劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

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第五章 新しい出会い

16本目

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 木で作った食器は大成功だった。

 お店に出した初日からすぐにお客さんの目にとまり、沢山のお問い合わせをもらったの。
 でもここで大量生産しては駄目、これはただの顔見せみたいな物だから。アーリャブランドの商品はまだまだあるんだからね。

 ……とは言え絞りすぎても忘れられてしまうから、また何枚か作っているんだけど【自動化】の能力が使えるようになったお陰で、一度作った物なら簡単に作れるようになったの。

「最初は変なギフトジョブなんて思っていたけど想像以上に有能だよね」

 なので、いきなりノルマを終えてしまったわたしは次の商品に取り掛かっている。次の商品は……ズバリ『紙』!!

 この世界には既に羊皮紙はもちろん植物紙はあるんだけど、上質な真っ白な物は無いし、質が悪い紙ですら作り方が秘匿されているみたいだし、市場に出回る数も少ない。羊皮紙と違って保護協会も出来ていない。

 大好きなWEB小説『本好きの無職が転生したらスライムだったので本気で下剋上する件』では、スライムになってしまった本好きの主人公が人間の街で生きていくため、働きたくなかったポリシーを曲げ、苦労して適切な木を探して道具を揃えて植物紙を作り出していくのだけど……わたしは苦労もなくそれが出来てしまうのだ。

 とはいえ、いくら便利な能力でもやり過ぎればあっという間にWPウッドポイントが枯渇してしまう。魔力……私の場合は木力? ……がなくなりそうになると貧血のように体調が悪くなってしまう。

 でも、ここはファンタジーな世界なだけあって便利な木があります。

 魔法樹マナツリー

 これが近くにあると魔法を使うために必要なMPマジックポイント……と、わたしは勝手に呼んでいる……の回復速度が上がるんだけど、これがなんとWPウッドポイントにも効果があったの。

 最近は見た事の無い気を見ると手当たり次第触るようにしていたんだけど、王都に行った後のタイミングでこれが増えていたから、もしかしたら魔術師ギルドの近くに立っていた立派なのがソレだったのかもしれないね。

 あとで調べたら本当に貴重な木らしくて勝手に持ち出すと罰則があるらしいんだけど……庭を見渡すと10本くらい立っている……これはわたしが一から育てたんだからセーフだよね?
 ちゃんと用事が済んだら【還元】……使うと木を消して5割くらいのWPウッドポイントが還ってくる……で元に戻しているから多分見つからないと思う。

「家でやるとすぐに疲れちゃうのに、ここだと凄く調子が良くていくらでも練習出来るよ!! 【スタミナ】!!」

「うおおお、ケニーの魔法すげぇ、コレならいくらでも練習が続けられる!!」

 ついでに一緒に恩恵を受けている二人もいる。ケニーはドランにスタミナの魔法を掛けてドランはそれを受けて延々と刀の練習をしている。

 最近、素振りで満足出来なくなってちょっかいを掛けてくるようになったドランに修行と称して……漫画で読んだのを真似て、何本か木の上からロープで垂らした木片を打って躱す……攻撃と回避の練習をやらせている。
 たまに気まぐれで木の枝を動かして木片をドランにぶつけようとすると、ちゃんと避けるから凄いのかも?

 ケニーの魔法も延々と同じ魔法を練習しているせいか、効果や継続時間も延びて凄い事になっている。最近新しい魔法を練習したいのかドランに怪我をしないか? とか毒薬を飲んでみない? とか物騒な事を言っている……ちょっと将来が心配だよね。

 いけない、人の事は良いんだよ、わたしの事が大事だよ。

 そう言う事で、植物紙を【加工】で紙を作っては【還元】で木をWPウッドポイントに戻して白く綺麗な紙が出来る木を探した。

 色々試した結果、クリスマスツリーでお馴染みのモミの木が良さそうだと判明したので、この木を使って植物紙を作成した。本当は前世ではもっと色々な木を触ったんだけど、思ったより候補が出てこなかったんだよね……もしかしたらもっと練習してWPウッドポイントの総量を増やさないと使える木の種類が増えないのかもしれないね?

「よし、この紙をお父さんに見てもらおう……お店の方へ行ってくるね」

「おう、わかった」「うん」

 二人に声をかけるとわたしはお父さんのいる応接間を兼ねた仕事部屋へ……従業員用通路から向かう……階段を上がり部屋の扉をノックしたけど返事がない。
 勝手に入ったけどお父さんはいなかった。

「いいから、早くこれを作った職人の事を教えなさい!」

「お、お嬢様!!」

 あれ? なにやら店の方が騒がしい。お店側を覗いて見るとそこには……



 恐縮した女従業員と、その隣にはお父さん。
 その対面に豪華なドレスを着たいかにもな金髪お嬢様と、その後ろでオロオロしている燕尾服を着た老紳士が立っていた。 
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