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第六章
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翠が俺を呼びつけた先は、都心駅から徒歩五分程度のところにあるグランドホテルだった。知名度、立地ともに、言わずと知れた高級ホテルだ。平日の昼間から学生服を着て入るには、少々気の引ける場所でもある。それでも俺は、鞄を持つ手に少しだけ力を込め、意を決して正面の自動扉からロビーへと足を踏み入れた。
中は二階や三階までが吹き抜けの開けた造りで、大きな花木やシャンデリアに彩られていた。フロアには真っ赤なカーペットが敷かれ、洒落た椅子やテーブル、さらにはグランドピアノなんかも見受けられる。空調は適温。そして落ち着いた暖色系の照明。そういったもの一つ一つの組み合わせが、嫌味のない瀟洒な雰囲気を作り出している。
俺はその空間に圧倒され、思わず立ち尽くしてしまっていた。しばらくの間そうしていると、やがてカウンターから一人のホテルマンがやってくる。
「那城蓮様ですね。こちらへどうぞ」
俺は驚きつつ、訳も分からないまま奥のエレベータへと導かれた。見ると、そのエレベータの行き先は一つしかなく、七十五階、ロイヤルスイートルームとある。ホテルマンは素早く操作だけを行い、同乗せずに閉まる扉の外で深々と頭を下げる。
直後、わずかな振動に合わせて身体が少しだけ重くなる。到着を知らせる電子音に次いで再び扉が開くと、そこは直通でリビングスペースとなっていた。広々とした部屋の中、数あるソファにやや前傾姿勢で腰かけているのは翠だ。翠は、俺の姿を認めるとすぐに立ち上がった。
「突然呼びつけてすみません」
まったくだ、と心の中で呟きながら、俺は適当に文句を連ねる。
「俺の貴重な出席日数が一日失われたぞ。いったい何事だ」
「……こちらへ」
いつもの翠なら、俺の軽口に対して二、三返答があってもよいところだ。しかしどうやら、今回はそれを飲み込んだようだった。表情が冴えない。それほどに余裕のない事態ということだろうか。
俺は翠のあとについて、リビングルーム、続いてダイニングルームを通り抜ける。長く仰々しいテーブルの上には燭台を模した照明具があり、さらには小さな装花のようなものまで設えられている。見れば見るほど豪勢で、また気遣いの行き届いた部屋だとわかった。
そうしてたどり着いた一番奥のベッドルームには、当然だが大きなベッドが据えられていた。俺は生まれて初めて、天蓋のついたベッドというものを見た。クッションや枕が三つも四つも乗っているのに、それでも人の寝るスペースは十分過ぎるほど確保されている。
そのベッドの上を、翠は視線で指し示す。何かが置かれていた。親指大の、白い、長方形……いやに古い型のメモリカード。近くで見ると、それにはマジックで小さく『アイリス』と書かれていた。――アイリス?
「宛名はありませんが……これは、あなたに残されたものでしょう。アレがそう名乗っていた相手は、おそらくはあなただけですから」
翠は努めて冷静な声音で俺に告げた。その過分に落ち着き払った話し方は、翠の内心を投影したわけでは、きっとない。
「これをあの人が? だとしても、なぜ、こんな場所に」
「ここは、アレのために用意した部屋なのです。アレはずっと、ここで生活をしていました。そのカードは今朝になって見つけられたもの。そしてアレの姿が、今朝から何処にも確認できません」
聞いて、俺は自分でも意外なほどに、この心臓が跳ねるのを自覚した。それを、すんでのところで表情に出ないよう噛み殺す。
「……なるほど。つまり、いなくなった、ってことか」
それで翠は、大慌てで俺を呼びつけたのだ。
にしても、まさかあの人がこんなところに住んでいたとは。いやまあ、彼女の境遇やガラテイアとの関係を思えば、もちろんあり得る話ではあるが。
高級ホテルのロイヤルスイートルームでの生活。約束された安寧、最上級の待遇。ただしそれと引き換えに、外出はしっかり管理されるわけだ。自由とはいささか縁遠い。
「なぜ探さない?」
「探しています。ですが、位置情報の発信が途絶しているのです。以前と同じように」
後半を明らかに強調し、翠は鋭く俺を睨んだ。そこで俺を睨まれても困るんだが……。
「そのメモリカード、おそらくはあなたにしか開けません。現行のディアでは対応していない型式です」
少しして、俺からの返答がないと分かると、翠は早々と話を進めた。
「おそらく? とか言ってお前、その顔はもう、散々試したって顔じゃないのか」
