スサノオ銀河航海譚 ~ゾンビが蔓延る大宇宙に、英雄神の名を冠する船が赴く~

焼飯学生

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銀河邂逅篇

第15話 惑星に潜む影

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 スサノオが宇宙空間を進む中、真希達5人は、食堂に集まっていた。
 一応フラリアも呼んだのだが、ナイゲルがまだ安静にするべきと言ったため、来なかった。

「スサノオの操舵手に就いた大高碧です。以後よろしくお願いします」

 碧が頭を下げて自己紹介を行うと、

「碧さんですね。よろしくお願いします!」
「ん~…よろしく~」
「……よ、よろしくデース…」

 と、シャルル、アルベルタ、ナディアの3名がそれぞれ反応した。
 その一方、真希はスサノオに搭載されている食糧について書かれてある書類を見ていた。

「…そろそろ補充しないと、不味いな。アンドロメダで食糧を獲得できるかは不明だし…」

 書類を一通りみた真希は、食料確保が最優先事項だと判断した。

「ステラ、何処か良さげな星はない?」
『少々お待ちください……本艦の近くに惑星『デメテル』があります。そこは昔、地球植物による緑化実験に使われた惑星であり、食料の確保を兼ねて様々な食用植物や動物が持ち込まれ、長年に渡って管理されていました。ですが、ゾンビパンデミック発生による防衛網の再編により、惑星デメテルは数ヶ月前から放置されています。そこであれば、食糧確保が容易でしょう』
「そうか……よし、オルタ! 惑星デメテルに舵を取ってくれ!」
『了解致しました』

 スサノオは食糧確保のために、ステラがオススメとして出した惑星『デメテル』へと進路を取る。
 そして、何回かに渡って空間跳躍を行ったスサノオは、惑星『デメテル』があるテスモポロス星系に辿り着いた。

「…テスモポロス星系か…」

 食堂の窓から外の景色を見ながら、真希は何処悲しげな表情を浮かべる。

「…どうしたんですカー?」

 その顔を見たナディアは首を傾げながら、真希に尋ねるが、

「あっ、いや何でもない」

 と言い、真希は誤魔化した。

「なーんか怪しい…」
「そうデース…」
「……さてと、メンバー決めないとなぁ…」

 碧とナディアは誤魔化した真希を疑いの眼差しで見つめるが、真希はそれを無視して食堂から出て行った。
 その間、オルタが操作するスサノオは、惑星『デメテル』に辿り着き、カルデアを使い作られた人工湖に着水し、錨を下ろして停泊した。

『デメテルに到着致しました』

 無事にスサノオを着水させたオルタは、格納庫にいる真希にそのことを報告していた。

「分かった。艦内放送で、ナディア、碧の2名に格納庫まで来るように伝えてくれ」
『畏まりました』

 ヨサクから八咫烏の点検報告を聞いていた真希は、オルタに2人を呼ぶように伝えると、すぐに艦内放送を行い、2人を呼んだ。

「ただいま到着致しました!」
「ナディアも到着ネー!」

 食堂に居た2人は、それぞれ準備を済ませ、格納庫にやってきた。

「今日は野菜や果物をメインに集めるぞ」
「あれ? meetやfishとかはいいんですカー?」
「肉は余裕があるし、魚類は俺らが探索中にオルタがロボ達と採ってくるという手配になってるからな。今回は野菜と果実だ」
「成程、了解ネー!」

 デメテルで収穫する品を2人に伝えた真希は、八咫烏に何個かの空の籠と共に乗り込み、ナディア達もそれに続いた。

「今回は俺が操作する。碧は隣で見といてくれ」
「はーい!」
「…」

 操縦席に座った真希は、発進準備を進めながら、ご機嫌な碧を助手席に、不服そうなナディアを後部座席に座らせた。

「八咫烏、全システムオールクリーン! ハッチ開け」

 話しながらシステムのチェックを終わらせた真希は、操縦桿をしっかりと握り締め、オルタに命じた。

『後部飛行甲板ハッチ開放』

 サイレント共に格納庫上部のハッチが外開きで開き、八咫烏が乗っているエレベーターの台が、上へと上がって行く。

「発艦準備完了。八咫烏発進!」

 真希は下部のスラスターで八咫烏を垂直に離陸させ、スサノオから離れていく。

「それで、行き場所は?」
「ここから南方にある無人脳畜産業都市エウポリアだ。そこには色んな物が揃っているはずだからな」

 碧からの質問に、真希は答えながら八咫烏の行き先である無人酪農都市について書かれた紙を渡した。
 無人農畜産業都市『エウポリア』。緑地化の一環として作られた完全無人都市であり、農業や畜産業が行われている。

「でも、盗みはよくないと思うんですガー…」
「ふっふっふっ…無人酪農都市を管理している企業は何処だっけ?」
「確か、星命重工だったはず…それがどうしたの?」
「その、星命重工の権限を持っているサポートウォッチがあるんだよ…!」
「……えぇーーーーー!!!?」

