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-Your Song-

屋上から降りるふたりの後ろ姿。

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霧谷は下を向く。
未來「まっ俺は慰めたりしないぜ」
霧谷「…」
未來「霧谷くんなら、大丈夫だって信じてるからさ」
霧谷「…」

  その3日後 家のリビング
美月「未來ッ ケータイ鳴ってるぞ」
未來「だれーっ?」
美月「霧谷って子から」
未來『なんだろ』
  「もしもし… どうした?」
霧谷「…母さんが 母さんが…」
未來「えっ聴こえない なんて?」
霧谷「母さんが 死んだ」
未來「えっ!?」
  「霧谷くん 今どこいんの?」
霧谷「病院の屋上」
未來「どこの? 名前は?」
霧谷「○○○の ○○病院の屋上」
未來「すぐに行くから待ってろ」
霧谷「ありがと…」
  未來はケータイを切る。
キャップを被り病院へ向かう。
未來「美月 ちょっと出てくる」
美月オオッ「気をつけて行けよ」
  未來の猛ダッシュする姿。

○病院。未來は屋上に上がれる階段を見つけ二段飛ばしで屋上に向かう。
未來「どこまでのぼんだよ」
  息切れしている未來は霧谷を見つける。
未來イタッ「よっ 大丈夫か?」
霧谷「…」
未來「大丈夫なわけ ないよな」
霧谷「涙がさ…」
未來「えっ…」
霧谷「涙が出ないんだ」
未來「えっ…」
霧谷「母さんが死んだっていうのに 涙が出ないんだよ」
未來「そっ…そっか」
霧谷「ねぇ教えてよ どうして…」
未來「ごっごめん 俺にはわからない」
霧谷「こんなにも悲しいことなのに」
未來「…」
霧谷「こんなにも…」
未來は言葉をふり縛る
未來「最後くらい母さんが心配しないように我慢してるだけだろ」
  「無意識のうちに」
霧谷「…ずっとさ ずーっと僕に友達がいないことを心配してた」
  「けど、最近はよく同じクラスにハチャメチャで面白い子が居るんだって話してて その子と仲良くなったんだって話したらさ」
  「母さん すごく嬉しそうに笑ってた」
未來「そうなのか…」
霧谷「蒼葉君 ほんとありがと」
未來「いや えっ あっ うん…」
霧谷「今日は遅くに連絡してゴメン」
  「もう大丈夫だから」
未來「ほんとうに大丈夫か?」
霧谷 ウン。「蒼葉君と話してたら落ち着いた」
未來「じゃあ今日は とりあえず帰るけど」
霧谷「ほんとに ありがとね」
  「来てくれて嬉しかった」
  屋上から降りるふたりの後ろ姿。
未來「なぁアユム」
霧谷「なに?」
未來「悲しい時にはさ」
  「ダッセー顔になるかもしれないけど、いろいろ考えちゃうかもしれないけど、素直に…」
  「泣いちゃえっ」
  「強がらなくていいよ」
霧谷「……」
未來「この先、俺はなーんにもしてあげられねぇけど、アユムの傍にずっといてやることぐらいならできるからさ」
霧谷の方を軽く2回叩く未來。
未來「任せとけ」
霧谷「ア・リ・ガ・ト・・・、未來…」
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