「ええ。様々なアダプタを使っても、やはりディアでは読み込めない。旧型のデスクトップパソコンでも試しましたが、それだと今度は、パソコンの方が中身のデータに対応していなくて……要するに結局、開けないのですよ」
俺宛だとわかっていながら堂々と調べるその姿勢。まったく恐れ入る。こういうとき、翠は手段を選ばないし、それに一つの負い目もない。わかっている。これはそういう女なのだ。
「不自然に古いカードの中に、不自然に新しいデータが入っている、か」
「そういうことです。その点あなたなら、あなたのそのノートパソコンなら……どうにかなるかと」
確かに俺のシータは、型式だけ見ればかなり時代遅れの骨董品。けれど日常で使うため、最新のデータやソフトまで扱えるよう弄ってある。パズルのピースとしては、上手く噛み合う。
「……わかったよ。少し待ってくれ」
俺は手元でシータを立ち上げた。傍にある丸テーブルの椅子に腰掛け、カードを読み込む。中身の容量はさほど大きくなく、おそらくは何らかのプログラムを実行するファイルだと思われた。本当は得体の知れないファイルを自分のデバイスで起動したくなんてないのだが……隣で翠が見張っている。やるしかないか。渋々ファイルを起動させると、しかしその小さな容量からは想像できないほどに処理が重く、一瞬だけ処理がカタつく。直後、CPUの負荷が跳ね上がり、しばらく手がつけられない状態になってしまった。
「……こんなに大量の処理を要求するファイルだったのですね」
翠が小さな声で呟く。
「とんでもないな。俺が言うのもなんだが、こりゃあそこらのロースペックデバイスでやってたら、何ヵ月経っても終わらないところだったぞ」
「そうですね。あなたのパソコンが無駄に高性能で助かりましたよ」
「おい止めるぞこれ」
無駄とは何だ無駄とは。
まあ……それはともかく。ファイルの容量がさほど大きくなかったのは、実行する処理命令が極めて効率化されたコードで書かれていたからだろう。だが実際に行う処理そのものは随分と多く、また複雑なものであった。様々なアプリケーションを起用して縦横無尽にデータを受け渡し、変換、入出力を繰り返している。それはまるで、一つ一つの小さなパーツをかき集めて加工し、組み上げて何かを作っているようにも見えた。
しばらく、のち。そうして形成されたのは、こなした処理量にはあまりに不釣り合いなほど簡素な、一つのテキストファイルだった。そのテキストが、述べることには。
『人類の答を聴きましょう』
瞬間、横から見ていた翠の息遣いが、わずかに停止するのが感じ取れた。どうやら翠は、この短い文から何かを得心したようだった。片や俺は、いまいち意図が汲み取れない。おかしい。これは俺宛のメッセージではなかったのだろうか?
「なぜ探さないのか……さきほどあなたは、そう訊きましたね」
音のない部屋の中、ディスプレイを見つめたまま翠がゆっくりと口を開く。
「もちろんのこと、ガラテイアの総力を挙げて探しています。ですから、実のところ、見当は既についているんです」
「見当? 居場所のか?」
「はい」
「なんだ。思ったより話は簡単じゃないか。なら、さっさとそこへ向かえばいい」
対する翠は、しかし重い口調のまま先を続けた。
「場所は……世界樹です」
そのとき、俺の両眼は大きく見開かれた。世界樹。それはまさしく、日常と非日常の両極端にある言葉だ。日々いつも自然と目に映る、そこにあるのが当たり前の存在。でも、だからといって、実際に自分が行くなどということを、ほとんどの人が考えたことはないだろう。それは、たとえるならば、空に浮かぶ月と同じで。
翠はまさに、その世界樹ことを言っているのだ。
「現在、世界樹に対するガラテイアからのアクセスは、例外なく全てブロックされています」
「……何だって?」
「これまで世界樹は、端末装置である原型第一機や我々ガラテイアの他、一部の国の特殊な機器からアクセスができるようになっていて、それらの共同制御下にありました。しかし今、世界樹にアクセスできるのは原型第一機、ただ一つ。完全な独立状態です。一般ディアへのエネルギー供与や演算補助、インフラのサポート等々は平常通り行われているため、まだ顕在化はしていませんが……既に我々の手を、いえ、人間の手を離れている。これは未曾有の事態です」
……待ってくれ。思考が会話についていかない。アクセスブロック……人間の手を離れ……未曾有の事態……いやいや、いやいや……は?
目前の光景が唐突に眩んだような錯覚に、俺は陥る。ディスプレイが、豪奢なベッドが、ベランダに設けられた小さな庭が、遠く遥か彼方に飛び去ってゆく。血流の増加に反比例して神経伝達が停滞する。いったいこいつは、何を言っている?
