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追記

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 エッセイを載せて、色んな方々からメッセージを貰いました。
 本当に、結婚してから出逢えた皆には感謝しかない。
 自分の声を好きだと言ってもらえたり。
 自分の書く話を好きだと言ってもらえたり。
 書いた話が読みやすいって言ってもらえるのは凄く嬉しい。
 おかげで、ずっとネガティブで自分のことがとにかく嫌いだったボクが、自分のことを好きになることができたのだから。


 書き終わって思ったのは、父のこと。
 心配とかそういう気持ちはないです。今どうしてるのかな、とか考えたことないです。連絡がないので、とりあえず死んではいないんだろうなくらいにしか思ってませんから。
 ただ、何でボクはこのエッセイを書いたのか。
 それは、父へのちょっとした反抗心みたいなものなのかなって。
 もちろん、ボクの言葉が父に届くことは絶対にあり得ないでしょう。あの人はボクがこうしてネットで小説を載せていることなんて知りませんし、ネットとか全く詳しくないですし。
 でも、なんて言えばいいのかな。こうやって、誰かに知ってもらうことで、父がしてきたこと、こういう毒親が世の中には決して少なくないんだってことが知れればいいのにって。
 そして、「ボクはあなたの元から離れたおかげで、とーっても幸せになりましたよ」って言ってやりたいのかもしれない。
 22年間、親の元にいて幸せなんて欠片も感じられなかった。ボクの心の中にある幸せを詰める箱の中はいつまでも満たされないまま。
 いくら友達と過ごして幸せな気持ちになっても、家に帰れば幸せの箱の中身がどんどん減っちゃう。
 ずっと空っぽだった。寂しい寂しい、心。
 それが、親と過ごした22年の半分も満たない、たったの7年で、それはいっぱいになったんだ。
 溢れて、溢れて、毎日が充実してる。
 どうですか、お父さん。あなたが出来なかった、娘を幸せにするということを、簡単に成し遂げてくれましたよ。むしろ、あなたがいたから、ボクは寂しい気持ちでいっぱいだった。
 これは、父への最初で最後の復讐みたいなものなんです。当て付け、といってもいい。

 ちなみに。
 ボクは親の話題になったとき、親が離婚してるので母親はいませんと言ってます。
 義母の存在はなかったことにしてます。
 ボクに母なんて最初からいなかった。そうさ、ハガレンの実写なんてなかったんだ(笑)
 そもそも、親は籍も入れてませんでしたし、実質ボクはあの女の子供じゃありませんからね。間違ってない間違ってない。
 17歳のとき引っ越しをしてからはほぼ会話もしなくなりました。この時点でボクは義母を義母とすら思う必要がなくなったんだと。これはただの居候だと思うようにしてました。
 それなのに、結婚前にも旦那にはこの義母のことは話していたし、親への挨拶に来てくれたときも父だけ顔を合わせると思ってた。
 しかし、あの女はさも母親のように父の隣に座って旦那に話しかけてきたんですよね。驚いたわぁ。「二人はどうやって知り合ったの?」とか聞いてきたの。ボクはガン無視してたので、旦那が答えてくれたけど。
 そのあと、ボクの部屋で少し話したんだけど、旦那もあの女の態度には驚いてました。「あの人、母親じゃないんだよね? なんで一緒に座ってたの?」って。
 本当に申し訳なかった。父も旦那の血液型とか聞いてきて、彼はAB型なんですけど、それに対して「俺、AB型の人が好きなんだよね」とか言ってきて気持ち悪かった。実母の血液型もAB立ったんですよ。離婚したくせに何言ってんだろう。
 そのときの父の言葉で引っ掛かってることがあるんですよね。
「こいつは小さいときに母親と離婚しちゃったせいか、気持ちが早く大人になっちゃったみたいで……子供でいられる時間が短かったせいで甘えるのが下手くそになっちゃったんだよ」
 なんか、違うよね。
 ボクが子供でいられなくなったのは、離婚したとか片親だからとか関係ないよね。
 ハッキリ言いたい。お前のせいだよ、と。
 あんな家で育って、子供らしくなんかいられませんよ。
 あなたみたいな親に甘えることができますか。できませんよ。
 思い切り怒鳴ってやりたかったけど、ここで事を荒立てる訳にはいかない。どうせすぐに家を出れるんだからと、必死に我慢しました。
 その後、引っ越しをして籍も入れてから、旦那がちょっとキレ気味に言いました。
「俺、もう二度とまいちゃんの親と会う気ないからね。てゆうか、会わせる気もないから」って。
 なんだよ、もう。好きかよ。
 ボクのために怒ってくれた旦那に惚れ直しました。
 この人と結婚して良かった。


