World Express 〜様々な平行世界を渡る列車の記録〜

焼飯学生

文字の大きさ
20 / 26
妖魔世界編

第19話 崇められる者

しおりを挟む
「見つからないように頼むよ」
「了解ですー」

米俵を積んだ荷台をアースノアまで持ってきた俺らは、サターン達に積み込みを頼み、そのままもう一度街へと向かった。

「さてと、まだ買えていない野菜は~…」

前に書いといたメモを見ながら、足りない野菜を探すことにした。

「…」

ランはボーッと空を見つめながら、荷台の上に座っている。可愛い

「ラ~ン?気になる物があったら、言っていいからね~」
「…」

そんなランに、欲しいものを買うと約束する。

「んっ」

暫く進んでいると、荷台から降りていたランが、服の裾を引っ張りながら、とある店を指さした。
ランが指さした先には、甘味処と書かれた看板が出ていた。

「1回休憩しようか」
「…」

俺の言葉にランは無言で頷く。
そのため、俺らは甘味処で一度休憩をすることにした。

「よいしょっと…」

道端に出されていた長椅子に座った。

「あらぁ?親子でいらっしゃい!」

ランを座らせていると、店の人がお品書きを片手にやってきた。

「旅人かい?親子とは珍しいわね~」
「ええ、まぁ」

話を合わせるため、俺とランは親子で旅している者ということにした。

「おはぎ2つと、お茶と水をそれぞれ頼む」
「あいよ!」

お品書きを見た俺は、店員にラン用のお汁粉とそれぞれの飲み物を頼んだ。
道行く人を見つめながら暫く待っていると、

「はい、ご注文の品だよ」

おはぎ2つを乗せた皿と飲み物を乗せた盆を、先程の店員が持ってきた。

「…」

ランは有無を言わず、おはぎを二口でペロッと食べ終えた。

「!」

美味しいのか、満面の笑みを浮かべ、尻尾を犬のように振りながらこっちを見てくる。

「……もう一ついいよ」
「!」

目の輝くにやられ、自分の分のおはぎをランにあげることにした。

「お嬢ちゃんの食べっぷりは、見ていて気持ちいいよ!ほれ、これはサービスだよ」

今度は味わって食べ始めるランを見て、店員は笑みを浮かべながら団子もプレゼントしてくれた。

「態々ありがとうございます」
「いいのよ!私の奢りだから!」

礼を述べると、店員は笑みを浮かべてくれた。

「今はこれしかなくてな…これで会計頼む」
「いやいや!そんなに受け取れないよ!」

小判を一枚取り出すと、店員は断ろうとしてきたが、本当にこれしかない。

「本当にこれくらいしかなくてな…お釣りも要らぬから頼む」
「………わかったわよ…毎度上がり!」

俺のゴリ押しに負けた店員は、素直に出した小判を受け取ってくれた。
ふとランを見てみると、おはぎを既に食べ終わっており、サービスで用意してくれた団子の最後の一個を食べていた。
そしてお茶と水をそれぞれ飲み干した後、甘味処から出ることにした。

「それじゃあ、我々はそろそろ出るとしよう」
「ありがとさん!二人に酒呑童子様の加護がありますように!」
「酒呑童子…?」

店員に一言かけて出ようとした時、酒呑童子の加護と聞き、俺はそれを詳しく聞くことにした。

「この土地は代々酒呑童子様に守って貰っているのよ…実際、鬼人とかが多いでしょ?」
「確かに」

酒呑童子が守っているため、鬼人が多いということを聞き納得した。
しかし酒呑童子ねぇ~…酒を持っていくか

「酒呑童子様はどこに…?」
「北にある山中に居るとは聞いた事はあるが…そう簡単に人の前に出てくることは無いわよ?」

酒呑童子の居場所を尋ねると、心配そうな表情をしながら店員は場所を教えてくれた。

「折角なので、行ってみることにします」
「それなら、気おつけていってらっしゃい!」
「色々とありがとうございました」

礼を述べ、俺はランを荷台の上に乗せ、そのまま甘味処を去って行った。
そしてそのまま、酒屋を探すことにした。
街中を歩いていると、酒屋の看板がかかっている店を見つけることができた。

「…酒吞童子が愛した山海あります…?」

店に入ろうとした時、扉の前に貼られていた紙が気になった。
山海という酒が気になりながらも、俺は店の中に入った。

「おう、いらっしゃい!何をお求めで?」

店の中には気前が良さそうな店長が居た。

「山海という酒が気になってね、それを樽で二つ頂けるかな?」
「あいよ!すぐ用意するよ!おーい!山海を樽ごと二つ持ってこい!!」

山海を樽ごと二つ頼むと、店長は店の奥に向けて声をかけた。
店の奥に居るだろう店員が、山海を持ってくるまでの間に、会計を済ませることにした。

「山海樽二つで、2両と935銭だね」
「それじゃあこれで頼むよ、釣りは結構だ」
「毎度!!」

代金として俺は小判三枚を支払った。
それと同時に鍛えられている身体つきをした男が、山海とでかでかと書かれた樽を二つ同時に運んできた。

「これに乗せればいいんですね」
「嗚呼頼む」

男は山海を荷台に積み、落ちないように縄を縛ってくれた。

「色々とありがとさん」
「またのお越しを」

酒を手に入れた俺は、そのままランと共に酒吞童子が居るという山に向かうことにした。




「ここか?」

甘味処の店員に言われた通り、俺とランは北にある山に辿り着いた。
山道に入る道には、酒天通りと書かれているため、間違いないだろう。

「さてと、流石に荷台は置いて行くか」

俺は荷台が邪魔になると判断し、一つの樽だけ持ち、もう一つの酒樽を乗せたまま、荷台を茂みの中に隠した。

「はいラン。ここからは手を繋ごうか」
「…」

片手で酒樽を担ぎ、空いている手でランとしっかりと手を繋ぎ、そのまま山道へと入っていった。
いつの間にか空が暗くなり、鬱蒼とした森の中にある山道を歩き続き、道を塞がるように置かれている大岩を迂回しようとしたその時、

「よぉ…異世界の人間」

岩の上から誰かが俺に声をかけた。
声が来た方を見ると、そこには大きな盃を持った褐色肌で、真っ赤な角が二本生えた金髪の男が岩の上でしゃがみながらこちらを見ていた。
どうやら、この男が酒吞童子のようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...