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7歳の秋
赤ちゃん大興奮
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パープルスライムは不満だった。
ここ最近、お父さんとおっきいお兄ちゃんは朝早くから出掛けててちっとも抱っこしてくれないし、お兄ちゃん達も朝から忙しそうでちっとも構ってくれない。
夏の間構ってくれたおっきいお兄ちゃんも居なくなっちゃったから、パープルスライムは不満で不満で仕方なかった。
抱っこだって、最近はしてもらえない。
クリスとカイルのお母さんとかおばあちゃんとおじいちゃんは抱っこしてくれるけど、お父さんが良い。
「ただいまー。」
お昼のミルクをマチルダに貰ってゲップが終わったと同時、大好きな声が聞こえてパープルスライムは急いで床に下りるとのちのちとボディを動かして本人史上最速で声のした方へと駆けて行った。
まるで風のように………というのはあくまでパープルスライムの気持ちの問題であって、実際は大人が一歩踏み出す方が早いくらいなのだが。
つまり、声の主が手を洗ってリビングに来る方が早い。
「うおっ!どうしたパープルスライム。踏むぞ?」
扉を開けてすぐパープルスライムが居たものだから、声の主………ウィルが驚いてひょいと抱き上げた。
Q.お迎え行ったお父さんが目の前に居たらどうなるでしょう。
A.大興奮する
しかもしてほしかった抱っこをしてくれたのだ。
人間の子供だったら奇声を上げて大喜び状態である。
「あらあら。お父さんが帰って来て良かったわねぇ。ずっと待ってたものね。」
パープルスライムは声が無いので奇声は上げないが、それでもウィルの首筋にぐいぐいとボディを押し付けた。
いっぱい抱っこして欲しいし、いっぱい撫でて欲しい。
そんなパープルスライムを微笑ましい瞳で見ながらシルビアはそう言った。
ついこの間まではぽやぽやとした赤ちゃんだったのに、今はもう自我が出てきた赤ちゃんになっている。
ミルクと闇妖精の比率も、闇妖精の方が多くなったし………成長が愛しい。
「あー………」
「お兄ちゃんも帰って来て嬉しいねぇ。あら、クィル神官もいらっしゃい。パープルスライム、クィル神官も大好きだもんね。」
ニコニコとするシルビアとマチルダ。
そして上機嫌のパープルスライム。
なんだかとっても嫌な予感がして、ウィルとクィル神官とシグルドは顔を見合わせる。
「あー………パープルスライム、あのな………」
まだまだ小さなボディを高い高いの要領で抱き上げる。
上機嫌で大興奮な子供の期待を裏切るとどうなるのか。
心苦しくなりながら、ウィルは口を開いた。
今日は厄日かよと、内心悪態を吐きながら。
「飯食ったら、ニール達の手伝いに行くつもりなんだよ。まだ遊べない。」
スライムには感情が無いなんて、誰が言ったんだ。
この後の騒動で、ウィルとクィル神官は本気でそう思った。
ここ最近、お父さんとおっきいお兄ちゃんは朝早くから出掛けててちっとも抱っこしてくれないし、お兄ちゃん達も朝から忙しそうでちっとも構ってくれない。
夏の間構ってくれたおっきいお兄ちゃんも居なくなっちゃったから、パープルスライムは不満で不満で仕方なかった。
抱っこだって、最近はしてもらえない。
クリスとカイルのお母さんとかおばあちゃんとおじいちゃんは抱っこしてくれるけど、お父さんが良い。
「ただいまー。」
お昼のミルクをマチルダに貰ってゲップが終わったと同時、大好きな声が聞こえてパープルスライムは急いで床に下りるとのちのちとボディを動かして本人史上最速で声のした方へと駆けて行った。
まるで風のように………というのはあくまでパープルスライムの気持ちの問題であって、実際は大人が一歩踏み出す方が早いくらいなのだが。
つまり、声の主が手を洗ってリビングに来る方が早い。
「うおっ!どうしたパープルスライム。踏むぞ?」
扉を開けてすぐパープルスライムが居たものだから、声の主………ウィルが驚いてひょいと抱き上げた。
Q.お迎え行ったお父さんが目の前に居たらどうなるでしょう。
A.大興奮する
しかもしてほしかった抱っこをしてくれたのだ。
人間の子供だったら奇声を上げて大喜び状態である。
「あらあら。お父さんが帰って来て良かったわねぇ。ずっと待ってたものね。」
パープルスライムは声が無いので奇声は上げないが、それでもウィルの首筋にぐいぐいとボディを押し付けた。
いっぱい抱っこして欲しいし、いっぱい撫でて欲しい。
そんなパープルスライムを微笑ましい瞳で見ながらシルビアはそう言った。
ついこの間まではぽやぽやとした赤ちゃんだったのに、今はもう自我が出てきた赤ちゃんになっている。
ミルクと闇妖精の比率も、闇妖精の方が多くなったし………成長が愛しい。
「あー………」
「お兄ちゃんも帰って来て嬉しいねぇ。あら、クィル神官もいらっしゃい。パープルスライム、クィル神官も大好きだもんね。」
ニコニコとするシルビアとマチルダ。
そして上機嫌のパープルスライム。
なんだかとっても嫌な予感がして、ウィルとクィル神官とシグルドは顔を見合わせる。
「あー………パープルスライム、あのな………」
まだまだ小さなボディを高い高いの要領で抱き上げる。
上機嫌で大興奮な子供の期待を裏切るとどうなるのか。
心苦しくなりながら、ウィルは口を開いた。
今日は厄日かよと、内心悪態を吐きながら。
「飯食ったら、ニール達の手伝いに行くつもりなんだよ。まだ遊べない。」
スライムには感情が無いなんて、誰が言ったんだ。
この後の騒動で、ウィルとクィル神官は本気でそう思った。
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