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第9章 死ぬなッ!ー明日が裏切り続けてもー

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第九章

あらすじ

いつか…いつかと願い続ける者たち。
これからを歩み始めた者たち。の話



・看護師(女性)
・医師(男性)

・七瀬 絢斗 27歳(男性)ガン患者

・朝倉 大輔    35歳(男性)
★柳 ジュンイチ  36歳(男性)

・高知 大河  24歳 大輔の会社の後輩
・瀧川 流ノ介 24歳 大輔の会社の後輩



T 死ぬなッ!ー明日が裏切り続けてもー

◯病院・診察室(朝)
急ぎ足で診察室へ入ってくる看護師。
看護師「先生、ちょっと……」
医師「どうしたの?」
デスクでカルテを確認している医師。
看護師「朝倉君が今朝、この病院に運ばれてきたみたいで」
医師「あぁ、その事か……」
看護師「知ってたんですか?」
医師「あぁ」
デスクの上に置いてある缶コーヒーを飲む医師。
看護師「どうして、どうして、あんな事に。せっかく元気になったのに……」
医師「身体は元気になっても……心が病んでしまったんだね……」
看護師「なんで……」
号泣する看護師。
医師「さぁ、もう患者さんがくる時間だよ。きみが泣いたって仕方ない」
看護師「……すみません」
医師「私たちは朝倉君をガンから救った。その後は彼自身が選択した結果だ……」
看護師「この10年、きっと大変だったのよあの子……私があの時言った事、重みになってたら……。辛い時には逃げたっていい。弱音吐いて泣いちゃえばいい……そう言ってあげればよかった……」
医師「そうだな……」
看護師「受け入れてとか背負ってとか、言わなきゃ……よかった……」
医師「さぁ、さぁもう患者さんを呼んで」
腕時計を見る医師。
看護師「……はい」
涙をハンカチで拭きとる看護師。
看護師「番号札1番の方、いらっしゃいますか?」
診察室のドアを開ける看護師。
絢斗「はい」
手を挙げる絢斗(27)
看護師「おはよ、絢斗くん。中へどうぞ」
診察室へ入る絢斗。
医師「いらっしゃい。今日で1年過ぎたな」
絢斗「はい」
医師「早いな、ほんと月日が経つのは……」
絢斗「いや、長いですよ。やっと1年……。もう3ヶ月に1回のペースで来なくていい?」
医師「そうだな。じゃあ次回からは半年に1回にしよう」
絢斗「半年に1回か……」
医師「ただし、調子が悪いと思ったらすぐに検査受けるように」
絢斗「はい」
医師「君の場合、リンパには飛んでなかったけど、肺をひとつ取ってるんだからな。無理しないように」
絢斗「えっあっはい!!(めっちゃ遊んでる……)やっぱさ、前とは違うって自分でもわかる。少し動いただけでマジしんどいし……」
医師「まぁそうだろうな……」
絢斗「あのさ、手術してガン綺麗に取り除けて、他の臓器にも転移ないのに、なぜ完治って言ってくれないんですか?」
医師「うーーん、今の医学では完治とはっきり言えないんだ。目安として5年生存率を出してクリアすると完治に等しいとするけど……」
絢斗「なんか疲れるんですよ。治ったのか、治ってないのか、はっきりしないから……どっちだよって考え出したら……」
医師「そうだな……」
看護師「あのね、絢斗くん、」
突然、2人の話に入ってくる看護師。
絢斗「はい」
看護師「まだいつになるか分からないけど、私は信じてるの」
医師「何を信じてるんだ、君は?」
看護師「完治しましたよ!!ってガン患者の方へ、はっきりそう伝えられる日は近いって!!」
医師「まぁ医学は日々、進歩してるからな」
看護師「だから、その日が来るまで必ず生きていてほしい。そして、ちゃんとその耳で聞いてほしい。完治しました。って言葉を」
絢斗「……はい」
看護師「……朝倉くんにも聞いてほしかった……」
また泣き出す看護師。
絢斗「えっ」
看護師を見て驚く絢斗。
医師「じゃあ、今日はこれで」
絢斗「はっはい」
一礼しドアを開け出て行く絢斗。
絢斗「あっ、看護師さん」
振り向き話始める絢斗。
絢斗「僕はその完治って聞くまで死にませんよ、絶対ッ。自分から死ぬなんてしない、どうせガンが再発して死ぬんでしょ!?」
看護師「えっ、」
絢斗「アハハハ、ウソ、ウソ。まっ不安で耐えられない日もあるけど……生きて、生きて、生きまくってやりますよ!!」
看護師「うん、うん……」
何回も頷く看護師。
絢斗「もし完治って言われる時が来たら、看護師さんも一緒に聞きましょうねっ!!」
看護師「……(うなずきながら)ありがとう」






