うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし

文字の大きさ
4 / 370
10歳の春

心の折れる音がした

しおりを挟む
―――ぽきっ

そんな軽快な音が、ミルコの頭の中で響いた。
目の前では楽しそうに弟が笑っていて、両親や兄が愛しそうにプレゼントを渡している。
それは、二ヶ月前の兄の誕生日でも見た光景であり、けれどもだ。
別に、ミルコは祝ってもらえなかったことがショックだった訳ではない。
そもそも弟の誕生日にも兄の誕生日にもお呼ばれしていないのだが、それも別にショックではなかった。
ただ、ことがショックだっただけだ。

ああ、やっぱりぼくは、いらないこなんだ。

ミルコはジッと、その幸せそうな光景を見詰めた。
まるで目に焼き付けるかのように。
涙は出て来なかった。
もう、涙を流す程の情も無かったからだろう。

「いこう、シグルド。」

暫くそうしていたが、ギュッと目を瞑るとミルコは隣に居る存在に声を掛けた。
ミルコと同じ背丈の灰色のボディをしたはグレイスライムというモンスターであり、ミルコが契約した相棒でもあった。
グレイスライムは何も言わない。
声や音を発する器官が無いからだ。
ただ黙って、ミルコの後を追った。

グレイスライムは何も見ない。
目に値する器官が無いといわれている。
果たして、本当にそうなのだろうか。
ミルコの後を追っていたグレイスライムは一瞬だけ、幸せそうに笑い合う家族達を睨み付けたような素振りを見せた気がして―――
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

スライム牧場番外編

かかし
BL
「うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!」の番外編です。 思いついたネタを、思いつくままに。 完全不定期更新なのでご容赦ください。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

声なき王子は素性不明の猟師に恋をする

石月煤子
BL
第一王子である腹違いの兄から命を狙われた、妾の子である庶子のロスティア。 毒薬によって声を失った彼は城から逃げ延び、雪原に倒れていたところを、猟師と狼によって助けられた。 「王冠はあんたに相応しい。王子」 貴方のそばで生きられたら。 それ以上の幸福なんて、きっと、ない。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

処理中です...