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第六章
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さて、まあ、しかしだ。答云々、試されている云々はさておいたとして、それでもあの人に会えないことには始まらない。世界樹に入れないことには、何一つ始まらないのだ。
数分を経て、翠は何やら、手のひら大の箱のようなものを持って戻ってきた。その後ろでは珀が、小型のディスプレイを抱えている。
「これはキューブ型コンポジットです。このジェット専用のサーバー、かつグローバルネットワークへの接続ゲートとして機能させています。また、ガラテイアの本社サーバーへも直接接続できますので、それを経由して世界樹へのコンタクトも可能なはずです」
「ほう、また面白いものが現れたな」
立方体のそれはまるで黒一色に統一されたルービックキューブのようであり、各々の面に端子の差込口やインジケータライトらしき点滅が見受けられる。メタリックな外装はいかにも重厚な印象を抱かせるが、どうやらさほど重くはないようだ。中身には、大いに興味をそそられる。
「分解しちゃダメだからね、蓮」
しかし珀が、すかさず冷やかしを飛ばしてくる。そんな珀を、隣の翠が軽く睨んで黙らせた。場を茶化すなということだろう。翠はすぐに俺へと視線を戻す。
「有線接続を行えば、あなたのノートパソコンでも初期認証は必要ないでしょう。このキューブは演算補助も行えます。必要であれば利用してください。それから」
翠は言いながらきびすを返し、俺の正面にある、白く広い壁を指し示す。
「あちらの壁がスクリーンとして機能します。それでも足りなければ、こちらのソリッドディスプレイもお使いください」
その指示で、珀の持っていたディスプレイが俺のシータの横に据えられた。
「至れり尽くせりだな」
「相応の成果を求めます」
俺の感想に、翠は淡々と、しかしいくらかの切実さの混ざった声でそう答えた。
「善処する」
俺はシータを起動させ、備えられたコードで目の前のキューブに接続する。まずはグローバルネット、続いてガラテイアの本社サーバーから世界樹にコンタクト。回線は良好、問題ない。
処理の途中、俺は冷めたコーヒーを手に取りつつも、モニターを注視する。こういったプロセスでどのくらい時間を費やすのか、何を読み込まれているのかということも、相手方の動きを想像するヒントになるのだ。手元でキーを叩く心地よい音が響く。この音は実体を伴うソリッドキーボードならではのもの。それを耳に、俺は思考に集中する。
けれどもそのとき、ふと隣に気配を感じた。左の肩に熱の感触。見ればそこには、不自然なほど近くに座る翠の姿がある。
「……悪い。邪魔なんだが」
「お気になさらず」
いや気になるっつの。
と言いかけたが、翠は貫かんばかりに目の前のモニターを凝視していた。セキュリティの解析に興味があるのか、はたまたガラテイアのサーバーに繋いでいる俺の動きを監視しているのか。どちらにせよ、このままでは地味に作業もしにくいので、俺は仕方なく右へずれる。
するとどうしたことか、反対側の肩も何かに触れた。何か――いや、珀の左肩だ。
「……邪魔なんだが」
「いやあ。思いがけず君の仕事を間近で見られるなんて、これはとても良い機会だよね」
こ、この姉弟……表面的な性格は違えど、やはり根っこは似た者同士か。俺の経験上、これは抗議をするだけ時間と労力の無駄である。無難に妥協案を提示するのがもっとも効率的だ。
「……わかったよ。画面はスクリーンに映すようにする。頼むからもう少し離れてくれ」
両側の肩を押し退けるようにして言うと、二人は渋々ながらも距離を空けた。
「そうだな……まずはさしあたり、普通にアクセスを試みているところだが」
俺がそう口にし始めたところで、画面はちょうど良くもブロックのサインを表示する。
すると隣の翠が、スクリーンから視線を離して口を開く。
「既に私が受けている報告と一致しますね。うちの研究員が調べている限り、基本的には全てのアクセスを弾くようです」