〇現在・大輔の実家 葬式(日中)
棺桶の中で眠る先輩。
棺桶の前で泣きじゃくる大河。
大河「俺のせいだ……あん時、俺がミスしたから……俺のせいだ……俺の……俺の……」
流ノ介「タイガのせいじゃないって……」
肩を叩きながら慰める流ノ介。
大河「リュヴノ……ズゲ…… ハ悲シクネェノカヨ……」
流ノ介「悲しいに決まってるだろ……けど……ここでは泣かない」
2人の側にやってくるジュンイチ。
ジュンイチ「君たちは大輔の会社の方?」
流ノ介「はい」
大河「……頷く」
ジュンイチ「おいおい、お前泣きすぎだろ」
大河の肩を優しく叩くジュンイチ。
大河「スミマセン……デモ……」
ジュンイチ「これから旅立つって時まで 心配させるな!!」
大河「ハイ……」
流ノ介「もしかして、柳さんですか?」
ジュンイチ「そうだけど、なんで俺の事知ってんの?」
流ノ介「よく、朝倉先輩があなたの事話してました」
ジュンイチ「そうなの?アイツ、俺の事なんて話してた?」


 ◎回想・大輔の会社の屋上(日中)
 ベンチで流ノ介と大輔が話をしながら昼飯を食う。
 大輔「今日は何やらかしたの?」
 流ノ介「今日はやらかしてません!!」
 大輔「そっか、今日はまだやらかしてないんだ アハハハ」
 流ノ介「まだって……。朝倉先輩、最近、僕の失敗談楽しんでるでしょ」
 大輔「バレた?」
 流ノ介「やっぱり……」
 大輔「リュウは昔の俺に似てるからさ」
 流ノ介「えっ……」
 大輔「大河は柳って奴に似ててさ」
 流ノ介「柳さんって誰ですか」
 大輔「アハハハ、うーーん、まっすぐでいつ会っても輝いてる、ちょっとバカな奴」
 流ノ介「えっ……」
 大輔「良かったな、リュウは俺に似てバリバリ仕事が出来て(ニヤリ)」
 流ノ介「僕は仕事出来ない奴です」
 大輔「お前はまだ自分の事わかってないだけ……。だけどもし、悩みや迷いを吐きそうなくらい抱え込んじゃった時には柳を紹介してやるよ」
 流ノ介「そん時は朝倉先輩に相談します」
 大輔「俺より柳に相談する方が、お前にとって為になると思うんだ」
 流ノ介「なんでそう思うんですか……」
 コーラを飲む流ノ介。
 大輔「それは……。知らないうちに俺はいつもアイツに救われてたから」
 流ノ介「救われてた?」
 大輔「俺はさ、感情をあまり口に出さないタイプだろ」
 流ノ介「はい」
 大輔「仕事帰り飯食いに行ってアイツが感情的に話す姿みてたらさ、コイツは俺のココ(胸を指でつつく)に溜まってるコトを代弁してくれてんのか?!って思うくらい同じようなコト吐き出してて アハハハ」
 流ノ介「そうなんですか」
 大輔「そーーなの……。へーってただ頷くだけだったけど、実は飯食い終わって帰る頃にはなんか気が楽になってた……」
 流ノ介「その柳さんって方が朝倉先輩の代わりに吐き出してくれたんですかね??」
 大輔「そうかもな……」


〇現在・先輩の実家 葬式(日中)
流ノ介「いつもあなたに救われてたって」
ジュンイチ「イヤイヤイヤ、俺の方が吸食(スク)われてた方だよ……」
泣き出すジュンイチ。
流ノ介「えっ、えっ、柳さんまで泣かないで下さいよ」
大河「ダイズゲゼンパーーイ……」
泣き続ける大河とジュンイチ。
霊柩車に乗った大輔が火葬場へと走りだす。
流ノ介「朝倉先輩が似てるって言ってた事、少しわかった気がする……」
霊柩車が見えなくなるまで眺めている3人。
ジュンイチ「そういや……ふたりとも昼飯食ったのか?」
ハンカチで涙を拭きながら話すジュンイチ。
流ノ介「いえ、まだです」
大河「オレモ……マダデスゥ……」
ジュンイチ「じゃあ、これからファミレスにでも行くか……俺もまだ昼飯食ってないんだ。付き合えよ」
流ノ介「…はい」
大河「…ハイ」

◯エンドロール

ジュンイチ(N)「おい!見てるか?!」
空を見上げるジュンイチ。
ジュンイチ(N)「お前がいなくなった、こんな世界でも楽しくやってくわ。悪く思うなよ。俺は楽しむぜ。先にそっち逝くのが悪いんだからな!!……じゃあな……」

「また遊ぼうぜ」





大輔『そうだな、生きぬけ。』
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