Dear “Dear”

りずべす

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第六章

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 あれから翠は、俺の承諾を待とうともせずに、自身の腕にはめたブレスレットデバイスで迎えを呼んだ。ロビーまで降りてロータリーへ出ると、既に見覚えのある車が停まっていて、さらにその傍らには、同じく見覚えのあるやつが見覚えのない格好で立っていた。
「やあ、蓮。お迎えに上がったよ」
 珀だ。俺のよく知る学友、珀が、制服ではなくダークスーツを着た姿で、幼い顔立ちに爽やかな笑みを浮かべ一礼する。
「お前、何やってんだよ」
「何って、珍しく翠姉さんのお呼びがかかったものだから飛んできたのさ。風のようにね」
 冗談混じりに片目を瞑り、ウィンクなどして彼は答える。
 俺が静かに困惑していると、そんなやり取りをまるで歯牙にもかけない翠が、早足で後部座席に乗り込み言った。
「空港まで急いで」
 すると珀はいやに真面目な顔つきになり「承知致しました、姉様」と会釈をして運転席に乗り込む。その際、俺のためだろう、助手席のドアを開けておくことも忘れない。
 ……って、え? お前が運転すんの?


 俺が助手席にてごくごく庶民的な疑問を抱いているうちに、驚くほど鮮やかなハンドル捌きで車は空港に到着した。珀曰く
「僕もう十八だからねー。別に免許持ってても変じゃないでしょ」
 とのことだ。いや、年齢的には免許は取り立てのはずで、にもかかわらずこれだけ大きい黒塗り高級車を手足のように操るスキルを持っていることには納得しかねるものがあるが……何だろう、やはりガラテイアの御曹司ともなると色々と違うのだろうか。
 ロータリーに入って停車したところで、翠はすぐに飛び出して建物へと入っていく。
「先に行って手続きしてる。珀は車を置いてから、那城さんを連れてきて。あと十五分で出るわ」
「はい、姉様」
 珀はすぐに車を走らせ、慣れた様子で近くの駐車場に向かった。平日の空港だというのに、周囲にはほとんど人がいない。やがて車が停められて、珀と俺は歩いて翠のところへ向かう。
「十五分だってさ。相変わらずタイトなスケジュール組むねえ」
 笑みを溢しながら珀が言う。
「なあ珀」
「ん? 何?」
 彼の返答は、至っていつも通りの声色だった。
「さっぱり状況が掴めんのだが」
「ああ、まあそうだろうねえ。けど、僕もそんなに詳しくないよ。世界樹に行くってことだけ聞いてる。行くんだよね?」
「行くっつったって……本当に行けるのか? だって、世界樹だぞ」
「そりゃあ行けるんじゃない? 車で空港まで来て、飛行機で近くの島まで行って、あとは……ヘリコプター? 異次元の彼方の別世界って訳でもないんだし」
「……そうかもしれんが」
 だとしても、簡単に実感なんて湧きやしない。
「僕も実際に行くのは初めてだけど、とにかく、翠姉さんが行くって言ったんなら行くんでしょ。きっと今頃は、三人分の出国手続きでもしてるさ」
 手続きか。当然、そういう行為もついてまわるはずだ。国外に出るのなら、たとえばビザとかパスポートとか……今更だが俺はそんなもの持ってないぞ。
「つか、三人分ってことはお前も行くのか」
「あ、ひどいなあ。いつもそうやって僕を除け者にして。知ってるんだからね。最近、翠姉さんと二人で何かしてたの」
「いや、別に除け者って訳じゃ……」
 何気ない感想を漏らしたつもりだったが、珀は少しだけ唇を尖らせる。
「何であいつが、わざわざお前を呼んだのかと思っただけさ」
 俺が続けると、珀はそこで立ち止まった。そうして一呼吸置くと、俺の方へと振り返る。
「そりゃあ、君に気を使ったんだよ。ディアが苦手な君にね」
「俺に?」
「うん。ま、突然連れ出したみたいだし、短い旅でもないからさ。少しでも気心知れた僕を、みたいな?」
 軽い口調は変わっていないが、珍しく冗談を言っている様子はなかった。
「あいつがそんなことする女かよ」
「する女だよ。仕事でいつも連れてる自分のディアをおいてきて、わざわざ僕にもつれてこないように言ったんだ。あれで実は、君には一目置いてるのさ」
