与えていたと、言っても良い。
「それは全てのプレイヤーがそうでしょう。何が、彼の強いという概念から外れるのですか?」
「そうですね。実は.........多分あまり知られていないかもしれませんが、最初期のころ初めてゴブリンキングを倒したのは違うプレイヤーだったんです。」
「えぇ!?」
これにはコメントも騒然とした。最初から最強だと思われていたロギンスという存在が、ゴブリンキング討伐の先駆者で無かったというのはこの後一気に世界のグロレムユーザーに広まった。
「あはは。凄い盛り上がりですね。まぁゴブリンキングが初めて倒されるまでかかった時間は、本当にリリースしてから一週間程度でしたから。
それまでにゴブリンキングと戦う所まで行けた人は限られていましたからねー。百人いなかったんじゃないかなぁ」
「あ、あの、それでは最初に倒したとされる人は、誰なのでしょうか?」
「最初に倒したのは、『私』という女性のプレイヤーでした。」
「『私』ですか?それはなんとも抽象的な。」
「そうですね。ですが、彼女はその後直ぐにロギンスに大会で倒されていて、恐らくその後グロレムを引退しています。」
「えぇ!!?」
コメントでは、またしても誹謗中傷の言葉で溢れかえる。だが中には、早く続きを聞かせて。勿体ぶるな!というコメントもあった。
「はは。本題に戻りましょう。私はグロレムを始めて一度も、ロギンスに一割もダメージを与えたことがありません。ですが、『私』というプレイヤーは、最終的に負けてしまったものの、ロギンスをそれまでに百回以上は倒しています。多分、正確な数は彼のプロフィールの戦績を見れば分かると思います。ロギンスは、『私』にしか、負けた姿を見た事が無いので。」
「百回.........本当にその『私』というプレイヤーって誰なんですか?確かに大会で負けた回数と勝った回数は表示されます。事実の情報だとは理解できますが…なんでしょう。理解したくありません。」
「ふはは!そうですね。それに、ロギンスは、確かにその大会で総ポイント数で優勝しましたが、実は不戦勝だったんですよ。」
「不戦勝.........まぁ、ここまで来たら私でも予想がつきます。つまり、『私』というプレイヤーは、ロギンスに一度負けたあと、大会の途中でグロレムを引退したということなんですね。正直、一度の敗北で辞めるというのは何か裏を感じる気がしますが、とてつもないプレイヤーだったのだとは理解しました。」
「まぁそうとしか思えませんね。完全な化け物でしたし。あのプレイヤー。」
「実際にその方とも戦った経験が?」
「戦いというより完全に見世物でしたよ。速度、攻撃、守備、洞察、判断。全てが私の上を行っていた。私はあのプレイヤーの予測通りの行動を終始させられました。」
「予測通りですか。何か先程仰っていた、ロギンスは、敵を攻略するということに、少し似ていますね。」
「えぇ。やり方は違いましたが、確実に、今のロギンスはあのプレイヤーを攻略したことで出来ていると思います。それを言ったら、彼が強いと言うより、戦った相手が強かったと言えるんです。彼を超える者が現れる時は、少なくとも、『私』を超えていると思うべきでしょう。」
「ロギンスよりも強いプレイヤーなんて、早々現れないと思いますけどね。それに現れたら現れたらで、ブルーフェニクスさんが言う、ロギンスの真骨頂の、攻略で文字通り直ぐに攻略されることになりそうですが。」
「(ニヤリ)えぇそうなるでしょうね。本当の意味で彼が負けるのは、彼自身が引退した後になるでしょうね。」
「それではそろそろお時間になりました。本日のスペシャルゲストは、グロレム世界ランク9位のブルーフェニクスさんでした。ブルーフェニクスさん。ありがとうございました。」
「えぇ。ですが、最後の上級ギルド精鋭の300人VSロギンスは、かなり白熱とした戦いでした。」
これは、ロギンスが死ぬ前の戦いの解説だ。
グロレムは一週間に一度、ゲーム内で参加者無制限のバトルロワイヤルを実施していた。
そして、今週の優勝者も、相変わらずロギンスだった。
それについて、棒動画アプリの独自に行っている解説で、今週のバトルロワイヤルの見所を、二人の男が話していた。
「そうですね。まさか、ロギンスという一人のプレイヤーを倒すために、幾つものギルドが手を取り合うとは考えられませんでした。」
「そして、そんな圧倒的戦力を相手にしても、一歩も引かず動揺すら見せないロギンスも、また凄かった。.........いや、本当に誰が倒せるんでしょうね。」
自嘲気味に、解説の一人が笑う。もう一人もそれを見て無言で同意した。
ロギンスがいる限り、グロレムで一位を取ることは出来ないというのが、もうこのグロレムというゲームでは全く動かない常識だった。
彼らは、幾つものギルドが手を取り合うのを考えられなかった。と言ったが、これまでにも、何度も何度も、そんな当たり前があった。
『歩くエリアボス』。ロギンスは、ここでも、二つ名が生成されていた。
「しかし、本当に.........ロギンスは、何故あれほどまでに強いのでしょうか?」
ここまで来ると、もう分からない。と、もう一人の解説が笑い出す。
だが、片方の解説は、それを見て少し目を落として考え込む姿勢をとった。
「強い.........ですか。」
「?…はい。どんな武器も戦略も、ブラフさえも効かないプレイヤーの強さの秘訣を聴きたいですね。グロレムユーザーとして。」
