劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
40 / 127
第十章 謎の手紙

40本目

しおりを挟む
「嘘偽り無く正直に話して貰えれば警戒せずに済んだんですけど」

「先程も申し上げましたとおり、あなたが転生者じゃなかったらと考えると……「それは嘘では?」……え?」

「仮にわたしが転生者じゃなかったとしたら、変な手紙は無視するだけです。いくら変な手紙でもわざわざ差出人に害意を持つ事は無いと思いますよ?
 何か身元を調べられたくないのでは……と勘ぐってしまいますのでリスクの方が高いと思います」

「そ、それは……」

「あの、アーリャさん、申し訳ありません。父は以前に騙されて少し人間不信な所があるのは確かです。私も素直に話した方が良いと言ったんですけど……」

 狼狽えるバロウさんを遮って、突然娘のキャレルさんが話に割って入ってきた。

「そうですか、とりあえず手紙の事は一旦保留としますね。
 でもわたし達は転生者であると同時にこの世界に住む人間でもあります、そして同じ商人らしいですから、商人として信用は何より大事です……嘘は無しで行きましょう」

「は、はい、申し訳ありません」

 うん、とりあえずわたしのペースで話を出来ている気がする。商談はできる限り自分主導で進めないとね。最近は真面目に商人のお勉強をしているから役に立ったよ。

「それでは改めて、どう言ったご用件なのでしょうか?」

「それはですね、私達は同じ転生者として助け合えるのではと思いましてね」

「助け合いは素晴らしい考えですね? 続けて下さい」

「同じ転生者どうしで同じ商人です。商売の事でもお互いに協力し合っていけると思うんですよ」

 なんだかな~だよ、具体的な事をさっぱり言わないし。

「それはどのような事ですか?」

「あなたの扱う商品……アーリャブランドの素晴らしい商品の販売を私にも手伝わせて欲しいのです」

 うわ~、協力なんて言葉を使っているけど、要は「自分にも儲けさせろ」って事だよね? そう素直に言わないのは、まさかだけど立場を対等にしたいのかな?

「わたしの商売は順調ですし、人の手も足りていますので困っている事はありません」

「いえ、私ならより多くの人にあなたの素晴らしい商品を広める事が出来るのです」

 だから具体的な事を一緒に説明してくれないとYESなんて言えないよ。この人、本当に商人なの? なんて、本当は分かっているんだけど。

「今の所、需要に対して供給が追いついていない状態です……あまり市場を広げても品物が用意出来ないので、広める必要を感じません」

「そ、そうですか……えーとですね……」

「回りくどい事は止めましょう。先程も言いましたが嘘は無しです……あなたはわたしに何を求めてこの場を設けたんですか?」

 わたしは、このままだといつまでも本題に入らなそうなのでダイレクトに問いただす事にした。

「すみません。先程娘が言ったように騙されて事業を失敗してしまって……助けて欲しいのです」

「具体的にはどのようにですか?」

「私の商売の融資をして「出来ません」……え?」

「あなたの商売を助ける気はありません」

「そんな!! 同じ転生者なんですからどうか助けて下さい!!」

 わたしのようなたかが10歳の小娘に冷たく断られた事が意外だったのか食い下がってくる。

「ええ、同じ転生者としては助けたいと思います……贅沢せずに真面目に働けば困らない程度の援助はしましょう。でも商売を助ける気はありません」

「え? アーリャさんは成功して儲けているんですからそれくらい助けてくれたって……」

「甘えないで下さい!!」

 わたしはバロウさんの図々しい言い分に腹を立てていた。

「同じ転生者としては助けますが、それはあくまで生活出来るレベルまでです。
 商人としては助けません……なぜならバロウさんは既に商人として大事な信用を無視した対応をしてしまったからです。
 商人として助けが欲しかったのなら転生者の事など抜きにして最初から助けて欲しい理由を最初の手紙に書くべきでした……商人としては信用出来ません」

「しかし、それでは会って貰えるかも分からないじゃないですか!」

「そうかもしれませんね、でもそれ以前にわたしはあなたを信用していません」

「そんな、どうしてですか!!」

 わたしはチャンスは与えたはずだよ……嘘は無しって。



「それは、あなたは転生者なんかじゃ無いからです!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...