「そのようだ。今、いくつか簡単なアプローチプログラムを組んで突っついてる。ところで翠。“基本的には”ってことは、一部例外があるという見解でいいんだな?」
尋ねると翠は、ほとんど無表情を崩さないまま、しかし一瞬だけ驚きの色をその顔に呈した。
「……はい。基本的には全てのアクセスをブロック。けれど、セキュリティに対してこちらから認証を求めるようなコマンドについてのみ、プロセスが進みます」
よし、と俺は頷く。元来、セキュリティとは城を守る塀や堀のようなものである。しかし、一つの入口も設けずにただ城全周を囲うようでは、あまりにお粗末というものだ。城主は城から出られず、仮に客人がいても、誰一人中に入れない。そんなものはセキュリティとは呼べない。ゆえに、どんなに厳重なセキュリティでも、それがセキュリティである以上、必ず入口があるものなのだ。一般的なセキュリティの場合――たとえば銀行口座やサイトのマイページへのログインなんかでは、親切に向こうから暗証番号やパスワードを尋ねてくれることが多いが、つまり今の世界樹のセキュリティには、それがないというだけに過ぎない。であるならば、どうするか。こちらから入口を探し、認証を要求するようにプログラムを組めば良い。地道に城の周りを歩いて入口を探し、寡黙な門番に自ら話しかけるというわけだ。
「……さすがですね。我々ガラテイアがこのセキュリティの解析に取り組み始めたとき、少なくともそこまで辿り着くだけでも、二日はかかったはずなのに」
「まあ慣れの問題だろ。ガラテイアが作るような商用のセキュリティは、強固ではあってもユーザーに対して親切でなければならないからな。さながらテーマパークのゲートのように『出入口はこっちですよ』と案内しながら、その上で『通すべきは通す、拒むべきは拒む』を貫くものだ。あくまで客が不快に思うようではいけないという前提がある」
「それは……そうですが」
「対して今回のは、裏路地の雑居ビルの中にある、儲ける必要のない喫茶店みたいなもんだ。そもそも入口すら何処かわからないから、侵入しようと思っても上手くいかない」
「な、なるほど。なかなか、ええ……独特の比喩ですね」
「君のその、シータ、だっけ? それのセキュリティも後者の形態。つまりは発想が似ていたというわけだね」
「今はギリシャ文字の話はしていないぞ」
「またまたあ。心の中では呼んでるくせにー」
珀の言う通り、このセキュリティは俺のシータのものとよく似ている。だが、その表現は正確でない気がした。似ていると言うより、これはむしろ……。
瞬間、俺は頭の中に一つの可能性が思い浮かぶ。同時に引き続き解析を進めた。
機内にはいくらか無言の時間が流れた。自分でも非常に集中できているとわかる。飛行中とは信じられないほどの居住性と通信環境。おそらくは三時間、いや、もう少しくらいは作業に没頭していただろうか。一区切りついたところで、淀みなく動いていたこの手が止まる。
結論。このセキュリティシステムは、俺のシータのものに似ているのではない。寸分違わず同じなのだ。俺の組んだ、オリジナルセキュリティシステム。自分の生い立ちや経験、思想をあらかじめインプットしておき、それを確かめる質問によって、自分であるかどうかを判断する。質問に対する回答だけでなく、答え方そのものも情報として参照し、その癖や趣向を判断するもの。得意な分野、好きな分野の質問ならば答えは早く長くなるが、さほど興味のない質問には迷うし、そっけない答えを返す。さらに、ときには答えないことすら答えになる。そういった傾向を複合的に分析するアルゴリズムだ。おそらくは、それをあの人に適応させて作られたのが、今の世界樹を守っているセキュリティなのだろう。彼女は以前、俺のシータのセキュリティを破ったことがあると言っていた。だからこのシステムを知っていても不思議はない。
そしてその考えに至ったとき、俺の中に生まれていた可能性は、より確かな形を帯びた。
つまりはこれは彼女なりの余興――いや、もとい挑戦状。
悪戯な笑みを浮かべた彼女の姿が、俺の脳裏を鮮明によぎる。
「翠、先に断っておくが」
俺の声に、翠は少し遅れて反応を見せた。
「何でしょう」
「ガラテイアのサーバー内にある、あの人に関する情報を見させてもらう」