 真希から見せられたサポートウォッチが、星命重工の物だと聞かされた碧は、目を見開いて驚き、身を起こすと真希の左腕を掴んで、サポートウォッチをよく見ようとする。

「ちょっ!」

 碧が左腕を掴み無理矢理引っ張ったため、八咫烏はバランスを崩れ、左右に揺れる。

「あっ! ごめん、つい…」

 碧は手を離して謝った。

「鉄谷会長からお礼として、讓渡して貰ったんだ。お陰で色々と助かってる」
「…死亡した鉄谷会長の腕から、サポートウォッチが消えているというニュースを見たけど、まさかそんなことがあったなんて…」
「一応言っておくけど、盗んだとかじゃないからな?」
「流石に分かるよ。仮に盗んだ物なら、そのサポートウォッチは使えないはずだしね」

 真希が英明から貰ったサポートウォッチのことをを話していたその時だった。

――ピーピーピーピー

 八咫烏のミサイル警報が突如として鳴り出した。

「何事デース?!」
「なんでミサイルが?!」
「回避行動に移る! 総員衝撃に備え! 八咫烏、ブースター始動!」

 ナディアと碧が唐突なミサイルに驚く中、真希は冷静に八咫烏をブースターを使って加速させ、ミサイルを振り切ろうと試みる。

『ミサイル、尚も接近中。数6』
「急速旋回。上部対空砲で撃ち落とす」

 八咫烏のシステムと連携したステラからの報告を聞いた真希は、操縦桿を左へと切り、八咫烏を旋回させる。
 追尾しているミサイルも八咫烏に続いて旋回するが、その時八咫烏の対空砲の射程圏内に入ってしまったため、6本中4本が撃ち落とされる。

『残り2本です』
「2人とも、歯を食いしばれよ…」
「えっ?」
「アッ…」

 真希の突然な忠告に、碧は不思議に思い、ナディアは察した。

「ブースター停止! 上部スラスター全開!」

 真希はブースターを切り、エンジンの出力を下げて八咫烏の速度を落とすと、上部スラスターで一気に高度を下げる。これにより、2本のミサイルは八咫烏に命中するギリギリのところでかすり、八咫烏の機首にある二門の機銃と対空砲によりそれぞれ撃ち落とされる。

『ミサイル全機撃墜。レーダーに異常なし』
「ふぅ~…」

 ステラからの報告を聞いた真希は、肩の力を抜き一息ついた。

「…やっぱりこうなったネー…」
「ま、まさか…減速してミサイルを避けるとは…」
「スサノオの操舵手になった以上、この無茶に答えて欲しいネー」
「善処するね…」

 無茶苦茶な運転に付き合わされた2人が話している中、真希は八咫烏を進路を取り直し、更にレーダーに八咫烏が引っかからないようにするため、低空飛行を始めた。

「…今のは地対空ミサイルだよな?」
『はい。方角的に、デメテル防衛基地から飛んできた物だと推測致します』
「だけど、あそこの駐屯軍は撤退して、基地は放棄されたはず…」
『これに関しては、現地に赴かなければ、分かりません』
「その通りだな。だが、今優先するのは食糧確保だ。俺らはエウポリアに向かう。ステラ、オルタにこのことと、偵察機で基地を確認するように指示を送っといてくれ」
『了解致しました』

 不審な迎撃ミサイルについては、オルタ達に任せて、真希は八咫烏をエウポリアへと急がせた。





 デメテル防衛基地。
 パンデミックの発生による影響で、ものの抜け殻となった防衛基地の屋外型船舶所に、1隻の中型の宇宙艦と十数隻の小型の宇宙艦が停泊していた。
 中型の宇宙艦は、現代の潜水艦のような黒色が下地の葉巻型の形をしており、船体の両側面には、白色でオリーブの枝で逆五芒星を丸く囲ったマークが描かれていた。
 小型の宇宙艦は、涙滴型の船体をしており、そのボディは青色に染められていた。武装としては上部と下部にそれぞれある連装砲塔と、船体両側面につけられた多連装の迎撃ミサイルポットが目立つ。

「…艦長、所属不明の航空機の撃墜は失敗したそうです」
「そうか」

 中型の宇宙艦の船内にある戦闘指揮所にて、艦長席に座って葉巻を吸っている金髪でガサツそうな男、ジャック・ロンディーは、副艦長である中柄の茶髪の男、マテウスから報告を聞いていた。

「どう致しましょうか…?」
「どうもこうも、今は我々の任務を行うのを最優先とする。奴らの対処は、それからでも遅くは無いだろう」
「…はっ。では、作業を急がせます」

 ジャックの判断に、マテウスは少し不服に思うが、それを表に出すことなく命令通りに動くことにした。
 のちに、反対をしていればよかったと思うことになるとは知らずに…
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