 俺を映す珀の瞳は穏やかであり、そして同時に、真摯でもある。生じた数秒の沈黙ののち、珀は覗き込むようにしてこちらを見、やがて。
「そういうとこわかると、君ももっと、翠姉さんと仲良くなれるんじゃないのかなあ?」
 ニッと笑った。対して、俺は。
「……是非、遠慮する」
 すると珀はやれやれと肩をすくめて前を向き、そのまま元通り歩き出した。相も変わらず、嘘か本当かわからないような与太話を広げながら。


 搭乗ゲートまで辿り着いて、ようやく俺は、周囲にひとけがないことの理由を知った。広い空港の中で、ここらはプライベートジェット専用の区画だったのだ。乗り込んだ機体の中には洒落た照明やカーテン付きの窓が複数設けられており、座席以外にも横長のソファやテーブルがある。その他、どうやら簡易な仕切りで三つの部屋に別れているらしく、キッチンやベッドまであるそうだ。造りとしては、随分と居住性に配慮した印象を受ける。
「ちょっと珀、旅行に行くんじゃあないのよ。なるべく速く飛ぶ機体を用意するよう、私は言ったはずだけど」
 乗り込むなり、翠が怪訝な顔でそう言い放つ。
 対して珀は、パイロットに手早く何かを伝えたあと、最後に搭乗してさらりと答えた。
「旅客タイプの中では最速クラスの機体です。整備状況なども鑑みて、これが一番早く目的地に到着できます」
「本当なのかしら。こんな、内装にばかりお金をかけたような機体で」
「はい。誓って姉様に嘘など申しません。幸い今回はゲストもおりますので、相応の選択かと」
 珀が恭しくそう進言すると、翠は少しだけ考える様子を見せたが、やがて黙ったまま奥へと歩いていく。珀はそれに付き従い、同時に目配せで俺を呼んだ。その一連の光景は、学校での二人を知っている俺からすればあまりに意外なほど、嫌味のない自然なものに見えた。おそらくはこれが、二人の間に培われた偽りのないもう一つの関係性なのだろう。
 一旦座席に座るよう促され、機体は離陸。数分を経て安定飛行に移ると、すぐに翠はテーブルの方に座り直した。ほとんど同時に、珀が三つのコーヒーを携えてくる。翠は喉を湿らせる程度にそれを含み、こちらを向いて話し始める。
「現在、七月十五日の午前十時四十六分です。世界樹近傍の島まで、フライト時間は約六時間。時差を含めて、現地時間で十四日の午後十時前には到着する予定です。そこからは船かヘリコプターですが、おそらくヘリが用意できます。移動時間は一時間ほどです」
 とすると、世界樹に着くのは現地で午後十一時頃。ほとんど深夜だ。
「ですが、これはあくまで“全てが順調にいけば”の話です。我々の探している原型第一機ファーストプロトタイプ――アレの影響で世界樹がアクセス不能状態にあることは既に話しました。これに対し、ガラテイアの研究員が現在もセキュリティのハッキングに取り組んでいます。それが成功しないことには、たとえ我々が世界樹に辿り着いたとしても、中に入ることができません」
 翠は両手をテーブルの上に重ね置いたまま、俺を見たまま動かない。
「世界樹は、もう何百年も前に作られたものですが……そこに込められた技術力は、未だ我々にとっては驚異です。加えて、アレが端末装置ターミナルとしてリアルタイムで人類のネットワークを見てきていますから、その分だけ進化もしているでしょう。予定通りに事が運ぶ可能性は五分。しかし逆に言えば、このハードルの高さこそ、アレが世界樹の中にいるという傍証でもあります」
 ……なるほど。翠の説明は理解した。俺は何も言わずに座席からテーブルへ移る。
 翠はそれを視線で追った。何か喋れと、その目が言っているみたいだった。
「……二つ、ある」
「どうぞ」
 俺は翠を正視する。
「世界樹のセキュリティを突破しようとしていると言ったな。それはハッキングじゃないだろう。以前あったガラテイアのサーバーへのクラッキングと、今お前らがやってる世界樹のセキュリティ突破。どちらも本質は変わらない」