翠は止めこそしないが、あまり好意的な様子でもなかった。
「既にあなたもご存じでしょうが、アイリスとガラテイアは、非常に根幹的な部分で深く関係しています。アイリスに関すること全てが、我々にとっての最重要機密です」
「わかっている。けれどそれが必要なんだ」
俺は再びキーボードを叩きながら、解析したセキュリティの仕様について翠に話した。
「……わかりました。ダメと言ったところで、どうせあなたはやるのでしょう」
その通りだ。もうやっている。
「とにかく、このセキュリティを突破するには純粋に情報量が必要だ。あまり時間も多くない。もちろん自分でも調べるが、ガラテイアの歴史なんかの部分は、分かる範囲で補足を頼みたい」
「構いませんよ。その代わり、あなたもその画面でやっていることを、定期的に説明してください。テキストばかりで、私にはよくわかりません」
少し面倒な要求だとは思ったが、いつの間にか席を立っていた珀が戻りながら「僕も同感だね」と言うのに負けて、俺は了承の意を示す。
手元には、再び湯気の立つコーヒーが現れた。
「彼女は、自分が生まれて八百年になると言った。確かに俺の知る限り、ディアが発明されてからはそれくらいになるはずだ。ということは、ガラテイアも創立八百年になるわけだよな?」
「ええ。しかしより正確には、アイリスが生まれてからは既に八百年が経過していますが、ガラテイアの創立からはまだ経過していません。ガラテイアは今年で、創立七百九十八年です」
「微妙に時期がすれているのか。とすると、ここには創業より以前のデータもあるようだが」
「ガラテイアは元々、二人の学生が取り組んでいた研究――人間を模した機械生命体の研究に端を発する企業なのです」
「二人の学生?」
「はい」
俺が気に留めたのは、特に“二人”の部分だった。一般的に知られている事実として、ガラテイア創業の功労者は一人だけだ。けれど、俺にはその二人目に心当たりがあった。
「二人のうち、一人は私の血縁である遠山剛。そしてもう一人は……」
「彼女を作った人、か」
そう。俺はその人物の存在を知っていた。
翠は無言でこくりと頷く。
「彼は若くして、現在のディアの前身であるアイリスを作り出すほどの鬼才。一方で遠山剛は、工学を学びつつ経営学にも興味を持ち、のちに二人はガラテイアを創業しました」
「その、彼ってのは……名前は?」
「名前は、残っていないのです」
翠曰く、その人物に関する記録は一つとして残っていないらしい。理由については不明だが、とにかく、ガラテイア創業に関して真実を知る術は、もはや先代からの口伝しかないのだとか。翠は、現代表取締役である父親からこの話を継いでいる。ガラテイア内でも、知っているのは数人程度とのことだ。俺が調べる限り、サーバーの中にもそれらしい資料はないようだった。
「公的には、ディアの発明はガラテイア創業から一年後です。実際、アイリスも誕生当初からあれほどのスペックを持っていたわけではありませんでした」
「そう、なのか?」
不思議なのは、彼女を作った人物については影も形も見当たらないのに、彼女自身の記録は残っていることだ。いくつか情報を拾い上げる。彼女の異様に人間らしい独特の所作や振舞いは世界樹、もっと言えば、その中にあるココロプログラムによるものだ。ただ、今の世界樹が建造されたのは、彼女が生まれたときよりも、あとなのである。
「ガラテイア創業初期の功績は、大きく二つ。一つがディアの発明、もう一つが世界樹の建造です。世界樹は、建造開始から現在の姿に至るまでに三回の移設、増設を経ています。当然、初めは世界樹などと呼ばれることもなく、国内だけを視野に入れた遠隔演算補助装置として、ある山奥に建てられました」
「それが段々と需要も増えて、海の真ん中に移されて、今の世界樹になったわけだな」
「はい。その数十年の間に起きた社会の進歩は、まさにパラダイムシフト。世界は大きく変わりました。しかし、それに伴いガラテイアの創業者二人の間にある目的の違いも、無視できないものとなっていました」
目的の違い……調べると確かに、ある時期を境にガラテイアと彼女の関係は明確な対立へと変化している。
