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第四章〜日丸国建国〜
第28話 日丸国の艦隊
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日丸国とセレーネ連邦国の同盟が締結してから一ヶ月ほど経過した。
光成は日丸国の建国に伴い、一部大臣が決めることとする。総務大臣に一文字眞、国防大臣に松山剛士がそれぞれ就任。その他の大臣は、一旦保留とされているが、それぞれに候補者がいるため、就任は時間の問題と言えるだろう。
一方貿易の方は、セレーネ連邦国からの輸入品により、輸出品の生産は勿論、レーダーやソナーなどの開発や、新造艦の生産が一気に進み、それにより大和型戦艦の強化計画も進んでいる。
「…大和並び武蔵に、新型電探の多機能型対空電探1号、多機能型対艦電探2号、新型の二十八式水中聴音機の搭載完了か」
大和と武蔵に現代技術により制作したレーダーとソナーを搭載したという報告書を、日丸国桜花艦隊司令長官兼戦艦大和艦長になった光太郎が、海軍司令部の一室にて確認していた。
桜花艦隊。戦艦大和を旗艦とした日丸国の主力艦隊で、所属艦艇は大和の他、ながと、むつ、着任予定の新造駆逐艦五隻で編成される艦隊だ。そんな艦隊の司令長官を光太郎は、光成の強い要望により着任することになったのだ。
「……しかし、私が艦隊司令官か…絶対、あの時の仕返しだろうな…」
報告書を読み終えた光太郎は、溜息を吐きながら恨みは恐ろしいことを身をもって知った。
「この後は……新造ドックの視察、新造駆逐艦の進捗具合の確認…やることが多すぎる…」
これからの予定を確認した光太郎は、やることの多さに頭を抱える。
そんな中、誰かが扉を軽く叩き、部屋に入って来た。
「よっ!」
部屋に入って来たのは、日丸国桜守艦隊司令長官兼戦艦武蔵艦長になった信介だ。
桜守艦隊。戦艦武蔵を旗艦とした日丸国の本土を守る護衛艦隊。所属艦艇はあかぎ、なとり、新造巡洋艦一隻、新造駆逐艦二隻、らいげいの六隻の艦隊である。
なお、あかぎが護衛艦隊に所属しているのは、貴重な航空機とパイロットの損失や、ジェット機を秘匿するという理由があるからである。
「なんだ信介。つまらない事なら帰ってくれ」
忙しい光太郎は、信介を帰らそうとしたが、
「別に行けど、試作の水まんじゅうも持って行くぞ」
「待ってろ、今お茶を用意する」
水まんじゅうと聞きいた光太郎は態度を急変させ、お茶を入れ始めた。
「ほんと、お前は水まんじゅうが好きだな…」
「水まんじゅうは至高の甘味だ」
部屋の中にある長机に水まんじゅうとお茶が入った湯飲みが二つ置かれ、光太郎と信介は二つソファにそれぞれ、向かい合うよう座った。
「…砂糖はないのか?」
「作られてはいるが、量産が出来てないからな…当分は無理だろう」
「そうか……」
砂糖をかけた水まんじゅうが好きな光太郎は、砂糖がないと聞き肩を落とした。
「まぁそれより、シュヴァルツの事聞いたか?」
「ああ…」
シュヴァルツに関する話になり、落胆していた光太郎は水まんじゅうを食べながら、気持ちを切り替えた。
「陸軍を優先的に強化して居るって話だろ?十中八九、セレーネ連邦国に攻め込むつもりだろうな…」
「それに、こんなのも出回っている」
信介は机の上に数枚の白黒写真を出した。
「……航空機か?」
「ああ…シュヴァルツの最新戦闘機だとさ」
「この複葉戦闘機が!?」
白黒写真の複葉戦闘機を見ていた光太郎は、その戦闘機が、シュヴァルツの最新戦闘機と聞き、驚いた表情を浮かべる。
無理もない。複葉戦闘機は、第一次世界大戦では活躍していたが、第二次世界大戦の頃では、殆どの国が単葉機へと移行を完了させていた。それは光太郎達の世界でも同じで、最新戦闘機が複葉戦闘機と聞いたら、驚くのも無理はないだろう。
「どうやら、セレーネ連邦国も複葉戦闘機が主流らしい。まぁ艦隊の中に帆船が含まれている時点で、俺らとこの世界では技術格差があるのは分かっていたがな…」
お茶を飲みながら信介は、改めてセレーネ大陸と日丸国の技術格差を実感する。
「…取り敢えず、もしもの時に備えとくか…」
「だな…さーてと、主力艦隊が居ない間の防衛網を考えとかないとな……」
「私もそろそろ、視察に向かわなければな…」
