劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第五章 新しい出会い

18本目

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「黙ってないで何か言ったらどうかしら?」

「ふえええっ、怖いよう~ 誘拐されちゃってわたしどうしたら良いの?」

 とりあえず5歳相応な感じで怖がってみる事にする。

「人聞きの悪い事を言わないでくださらない? ちょっとお話を聞きたいだけだわ」

「それならなんでお店に来ないの? 誰にも知られないように連れてくる必要ないよ~ やっぱり誘拐されて殺されちゃうんだ~」

「うっ、殺すなんて野蛮な事はしません!! ただ私はあの美しい食器を作る職人の事が知りたいだけだったのよ!!」

 ほっ、この感じなら酷い目に合ったりしないかな?

 でもそれならなおさら、わたしが食器を作っているって知られるわけにはいかないね。

「そんなのお父さんに聞けば良いのに……わたし知らないもん」

「あなたのお店を見張らせて貰いましたが、肝心の物を運び込む馬車が一台もありませんでしたわ……なのに商品は入荷している」

 ぎくぎくっ……見張りとか本格的に調べられていたの!? まずい、どうやって誤魔化そう……あ、ちがう、わたしは何にも知らない5歳児だから知らぬ存ぜぬを通せば良いんだ。

「知らないよう~ わたし末っ子だからお兄ちゃん達みたいにお仕事させてもらえないもん」

「むぅ~確かに何も知らなそうね……クライフ、どうしましょう?」

「そうですね……このままこの娘を店に帰せばより警戒される事は間違いないでしょう……」

 今まで黙っていた、(たぶん)わたしを攫った人がお嬢様に応える。この前連れていた人と違って成人もして無さそうな執事だった……鋭い目つきがちょっと怖い。
 いえ、わたし何も言いませんから、おうちに帰してください。

「……それならいっそ本当に誘拐してしまって職人と人質交換という手もあります」

 のおおおおおっ!! なんて恐ろしい事を!! このお嬢様はWEB小説でお馴染みの『悪役令嬢』だったのね! この世界は実は乙女ゲーか何かの世界だったに違いないよ!!

「ちょ、そこまでする事は無いわよ……あなた! 無事に帰りたかったらこの事は黙っていなさい、いいわね」

「(こくこく)」

 はい、もちろんです、わたし貝のように口を閉ざしていますから。

「お嬢様、子供にそんな事を言って聞かせても無駄です。相手は多少規模が大きいとは言え、たかが商人……たとえトルア領主の後ろ盾があろうと強引にもみ消す事は出来るでしょう」

「(ふるふる)」

 ちょっと何て事言うの!? わたしこの人嫌い!! やめて!!

「ちょっと、お父様に内緒でそんな事は出来ないわ。それ以前にそこまでする必要は無いわ」

「(こうこく)」

 おお、お嬢様は穏便に済ませたいって考えているのね? 頑張れお嬢様!!

「いえいえ、お嬢様」

「だめ、だめよ!」

 ガタン……突然馬車が止まったと思うと扉が開き、そこからこの前お嬢さんと一緒にいた老執事が現れる。

「このバカモンが!!! なんて事をしておるのだ!!」

 老執事が馬車に乗り込んでくると若執事の頭をゴツンと殴りつける。

「いて!! 何するんだよ、じいちゃん!!」

「ちょっと、馬車の中で暴れるのは止めなさい!!」

「止めないでくださいお嬢様!! 今日という今日はこの馬鹿孫に言って聞かせねば!!」

「言って聞かせるとか言いながら手を出すなよ!!」

 もう馬車の中がカオスな感じになっているよ……こっそり逃げ出せるかな? チラッと扉の外を見ても街の何処なのか分からない。

 わたしは未だにひとりで街を歩いた事が無い。このまま飛び出しても迷子必至だろう……それどころか、そこそこ良い身なりのせいでセカンド誘拐犯に捕まっちゃうかもしれない。

 でもおじいさんの執事の方は若いデンジャラス執事を止めてくれそうだし、ここはなんとか落ち着いて貰わないと……よーし。

「うええええん、怖いよう~ 帰りたいよ~」

「ああっ、幼子を流せてしまった……怖くないですよ~すぐにお家に帰して上げるからね~」

 老執事が泣き真似をした私を慰めてくる……よし、この調子でお家に帰して貰おう。

「だけどじいちゃん、これじゃお嬢様のお茶会デビューの目玉が!?」

「もう良いのですクライフ、このような真似をして成功しても、きっと神がお許しにならないでしょう」

「その通りですお嬢様、ここはお詫びを兼ねてこの子のお店で無理の無い数の木製食器を買っていきましょう」




 お茶会デビュー? 職人を独占して大儲けしちゃおう! ってわけじゃ無かったのかな?
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