「一人はディアを人間に近づけるため。一人はディアで人間の生活を助けるため。究極的には、ディアを生命と見るか道具と見るか。その差が二人の行く道を別ったのです」
「じゃあ、彼女は自分を作った主と一緒に、ガラテイアを離れたのか」
「そう聞いています。当時、ガラテイアの経営面は遠山剛が担っていました。アイリスの主は世界樹の開発と建造を一手に仕切っていましたが、そのさなかでの別離でした」
本来は二人いたはずの指導者が一人になる。これはガラテイアにとって大きな事件と考えられるが、記録の上ではそれが巧妙に隠されていた。事実を知った俺から見ても、この記録の裏に何かを見出だすことは難しいだろう。そしてこの時点で、名実ともにガラテイアの牽引役は遠山剛、一人となった。結局、世界樹は残された計画に従ってそのまま建造されたそうだ。
「それから百年近くが経過し、ガラテイアの経営者も何世代か跨いだのち、再びアイリスは我々のもとに現れたのです。その頃にはもう世界樹は、人類社会で無二の礎となっていました」
「……もしかしたら、そうなるのを待っていたのかもしれないな。そこで彼女はガラテイアに、自分が世界樹に対して優越権限を持っていることを告知した、と」
「突飛な話ではありますが、アイリスも世界樹も、作った人間が同じなのです。筋は通る話でした。我々ガラテイアは、そのときになってようやく、世界樹の持つスペックの全てが、一般のディアやインフラの演算補助に費やされているわけではないということを知ったのです。いいえ……全てどころか、そのために動いている世界樹の領域はほんの少しで……最初から世界樹は、アイリスのために機能することを想定して作られたものでした」
「そして八百年経った今でも、それは変わらない……」
「変わらないどころか、アイリスのために動く世界樹の領域は、徐々に増え続けています」
ガラテイアは、常に世界樹の稼働状況を監視している。過去のデータも十分に蓄えられているはずだ。俺はキーボードを操作し、ここ数年で得られたデータを閲覧する。それによれば、世界樹が彼女に費やす領域は、全体に対して約九十九パーセント。
「き、九十九パーセント!?」
あまりに極端な数値で、俺は思わず声を上げた。
「信じられない! じゃあ、今、地球上で動くディアやインフラの補助として動いている領域は、たったの一パーセントだってことか!?」
「我々が使っているのは、世界樹のごくごく一部にすぎないというわけです」
一部っていうか、文字通り一分……いや、洒落になってない!
考え方によっては、たった一パーセントの稼働域で人類社会全体を支えている世界樹の能力が、いかに凄まじいかを物語る事実。しかしながら、人類の世界の中心、ゆえに世界樹と呼ばれていたあの塔は、実のところ、ほとんど彼女のためだけに動いている。世界樹は彼女を支えるためだけにあり、したがって世界樹は彼女そのもの。ああ、ここはまさしく、彼女の世界――
「……頭痛くなってきたな」
俺は指先でこめかみを押さえながらそう零す。離陸前、珀が言っていた。事態は確かに、俺が思っていたよりも遥かに深刻だ。彼女とガラテイアの間にある溝は、両者が生まれてから今に至るまでの八百年、その年月の分だけ深い。そこに横たわる深淵は、ともすればこのディアによる社会全てを飲み込みかねない。
「翠。到着まで、あとどれだけかかる?」
「現在地から世界観近傍の島まで約三時間。そこから世界観まで約一時間の、計四時間です」
俺は「そうか」とだけ呟く。焦る気持ちは当然ある。時間が差し迫っているのもわかっている。けれども、ここから先は乱れた思考で取り組める作業ではないと思った。何しろこれは、俺にとって極めて大きな秘密だった彼女の、その八百年を知る行為なのだから。
俺は立ち上がってテーブルから離れ、近くの窓を覆うカーテンに手をかけた。それを少しだけめくると、既に暗くなり始めている外界が見える。おそらく海の上を飛んでいるのだろう、眼下にはほとんど光源がない。太陽に対して地球の裏側へ回り込むような飛行。それはまるで、夜の底へ潜っていくようにも感じられた。
この闇の先で、彼女は一人、俺を待っている。
いつかと同じように優しく、そして美しい微笑みを浮かべながら。
