劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第十章 謎の手紙

43本目

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「お帰りなさいお嬢……用事は済んだんですか?」

「ええ、もう用は済んだから後でお掃除の人を呼んでおいてね」

 馬車に乗り込んだわたしは、離れた位置にある別の馬車に大人の男性と女の子が乗り込むのを眺めていた。

「どのようなご用件だったんですか?」

「えーと、商売の融資のお願いだったんだけど丁重にお断りしたんだ……わたしには合わない内容だったから」

「わざわざこんな場所でですか? まぁ、お嬢がそう言うのならこれ以上聞きません」

 わたしの適当な誤魔化しを追求しないマリナ。さすがわたしの事をわかっているね。

「主よ、この者の御心を正したまえ……これでいいんですか?」

 ケニーの言葉と共に光がわたしの身体を包み込んだ……なんとなく気持ちが楽になった気がする……ケニーには念の為に戻ったら状態回復の魔法を掛けて貰うように言っておいた。

「ありがとう。これで安心して帰れるよ」

「暇だったなぁ……せっかく誘拐犯とか強盗とかと戦えるかと思ったのに」

「物騒な事言わないでよ……ちゃんと報酬は払うから」

 ドランには悪いけど力が必要な事態にならなくて良かったよ。一応話し合いで解決したと言えるからね。

 だから特にキャレルさんに対してペナルティを与えたりはしなかったし、商人としての援助はしないけど生活援助の申し出を素直に受けてくれた。
 甘いって思われるかも知れないけど、完全に甘々という訳でも無いと思う。お金の受け渡しはギルドに依頼して毎回違う人にお願いをして必ず本人への手渡しが条件だ。
 さすがにずっと見張る事は難しいけど変な事をしないか程度に監視は付ける予定だ。

 

 キャレルさんのギフトジョブは『相棒』というジョブだった……転生者に容赦の無い謎ジョブっぷりだ。
 効果は一人を自分の相棒と定めると無条件で自分を信頼してくれるナイスな相棒になってくれるらしい。
 今回の事でバロウさんからわたしに相棒をチェンジするつもりだったみたい。乗り換えられた後のバロウさんを一体どうするつもりだったんだろうね?

「多少は同情の余地はあったのかもしれないけれど、やっぱり信用出来ない人だったな」

「そんな信用出来ない人の呼び出しに応じてしまうのはこれっきりにして下さいね」

 はっ、また独り言を聞かれて、あまつさえマリナに釘を刺されちゃった。

「前向きに善処します」

「あ、それ知ってますよ本で読みました。王国の大臣達が使う『やる気は無いけどそれっぽい返事』ってやつですね?」

「お嬢~~!?」

 ちょっと、余計な事言わないでよケニーのばか!! うわ~マリナがジト目で睨んでいる~!!

 そうこうしているうちに馬車は走り出してわたし達の街へと走り出した……キャレルさん達の乗る馬車はいつの間にいなくなっていた。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 ようやく家に到着すると、護衛をしてくれた二人には報酬を支払った。報酬はお金じゃ無くてスィーツを要求された……まぁ、お子様だから仕方がないよね?

「だって、マスカットタルト滅茶苦茶美味いじゃん。ご飯もあれでいいよ」

 それは身体に悪いから駄目だよ。ドランのお母さんに釘を刺しておかなきゃ。

「本を読んだ後にチョコを食べるとよく眠れるんですよ」

 ケニーは本好きでブレないなぁ。でも放っておくといつまで経っても本を読み続けるから、やっぱりケニーのお母さんに釘を刺しておかなきゃ。

 二人が帰った後にお父さんから報告があった……『四国連合会議』後の文化交流で出すスィーツがわたしの作ったチョコレートに決定したってお城から知らせがあったみたい。

「よし、会えなくて心が切なさでどうにかなりそうだけど、ちゃんと進んでいる……わたしはまーくんの元に進んでいるよね?」



 わたしは5年前に遠くから見たまーくんの成長した姿を想像しながら、自分の進む道がまーくんに続いている事を確かめなおした。
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