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第23話「昼休み」
しおりを挟む「っ!」
「お、大丈夫?」
慌てて本から手を離したアンジュの右手の人差し指に、うっすらと細い傷が付いた。
紙で切ってしまったのだろう。とりあえず痛みもなく血も出ていないので、アンジュは本を汚さずに済んだことにホッとした。
深い傷でもなく、わざわざ治癒するほどでもない。治癒をするとしても、ここでは人目もある。反射的に指を口にくわえてしまいそうになったが、抑えることの出来た自分を褒めてあげたくなった。
「大丈夫です。ちょっと切っただけですし、血も出てないので」
「気を付けろよ、寒くなって空気も乾燥してきたからな」
「はい。本を汚したら大変ですからね」
「そこじゃねーよ、お前の心配してんの」
「え?」
「え? じゃねーよ。友達の怪我すんの当たり前だろ」
「……え、あー……そう、です、よね」
友達とハッキリ言われ、アンジュは少しだけ頬が赤くなった。
親しくはなったとアンジュ自身も思ってる。こういう関係を友人だと呼ぶのだろうとも思う。
だが、こうして言葉にされると何だか気恥ずかしくて照れてしまう。
「なーにー、クロードくんってば顔赤いじゃーん」
「え!? そ、そんなことは……」
「それとも何か、オレとお前は友達じゃないってのかー? さみしーこと言うじゃーん」
「い、いえ……そんなことは……その、友人であると思ってます」
「アハハ! そっかそっか、良かった!」
嬉しそうに笑うイディックに、アンジュはより顔を赤く染めた。
ただ友人だと告げただけなのに、何がこんなに恥ずかしいのだろうか。生まれて初めて友達と呼べる相手が出来て、家族以外で楽しく笑い合うことのできる関係が、こそばゆいのかもしれない。
「あ、そろそろ昼休み終わるじゃん。ごめんな、本読むの邪魔して」
「いえ、大丈夫です。戻りましょうか」
「おう。今度は一緒に昼飯食おうな」
「じゃあ、図書室の隣にある庭で食べましょうか」
「いいね、たまには外で食うのも悪くねぇな。じゃあ明日は休み時間になったら購買にダッシュな。限定30個のスペシャルサンド買おうぜ!」
二人は明日の約束をしながら教室へと戻った。
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