数分を経て、翠は何やら、手のひら大の箱のようなものを持って戻ってきた。その後ろでは珀が、小型のディスプレイを抱えている。
「これはキューブ型コンポジットです。このジェット専用のサーバー、かつグローバルネットワークへの接続ゲートとして機能させています。また、ガラテイアの本社サーバーへも直接接続できますので、それを経由して世界樹へのコンタクトも可能なはずです」
「ほう、また面白いものが現れたな」
立方体のそれはまるで黒一色に統一されたルービックキューブのようであり、各々の面に端子の差込口やインジケータライトらしき点滅が見受けられる。メタリックな外装はいかにも重厚な印象を抱かせるが、どうやらさほど重くはないようだ。中身には、大いに興味をそそられる。
「分解しちゃダメだからね、蓮」
しかし珀が、すかさず冷やかしを飛ばしてくる。そんな珀を、隣の翠が軽く睨んで黙らせた。場を茶化すなということだろう。翠はすぐに俺へと視線を戻す。
「有線接続を行えば、あなたのノートパソコンでも初期認証は必要ないでしょう。このキューブは演算補助も行えます。必要であれば利用してください。それから」
翠は言いながらきびすを返し、俺の正面にある、白く広い壁を指し示す。
「あちらの壁がスクリーンとして機能します。それでも足りなければ、こちらのソリッドディスプレイもお使いください」
その指示で、珀の持っていたディスプレイが俺のシータの横に据えられた。
「至れり尽くせりだな」
「相応の成果を求めます」
俺の感想に、翠は淡々と、しかしいくらかの切実さの混ざった声でそう答えた。
「善処する」
俺はシータを起動させ、備えられたコードで目の前のキューブに接続する。まずはグローバルネット、続いてガラテイアの本社サーバーから世界樹にコンタクト。回線は良好、問題ない。
処理の途中、俺は冷めたコーヒーを手に取りつつも、モニターを注視する。こういったプロセスでどのくらい時間を費やすのか、何を読み込まれているのかということも、相手方の動きを想像するヒントになるのだ。手元でキーを叩く心地よい音が響く。この音は実体を伴うソリッドキーボードならではのもの。それを耳に、俺は思考に集中する。
けれどもそのとき、ふと隣に気配を感じた。左の肩に熱の感触。見ればそこには、不自然なほど近くに座る翠の姿がある。
「……悪い。邪魔なんだが」
「お気になさらず」
いや気になるっつの。
と言いかけたが、翠は貫かんばかりに目の前のモニターを凝視していた。セキュリティの解析に興味があるのか、はたまたガラテイアのサーバーに繋いでいる俺の動きを監視しているのか。どちらにせよ、このままでは地味に作業もしにくいので、俺は仕方なく右へずれる。
するとどうしたことか、反対側の肩も何かに触れた。何か――いや、珀の左肩だ。
「……邪魔なんだが」
「いやあ。思いがけず君の仕事を間近で見られるなんて、これはとても良い機会だよね」
こ、この姉弟……表面的な性格は違えど、やはり根っこは似た者同士か。俺の経験上、これは抗議をするだけ時間と労力の無駄である。無難に妥協案を提示するのがもっとも効率的だ。
「……わかったよ。画面はスクリーンに映すようにする。頼むからもう少し離れてくれ」
両側の肩を押し退けるようにして言うと、二人は渋々ながらも距離を空けた。
「そうだな……まずはさしあたり、普通にアクセスを試みているところだが」
俺がそう口にし始めたところで、画面はちょうど良くもブロックのサインを表示する。
すると隣の翠が、スクリーンから視線を離して口を開く。
「既に私が受けている報告と一致しますね。うちの研究員が調べている限り、基本的には全てのアクセスを弾くようです」
「そのようだ。今、いくつか簡単なアプローチプログラムを組んで突っついてる。ところで翠。“基本的には”ってことは、一部例外があるという見解でいいんだな?」
尋ねると翠は、ほとんど無表情を崩さないまま、しかし一瞬だけ驚きの色をその顔に呈した。
「……はい。基本的には全てのアクセスをブロック。けれど、セキュリティに対してこちらから認証を求めるようなコマンドについてのみ、プロセスが進みます」