やがて俺が、やっとの想いで声を絞り出そうとした、その間際。翠はまるで、先回りでもするように俺にこう告げた。
「結論を言いましょう。私はこれから世界樹へ向かいます。あなたも、同行してください」
中は二階や三階までが吹き抜けの開けた造りで、大きな花木やシャンデリアに彩られていた。フロアには真っ赤なカーペットが敷かれ、洒落た椅子やテーブル、さらにはグランドピアノなんかも見受けられる。空調は適温。そして落ち着いた暖色系の照明。そういったもの一つ一つの組み合わせが、嫌味のない瀟洒な雰囲気を作り出している。
俺はその空間に圧倒され、思わず立ち尽くしてしまっていた。しばらくの間そうしていると、やがてカウンターから一人のホテルマンがやってくる。
「那城蓮様ですね。こちらへどうぞ」
俺は驚きつつ、訳も分からないまま奥のエレベータへと導かれた。見ると、そのエレベータの行き先は一つしかなく、七十五階、ロイヤルスイートルームとある。ホテルマンは素早く操作だけを行い、同乗せずに閉まる扉の外で深々と頭を下げる。
直後、わずかな振動に合わせて身体が少しだけ重くなる。到着を知らせる電子音に次いで再び扉が開くと、そこは直通でリビングスペースとなっていた。広々とした部屋の中、数あるソファにやや前傾姿勢で腰かけているのは翠だ。翠は、俺の姿を認めるとすぐに立ち上がった。
「突然呼びつけてすみません」
まったくだ、と心の中で呟きながら、俺は適当に文句を連ねる。
「俺の貴重な出席日数が一日失われたぞ。いったい何事だ」
「……こちらへ」
いつもの翠なら、俺の軽口に対して二、三返答があってもよいところだ。しかしどうやら、今回はそれを飲み込んだようだった。表情が冴えない。それほどに余裕のない事態ということだろうか。
俺は翠のあとについて、リビングルーム、続いてダイニングルームを通り抜ける。長く仰々しいテーブルの上には燭台を模した照明具があり、さらには小さな装花のようなものまで設えられている。見れば見るほど豪勢で、また気遣いの行き届いた部屋だとわかった。
そうしてたどり着いた一番奥のベッドルームには、当然だが大きなベッドが据えられていた。俺は生まれて初めて、天蓋のついたベッドというものを見た。クッションや枕が三つも四つも乗っているのに、それでも人の寝るスペースは十分過ぎるほど確保されている。
そのベッドの上を、翠は視線で指し示す。何かが置かれていた。親指大の、白い、長方形……いやに古い型のメモリカード。近くで見ると、それにはマジックで小さく『アイリス』と書かれていた。――アイリス?
「宛名はありませんが……これは、あなたに残されたものでしょう。アレがそう名乗っていた相手は、おそらくはあなただけですから」
翠は努めて冷静な声音で俺に告げた。その過分に落ち着き払った話し方は、翠の内心を投影したわけでは、きっとない。
「これをあの人が? だとしても、なぜ、こんな場所に」
「ここは、アレのために用意した部屋なのです。アレはずっと、ここで生活をしていました。そのカードは今朝になって見つけられたもの。そしてアレの姿が、今朝から何処にも確認できません」
聞いて、俺は自分でも意外なほどに、この心臓が跳ねるのを自覚した。それを、すんでのところで表情に出ないよう噛み殺す。
「……なるほど。つまり、いなくなった、ってことか」
それで翠は、大慌てで俺を呼びつけたのだ。
にしても、まさかあの人がこんなところに住んでいたとは。いやまあ、彼女の境遇やガラテイアとの関係を思えば、もちろんあり得る話ではあるが。
高級ホテルのロイヤルスイートルームでの生活。約束された安寧、最上級の待遇。ただしそれと引き換えに、外出はしっかり管理されるわけだ。自由とはいささか縁遠い。
「なぜ探さない?」
「探しています。ですが、位置情報の発信が途絶しているのです。以前と同じように」
後半を明らかに強調し、翠は鋭く俺を睨んだ。そこで俺を睨まれても困るんだが……。
「そのメモリカード、おそらくはあなたにしか開けません。現行のディアでは対応していない型式です」
少しして、俺からの返答がないと分かると、翠は早々と話を進めた。
「おそらく? とか言ってお前、その顔はもう、散々試したって顔じゃないのか」
「ええ。様々なアダプタを使っても、やはりディアでは読み込めない。旧型のデスクトップパソコンでも試しましたが、それだと今度は、パソコンの方が中身のデータに対応していなくて……要するに結局、開けないのですよ」
