劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第五章 新しい出会い

17本目

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「早く職人を教えなさい……わたし、この食器とても気に入りました」

「お嬢様、いけません」

 何やら売り場の方で揉めているよう? 察するに貴族のお嬢様っぽい人が内の商品を作った職人の情報を聞き出そうとしている? 一体どの商品……ってわたしの作ったやつだ!!
 なんだか関わるのが面倒くさそうな感じだな~これは出て行かない方が良いよね?

「申し訳ございませんが、こちらを作った者はトルア領のザート様自らが支援を行っている職人なのです。
 勝手な真似をするのはザード様への不義理となりますので、どうか正式な手順を踏んでから改めてお越し頂くようお願い致します」

 お父さんが相手に敬意を払いつつも毅然としてお断りを入れている。
 大丈夫かな? この世界の貴族様は無礼打ちとかしないって聞いたけど……もしも危ない事があったら木の力で何とかしなきゃ……って、土が無い場所では使えないよ!!

「まぁ、しかたがありませんね……今日のところは帰るとします」

「お騒がせ致しました……ああっ、お嬢様、お待ちください」

 そんな心配を余所に金髪お嬢様は去って行く……そのうしろを執事が謝罪の後に慌てて追いかけていった。

「お父さん、大丈夫!?」

「ああ、心配はいらないよアーリャ。こういう事があると思って領主様に後ろ盾をお願いしてあったんだ」

「そうなの? じゃあ、支援を行っているって……」

「もちろん、嘘も方便さ……いくつか食器をお納めして口裏を合わせて貰えるようお願いしてあるのさ」

 さすがお父さん、こういう事態を予想していたんだね……わたしなんて考え無しに作っちゃったから……って事は、この紙もマズいのかな?

「これが新しい商品……これは紙!? 何て白さだ!? これもアーリャが作ったのかい?」

「う、うん、そんなに凄いかな?」

「こんなに白くて薄い……でも透けるほどでは無い紙なんて見た事無いよ。ううむ、また領主様にお願いする事が増えそうだな」

「あはは、よろしくお願いします」

「おお、ペンの乗りも良い……白い紙に黒いインクがよく映えるよ!! しかも滲みも殆ど無い!! あぁ、言われていた貝殻は追加で届くからね」

 お父さんは新しい商品に夢中だ。

 ちなみに貝殻は本来なら焼いて粉にして混ぜて紙を白くする原料にするんだけど、わたしのチート【加工】ではただ素材として消費されるだけなのだ。

 よし、この調子でどんどん稼いでいくよ!!



 アーリャブランドの第二弾もおかげさまで大好評となり、わたしは毎日食器と紙作りに励む事になるのだった……いやまぁ、そんなに時間掛からないで出来るんだけどね。
 いちおう頑張って作っているポーズだけは取っていて、殆ど【光合成】がメインなのでした。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 今日、私はお使いに来ていた……さすがに末っ子とは言え大きなお店の娘なのでおつきの従業員がいたのだけど、お買い物を終えて従業員がお金を支払おうとわたしから目を離した瞬間それは起こった。

 突然、後ろから布か何かを当てた手で口を塞がれ、そのまま抱き上げられたかと思うと一気に店の外に連れ出されてしまった……この間、まさに10秒の出来事!

 外で待機している馬車に乗せられると、すぐにそれは走り出す。

 うそ、まさかこれって誘拐!? 跡継ぎの長男を狙わずに末っ子のわたしを誘拐してどうする意味が分からないよ? やだ、怖い、わたしどうなっちゃうの!? 助けてまーくん!!

「もうよろしいわよ」

「はっ」

 わたしの口元から手が離され椅子に降ろされると、初めて向かいの席に誰かがいる事に気付いた。

 この娘、こないだの貴族のお嬢様!?

 目の前には高そうな布を使った私服を身に纏った金髪のお嬢様が座っていた。この前は遠目にしか見ていなかったけど、わたしと同い年くらいじゃないの?

 彼女はわたしをじっと見ると、やや高飛車な感じで話し始める……



「あなた、あの店の娘よね……ちょっと聞きたい事があるわ」
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