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10歳の春
幕間:王都の学園にて
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セドリックは平民であり獣人のクオーターではあったが、貴族に負けない程の才能を持っていた。
なにせドラゴンと相性が良く、15歳の現在で既に契約出来る程の魔力な上に、更にまだまだ上限値が増える予定でもあった。
それでいて獣人の特徴である身体能力の高さと、15歳にしては逞しく厚みのある身体つき。
切れ長の目を伴った顔立ちは整っているものの、黒狼の耳と尻尾は身体つきと相俟って恐ろしく感じる。
だが性格は粗暴どころか寧ろ紳士的で謙虚で、対話する際に優しく細められる目元は男女問わず魅了する。
そのこともあって学園では囲い込もうとする貴族達が大勢居たが、本人はあの手この手で避けていた。
―――セドリックには、とてつもなく大きな夢があった。
それはセドリックが5歳の頃に唐突に思い付いた夢ではあったが、それでもそこから10年、変わること無く抱き続けた夢だった。
それもあって自ら特待生奨学金を使って入学したのだが、それはセドリックにとって夢を遠ざけるだけでなく、ただ不幸を招き続ける行為だった。
まず授業で発覚したことだが、自分の魔力や契約可能モンスターの相性がその夢と相性が最悪だった。
学園に居る以上、モンスターと契約しないと卒業が出来ない。
しかしモンスターと契約してしまうと、もはや幼い頃からの夢は潰えたも同然になってしまう。
それは駄目だと、自分の中にある獣人の血が騒ぐ。
だが奨学金を貰っている以上、中退も出来ないし留年も出来ない。
成績上位を維持しないと、返済の義務が発生してしまうからだ。
奨学金は上位さえキープ出来れば返済不要だ。
ただ学園に通う為の全費用の負担とだけあって高額なので、いくら夢の為といってもじゃあ辞めますなんて気軽には言えない。
進めば進む程夢は遠ざかるのに、進むしかない。
それがセドリックにとっての最初の不幸だった。
そして更なる不幸は、学園での人間関係だ。
勿論、貴族が多く通う学園で平民の、それも獣人の血を持つセドリックは差別の対象だった。
だがそれだけなら、セドリックは我慢できた。
貴族連中の陰湿でお上品な嫌がらせなど、内心で中指立てていたら終わる。
だが媚びを含んだ支配欲は、吐き気する程の嫌悪感を与えた。
キッカケはセドリックが、相性の良いドラゴンとタイマンして無事契約を結んだことだ。
最強と呼ばれるドラゴンの中でも、上位種の黒竜。
セドリックと契約したドラゴンはその黒竜の巣立ったばかりの子供ではあったが、それでも他のモンスターに引けをとらない強さを持っている。
そんな存在に、入学したばかりだというセドリックがフィジカル面でも勝利したのだ。
大人でも成し遂げることが難しい偉業に、思春期の子供達が抱いたのはほんの少しの畏怖と、過度な羨望だった。
将来の自分の部下に、伴侶に、愛人に。
迎え入れたいと願った貴族の子供達はほんの少し前までは獣の子だと蔑んでいたクセに、掌を返して媚び諂う。
どちらかといえば獣人の血が濃いセドリックにとって、これは地味にストレスだった。
獣人は嘘や打算、そしてあからさまな媚びを厭う。
そしてその媚びを売ってくる相手がどいつもこいつも貴族の子供だということも、ストレスになっていた。
同じ平民ならば殴って終わりだが、貴族の子供相手となるとそうもいかないからだ。
「あー、帰りたい………帰ってスライムの研究続けたい………」
スライムの生態を調べ尽くし、スライムに囲まれて暮らしたい。
それがセドリックが10年前から抱いている夢だった。
なにせドラゴンと相性が良く、15歳の現在で既に契約出来る程の魔力な上に、更にまだまだ上限値が増える予定でもあった。
それでいて獣人の特徴である身体能力の高さと、15歳にしては逞しく厚みのある身体つき。
切れ長の目を伴った顔立ちは整っているものの、黒狼の耳と尻尾は身体つきと相俟って恐ろしく感じる。
だが性格は粗暴どころか寧ろ紳士的で謙虚で、対話する際に優しく細められる目元は男女問わず魅了する。
そのこともあって学園では囲い込もうとする貴族達が大勢居たが、本人はあの手この手で避けていた。
―――セドリックには、とてつもなく大きな夢があった。
それはセドリックが5歳の頃に唐突に思い付いた夢ではあったが、それでもそこから10年、変わること無く抱き続けた夢だった。
それもあって自ら特待生奨学金を使って入学したのだが、それはセドリックにとって夢を遠ざけるだけでなく、ただ不幸を招き続ける行為だった。
まず授業で発覚したことだが、自分の魔力や契約可能モンスターの相性がその夢と相性が最悪だった。
学園に居る以上、モンスターと契約しないと卒業が出来ない。
しかしモンスターと契約してしまうと、もはや幼い頃からの夢は潰えたも同然になってしまう。
それは駄目だと、自分の中にある獣人の血が騒ぐ。
だが奨学金を貰っている以上、中退も出来ないし留年も出来ない。
成績上位を維持しないと、返済の義務が発生してしまうからだ。
奨学金は上位さえキープ出来れば返済不要だ。
ただ学園に通う為の全費用の負担とだけあって高額なので、いくら夢の為といってもじゃあ辞めますなんて気軽には言えない。
進めば進む程夢は遠ざかるのに、進むしかない。
それがセドリックにとっての最初の不幸だった。
そして更なる不幸は、学園での人間関係だ。
勿論、貴族が多く通う学園で平民の、それも獣人の血を持つセドリックは差別の対象だった。
だがそれだけなら、セドリックは我慢できた。
貴族連中の陰湿でお上品な嫌がらせなど、内心で中指立てていたら終わる。
だが媚びを含んだ支配欲は、吐き気する程の嫌悪感を与えた。
キッカケはセドリックが、相性の良いドラゴンとタイマンして無事契約を結んだことだ。
最強と呼ばれるドラゴンの中でも、上位種の黒竜。
セドリックと契約したドラゴンはその黒竜の巣立ったばかりの子供ではあったが、それでも他のモンスターに引けをとらない強さを持っている。
そんな存在に、入学したばかりだというセドリックがフィジカル面でも勝利したのだ。
大人でも成し遂げることが難しい偉業に、思春期の子供達が抱いたのはほんの少しの畏怖と、過度な羨望だった。
将来の自分の部下に、伴侶に、愛人に。
迎え入れたいと願った貴族の子供達はほんの少し前までは獣の子だと蔑んでいたクセに、掌を返して媚び諂う。
どちらかといえば獣人の血が濃いセドリックにとって、これは地味にストレスだった。
獣人は嘘や打算、そしてあからさまな媚びを厭う。
そしてその媚びを売ってくる相手がどいつもこいつも貴族の子供だということも、ストレスになっていた。
同じ平民ならば殴って終わりだが、貴族の子供相手となるとそうもいかないからだ。
「あー、帰りたい………帰ってスライムの研究続けたい………」
スライムの生態を調べ尽くし、スライムに囲まれて暮らしたい。
それがセドリックが10年前から抱いている夢だった。
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