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10歳の春
グレイスライム
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それからの一人と一匹は、何をするにもいつも一緒だった。
ミルコがシグルドを連れて歩くことに使用人達は眉根を寄せたが、それだけだ。
どうせ両親も兄弟も来ない。
ミルコが別棟に移されてから一日たりとも、見たことなんてなかった。
朝から隠し通路を使い森の入口に行き、小腹が空いたらシグルドがどこからともなく取って来てくれた果実を摘まみ、そうして日が暮れるまで遊んだ。
夜は与えられた固いパンと野菜くずの入ったスープを分け合って食べた。
風呂代わりに小さな水桶で軽く水を浴びれば、シグルドが優しくミルコの身体を包んでくれる。
どうやら身体中に付着した垢や汚れ、雑菌を食べてくれてるらしい。
自分でするよりも、ずっとずっと清潔でキレイになった。
そうして今にも壊れてしまいそうなベッドではなく、シグルドの上に寝転んで襤褸だけど一人と一匹を包むのに十分な大きさをした毛布に身を包んだ。
そうしたら、まるで寄り添って眠っているように感じたから。
ある日、ミルコは隠し通路のある部屋で一冊の本を見付けた。
それは図鑑で、誰にも祝われず五歳の誕生日を迎えたばかりのミルコには難しい字がいっぱい書いてあった。
けれどスライムの頁は簡素で、ミルコでも分かる表現しか書かれていなかったから読むことが出来た。
「つうろでいっしょによもう!」
図鑑は重たかったけど、ミルコはしっかり抱えて歩いた。
とはいえ途中でバテてしまったので、結局シグルドが持ってくれたのだけど。
森は薄暗かったけど、陽が昇っているうちは本を読むには十分な明るさだった。
「ぐ………ぐれ、ぐれい、すらいむ………グレイスライム!」
ぴったりと身体をくっ付け合い、シグルドと同種のスライムを探す。
他のモンスターと違って数頁しか描かれていなかったから、拍子抜けするくらい簡単に見付かった。
そこには大型で珍しいスライムであることが書かれていたが、それだけ。
それでもミルコには、シグルドのことを少し知れたような気がして嬉しかった。
「スライムって、いっぱいいるんだね。」
とはいえグレイスライムの項目は見終わってしまったので、ミルコは他のスライムの項目も読むことにした。
思えばミルコは、シグルド以外のスライムを見たことがなかった。
森の中なのに、図鑑でも【よく目撃される】と書かれている通常のスライムも、グリーンスライムもミルコは見たことがなかった。
もう少し中に入って行ったら見れるのだろうか。
ミルコはそう思いながら、隣に居るシグルドを見た。
シグルドは一緒に分かち合うパンやスープだけじゃなく、ここで遊ぶ時に現れるモンスターも捕食している。
だからだろうか。
初めて会った時は縦も横も同じだった筈のシグルドは、今じゃミルコよりも大きくなっている。
普段の高さはミルコに合わせているものの、例えばベッド状態になる時はミルコよりも長くなっているし横幅もちゃんとある。
それにこの間なんて、狼型のモンスターだって捕食していた。
―――そんなシグルドが一緒ならば、どこへでも行ける気がする。
けれどミルコはそれを口に出す事はしなかった。
契約しているモンスターであるけれど、ミルコにとってシグルドは友人、否、唯一の家族だった。
家族を危険な目に遭わせたい訳ではないし、そもそも弱くて痩せっぽちなミルコは足手纏いだ。
家族の負担になりたい訳でもなかった。
ミルコがシグルドを連れて歩くことに使用人達は眉根を寄せたが、それだけだ。
どうせ両親も兄弟も来ない。
ミルコが別棟に移されてから一日たりとも、見たことなんてなかった。
朝から隠し通路を使い森の入口に行き、小腹が空いたらシグルドがどこからともなく取って来てくれた果実を摘まみ、そうして日が暮れるまで遊んだ。
夜は与えられた固いパンと野菜くずの入ったスープを分け合って食べた。
風呂代わりに小さな水桶で軽く水を浴びれば、シグルドが優しくミルコの身体を包んでくれる。
どうやら身体中に付着した垢や汚れ、雑菌を食べてくれてるらしい。
自分でするよりも、ずっとずっと清潔でキレイになった。
そうして今にも壊れてしまいそうなベッドではなく、シグルドの上に寝転んで襤褸だけど一人と一匹を包むのに十分な大きさをした毛布に身を包んだ。
そうしたら、まるで寄り添って眠っているように感じたから。
ある日、ミルコは隠し通路のある部屋で一冊の本を見付けた。
それは図鑑で、誰にも祝われず五歳の誕生日を迎えたばかりのミルコには難しい字がいっぱい書いてあった。
けれどスライムの頁は簡素で、ミルコでも分かる表現しか書かれていなかったから読むことが出来た。
「つうろでいっしょによもう!」
図鑑は重たかったけど、ミルコはしっかり抱えて歩いた。
とはいえ途中でバテてしまったので、結局シグルドが持ってくれたのだけど。
森は薄暗かったけど、陽が昇っているうちは本を読むには十分な明るさだった。
「ぐ………ぐれ、ぐれい、すらいむ………グレイスライム!」
ぴったりと身体をくっ付け合い、シグルドと同種のスライムを探す。
他のモンスターと違って数頁しか描かれていなかったから、拍子抜けするくらい簡単に見付かった。
そこには大型で珍しいスライムであることが書かれていたが、それだけ。
それでもミルコには、シグルドのことを少し知れたような気がして嬉しかった。
「スライムって、いっぱいいるんだね。」
とはいえグレイスライムの項目は見終わってしまったので、ミルコは他のスライムの項目も読むことにした。
思えばミルコは、シグルド以外のスライムを見たことがなかった。
森の中なのに、図鑑でも【よく目撃される】と書かれている通常のスライムも、グリーンスライムもミルコは見たことがなかった。
もう少し中に入って行ったら見れるのだろうか。
ミルコはそう思いながら、隣に居るシグルドを見た。
シグルドは一緒に分かち合うパンやスープだけじゃなく、ここで遊ぶ時に現れるモンスターも捕食している。
だからだろうか。
初めて会った時は縦も横も同じだった筈のシグルドは、今じゃミルコよりも大きくなっている。
普段の高さはミルコに合わせているものの、例えばベッド状態になる時はミルコよりも長くなっているし横幅もちゃんとある。
それにこの間なんて、狼型のモンスターだって捕食していた。
―――そんなシグルドが一緒ならば、どこへでも行ける気がする。
けれどミルコはそれを口に出す事はしなかった。
契約しているモンスターであるけれど、ミルコにとってシグルドは友人、否、唯一の家族だった。
家族を危険な目に遭わせたい訳ではないし、そもそも弱くて痩せっぽちなミルコは足手纏いだ。
家族の負担になりたい訳でもなかった。
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