お茶を飲み終え、水まんじゅうを食べ終えた二人は、それぞれの仕事に戻るため、立ち上がり、そのまま部屋を出た。
「じゃ、俺は執務室に戻るわ」
「私は新造ドックに向かう」
互いに行き先を伝え、二人は扉の前で別々の方向に向けて歩き出した。
光成は日丸国の建国に伴い、一部大臣が決めることとする。総務大臣に一文字眞、国防大臣に松山剛士がそれぞれ就任。その他の大臣は、一旦保留とされているが、それぞれに候補者がいるため、就任は時間の問題と言えるだろう。
一方貿易の方は、セレーネ連邦国からの輸入品により、輸出品の生産は勿論、レーダーやソナーなどの開発や、新造艦の生産が一気に進み、それにより大和型戦艦の強化計画も進んでいる。
「…大和並び武蔵に、新型電探の多機能型対空電探1号、多機能型対艦電探2号、新型の二十八式水中聴音機の搭載完了か」
大和と武蔵に現代技術により制作したレーダーとソナーを搭載したという報告書を、日丸国桜花艦隊司令長官兼戦艦大和艦長になった光太郎が、海軍司令部の一室にて確認していた。
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「……しかし、私が艦隊司令官か…絶対、あの時の仕返しだろうな…」
報告書を読み終えた光太郎は、溜息を吐きながら恨みは恐ろしいことを身をもって知った。
「この後は……新造ドックの視察、新造駆逐艦の進捗具合の確認…やることが多すぎる…」
これからの予定を確認した光太郎は、やることの多さに頭を抱える。
そんな中、誰かが扉を軽く叩き、部屋に入って来た。
「よっ!」
部屋に入って来たのは、日丸国桜守艦隊司令長官兼戦艦武蔵艦長になった信介だ。
桜守艦隊。戦艦武蔵を旗艦とした日丸国の本土を守る護衛艦隊。所属艦艇はあかぎ、なとり、新造巡洋艦一隻、新造駆逐艦二隻、らいげいの六隻の艦隊である。
なお、あかぎが護衛艦隊に所属しているのは、貴重な航空機とパイロットの損失や、ジェット機を秘匿するという理由があるからである。
「なんだ信介。つまらない事なら帰ってくれ」
忙しい光太郎は、信介を帰らそうとしたが、
「別に行けど、試作の水まんじゅうも持って行くぞ」
「待ってろ、今お茶を用意する」
水まんじゅうと聞きいた光太郎は態度を急変させ、お茶を入れ始めた。
「ほんと、お前は水まんじゅうが好きだな…」
「水まんじゅうは至高の甘味だ」
部屋の中にある長机に水まんじゅうとお茶が入った湯飲みが二つ置かれ、光太郎と信介は二つソファにそれぞれ、向かい合うよう座った。
「…砂糖はないのか?」
「作られてはいるが、量産が出来てないからな…当分は無理だろう」
「そうか……」
砂糖をかけた水まんじゅうが好きな光太郎は、砂糖がないと聞き肩を落とした。
「まぁそれより、シュヴァルツの事聞いたか?」
「ああ…」
シュヴァルツに関する話になり、落胆していた光太郎は水まんじゅうを食べながら、気持ちを切り替えた。
「陸軍を優先的に強化して居るって話だろ?十中八九、セレーネ連邦国に攻め込むつもりだろうな…」
「それに、こんなのも出回っている」
信介は机の上に数枚の白黒写真を出した。
「……航空機か?」
「ああ…シュヴァルツの最新戦闘機だとさ」
「この複葉戦闘機が!?」
白黒写真の複葉戦闘機を見ていた光太郎は、その戦闘機が、シュヴァルツの最新戦闘機と聞き、驚いた表情を浮かべる。
無理もない。複葉戦闘機は、第一次世界大戦では活躍していたが、第二次世界大戦の頃では、殆どの国が単葉機へと移行を完了させていた。それは光太郎達の世界でも同じで、最新戦闘機が複葉戦闘機と聞いたら、驚くのも無理はないだろう。
「どうやら、セレーネ連邦国も複葉戦闘機が主流らしい。まぁ艦隊の中に帆船が含まれている時点で、俺らとこの世界では技術格差があるのは分かっていたがな…」
お茶を飲みながら信介は、改めてセレーネ大陸と日丸国の技術格差を実感する。
「…取り敢えず、もしもの時に備えとくか…」
「だな…さーてと、主力艦隊が居ない間の防衛網を考えとかないとな……」
「私もそろそろ、視察に向かわなければな…」
お茶を飲み終え、水まんじゅうを食べ終えた二人は、それぞれの仕事に戻るため、立ち上がり、そのまま部屋を出た。
「じゃ、俺は執務室に戻るわ」
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