よし、と俺は頷く。元来、セキュリティとは城を守る塀や堀のようなものである。しかし、一つの入口も設けずにただ城全周を囲うようでは、あまりにお粗末というものだ。城主は城から出られず、仮に客人がいても、誰一人中に入れない。そんなものはセキュリティとは呼べない。ゆえに、どんなに厳重なセキュリティでも、それがセキュリティである以上、必ず入口があるものなのだ。一般的なセキュリティの場合――たとえば銀行口座やサイトのマイページへのログインなんかでは、親切に向こうから暗証番号やパスワードを尋ねてくれることが多いが、つまり今の世界樹のセキュリティには、それがないというだけに過ぎない。であるならば、どうするか。こちらから入口を探し、認証を要求するようにプログラムを組めば良い。地道に城の周りを歩いて入口を探し、寡黙な門番に自ら話しかけるというわけだ。
「……さすがですね。我々ガラテイアがこのセキュリティの解析に取り組み始めたとき、少なくともそこまで辿り着くだけでも、二日はかかったはずなのに」
「まあ慣れの問題だろ。ガラテイアが作るような商用のセキュリティは、強固ではあってもユーザーに対して親切でなければならないからな。さながらテーマパークのゲートのように『出入口はこっちですよ』と案内しながら、その上で『通すべきは通す、拒むべきは拒む』を貫くものだ。あくまで客が不快に思うようではいけないという前提がある」
「それは……そうですが」
「対して今回のは、裏路地の雑居ビルの中にある、儲ける必要のない喫茶店みたいなもんだ。そもそも入口すら何処かわからないから、侵入しようと思っても上手くいかない」
「な、なるほど。なかなか、ええ……独特の比喩ですね」
「君のその、シータ、だっけ? それのセキュリティも後者の形態。つまりは発想が似ていたというわけだね」
「今はギリシャ文字の話はしていないぞ」
「またまたあ。心の中では呼んでるくせにー」
珀の言う通り、このセキュリティは俺のシータのものとよく似ている。だが、その表現は正確でない気がした。似ていると言うより、これはむしろ……。
瞬間、俺は頭の中に一つの可能性が思い浮かぶ。同時に引き続き解析を進めた。
機内にはいくらか無言の時間が流れた。自分でも非常に集中できているとわかる。飛行中とは信じられないほどの居住性と通信環境。おそらくは三時間、いや、もう少しくらいは作業に没頭していただろうか。一区切りついたところで、淀みなく動いていたこの手が止まる。
結論。このセキュリティシステムは、俺のシータのものに似ているのではない。寸分違わず同じなのだ。俺の組んだ、オリジナルセキュリティシステム。自分の生い立ちや経験、思想をあらかじめインプットしておき、それを確かめる質問によって、自分であるかどうかを判断する。質問に対する回答だけでなく、答え方そのものも情報として参照し、その癖や趣向を判断するもの。得意な分野、好きな分野の質問ならば答えは早く長くなるが、さほど興味のない質問には迷うし、そっけない答えを返す。さらに、ときには答えないことすら答えになる。そういった傾向を複合的に分析するアルゴリズムだ。おそらくは、それをあの人に適応させて作られたのが、今の世界樹を守っているセキュリティなのだろう。彼女は以前、俺のシータのセキュリティを破ったことがあると言っていた。だからこのシステムを知っていても不思議はない。
そしてその考えに至ったとき、俺の中に生まれていた可能性は、より確かな形を帯びた。
つまりはこれは彼女なりの余興――いや、もとい挑戦状。
悪戯な笑みを浮かべた彼女の姿が、俺の脳裏を鮮明によぎる。
「翠、先に断っておくが」
俺の声に、翠は少し遅れて反応を見せた。
「何でしょう」
「ガラテイアのサーバー内にある、あの人に関する情報を見させてもらう」
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「既にあなたもご存じでしょうが、アイリスとガラテイアは、非常に根幹的な部分で深く関係しています。アイリスに関すること全てが、我々にとっての最重要機密です」
「わかっている。けれどそれが必要なんだ」
俺は再びキーボードを叩きながら、解析したセキュリティの仕様について翠に話した。
