うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし

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7歳の秋

なんでも屋さん

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「そういや、さっき言ってた【なんでも屋さん】ってなんだ?」
「なんだ、村長なのに知らねぇのか。最近の村の中でのトレンドだぞ?」
「なぁ、マチルダ。なぁに?」

ふふんと馬鹿にしたように笑いながらウィルがそう言ったので、取り敢えずその脛を蹴ってやりながらマチルダに聞き直す。
いつもの戯れだ。
仲良しだなぁと思いながら、マチルダは説明してやった。

「クリスとカイルとヘルギで始めたのよ。村の小さななんでも屋さん。報酬は現物支給なの。」
「いまはちいさいけど、おおきくなるよ!」
「そのうちちゃんとおみせとしてしんせいだすんだ!」
「おおう………難しい言葉知ってるな………」

自慢げなクリスとカイル我が子達に、ぽよぽよと自信満々に跳ねるヘルギ甥っ子
可愛くて愛しくて、心臓がギュッと掴まれたような感覚がして変な声が出そうになる。
ちなみに視界の端にチラチラ映るニールがパープルスライムにミルクをやってる姿も可愛すぎてたまらない。

「いまはみんなのちょっとしたおてつだいしてるだけだけど………」
「ニールもがんばってるから、オレたちもがんばろうっておもって!」
「さんにんともすごいんだよ!このあいだ、クリスティーナさんのおうちのおかたづけ、ずっとおてつだいしてた!」

クリスティーナさんは村に元々居た高齢女性で、つい最近街に住む娘夫婦と同居する為に引っ越しをした人物だ。
旦那さんを亡くしたばかりで男手がなく、ずっとやろうとしても出来なかった遺品整理も兼ねて二人と一匹で手伝ったのだ。
最近ヘルギも大きくなったので、ちょっとした物なら運べるようになった。
限界を知るのも大事だとウィルから教わったので、そこを見極めるのにも丁度良いなと思ったのだ。

「それは………じかんかかっちゃったから………」
「けっきょく、いっしゅうかんかかったよね。」

しょんぼりとしながらクリスとカイルが言えば、傍に居たヘルギもぺったりと床にボディをつける。
………が、ちょっと冷たかったのか、のちのちとラグに乗ってぺったりとした。
こういうところが、可愛いのだ。

「仕方ねぇだろ。ありゃ罠だ。」
「どゆこと。」
「クッソ荷物あったんだよ。カッターラ旦那もコレクター気質だったが、クリスティーナばあさんも同じくらいにコレクター体質だったんだよ。但し、ゴミの。」

つまりクリスティーナの家は、旦那さんのコレクションも相俟って静かにゴミ屋敷と化そうとしていたのだ。
引っ越し後に事情を聞いた娘夫婦が、青褪め何度も何度も謝罪する程に。
そんな状態だったのでウィルもシグルドも手伝おうと思ったのだが、二人と一匹がキチンと引っ越し日期限を把握して動いていたし自分達だけでやり遂げたいという意思が強かったので敢えて手を差し伸ばさなかった。
流石に最後の掃除だけは、ニールとシグルドが手伝ったけれど。

「うっわ………三人共頑張ったんだなぁ………おいで、父さんが抱っこしてやろう。」
「ううん。がんばったけど、ニールとシグルドがいっぱいほめてくれたからいい。」
「これもまたしゅぎょうだもんね!」

広げた腕は軽くスルーされて、リースは心の中でちょっぴり泣いた。
成長っぷりの感動が半分、寂しさも半分。
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