【BL】神様に愛されたオメガと嫌われ者アルファ

のがみさんちのはろさん

文字の大きさ
9 / 24

第9話 失敗※

しおりを挟む


 部屋に戻り、いつものように汚れた足を洗って外に出た痕跡を残さないようにする。

 いつ主人が来ても大丈夫なように、椅子に座って心を落ち着ける。
 しかし、今日は少しそれも難しいようだった。
 明日のことを思うと、自然と表情が緩んでしまう。
 これでは主人に疑われてしまう。もしそうなってヴァイスに何か迷惑をかけてしまったらと思うと、怖くなる。
 だから気を付けなくてはいけない。この何も変わらない日々に訪れた変化を大切にしたい。

「まるで革命だ」

 そんな言葉を使うには少し大げさかもしれないが、ルーカスは素直にそう思った。
 楽しい。そう思えるのはとても久しぶりで、生きてることを実感できる。
 生かされるだけの日々とは違う。
 隠れて絵を描くことで、どうにか生きているという感覚を繋ぎとめているに過ぎなかった。でも、やっとルーカスは取り戻したような気分だった。

 そんな思いを守るために、この部屋ではそれを押し殺さないといけない。
 ルーカスは人の気配に気づき、深呼吸した。

 今の自分は人形。
 心はいらない。
 今だけ、この体から出ていって。

 ルーカスは自分の心にそう言い聞かせて、今日も主人の奇妙な行為を受け入れる。


「やぁ、ルーカス。今日も良い子でいたね?」
「はい、ご主人様」
「それじゃあ、いつも通りに」
「はい」

 ルーカスは服を脱いだ。
 いつも通り、ベッドに横たわって主人の愛撫を受ける。

「ああ、今日も綺麗だよ……」
「……」
「可愛いよ、ルーカス。今日も気持ちよくしてあげようね」
「…………」

 無心。余計なことは考えない。
 しかし、心に少し雑念が生まれてしまった。
 気持ち悪い。それが僅かに顔に出てしまった。一瞬、眉間に寄った皴を主人は見逃さなかった。

「おや、どうかしたのかい?」
「い、いえ」
「本当に?」
「はい、ご主人様」
「そうかい? でも、嘘はいけないよ。君は神様に愛されているのだから、君の嘘は主が許しはしない」
「……神様?」
「そうさ。やっと見つけた、特別な子。君の力は、私だけのものだ」

 主人はルーカスの屹立を掴み、乱暴にしごいた。
 少し失敗してしまったと心の中で後悔し、ルーカスは痛みに耐える。
 緩く勃ち上がった屹立を強めに吸われ、主人の口の中で弄られる。先っぽを舌でグリグリと舐め回され、痛みと快楽を同時に与えられていく。
 痛い。強引に絶頂へと達せられ、吐き出した白濁を主人が飲み干す。

「美味しいよ、ルーカス。だけど、まだみたいだね」
「……っ、はぁ、はぁ」
「ああ……早く君と番になりたいよ……」

 主人はルーカスの頭を撫でながら、恍惚の表情を浮かべている。
 話してる言葉を、何一つ理解できない。
 主人はまだ満足していないのか、それから数時間もルーカスの体を愛撫し続けた。

 今度こそ、ちゃんと心を殺す。
 無心になる。
 大切な気持ちを、心の奥底に隠して。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした

水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」 公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。 婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。 しかし、それは新たな人生の始まりだった。 前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。 そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。 共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。 だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。 彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。 一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。 これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。 痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

処理中です...