コメントでは、解説が聞くな!や、分かるわけない。など、この言葉に多くの視聴者が言葉を投げた。
「彼は強くはありませんよ。」
「え?」
突然、考え込んだ姿勢を辞めた解説が、一人、そんな事を発した。
コメントが雪雪崩のように、彼に対して否定する誹謗中傷の言葉がぶつけられる。
だが、それすら振り切り、今度はしっかりと画面を見て、解説は話した。
「皆さんがロギンスというプレイヤーを『強い』という概念で思っているのは私には間違いだと思います。」
「は、はぁ。」
「私は彼と何度もあの戦場で戦いました。ですが、私は彼に膝をつかせる所か、体力を一割以上削ったことすらありません。」
「え、えーっと、それなら強いのでは?だってあなたはーーー」
「何度も戦いました。本当に数え切れないほど。そして、段々と攻略された。ロギンスは、敵を長時間かけて、分析し攻略する。それがプレイヤーでも…。」
これを聞いた者には、理解が出来なかった。
何故、自分より弱い相手をわざわざ攻略する必要があるのか。
「今でこそ、ロギンスは全てを殲滅するほどの力と能力を持っています。ですが、彼も最初はゴブリンキングすらまともに倒せないようないち、プレイヤーだったんですよ。」
ゴブリンキング。最初期のボスモンスターで、これを倒すとグロレム初心者卒業と言われるモンスター。
今でこそ、上位プレイヤーに狩り尽くされる可哀想なキャラではあるが、発売当時は普通に絶望を与えていたと、言っても良い。
「それは全てのプレイヤーがそうでしょう。何が、彼の強いという概念から外れるのですか?」
「そうですね。実は.........多分あまり知られていないかもしれませんが、最初期のころ初めてゴブリンキングを倒したのは違うプレイヤーだったんです。」
「えぇ!?」
これにはコメントも騒然とした。最初から最強だと思われていたロギンスという存在が、ゴブリンキング討伐の先駆者で無かったというのはこの後一気に世界のグロレムユーザーに広まった。
「あはは。凄い盛り上がりですね。まぁゴブリンキングが初めて倒されるまでかかった時間は、本当にリリースしてから一週間程度でしたから。
それまでにゴブリンキングと戦う所まで行けた人は限られていましたからねー。百人いなかったんじゃないかなぁ」
「あ、あの、それでは最初に倒したとされる人は、誰なのでしょうか?」
「最初に倒したのは、『私』という女性のプレイヤーでした。」
「『私』ですか?それはなんとも抽象的な。」
「そうですね。ですが、彼女はその後直ぐにロギンスに大会で倒されていて、恐らくその後グロレムを引退しています。」
「えぇ!!?」
コメントでは、またしても誹謗中傷の言葉で溢れかえる。だが中には、早く続きを聞かせて。勿体ぶるな!というコメントもあった。
「はは。本題に戻りましょう。私はグロレムを始めて一度も、ロギンスに一割もダメージを与えたことがありません。ですが、『私』というプレイヤーは、最終的に負けてしまったものの、ロギンスをそれまでに百回以上は倒しています。多分、正確な数は彼のプロフィールの戦績を見れば分かると思います。ロギンスは、『私』にしか、負けた姿を見た事が無いので。」
「百回.........本当にその『私』というプレイヤーって誰なんですか?確かに大会で負けた回数と勝った回数は表示されます。事実の情報だとは理解できますが…なんでしょう。理解したくありません。」
「ふはは!そうですね。それに、ロギンスは、確かにその大会で総ポイント数で優勝しましたが、実は不戦勝だったんですよ。」
「不戦勝.........まぁ、ここまで来たら私でも予想がつきます。つまり、『私』というプレイヤーは、ロギンスに一度負けたあと、大会の途中でグロレムを引退したということなんですね。正直、一度の敗北で辞めるというのは何か裏を感じる気がしますが、とてつもないプレイヤーだったのだとは理解しました。」
「まぁそうとしか思えませんね。完全な化け物でしたし。あのプレイヤー。」
「実際にその方とも戦った経験が?」
「戦いというより完全に見世物でしたよ。速度、攻撃、守備、洞察、判断。全てが私の上を行っていた。私はあのプレイヤーの予測通りの行動を終始させられました。」
「予測通りですか。何か先程仰っていた、ロギンスは、敵を攻略するということに、少し似ていますね。」
「えぇ。やり方は違いましたが、確実に、今のロギンスはあのプレイヤーを攻略したことで出来ていると思います。それを言ったら、彼が強いと言うより、戦った相手が強かったと言えるんです。彼を超える者が現れる時は、少なくとも、『私』を超えていると思うべきでしょう。」
「ロギンスよりも強いプレイヤーなんて、早々現れないと思いますけどね。それに現れたら現れたらで、ブルーフェニクスさんが言う、ロギンスの真骨頂の、攻略で文字通り直ぐに攻略されることになりそうですが。」
「(ニヤリ)えぇそうなるでしょうね。本当の意味で彼が負けるのは、彼自身が引退した後になるでしょうね。」
「それではそろそろお時間になりました。本日のスペシャルゲストは、グロレム世界ランク9位のブルーフェニクスさんでした。ブルーフェニクスさん。ありがとうございました。」
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