 正しい意味として、ハッキングとは本来、ハードウェアやソフトウェアのエンジニアリング――つまりは技術の行使を広範に意味する用語だ。必要に応じた解析やプログラムの改変も、ときにはこれに含まれる。一方で、クラッキングこそ、悪意を伴う危害性のある行為を指す用語。二つは一般に混同されがちな用語だが、俺個人としては、正しく分けられるべきだと思っている。なぜなら、その行為に伴う悪意の有無という観点で、決定的に違うからだ。
 ゆえに今、翠が――ガラテイアが、自分たちの行為をハッキングと称しているのは、大変な欺瞞を孕んでいる。こいつらは暗に、その行いの正統性、正義を主張していることになるのだ。
 けれども、翠は毅然と答えた。
「受け取り方はあなたに委ねます。クラッキングと呼んで頂いても構いません。ただ、私たちには確固たる自負がございます。私たちは、私たちのために、必要なことをしているのです。今、人類が世界樹を手放すわけには、いきませんから」
 きっと翠の言うことに間違いはないのだろう。事実、世界樹は今の人類にとって欠かせないものだ。合理的に考えるならば、俺がガラテイアの行いに否定的になる理由はないはずだった。
 なのに……何だろう。この言いようのない、不快感は。その違和感を、不満を……俺は残ったもう一つの方へと乗せて言う。
「二つ目だ。前にも言ったが……あの人をアレ呼ばわりするのはやめてくれ」
 すると、これまで無表情に整っていた翠の顔が、わずかに形を崩して歪んだ。わざとそうしたというよりは、たまらず内心が表に出たという感じだった。
「解せませんね。私には、あなたがそう考える理由も、まして他人にまでそれを求める理由もわかりません。もしやとは思いますが……あなたはアレに、恋情でも抱いているのですか?」
 ……恋情?
 翠の言葉に、俺はこの身が怯むのを自覚する。恋情とはつまり、好き、ということだろうか。好き……俺があの人に抱いている、このどうしようもない気持ちは……好意、なのだろうか。
 でも……と、そこで俺は思う。相手はディアだ。ディアは人間ではない。そう唱える理性のような存在も、俺の中には確かにある。目の前のエメラルドの瞳も、同じことを言っている気がする。
 翠の問いに、俺はたっぷり一分間黙したあと、ようやく静かに口を開いた。
「……わかっている。頭ではわかっているさ。けれど……俺にはどうしても、あの人が人間に見えてしまうんだ」
 それを聞いた翠は、少なからず驚いたようであった。
 一方で俺は、そのときになって初めて、自分で放った言葉に気づかされる。そうだ。俺は、自分の中にあるこの想いに『恋』と名付けることを、拒まなかったのだと。
 やがて、翠は大きな溜息をついた。次いで渋々考える仕草を見せ。
「わかりました。そうですね……では、今後は私も『アイリス』と呼称しましょう」
「……それは偽名だ。本当のあの人の名は、アイリスじゃない」
「いいえ。そんなことは関係ありません」
 落ち着いた声で首を振る。
「本名になど、私は興味ありません。私が見る世界の“本当”は私が 決めます。それがたとえ真実と違ったとしても、関係ありません。私にとって、あの端末装置ターミナルはあくまでディアで、人間ではない。呼び方を変えたところで私の根本的な認識は変わりませんが、それでも、あなたの意には沿うはずです」
「お前……」
 俺は次なる言葉を失った。それはとても力強い矜持だった。ディアと人間がわからなくなって迷い悩む俺にとっては、清々しいほどに割り切った意見だ。ディアとは何か。人間とは何か。こいつはそれを、自分の中で“決めている”のだ。
「そういえば、あのアイリスはよく、ディアと人間について論じていました。あなたも一緒にいたのなら、お聞きになったのではないですか?」
「あ、ああ……」
 あの人が考えていたこと。それは人間とディアを分かつ根拠。外見や能力の違いは、その根拠にはなり得ないということ。特徴はあくまで特徴であり、両者の帰納的解釈を助けるだけなのだということ。実のところ、俺たち人類は、もう何百年も前から人間の定義を失いかけているのかもしれなくて……いや、ともすれば初めからそんなもの持っていなかったのかもしれなくて……漠然とした認識の上、曖昧な境界だけを間に置いて存在している人間と、そしてディア。
 ならば人間とは、ディアとは、いったい何なのか――