「……わかりました。ダメと言ったところで、どうせあなたはやるのでしょう」
その通りだ。もうやっている。
「とにかく、このセキュリティを突破するには純粋に情報量が必要だ。あまり時間も多くない。もちろん自分でも調べるが、ガラテイアの歴史なんかの部分は、分かる範囲で補足を頼みたい」
「構いませんよ。その代わり、あなたもその画面でやっていることを、定期的に説明してください。テキストばかりで、私にはよくわかりません」
少し面倒な要求だとは思ったが、いつの間にか席を立っていた珀が戻りながら「僕も同感だね」と言うのに負けて、俺は了承の意を示す。
手元には、再び湯気の立つコーヒーが現れた。
「彼女は、自分が生まれて八百年になると言った。確かに俺の知る限り、ディアが発明されてからはそれくらいになるはずだ。ということは、ガラテイアも創立八百年になるわけだよな?」
「ええ。しかしより正確には、アイリスが生まれてからは既に八百年が経過していますが、ガラテイアの創立からはまだ経過していません。ガラテイアは今年で、創立七百九十八年です」
「微妙に時期がすれているのか。とすると、ここには創業より以前のデータもあるようだが」
「ガラテイアは元々、二人の学生が取り組んでいた研究――人間を模した機械生命体の研究に端を発する企業なのです」
「二人の学生?」
「はい」
俺が気に留めたのは、特に“二人”の部分だった。一般的に知られている事実として、ガラテイア創業の功労者は一人だけだ。けれど、俺にはその二人目に心当たりがあった。
「二人のうち、一人は私の血縁である遠山剛。そしてもう一人は……」
「彼女を作った人、か」
そう。俺はその人物の存在を知っていた。
翠は無言でこくりと頷く。
「彼は若くして、現在のディアの前身であるアイリスを作り出すほどの鬼才。一方で遠山剛は、工学を学びつつ経営学にも興味を持ち、のちに二人はガラテイアを創業しました」
「その、彼ってのは……名前は?」
「名前は、残っていないのです」
翠曰く、その人物に関する記録は一つとして残っていないらしい。理由については不明だが、とにかく、ガラテイア創業に関して真実を知る術は、もはや先代からの口伝しかないのだとか。翠は、現代表取締役である父親からこの話を継いでいる。ガラテイア内でも、知っているのは数人程度とのことだ。俺が調べる限り、サーバーの中にもそれらしい資料はないようだった。
「公的には、ディアの発明はガラテイア創業から一年後です。実際、アイリスも誕生当初からあれほどのスペックを持っていたわけではありませんでした」
「そう、なのか?」
不思議なのは、彼女を作った人物については影も形も見当たらないのに、彼女自身の記録は残っていることだ。いくつか情報を拾い上げる。彼女の異様に人間らしい独特の所作や振舞いは世界樹、もっと言えば、その中にあるココロプログラムによるものだ。ただ、今の世界樹が建造されたのは、彼女が生まれたときよりも、あとなのである。
「ガラテイア創業初期の功績は、大きく二つ。一つがディアの発明、もう一つが世界樹の建造です。世界樹は、建造開始から現在の姿に至るまでに三回の移設、増設を経ています。当然、初めは世界樹などと呼ばれることもなく、国内だけを視野に入れた遠隔演算補助装置として、ある山奥に建てられました」
「それが段々と需要も増えて、海の真ん中に移されて、今の世界樹になったわけだな」
「はい。その数十年の間に起きた社会の進歩は、まさにパラダイムシフト。世界は大きく変わりました。しかし、それに伴いガラテイアの創業者二人の間にある目的の違いも、無視できないものとなっていました」
目的の違い……調べると確かに、ある時期を境にガラテイアと彼女の関係は明確な対立へと変化している。
「一人はディアを人間に近づけるため。一人はディアで人間の生活を助けるため。究極的には、ディアを生命と見るか道具と見るか。その差が二人の行く道を別ったのです」
「じゃあ、彼女は自分を作った主と一緒に、ガラテイアを離れたのか」
「そう聞いています。当時、ガラテイアの経営面は遠山剛が担っていました。アイリスの主は世界樹の開発と建造を一手に仕切っていましたが、そのさなかでの別離でした」