俺宛だとわかっていながら堂々と調べるその姿勢。まったく恐れ入る。こういうとき、翠は手段を選ばないし、それに一つの負い目もない。わかっている。これはそういう女なのだ。
「不自然に古いカードの中に、不自然に新しいデータが入っている、か」
「そういうことです。その点あなたなら、あなたのそのノートパソコンなら……どうにかなるかと」
確かに俺のシータは、型式だけ見ればかなり時代遅れの骨董品。けれど日常で使うため、最新のデータやソフトまで扱えるよう弄ってある。パズルのピースとしては、上手く噛み合う。
「……わかったよ。少し待ってくれ」
俺は手元でシータを立ち上げた。傍にある丸テーブルの椅子に腰掛け、カードを読み込む。中身の容量はさほど大きくなく、おそらくは何らかのプログラムを実行するファイルだと思われた。本当は得体の知れないファイルを自分のデバイスで起動したくなんてないのだが……隣で翠が見張っている。やるしかないか。渋々ファイルを起動させると、しかしその小さな容量からは想像できないほどに処理が重く、一瞬だけ処理がカタつく。直後、CPUの負荷が跳ね上がり、しばらく手がつけられない状態になってしまった。
「……こんなに大量の処理を要求するファイルだったのですね」
翠が小さな声で呟く。
「とんでもないな。俺が言うのもなんだが、こりゃあそこらのロースペックデバイスでやってたら、何ヵ月経っても終わらないところだったぞ」
「そうですね。あなたのパソコンが無駄に高性能で助かりましたよ」
「おい止めるぞこれ」
無駄とは何だ無駄とは。
まあ……それはともかく。ファイルの容量がさほど大きくなかったのは、実行する処理命令が極めて効率化されたコードで書かれていたからだろう。だが実際に行う処理そのものは随分と多く、また複雑なものであった。様々なアプリケーションを起用して縦横無尽にデータを受け渡し、変換、入出力を繰り返している。それはまるで、一つ一つの小さなパーツをかき集めて加工し、組み上げて何かを作っているようにも見えた。
しばらく、のち。そうして形成されたのは、こなした処理量にはあまりに不釣り合いなほど簡素な、一つのテキストファイルだった。そのテキストが、述べることには。
『人類の答を聴きましょう』
瞬間、横から見ていた翠の息遣いが、わずかに停止するのが感じ取れた。どうやら翠は、この短い文から何かを得心したようだった。片や俺は、いまいち意図が汲み取れない。おかしい。これは俺宛のメッセージではなかったのだろうか?
「なぜ探さないのか……さきほどあなたは、そう訊きましたね」
音のない部屋の中、ディスプレイを見つめたまま翠がゆっくりと口を開く。
「もちろんのこと、ガラテイアの総力を挙げて探しています。ですから、実のところ、見当は既についているんです」
「見当? 居場所のか?」
「はい」
「なんだ。思ったより話は簡単じゃないか。なら、さっさとそこへ向かえばいい」
対する翠は、しかし重い口調のまま先を続けた。
「場所は……世界樹です」
そのとき、俺の両眼は大きく見開かれた。世界樹。それはまさしく、日常と非日常の両極端にある言葉だ。日々いつも自然と目に映る、そこにあるのが当たり前の存在。でも、だからといって、実際に自分が行くなどということを、ほとんどの人が考えたことはないだろう。それは、たとえるならば、空に浮かぶ月と同じで。
翠はまさに、その世界樹ことを言っているのだ。
「現在、世界樹に対するガラテイアからのアクセスは、例外なく全てブロックされています」
「……何だって?」
「これまで世界樹は、端末装置である原型第一機や我々ガラテイアの他、一部の国の特殊な機器からアクセスができるようになっていて、それらの共同制御下にありました。しかし今、世界樹にアクセスできるのは原型第一機、ただ一つ。完全な独立状態です。一般ディアへのエネルギー供与や演算補助、インフラのサポート等々は平常通り行われているため、まだ顕在化はしていませんが……既に我々の手を、いえ、人間の手を離れている。これは未曾有の事態です」
……待ってくれ。思考が会話についていかない。アクセスブロック……人間の手を離れ……未曾有の事態……いやいや、いやいや……は?
目前の光景が唐突に眩んだような錯覚に、俺は陥る。ディスプレイが、豪奢なベッドが、ベランダに設けられた小さな庭が、遠く遥か彼方に飛び去ってゆく。血流の増加に反比例して神経伝達が停滞する。いったいこいつは、何を言っている?
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