「初めて聞いたとき、私はあの話を、人を煙に巻くような代物だと思いました。今では、もはや私がその論を理解する必要はないと判断しています。私は、アイリスの問いに答えませんし、答えられません。あちらとて、私からそれを聞こうとは思っていないでしょう。アイリスは、あなたに求めているのです。答を」
 答――言われて、そういうことかと、俺は今更になって得心した。あのメモリカードに残されていたメッセージ……。
「俺を呼んだのはそのためか」
「ええ。アイリスはあなたを呼んでいます」
 そして俺は、不意に、あの人の言葉を思い出す。いつだったか、夕陽に染まるあの場所で、彼女は言ったのだ。連れていってあげましょうか、と。
 ああ……翠の言う通り、彼女は俺を待っているのかもしれない。その考えは驚くほど、俺の中にストンと上手くはまりこんだ。次の瞬間、俺は知らず知らずのうちにこの口を開いていた。
「翠。今、世界樹に敷かれているセキュリティの突破。俺にも、一枚噛ませてくれないか」
 すると翠は、右手を口元に寄せ考える仕草を見せたが、しばらくして立ち上がった。
「そのような申し出を頂けるとは、願ってもなかった僥倖です。無論、あなたの技術ならば、大きな力になると思われます」
 翠は早足でその場を立ち去る。足音がいくらか遠くまで離れていくと、俺に向けられたもう一つの視線があることに、すぐに気づいた。
「……あいつのためじゃあないからな」
「わかっているよ」
 まるで言葉を用意していたかのごとく珀は答えた。若干の含み笑いに関しては、無視をするよう自身に言い聞かせる。
「気になるんだね。その、アイリスさんって人のこと」
「……直球だな」
「あはは。まあそれでも、翠姉さんの助けになるのも確かな事実だ。感謝するよ」
 珀は、おそらくはまったく他意のない無邪気な笑顔を見せる。やがてその笑顔を丁寧にしまい込むと、次には真剣な顔つきになって言った。
「僕もね。翠姉さんから、少しだけ聞いたことがあるんだ」
「何を」
「ディアと人間の話……いや、どちらかと言えば、僕ら人間側の話、かな」
 手元のコーヒーを一度に全て飲み切って、珀はすっと居住まいを正す。
「人間の定義ってのは、時代によって変わるもの。そう考えたことはないかい? たとえば昔々、人間ってのは、つまりは貴族のことだった。貴族として生まれることだけが唯一、人間として生きる術であり、同時に証でもあった。そしてまた別の時代には、地球が回っていると唱えた人や、魔術を使うとされた人が、非人間として弾圧されたなんて話もある」
 果たして珀は、何を言おうとしているのだろう。俺はその真意が見えずに怪訝な顔を向ける。
「悪いが、史学は俺の専門外だ」
 茶化したつもりはなかったが、珀はどうやら、俺の返しを冗談と受け取ったらしかった。まるで相槌のように二、三微笑み、そして続ける。
「一つの例として、人間の親から生まれた子供は間違いなく人間だ。少なくとも、今の僕たちの時代ではね。でもさ、そんな中で、人工受精なんてものを研究している人たちもいるよね」
「まあ、いるな。それで、だから何が言いたい?」
「ディアは、僕たち人間の身体の構造をほとんど模していると言っていい。今はまだ無理でも、近い未来、ディアと人間の間で子孫が残せるようになるかもしれない。そうなったらいよいよ、何が僕らを、僕らたらしめるだろう。人の精神が身体のどこに宿るのかすら知らない僕らは……」
 その珀らしからぬ真面目な物言いに、俺は少しだけ息を飲む。
「つまり僕が言いたいのはね。答なんて、一概に定まるものじゃないってことさ。そのアイリスさんって人に、たぶん君は試されているんだ。でも、事はそれだけに留まらない。君が想い描く答は、もしかしたら君が想うよりも重大な結末を招くかもしれない。僕はそう思うよ」
「……ここに来て怖えこと言うな、お前」
 俺が眉を寄せて苦々しく言うと、対照的に珀は、にこりと爽やかな笑顔を浮かべた。悪戯に述べた一言のようで、それはきっと、珀の本心だったのだろう。
 やがて珀は、去った翠のあとを追っていった。
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