本来は二人いたはずの指導者が一人になる。これはガラテイアにとって大きな事件と考えられるが、記録の上ではそれが巧妙に隠されていた。事実を知った俺から見ても、この記録の裏に何かを見出だすことは難しいだろう。そしてこの時点で、名実ともにガラテイアの牽引役は遠山剛、一人となった。結局、世界樹は残された計画に従ってそのまま建造されたそうだ。
「それから百年近くが経過し、ガラテイアの経営者も何世代か跨いだのち、再びアイリスは我々のもとに現れたのです。その頃にはもう世界樹は、人類社会で無二の礎となっていました」
「……もしかしたら、そうなるのを待っていたのかもしれないな。そこで彼女はガラテイアに、自分が世界樹に対して優越権限を持っていることを告知した、と」
「突飛な話ではありますが、アイリスも世界樹も、作った人間が同じなのです。筋は通る話でした。我々ガラテイアは、そのときになってようやく、世界樹の持つスペックの全てが、一般のディアやインフラの演算補助に費やされているわけではないということを知ったのです。いいえ……全てどころか、そのために動いている世界樹の領域はほんの少しで……最初から世界樹は、アイリスのために機能することを想定して作られたものでした」
「そして八百年経った今でも、それは変わらない……」
「変わらないどころか、アイリスのために動く世界樹の領域は、徐々に増え続けています」
ガラテイアは、常に世界樹の稼働状況を監視している。過去のデータも十分に蓄えられているはずだ。俺はキーボードを操作し、ここ数年で得られたデータを閲覧する。それによれば、世界樹が彼女に費やす領域は、全体に対して約九十九パーセント。
「き、九十九パーセント!?」
あまりに極端な数値で、俺は思わず声を上げた。
「信じられない! じゃあ、今、地球上で動くディアやインフラの補助として動いている領域は、たったの一パーセントだってことか!?」
「我々が使っているのは、世界樹のごくごく一部にすぎないというわけです」
一部っていうか、文字通り一分……いや、洒落になってない!
考え方によっては、たった一パーセントの稼働域で人類社会全体を支えている世界樹の能力が、いかに凄まじいかを物語る事実。しかしながら、人類の世界の中心、ゆえに世界樹と呼ばれていたあの塔は、実のところ、ほとんど彼女のためだけに動いている。世界樹は彼女を支えるためだけにあり、したがって世界樹は彼女そのもの。ああ、ここはまさしく、彼女の世界――
「……頭痛くなってきたな」
俺は指先でこめかみを押さえながらそう零す。離陸前、珀が言っていた。事態は確かに、俺が思っていたよりも遥かに深刻だ。彼女とガラテイアの間にある溝は、両者が生まれてから今に至るまでの八百年、その年月の分だけ深い。そこに横たわる深淵は、ともすればこのディアによる社会全てを飲み込みかねない。
「翠。到着まで、あとどれだけかかる?」
「現在地から世界観近傍の島まで約三時間。そこから世界観まで約一時間の、計四時間です」
俺は「そうか」とだけ呟く。焦る気持ちは当然ある。時間が差し迫っているのもわかっている。けれども、ここから先は乱れた思考で取り組める作業ではないと思った。何しろこれは、俺にとって極めて大きな秘密だった彼女の、その八百年を知る行為なのだから。
俺は立ち上がってテーブルから離れ、近くの窓を覆うカーテンに手をかけた。それを少しだけめくると、既に暗くなり始めている外界が見える。おそらく海の上を飛んでいるのだろう、眼下にはほとんど光源がない。太陽に対して地球の裏側へ回り込むような飛行。それはまるで、夜の底へ潜っていくようにも感じられた。
この闇の先で、彼女は一人、俺を待っている。
いつかと同じように優しく、そして美しい微笑みを浮かべながら。
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39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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