 そうそう。
 話を逸らしてしまいましたが、ボクが片親だったと人に話すとみんな口を揃えて「そんな重たいこと簡単に言わないで!?」って言うんですよ。
 ビックリしちゃった。普通の人からすれば片親ってだけで重たい話になってしまうのかと。
 うちは旦那も片親でしたので、これくらいは普通のことだって感覚でいたので、なんか変なこと言ってごめんなさいってなります(笑)
 確かに、一般的には両親が揃っていることが普通なんですもんね。こういう話をして重たいって思える感覚の方が普通だし、とても幸せですよね。
 ただボクは、これで重いなんて反応をされると、ボクの過去話なんてどれくらいの重量になっちゃうんだろうなんて考えちゃいましたね。

 重量といえば。
 本編の方ですっかり書き忘れてました。
 旦那と付き合いだしてから、初めて体重が増え始めたことを書いたんですが、結婚して半年くらい経った頃。今まで着てた服が、きつくなったんです。
 引っ越してから体重計を買ってなかったので、そこで購入することにしたのですが、久々に測ってビックリしました。見たことのない数字が表示されてるんですからね。
 確かに食生活は変わりました。実家にいた頃、義務教育を終えてから。家族でご飯を食べる習慣がなくなってからは、1日一食とか、夜にカップ麺しか食べない、みたいな生活でしたから、そらガリガリにもなるわって感じなんですけど。でも太らないのは元からで、入学のときも食べても食べても太らなくてですね。
 父が「お前は俺に似て太らない体質なんだよ」と言われ続けて、それを信じていたんです。
 でも、太ったんです。エグいくらい。
 家を出た途端に太る。
 つまり、ストレスでずっと痩せ続けてたんですよね。
 それが家から出て、そのストレスから解放されたことで、今まで蓄積されていたものが解き放たれたわけですよ。
 だからいま、痩せられなくて困ってます(笑)
 でも、改めて22年間も痩せ続けたストレスは凄いですよね。どれだけあの家が苦痛だったのかを物語ってます。
 みんなからは幸せ太りだと言われますが、女の子的には複雑です。


 さて。
 いまのボクは昔のこと、父のことなんて気にせず旦那との生活を送っています。
 でも、やっぱりトラウマはあるんですよね。
 例えば、バイクの音。父が乗っていたこともあり、エンジン音が聞こえると少しビクッとなります。
 たまに友達との待ち合わせなどで地元の方に行ったりするのですが、ために連絡を取ってる親戚の叔母の話では引っ越したりはしていないらしいので、結婚前に住んでいたマンションにまだ居るはずなんです。
 だから地元に戻るたびに兄や父がいたらとビクビクします。
 まず父に駅周辺で会う可能性は絶対にないと思ってるんですけどね。移動は車ですし、あまり休日に出掛ける人でもなかったので。
 怖いのは兄に会うことですね。偶然会って父に報告されたらと思うと、恐怖しかないです。

 まぁ、そんなことはどうでもいいんです。
 一番怖いこと。
 それは、子供を作ることなんです。
 ボクも30歳になります。結婚して7年を経ちますし、そろそろ子供のことを考えなきゃいけない。
 昔のボクだったら、絶対に産みたくない。いらない、と思ってました。
 でも今は、旦那との子は欲しいと思うようになった。
 なったけど、ちゃんと育てられるのかという不安が付きまとう。
 父のようになったら、どうしよう。
 自分がそうであるように、大きくなったときに親を嫌うようになったらどうしよう。
 父のように、理不尽な暴力を奮ってしまったら。
 そんなことないと思いながらも、自分には父の血が流れてる。
 最低な人と、同じ血が。
 同じ立場になったとき、どうなってしまうのか想像もつかない。それが、怖くて仕方ない。
 蛙の子は蛙。決して、そうならないとは言えない。
 それが、何より怖い。

 どうしたって不安は拭えないし、実際にそういう立場にならなきゃ答えは出ない。それに育児は一人でやることではないので、旦那と二人でちゃんと親になれたらいいなとは思います。
 両親と子供、家族が仲良く暮らしていける。そんな当たり前を築けたら良い。
 それを当たり前だと。家族が仲良しなのが当たり前なんだと、そう思ってもらえるような親になりたい。

 理解者になんてならなくていい。
 その人のことを本当に理解するなんて無理なのだから。
 理解なんてできないでいい。分かち合いたい。一緒に歩いていきたい。
 そうありたいと、願う。

 優しくありたい。
 愛する人に。


 願わくば、いつまでも。





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